魔法戦記リリカルなのはIS 高町なのはのIS学園見聞録   作:ピロッチ

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待っていた方がいれば、お待たせしました。8か月ぶりの更新です。
それでは通算第91話、参ります。



第39話  去る者と残る物

 中露の武力行使宣言の真相は、中国共産党が雇った特殊工作員、

物部天獄こと金成羅が首脳部へ日本討つべしの思想同調術を仕掛けた事が

原因だった。そして、金成羅の部下の手はロシアにも迫っていた。

辛うじてその魔の手から逃れた露大統領ビクトル・D・ザンギエフから

首相官邸にSOS通信が入る。曰く、自分は偽物とすり替えられ、

首相以下閣僚と後見人「長老」が未だ拘束されたままだと言う。

 

 その頃、真実を知って尚態度を改めない国連総会に激怒したなのはは

束を伴ってワープで国連本部に乱入。全人類に大暴れを宣告するや、

韓国国連大使を束謹製の新装備、震動破砕銃「デシマティウス」で抹殺。

トドメに国連本部に2射目を叩き込んだのであった。

 

 この暴挙は当然、東京に即座に伝えられた事は言うまでもない。

 

「そ、そ、そ、総理ーっ!!!」

 

「何事か?!」

 

「国連本部が…国連本部が…」

 

「国連本部がどうした…!! ま、まさか!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「暴走核弾頭がNYに出現!!国連本部を爆破しましたーっ!!」

 

 モニターの向こうでは、根こそぎ吹き飛んだ国連本部「だった」所を背に、

束から「雑魚殲滅用」にプレゼントされた

振動破砕銃「デシマティウス」を持って⌒*(◎谷◎)*⌒になったなのはが

こっちを睨んでいた。

 

「あ、あ、あ…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「天魔じゃあ~っ!天魔の所業じゃあ~~~っ!」

 

 ばたんきゅー。

 

 山口総理はひとしきり叫ぶと、その場にぶっ倒れた。

 

「ちょおおおおおおっ、そ、そそそ総理ー!!!」

 

『や、山口さん?!山口さーーーーーーーん!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 と、そんな事をやっている間に他の所では…

 

『鳳候補生、何度言えば分かるのですか!』

 

 学園寮の鈴音の個室で鈴音と会話しているのは、

中国の候補生管理官、楊麗々(ヤンレイレイ)だ。

 

『これは軍国主義、反民主主義の本性を露わにした全人類最大の敵、

日帝に対する正義の戦争です。

全ての共産党員はこの聖戦に参加する義務が有るのですよ!』

 

この2人が何を言い争っているかと言うと、要するに

「学園にISを伴った特殊部隊が潜入して日本人生徒を人質にするので、

学園を裏切って潜入の手引きをしろ」と言う内通命令が下ったが、

鈴音がそれを拒否したのだ。

 

「嫌よ、アタシに同級生を裏切れって言うの?」

 

『これは共産党の決定です。

仮にも党員の貴女が党の命令に逆らうとでも?

(中国の代表操縦者と候補生は全て中国共産党党員の地位を与えられる。)』

 

「千冬さん…織斑先生から聞いたわ、

韓国が日本に核ミサイルを沢山発射したって事。

しかも、篠ノ之博士がその内の1発は学園を狙ってた事を突き止めた事もね。

自分を殺そうとした奴の味方に手を貸す奴が何処にいるって言うのよ?!」

 

『あの様な超一級の犯罪者の言う事を信じるというのですか?』

 

「信じるわよ!」

 

『んなっ…!』

 

「アンタは篠ノ之博士にも暴走核弾頭にも直接会った事がないから、

そんな事が言えるのよ!あの2人は仮にもアタシの老師(師匠)と、

そのまた老師でISの母なのよ!

そっちこそ、あの2人を騙し切れると思ってんの?!」

 

『どうあろうと、党に逆らうと言うのですね?』

 

「そうよ、党の命令だろうと断固拒否するわ。

きっぱり言うけど、アタシは共産党よりも暴走核弾頭の方がよっぽど怖いし、

そうでなくても、一介の『良きIS学園生徒』として振る舞う積りよ!

IS学園生徒である限り、いくら党の命令でも従う義務はないわ!」

 

『…後悔する事になりますよ。』

 

「そんな脅しに、アタシも学園も屈しないわ!

そっちこそ、明日学園中にこの話をバラしても良いのよ!

何ならこの会話は録音してあるから、

永田町に持って行く事が出来るのよ!」

 

『所詮は日本かぶれの出戻りか…

党は貴方を漢奸に堕ちた王八蛋(人非人)と看做すでしょう。』

 

「………。」

 

『党がどんな決定を下すのか、楽しみにしておきなさい。』

 

 そう言うと、楊管理官は中南海へ鈴音の反逆宣言を報告しに行く為、

一方的に通信を切ってしまった。

そして、鈴音の他にも祖国に反旗を翻そうとする者がいた。

 

「総理、警察庁から報告です!

