魔法戦記リリカルなのはIS 高町なのはのIS学園見聞録   作:ピロッチ

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ここからはシャルロット回。


第9話  ダブル転校生 シャルルゴールド 前編

 その日の放課後…

 

「おお、なのさん。帰ってたの?」

 

「やあ、おかえり本音ちゃん。生徒会の仕事は終わったのかな?」

 

「ん?私がいると仕事が増えちゃうからねー。早めに抜けてきたんだよー。」

 

「……………………。」

 

 なのはは千冬と同じ歳とはいえ、一応生徒なので寮に住んでいる。

ルームメイトはのほほんさんこと本音である。

実は彼女は生徒会のメンバーの一人で、生徒会では会計係を務めていたりする。

彼女が選ばれた理由はズバリ消去法。他のクラスメイトは皆怯えて拒否したが、

本音だけは怖がらなかった為、この人選となった。

メンタル面に限っては千冬をも凌駕するある意味学園最強…なのかもしれない。

 

「あー、そうだ。ぬいぐるみさんに聞きたいんだけどー…」

 

「なんなの?」

 

「今日転入してきたドイツの子、

数の子5号って渾名はぬいぐるみさんが言いだしたんでしょ?」

 

「そうだよ。」

 

「なんで数の子5号なの?あと、5号って事は、1号から4号もいるの?」

 

「あー、それはね…

知り合いにそういうニックネームであの子にそっくりな子がいたんだ。

銀髪で、隻眼で、体型も、声もほぼ同じの。はい写真。」

 

 そう言って本音に見せたのは、

ナカジマ家の家族と一緒に映るチンクの写真だった。

 

「おー!眼帯以外はそっくりだー。」

 

「でしょ?でね、この子、名前がチンクって言うんだけど…

チンクはイタリア語で数字の5って意味なんだ。」

 

「へー。」

 

「それだけじゃないよ。

聞いてびっくり、この子は12人姉妹の5番目なんだ。」

 

「12人?!なにそれ凄い!!」

 

「悲しい事に、2番目のお姉さんが亡くなっちゃったから、

今は11人しかいないけど。」

 

「そうなんだ…でも解ったよー。だから数の子5号なんて呼んだのかー。」

 

「解ってくれた?」「うんうん。」

 

「でも、今日のあの反応じゃ、間違ってもそんな呼び方は出来そうにないの。」

 

「アハハハハハハハハ…(苦笑」

 

「早いとこ謝らないといけないなー。」「あいえええええええ…」

 

「そうと決まれば、善は急げだよなのさん。早いとこ謝ったげようよ。」

 

「それもそうだねー。じゃあ、行ってくるか…」

 

「いってらっしゃーい。」「一緒に来るの!(頭部鷲掴み」「おーのー!」

 

 と言う訳で、なのはは専用機を鷲掴みにしたまま部屋を後にした。

 

 

 

 さて、ここで主だった生徒の部屋割りについて説明しよう。

 

 まず一夏は1組の生徒数が奇数だったことが幸い(災い?)し、

一人部屋を割り当てられていた。

もしなのはが入学していなかった、あるいは別の組だったなら、

生徒数が偶数となるので一夏は女子の誰かと相部屋になっており、

倫理的にあまり好ましくない事になっていただろう。

 

 次に、箒は鷹月静寐(たかつきしずね)と相部屋である。

この静寐なる生徒、生真面目な性格であるが、

その一方でジョークが満載された本を好むようだ。

 

 セシリアのルームメイトは相川清香(あいかわきよか)

本音といつも行動を共にしている根っからのスポーツ好きだ。

 

 鈴音はちらりと紹介した通り、ルームメイトの名はティナ・ハミルトン。

鈴音とは対照的な体型で、太る太るとぼやいているお菓子好きだ。

ただし、2組の事なので1組とは関係がない。

 

 

 しかし、シャルルとラウラが転入した事で事情が変わった。まず一夏は…

 

「遂に…遂に…俺にもルームメイトが出来たぁぁぁあああ!!」

 

 今日からシャルルと相部屋。

念願の同性のルームメイトが出来たことで大はしゃぎだ。

 

「今まで一人で淋しかったけど、やっと話相手が出来る!

