魔法戦記リリカルなのはIS 高町なのはのIS学園見聞録   作:ピロッチ

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さて、いつぞやの合同合宿初日の騒動の結果、
あの大御所キャラクターが遂に話に絡む事に成ります。
通算第82話、始まります。


第30話  鬼神の居ぬ間に…その2

 ここは合同演習開始から数日後の東京は葛飾区。

その一角の亀有公園前では…。

 

「何ィ?!早矢の親父が負けた?!!」

 

 突如公園前の派出所から驚愕の声が響き渡った。

声の主はこの派出所に勤める名物警官、両津勘吉巡査長その人である。

 

「両津、声が高いぞ!」

 

 仰天している両津を一喝したのは、

この派出所の責任者で巡査部長の大原大次郎である。

 

「いや、部長!それ所じゃないでしょう!早矢の親父って言ったら…。」

 

「そうだ。ワシも信じられんが、署長が一部始終を目の前で見ていてな。

ほら、この間DVを受けていた両親に住所がばれたと言って

住民票閲覧制限の申し立てをして、親も反省してるんだから

仲直りしなさいって説得されたIS学園のOGがいただろう?

 

署長から聞いた話では、その場は合意しておきながら、

次の日に掌を返して弁護士同伴で被害届を叩きつけて訴訟沙汰にすると

突っかかって来たらしくてな。

 

それを聞いた親御さんが『騙したな!』って叫んだのが

偶々居合わせた先生の耳に入って

『周りの善意を踏み躙り、親どころか警察を謀るとは何事か!』と

お怒りになった先生がきつい折檻を食らわせたらしい。」

 

「まあ、あの人なら仕方ありませんよね。」

 

「近所からも仲直りする様に説得されてるのを

全部無視して振り切ったらしいですからね。」

 

 相槌を打っている警官はこの派出所勤務の若手、

黄地に縦縞のストライプのド派手な制服が特徴の中川圭一巡査と、

こちらも桃色の制服にブロンドの婦人警官、秋本・(カトリーヌ)・麗子巡査である。

この2人はどちらも実家が世界屈指の大富豪として有名だ。

 

「確かにな。あの親父は『嘘吐き絶対懲らしめるマン』だったからなぁ…

でもよ、聞けば聞く程周囲の連中は下らねぇな。

どうせそいつの両親なんざ不良上がりだろう?

不良が更生した、反省したから何だってんだよ。」

 

「おい両津、そんな言い方は無いだろう!」

 

「そう言いますがね、今まで酷かった奴が漸く普通になっただけでしょう。

何だって皆して持て囃すんでしょうね?

過去に手前のガキを甚振ってたのは変わりっこ無ぇんだから、

どんなに反省しようが、居場所を知られたくないのは当たり前でしょうが!

そうは思いませんか部長?!」

 

「まあ、お前の場合は過去が過去だからそう言う考えに至るのも分かるが…。

だが両津、それなら先生が親御さんを咎めなかった事の

説明が付かんだろう?」

 

「そうよ。早矢さんのお父さんくらい倫理道徳に厳しい人が

何も言わなかったって言う事は、やっぱり親御さんに非は無くて

自分の親不孝を責任転嫁しようとして

躾をDVと騒ぎ立てただけって事じゃないの?」

 

「うーむ、あの早矢の親父が外道の肩を持つ訳が無いからな…。」

 

「で、この話には続きが有ってだな。

あの後、その話が例の新任の代表操縦者…暴走核弾頭の耳に入ってな、

奴さんは彼女の肩を持って、事もあろうに演習初日のミーティングの時に、

遠回しにだが先生に面と向かって『死ね』と言ったそうだ。」

 

「げっ?!!あの早矢の親父に『死ね』って?!」

 

「部長!それホントですか?!」

 

「本当なら、命知らず過ぎますよ…。」

 

「厳密に言うと、会議室の窓を指差して『出口はあそこだ』と

きっぱり2度言い放ったと言う事らしい。」

 