ICPO-ICDに所属している警官3名が、

日本国籍の放棄を表明しました。併せて、反逆を宣言しております。」

 

「ああ、そうか…」

 

『まあ、そういう奴が出てくるのは予想済みだがなぁ…

仕方ないとはいえ、よりによって一馬の娘がそれをやっちまうかぁ…。』

 

「そうだったな。ICPO-ICDには真宮寺大佐の一人娘の…」

 

『ええ、暴走核弾頭の奴を代表に据えちまった所為で、

連中は俺達が一馬の命がけの苦労を踏み躙ったと看做した様ですな。

それで今度の件で、完全に日本を見放したと…』

 

「はい、篠ノ之博士と暴走核弾頭への特例による大勲位叙勲決定の直後、

警察庁に3名から連絡があり、

『もう自分達の知っている日本は滅んだ、こんな国は祖国でも何でもない。

今後はICD職員としての義務に専念し、今上陛下及び閣僚と

暴走核弾頭、篠ノ之博士、ブリュンヒルデの3人を絶対に逮捕する』と。」

 

「何?おい、今何と言った?!」

 

「はい、例の前口上が決め手となり、国際刑事裁判所は追加で

今上陛下にも逮捕状発行を決定したと通告がありました。

国家元首への逮捕状発行は一昔前のスーダン大統領という

前例もありまして…。」

 

「おのれICC、ふざけた真似をしおって!!」

 

 山口総理は激怒して机を殴り付ける。

 

「そっちがその気なら、こっちもやってやる!…朝敵だ。」

 

『…山口さん、もう一度言って頂きたい。今何と?』

 

「朝敵だ!あの裏切り者も、ICPOも、ICCも、

奴等とその関係者は皆朝敵と呼ぶべき逆賊、

そうでなければ日本国その物の仇敵である!!

直ちに声明を発表せよ!!以後奴等を朝敵と呼称し、

記者会見での宣言通り廃滅対象に指定する!!」

 

『幕末以来の所業ですな。ましてや外国人ばかりか国際機関を朝敵とは…』

 

「だが、反対者は武力で廃滅するとあの日記者会見で言い切った以上、

最早やるしかない。」

 

「それで…例の3人から、宣戦布告と称して通信が入っているのですが…。」

 

「良いだろう、聞くだけは聞いてやろう。回せ。」

 

 山口総理の指示で、ICPO-ICDの日本人メンバーが通信に現れた。

 

『山口総理と米田防衛相、ICCからの通告は聞きましたね?』

 

『ああ、聞いたよ。裏切り者がどの面下げて…と言いてぇ所だが、

俺達はお前ぇ等に裏切られるだけの事をしちまったのも事実だ。

まあ覚悟はしていたさ。』

 

『見損ないました。父の元上官だった貴方が、

あの大虐殺実行犯の言いなりになるなんて…』

 

『そう言うとは思ってたよ。だが俺はもう自衛官でも防衛軍の将軍でもねえ。

仮にも閣僚の端くれ、それも日本国民の安全に責任を負う

防衛大臣になっちまったんだよ。

その俺や山口さん他日本政府があの2人に尻尾を振り続けている限り、

アイツらは日本に危害を加えねえ、それ所か日本の防衛に手を貸してくれる。

となれば俺達のやる事は一つだ、政府総出で尻尾を振って、

徹頭徹尾アイツらのポチに徹し切る…それだけだ。』

 

『どこまで見下げ果てた性根ですの…!』

 

『正気じゃねえ…!あんな奴等に尻尾を振るなんざ、イカれてるぜ!』

 

『こんな人が父の元上官だったなんて…』

 

「それはお互い様だ。そっちこそ自分の生まれた国を何だと思っている?!」

 

『他国の幸せを願い、他国の不幸を悲しむ事のできる国で在って欲しい。

そう思っていました。でも、今はっきりしました。

私達の知っている日本は、白騎士事件の時に滅んでしまった。

今あるのは日本の皮を被った篠ノ之束と暴走核弾頭の言いなりの集まり。

私達にはそう見えている…と言っておきます。』

 

「成程、それが本音か…。つまり、日本は最早国でも何でもない、

言うなればかつてのISILと同類の世界的テロ集団とでも言うのか?」

 

『そう思って頂いて構いませんわ。既に一族は出国しました。

私達はもう、日本に未練も何にもありませんのよ。』

 

『そうだ!今まで中国だの韓国だのが散々日本が酷い事をしたって

言い続けたのは、単に日本を虚仮にする為の嘘って言ってた癖に!!』

 

『あの2人は韓国を黙らせる為だけに、

あの国の人達の主張よりもっと酷い事をしたんです!こんな事は許せない!