もうボッチなんて言わせねえ!!」

 

 荷物を持ってシャルルがいる2人部屋へと移動する。

 

「所で、フランスの男子で最近流行りのゲームは何だろうな?」

 

 これが波乱の幕開けとなる事を一夏は知る由もない。

 

 

 一方…

 

「どうしてこうなった…」

 

 一夏に替わり、一人部屋を割り当てられたのはラウラだった。

自身の転入で女子が奇数になってしまった為に

この措置となったと千冬から説明されたが…

 

「どう見てもあの時の誤爆の報復ではないか…。畜生(シャイセ)!!」

 

 あの時の千冬のあからさまなドヤ顔で察した。

誤爆とはいえ、一夏を殴ってしまったことへの報復に違いないと。

 

「(織斑教官…貴女はアンシュルスだけでは飽き足らず、

更なる試練を課そうと言うのか…!)」

 

 何はともあれ、気を取り直して持って来た荷物を開け、

今後の予定について思いを巡らせる。

 

「教官の言いつけ通り、

明日イチカ・オリムラに会ったら真っ先に謝らなければなるまい…

確かドゲザとか言ったな。額と両手と両膝を地に付ける、

この国に古来より伝わる最上級の謝意を示す作法。

これならば許しを得られよう。」

 

 こういった基礎知識は、

日本での生活に必須なスキルとしてドイツで教わっていた。

 

「それにしても…ナノハ・タカマチとは一体どれ程の猛者なんだ?」

 

 当面の問題に頭を悩ませながら、ラウラはベッドに身を横たえた。

 

 

 で、シャルルとの2人部屋に到着した一夏だったが…

 

 コンコン。

 

「あれ?いないのか?」

 

 ノックしても反応が無い。

 

「(でも鍵は開いてる…中にはいるみたいだな。)シャルル、入るぞー。」

 

 ドアを開けて、中に入る。そこにシャルルの姿はなかった。

 

「アレ?いない…おや?」

 

 ふと耳を澄ますと、シャワー室から音が。

 

「ああ、シャワーを浴びてたのか。一応知らせておくか…。」

(男同士なら問題ないよね!)

 

 到着を知らせようとシャワー室に通じる脱衣所のドアを開けた瞬間…

 

 ガチャ…

 

 運の悪い事に、シャワー室の扉が開き、出てきたのは…

一糸纏わぬブロンドの少女だった。

 

「あ、Cカップ…。」

 

 思わず一言。確かに、少女の胸はそれくらいのサイズだった。

 

「あ、あ、あ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一夏のえっちぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」

 

 SPANK!!!

 

「ぶべら!!」

 

 1日に2度、違う女子に殴られるという稀有な体験をした一夏であった。

 

 

 

 

 

 で、その後…

 

「シャルル、落ち着いた?」「うん…」

 

「で、何で男の振りなんかしてたんだ?」

 

「………………実家が、そうしろって言ったんだ。」

 

 若干青褪めているものの、平静を装った顔でそう答えたシャルル。

 

 曰く、自分の本名はシャルロット・デュノアで、

姓こそデュノアだがロベルトCEOの妻アリエノールからではなく、

彼の秘書だった女との間に生まれた妾の子である。

 

 2年前に生母が病死して父に引き取られたが、

アリエノールには会ったその日に殴られ、泥棒猫の娘、妾腹と蔑まれた。

ロベルトとも碌な会話はなかったが、幸いIS適正が高かった為、

ロベルトの命で非公式のテストパイロットを勤める事になった。

 