「何て事を…。」

 

「あの早矢さんのお父さん相手に、面と向かって良くそんな事を…。」

 

「勿論先生は怒ったし、何より御夫人の堪忍袋の緒が切れたらしくてな、

『警察すら謀った親不孝者の肩を持つなら表へ出ろ!』と啖呵を切って

一族総出で折檻しようとしたらしいが、何と言ったか…

百歩神拳とか言う超能力だか拳法だか良く分からん術で、

全員返り討ちにされてしまったらしい。」

 

「ちょ、超能力ですか?!」「部長、それ作り話じゃないんですか?」

 

「いや、ワシは直接見ておらんからさっぱり分からん。

だが、この話をしている署長は真剣だったしな、何よりだ。

早矢君を含めて何人も怪我人が出ているんだ。事実なんだろう。」

 

「確かに…」

 

「まあ、早矢の親父に喧嘩で勝つとなると、

超能力でも使わなきゃ無理だろうが…その暴走核弾頭とかいう奴、

まるで日暮みてえな奴だな。そんなの使えるなら、もうIS要らんだろ…。」

 

「ああ、ワシもその話を聞いた時は真っ先にアイツを思い出したよ。

そう言えば、来年は五輪が有るから、また起こしに行かねばならんな。

とまあ、それはそうとしてだ。先生達を返り討ちにした直後に

暴走核弾頭の正体は変装した篠ノ之博士だったってオチが付いて、

この話は終わるんだが…」

 

「ほら、やっぱり作り話じゃないんですか?」

 

「そうですよ。変装して潜り込んだって、どっかの大泥棒じゃあるまいし…。」

 

「だが怪我人が出ているという動かぬ証拠がある。信じるしかあるまい。

ワシもこの前早矢君の見舞いに行ったが、酷い物だった。

医者の話では右腕左足を骨折していてな、今年中の復帰は無理だとの事だ。

早矢君曰く御家族も皆『嘘つきを庇う慮外者に負けた』事に大変落胆していて、

先生など自宅の再建が一段落付き次第後事を御子息に託して隠居し、

出家するとお弟子さん達に宣言したとの事だ。」

 

「あ、あの親父の出家姿…見て見たくもあるが、見て見たくもない…。」

 

「そう言えば、先生は早矢さんを暴走核弾頭に替わる

日本代表操縦者にと推していたそうですが…」

 

「それも無しになったそうだ。政府がISを宇宙開発ツールに回帰させる為、

IS道構想の放棄を決めた際、先生の肝いりで選ばれた代表候補生は

IS学園に入っていなかったと言う理由で全員が除名されたとの事だ。」

 

「そんな!怪我人に対して酷い事しますね。

踏んだり蹴ったりじゃないですか。」

 

「暴走核弾頭の代表指名と言い、今度の一件と言い、

日本政府は国際社会から非難轟々だそうじゃないですか。

これから先、日本はどうなるんでしょうか?」

 

「うーむ、ワシには分からん。先生は人脈を駆使して

モンド・グロッソの創設にも多大の貢献をして下さったお方だった。

ISの平和利用の為、新たな武道に昇華させるという構想も

先生の提言で計画された物だったが…。

篠ノ之博士から徹底的に反対されて、政府が昨日撤回を決めたそうだ。」

 

「僕もIICに勤める親戚から聞きました。

IICの上層部は日本政府の決定には否定的で、

翌年のモスクワ大会の日本代表出場停止も有り得るとか…」

 

「おうよ。ネットでも散々言われてるからな。」

 

「それでな両津。お前に本庁から名指しで命令が来ている。」

 

「わ、ワシにですか?!」

 

「IS学園の用務員が一人病気で入院したらしくてな。

そこでお前が期間限定で雇われた用務員に扮して、学園に潜入しろとの事だ。

幸い、暴走核弾頭は富士の麓で演習中だ。

詳細はこの辞令に書いてあるから、ここで読んでおけよ。」

 

