魔法戦記リリカルなのはIS 高町なのはのIS学園見聞録   作:ピロッチ

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さあ、いよいよ決勝戦。一夏と箒、勝つのはどっちだ?
それでは通算第74話、始まります。


第22話  紅白IS合戦

 遂に決勝戦を迎えた全学年タッグトーナメント。

2回戦で土壇場からまさかの二次移行で逆転勝ちし、

その勢いで準決勝も勝ち進んだ一夏・本音ペアと

ヤマトに次ぐ第5世代機を駆る箒・静寐ペアの時間無制限一本勝負。

果たして、その結末は…?

 

『それでは…織斑一夏・布仏本音ペア対

篠ノ之箒・鷹月静寐ペア…決勝戦、始め!!!』

 

 次の瞬間、一夏が箒に向かって斬りかかった。

一夏と本音は試合前、一夏が箒と戦っている内に本音が静寐を落とし、

然る後2対1で箒の相手をすると言う事にしていた。

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

 

 相手は今までとは違う。ヤマトと並ぶ第5世代2号機にして、

8つのコアで動くオクタコア機。その出力も火力も耐久力も

今までの機体とは圧倒的に桁が違う。まず小細工は通じない。

やるなら正面から突っ込むしかない。

 

「やはり真っ先に私に向かってきたか!」

 

 対する箒は空裂からエネルギー刃を放って迎え撃つが、

なのはの弾幕回避訓練で鍛えられた今の一夏には牽制にもならない。

 

「やはりそうそう当たる物ではないか…!ならば!!」

 

 だが箒はそれでも怯まない。展開装甲をソードビットに変形させ、

4刀流での連撃を仕掛けると、死角からの一撃で雪羅のSEが大きく削られる。

 

「くっ、やっぱり2世代差はデカいな!でもこの速さは見切れねえだろ!」

 

 一夏は距離を取ると、二重瞬時加速で間合いを詰める。

 

二重瞬時加速(ダブルイグニッションブースト)か!くっ、速い!」

 

 この速度の一夏と正面から斬り合うのは危険と判断し、箒は上空へ逃れる。

 

「それなら!」

 

 一夏も多機能武装アームから零落白夜砲を放ちながら追撃を掛ける。

箒は空裂のレーザー刃で迎え撃つが、弾同士がかち合うと

エネルギー消滅効果でレーザー刃が掻き消され、一方的に押される。

 

「レーザー刃が消える?!モッピー、あれが何だか分かるか?」

 

 しかし、ここで紅椿の切り札の一つが発動した。

制御AIモッピーからの情報提供である。

 

「モッピー知ってるよ。あれは零落白夜だよ。

イッピーは零落白夜の力を攻撃に転用してるんだよ。

当たれば大ダメージ必至だし、しかもエネルギーシールドは無効化されるよ。

防御手段が無いから全部避けてね。」

 

 何しろ束謹製のAIである、ISに関する知識は完璧に備えている。

当然、一夏の攻撃の正体も一目で看破してしまった。

 

「くっ、厄介な力に目覚めた物だな!だが、それでこそ倒し甲斐が有る!!

今度こそ勝って、一夏に私を認めさせる為にも!!」

 

 どうやら箒はこの戦いを1学期のタッグトーナメントの続きと見ている様だ。

今の一夏は専用機持ちが自分と恋人になりたがっている事を知っている。

ならば、幼い頃剣道で敵わなかった一夏に勝てば、

一夏に己を認めさせる事に近づくのではないかと考えるのは必然だった。

 

「逃げっぱなしという訳にはいくまい!今度は雨月と空裂同時に…」

 

 空裂のみならず、雨月からもレーザーを連射、手数で押し切ろうとする。

なのはが見せた弾幕地獄を髣髴とさせる無数の紅い閃光が一夏に迫る。

 

「くっ、今度は2本掛かりかよ!切り札を見せたくなかったけど、

相殺しきれねえなら…!!」

 

 しかし、今の一夏には雪羅のエネルギー吸収バリアがある。

レーザー刃は吸収され、SEに変換されてしまう為、全く効果が無い。

 

「何だ?!レーザーを…吸収した?!」

 