 そして、フランスは第3世代機の開発が進んでおらず、

IS開発を担当するデュノア社も技術・情報共に不足している。

その為EUが主導する欧州統合防衛計画(イグニッション・プラン)からもハブにされる始末。

このままでは国際IS委員会(IIC)から

フランスに回されるIS開発予算が減らされ、

下手をするとデュノア社はIS開発の権限を失う可能性もある。

 

 そこに降って湧いたのが一夏だった。日本に出現したISを動かせる唯一の男。

その専用機のデータを入手すれば

第3世代機の開発が進むのではないかと考えた政府の命令で

男として入学し、その専用機のデータ入手を命じられた。

と言うのが彼女の入学の真相だった。

 

「…………。」

 

「ふう…本当の事を話したら、気が楽になったよ。

聞いてくれてありがとね、それと、騙してて御免…。」

 

「なあ…シャルル…じゃなくてシャルロット。お前はそれでいいのか?」

 

「えっ?」

 

「(シャルロットの肩に手を置いて)

いくら親だからって、親が子の人生を好き勝手して良い訳ないだろ!」

 

「い、一夏…?」

 

「俺も千冬姉も、親に捨てられたクチなんだ。

だから、親に愛して貰えなかった気持ちは俺にも解る!

あんな親、今はもうどうでもいいし、会おうとも思わない!

でも、お前はどうするんだ?!」

 

「どうするって…こんな事がバレたんじゃ、

本国に戻されて、良くて幽閉、悪ければ『消される』のかな……。」

 

 何処か諦めたというような、悟りきった表情で述べたシャルロットだが、

一夏はシャルロットをそんな目に合わせる気なんて無い。

 

「そんな事させない!俺が黙ってれば良いだけだし、

仮にバレたってこの学園の生徒は

どんな国にも、組織、団体にも所属しない事になってる!」

 

「そうだけど…でも、そんなの無理だよ!

拾って貰った立場の僕じゃ父には逆らえないし、

妾の子って事で本妻の人にも負い目がある。

邪魔者でしかなかった僕にIS適正があるって判った時から、

僕は父にとって道具でしかなかったんだ…」

 

「親の事なんか関係ない、シャルロットがどうしたいかが大事だろ?

今日来たばっかりであれだけ他の生徒の皆と打ち解けられたってのに、

もう帰らなきゃならねえなんて、そんなのおかしいだろ?!」

 

「それは…そうだけど…」

 

 歯切れの悪いシャルロット。そんな時、不意に部屋の外から声が。

 

「そ奴の言う通りだ、デュノアよ。」

 

 声の主は他ならぬ千冬だった。

 

「ちふ…織斑先生?」

 

「いや、千冬姉で良い。…入るぞ、一夏。」

 

「ん゛ー!ん゛ー!」

 

「き、聞いていたんですか…って、その台車は一体?!」

 

 シャルロットの言う通り、

千冬は真耶に猿轡をはめ、首から下をぐるぐる巻きにして台車に乗せていた。

 

「ああ、これか?

今日の様な失態を起こさない為に補習を行うので地下へ連行する所だ。

それよりもデュノアよ。」

 

「はい。」

 

「今こいつが言った通りだ。IS学園特記事項第21により、

この学園の生徒はどんな国にも、組織、団体にも所属しない。

だからお前はこの学園にいる限りフランスに強制送還される事は無い。

だからこの学園にいる間に己の生きる道を決めればよい。

連れ戻される心配などするな。」

 

「(すげえ…千冬姉がちゃんと担任やってる。)」

 

「おい一夏、お前何か無礼な事を考えなかったか?」

 

「イエ、ナンデモアリマセン!!」

 

「で、でも…」

 

 だが、シャルロットにはまだ迷いがあるようだ、と、そこに…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「話は聞かせて貰ったの!!」

 

 部屋のドアを開けて、入り込んで来た者が一人。その正体は…

 

「な、なのはさん?!」「高町?!貴様も聞いていたのか…」

 

 誰あろう、我等が暴走核弾頭高町なのはだった。

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