「うええ…」

 

 

 

 

 数日後…

 

「(と、そんな事が有って早数日…)」

 

 両津は授業で使った大量の資料の山を台車で真耶と共に運んでいた。

 

「どうもすいません、両津さん。」

 

「なーに、この程度の量、どうと言う事はないさ!」

 

 学園に期間限定の用務員として入った両津は力仕事を率先して引き受ける為、

早くも他の用務員からも重宝され、すっかり打ち解けていた。

 

「向こうじゃこれ以上の荷物を運ぶのはよくある事だからな。

この手の仕事は慣れっこよ!」

 

「そうなんですか。本土の学校は大変ですね。あ、資料室はここです。」

 

 両津と真耶は運んでいた資料を手分けして資料室に片づけていく。

そして数十分掛けて資料を片付け終えた後、それは起こった。

 

「ふぃ~、漸く終わったな。」

 

「はい、今日はどうもありがとうございました。」

 

「いやいや、そう気にする事は…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブツッ…!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、何だ?!」

 

「え?何ですか?!まさか停電…?!」

 

 突如学園の照明が消えた。幸い、昼間だったので、視界はまだ十分だったが…

 

「あ?!おい、窓が…」

 

「防弾シャッターが…勝手に?!」

 

 学園中の窓に防弾シャッターが下り、日光が遮られる。

これで、学園内部は誘導灯以外の照明が無い暗闇になってしまった。

 

「こ、これじゃ何も見えませんよ?」

 

「おい、ここはこんな事が良くあるのか?」

 

「い、いえ。私今年入った新入りで、こんなの初めてなんです!」

 

「!! そこに誰かいるんですか?!」

 

 突如背後から聞こえる何者かの声。

 

「私です、山田です!そっちは誰ですか?」

 

「山田先生か…僕です、デュノアです。」

 

「何だ、デュノアさんか…こっちは今度入った用務員の両津さんです。」

 

「あ、ど…どうも。」

 

「しかし、何が起きたんだ?普通停電の時はすぐに自家発電装置が動く物だが、

まるで動く気配がないぞ。これじゃ非常照明も付かん。

それに、窓を塞いだら誰も校舎から出入りできんぞ。」

 

 両津がぼやいていると、シャルの専用機に

コアネットワークを通じて千冬の声が聞こえてきた。

 

『おい、聞こえるか?私だ、織斑だ。』

 

「ああ、織斑先生!」

 

『おお、山田先生もそこにいたか。

それよりも緊急事態だ。詳細は皆揃ってから説明するが、

兎に角専用機持ちは全員地下の非常時司令室に集合してくれ。

今からマップを転送する。もし防壁で道が塞がっている場合は、

ISで破壊して良いと理事会から許可が下りている。

それと、山田先生も一緒に来て貰う。兎に角急いでくれ。』

 

「…は、はい!山田先生、行きましょう!」

 

「はい!」

 

「おい、ワシはどうしたら良いんだ?!」

 

『ん?誰だ…って今度臨時で入った用務員の…

申し訳ないが、貴方には他の職員と共に地下のこの部屋に退避して貰いたい。

場所は転送したマップに記されている。』

 

「お、おう。」

 

 転送された見取り図には、非常時司令室と両津が退避を指示された

別の地下室が記されていた。

 

「それじゃ、皆地下へ行きましょう。」

 

 幸い誘導灯は内蔵バッテリーでしばらく動くため、

真耶達は誘導灯の明かりを頼りに先に進む事が出来た。

かくして、3人は一路地下へと進んで行く。




息抜きと思った?残念!ワールド・パージです。
今作では他作品からゲスト出演者が出ているという都合上、
敵も味方も、何人かキャラを追加する予定です。
果たして、両さんという第一級のジョーカーを切る余地はあるだろうか…?

次回「第31話  鬼神の居ぬ間に…その3」
果たして、学園はなのは抜きでこの窮地を切り抜けられるのか?
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