そんな奴に味方する国なんて、この世に存在してはならないんです!!』

 

『言ったな…!だが、手前ぇ等も越えちゃならねえ一線を越えちまった。

今上陛下に逮捕状を出した以上、覚悟は出来てるんだろうな?

手前ぇ等のやった事は、もう非国民なんて言葉じゃ温すぎて言い表せねえ。

今この瞬間から…手前ぇ等は全員「朝敵」だぁ!!』

 

『朝…敵…?!』

 

『おうよ、それも間違いなく徳川慶喜公以来の第一等の朝敵ってもんよ。

これがどういう意味かは分かってるな?

「絶対に生かしちゃおかねぇ、日本の総力を挙げて皆殺しにしろ!」って

軍と警察に命令を下す積りなんだよ、俺達は。

もう一度言うぞ、ICPOとICCの全関係者は朝敵だ。

これが俺達日本政府の答えだ。覚悟は…出来てんだろうな?』

 

「そう言う事だ、我々はICPOとICCの者共を絶対に生かしておかん!

年内に暴走核弾頭を送り付けて葬り去り、二度と再建できなくしてくれる!

これは私見ではない、日本国全国民の代表としての公式宣言と思え!」

 

『…良いでしょう。例え朝敵と呼ばれても、

私達は法の番人として世界に証明して見せます。正義は勝つと。』

 

『やってみろ、出来る物なら。その理屈がアイツに通じるかは別だがな。』

 

『通して見せます!私が、私達が正義であるが故に!!』

 

『…せめて骨くらいは拾ってやる、俺から言えるのは以上だ。』

 

 これが、彼等の最後の会話となった。

 

 

 

 そして、数分後… 

 

「防衛相!総理!暴走核弾頭と連絡が取れました。モニター繋ぎます!」

 

「おお、やっと繋がったか!!直ちにこっちに回せ!!」

 

『やあ。』

 

 直後、モニターになのはとナノリオンが姿を現した。

 

『(きょ、巨大化?!)

あー、暴走核弾頭か?こちら米田だ!ロシアの件は聞いたか?』

 

「ロシア?何の話なの?!」

 

『物部天獄の野郎、手下共と結託してロシアを乗っ取りやがった!!

中国にいるザンギエフ大統領は偽物だ!!

本物はモスクワのドモジェドヴォ空港に逃げようとしている!!

済まねぇが、お前ぇさんが大統領の身柄を確保してくれ!!』

 

『モスクワのドモジェドヴォ空港…了解したの!!』

 

「ああ、それとだな。無事ザンギエフ大統領を確保したら、

その足でハーグとリヨンへ向かい、

ICCとICPOの本部を破壊してくれまいか?」

 

『ICCとICPOを…?理由は?』

 

『ICCの野郎、今上陛下にまで逮捕状を出しやがったんでぇ!!

それで今しがたICPO-ICDの奴等が宣戦布告してきやがった!!

もうICCとICPOの連中は朝敵だ!日本人がいようが関係ねぇ!!

あそこの関係者はどうしようとお前ぇさんの勝手だ!!』

 

「ちっ、帝国華撃団め、予想通りの対応なの!!」

 

「(帝国…華撃団?)彼女達は日本に幻想を抱き過ぎた様だ…

この国が『他国の幸せを願い、他国の不幸を悲しむ事のできる国』

であって欲しいなどと言っていたが、

今の日本は篠ノ之博士と君の言いなりの集まりなどと吐かしおった。

残念だが彼女達はもう日本国民ではない。…後は分かるな?仔細は任せる。」

 

「『他国の幸せを願い、他国の不幸を悲しむ事のできる国』?

バカらしいの!この国にいつまでものび太でいろって言うの?!

私はこの国を私の様にしてやるの!!命令は了解したの!!

邪魔者の帝国華撃団め、この世から消してやるの!!!」

 

 なのはは早速モスクワへワープしていった。

 

『山口さん、あいつ、最後に何て言いましたかね?』

 

「聞き間違いでなければ、『この国を私の様にしてやる』

と言っていたと思うが…」

 

『「………………………………………………………………………………。」』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『「担ぐ神輿を間違えたかも知れん…。」』




 8か月も更新を怠っていたせいで、
前書きと後書きのテンプレを忘れかけてました。

 所で、日本国召喚、良いですよね…
いつか、あれで二次創作をやってみたいです。
もう、プロット作っちゃいましたし…。

次回「第40話  秋の夜長の大暴走 その1」
取り敢えず、全人類逃げてー!

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