「?! モッピー知ってるよ!!あれはエネルギーを吸収して

SEを回復するバリアだよ!!実体兵器でないと攻撃は通らないよ!!」

 

「何?!そんな物まで持ってるのか?!」

 

 拙い事に、今の紅椿は両手の剣以外に実体兵器が無い。

これでは性能差は殆ど意味が無い。

 

「今だ!」

 

 一夏は攻撃の手を止めた隙を突いて二重瞬時加速で突っ込み、

雪片弐型を振り下ろす。

 

「くっ、させるか!!」

 

 箒は雨月と空裂を交差させて雪片を受け止め、押し返して斬りかかる。

 

「おっと!!」

 

 一夏はギリギリで躱し、間合いを取る。

 

「くっ、一夏がまさかここまで相性の悪い相手になっていたとは…」

 

「エネルギー吸収バリアの存在が知られた以上、もう箒が使えるのは

二刀流の実体剣だけ…。でも、こっちもSE回復手段がねぇ…。」

 

 SEを回復手段にされてしまうのなら、射つだけ無駄である。

 

「二次移行したせいで、ただでさえ悪い燃費が更に悪化してやがるならな。

早いとこ箒を落とさねえと…。」

 

 何しろ紅椿は燃費の悪さを補う為、

通常のコアより大型の特注コアを8つ搭載している。

その出力は桁違いだ。今一夏が拮抗しているのは、

モッピーが箒に配慮してわざと力を抑えているからに過ぎない。

もしもモッピーが機体を掌握したら、今の一夏など瞬殺可能だ。

そうなったら、勝てるのはヤマト以外にいない。一方、箒はと言うと…

 

「モッピー、何か策はあるか?」

 

「モッピー知ってるよ、こう言う時はセッシーに倣うんだよ。」

 

「セッシー?セシリアの事か?」

 

「そうだよ。モッピーがビットで全方位から牽制するから、

その隙に箒叔母さんが攻めればいいんだよ。モッピーあの機体を分析したけど、

あのエネルギー吸収バリアは全方位に対応してないから、きっと有効だよ。」

 

「よし、それなら…!!」

 

 箒はビットを射出し、機動砲台として一夏を全方位から攻撃する。

モッピー制御のビットなら精度も申し分ない。これで多少の牽制になる筈だ。

しかし一夏はビットを無視し、箒に瞬時加速で急接近する。

 

「千冬姉が箒の親父から教わり、俺に教えてくれた最大の技…

あの頃はまだ使えなかったけど今なら!!」

 

 刃先を下に向けて半回転させ、峰を自分に向けると、

下段から抜刀の要領で一気に振り上げ、

同時に右足を峰に押し付けながら宙返りする。

代表候補生認定試験で箒が使った篠ノ之流奥義「昇り竜」その空中版である。

 

「昇り竜か!ならば…!!」

 

 しかし、篠ノ之流の奥義には基本的にどんな技にも対処技が有る。

箒は左手の空裂を逆手に構え、

剣を交差させる様に右手の雨月を後ろに向けて構える。

昇り竜は下段からの斬り上げである事から、左に構えた空裂で攻撃を受け止め、

右手の雨月で反撃する構えだ。

その名も「剣虎」。昇り竜に対抗する篠ノ之流の奥義だ。

 

「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」」

 

 昇り竜と剣虎のぶつかり合い。激しい衝撃破と火花が散った瞬間。

 

「うわ!」「ぐっ!」

 

 一夏と箒が同時に弾き飛ばされる。激突の衝撃に双方の剣が耐えられず、

雪片は弾き飛ばされ、空裂は破砕してしまった。

一夏はバランスを崩すが、何とか立て直して着地。箒も後を追って着地すると、

地上では双方のパートナーである本音と静寐が戦っていたが、

やはり更識家の従者にして代表候補生の一人でもある本音に分があり、

静寐の打鉄をKOしていた。

 

「篠ノ之さん、ゴメーン!やられちゃったぁ!!」

 

「くっ、静寐がやられたか!」

 

 これで戦況は2対1。しかし油断はできない。何しろ第5世代機だ。

一瞬のミスであっという間に逆転されかねない。

 

「よし、作戦通りだ!行くぞのほほんさん!!」

 

「まかせてー!」

 

 とは言ってみたものの、一夏は雪片を弾き落とされている。

その雪片は、今箒の背後の地面に刺さっていた。

しかも、箒にはモッピーが付いている。

モッピーが機動砲台ビットと化した展開装甲を制御し、

一夏・本音ペアを寄せ付けない。

 

「うわ、わ!シノノンの機体にはこれが有ったんだった!」

 

 セシリアとは違い、操縦者がビット操作に関わらないので

箒は本体の操作に専念できる上、何より精度も違う。

一夏はエネルギー吸収バリアで受けようとするが、

モッピーはバリアの向きを見ながら2方向以上から攻撃する為、

逆に被弾が増えていく。

 

「駄目だ、守りに入ったら負ける!攻勢に出ないと!」

 

 一夏・本音ペアは何とかビットの攻撃を掻い潜り、

瞬時加速で一気に箒に近づこうと試みる。

しかし、瞬時加速しようとしているのはモッピーに看破されてしまう。

 

「今だ!瞬時加速に合わせて、カウンター攻撃だよ!!」

 

「そうか、よし、ならばこいつで!」

 

 箒の呼びかけで、紅椿の肩部のユニットが変形する。

大出力のクロスボウ型レーザー砲、穿千が展開された。

姿勢を安定させると、バイザーに照準器を表示し、照準を本音に合わせる。

 

「貰った!」

 

 瞬時加速した瞬間、穿千から放たれた深紅の光線が本音の打鉄を直撃。

一点突破の大出力レーザーの威力は絶大で、

本音はアリーナの壁に激突してめり込み、SEを全て奪われてKOされた。

 

「よし、これで1対1だ!!」

 

「クソ、のほほんさんが!!でも、これで雪片を…」

 

 一夏は本音がやられている隙に、雪片を拾う事に成功していた。

 

「覚悟しろ、一夏!!次で決着を付けてやる!!」

 

「ああ、望む所だ!!来い!!」

 

 本音を犠牲にする形になってしまったが、何とか武器を拾う事が出来た。

このチャンスを逃すまいと一夏は雪片を構え、零落白夜で決着を付けにかかる。

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

 

 しかし、ここで箒の眼前にメッセージが現れた。

 

『戦闘経験値は一定量に達しました。単一仕様能力を発動可能になります。

単一仕様能力、絢爛舞踏発動します。』

 

 絢爛舞踏が発動した瞬間、紅椿の展開装甲が金色に発光。

 

「な、何が?!」

 

いきなりの異変に一夏が一瞬戸惑うが、

何か起こる前に何とかしなければと二重瞬時加速で突っ込む。

箒も雨月で正面から迎え撃つ。

 

「「おおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」」

 

 雄叫びと共に放たれる最後の一撃、果たしてその結末は…

 

『勝負あり!!勝者は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

篠ノ之箒・鷹月静寐ペア!!』

 

ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!

 

 アナウンスと同時に、観客がトーナメントで最大の歓声を上げた。

今度こそ、本当に優勝が決まったのだ。

 

「か、勝った…」

 

「あ、あと一歩だったのに…!」

 

 一夏の雪片は確かに箒を捉えていた。

しかし、雨月の一突きもギリギリの所で雪羅の胴体を捉えていた。

これで雪羅はSEを喪失。その場で沈黙するのだった。

 

「これで私の勝ちだな、一夏。

今のがこの機体の単一仕様能力、絢爛舞踏だ!

その効果は『SEを増幅し、全回復する』!

SEを回復したから、お前の一撃にも耐えられたんだ!」

 

「は、はは…俺の二次移行を厄介な力とか言ってたけど、

お前も人の事言えなくなったな…。」

 

「ま、まあな…と、兎に角、この戦いは私の勝ちだからな!」

 

「あ、ああ…分かってるって!」

 

 かくして、箒と静寐及び彼女達の優勝を予想した生徒には

年度末まで有効のデザート無料パス券が配布されたのであった。




はい、優勝したのは箒でした。
まあ原作から最も強化されているのだから致し方ないのですが…

さて次回、「第23話  一方その頃富士の麓では」
代表操縦者と候補生の強化合宿に参加したなのはが、
久々に大暴れ…できるのか?
そして、大暴れしたら何が起こるのか?
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