自由なチート暇人   作:sakuya-syu

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ヤッテヤルデス!


第15話

―二日後の夜―

 リビングでは鷲、真紅、ユー、リアがソファに座っていた。

「ユー、これでどうだ?」

 鷲は今しがたできたばかりの封印装置を隣に座っているユーに手渡す。

「・・・・・・」

 それを受け取ったユーは首から下げる。

「どう?ユーちゃん」

 心配そうにユーを見るリア。

『多分、大丈夫』

「なら、何か喋ってみろよ」

「・・・・・・」

 無表情だが、不安そうな雰囲気を出すユー。

「ほら、お休みって言ってみろ、それでわかる」

 鷲に促されて、ユーは意を決した。

「・・・・・・お、おやすみ、なさい」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

 鷲はともかく、リアには何の反応もなかった。つまり―

「成功だな」

『だな』

「やったよ、ユーちゃん!」

 鷲、真紅、リアはそれぞれに喜んだ。

 そして、深い息をついた鷲に突然、衝撃が襲った。

「鷲!」

 やっとまともに話せるようになったユーが鷲に抱き着いたのだ。

「鷲!ありがとう!」

 ユーは泣きながら、鷲の胸に顔を擦り付ける。

「おいおい、喋れるようになったくらいで何泣いてんだよ」

 ユーの頭をポンポンと撫でながら、苦笑する鷲。

「だって、まともに、話せる時が、来るなんて、思わなかったっ」

 嗚咽を漏らしながら言葉を発するユー。

「話せるようになっただけじゃないだろ?鎧を取ってみろよ」

 そう、鷲が作ったのは封印装置。ユーの魔力を封じるものだ。なので、今までのように鎧を付けていることはない。

 泣きながらも、プレートアーマーとガントレットを外していくユー。

「ぐすっ」

「これでお前が魔族に狙われることはない」

 鷲はユーの頭を撫でながら言った。やっと鎧から解放され、普通の女の子として生きていけるようになったユーはまた鷲に抱きつく。

『じー』

「むー、ユーちゃんだけずるいよ」

 真紅とリアは恨めしそうに鷲を見ている。

「ま、長年の呪いが解けたんだし、これ位いいだろ?」

『むー』

「うー」

「Zzz」

 そんなやり取りの中、ユーは鷲に抱きついたまま眠ってしまった。

「もう、ユーちゃん、風邪ひいちゃうよ」

「・・・つか、俺も、もう、限界・・・」

 そう言って、鷲もソファに倒れ込んだ。

「ええっ、ちょっとシュウ君!?」

『私も寝るかな』

 真紅はそう言うと、消えてしまった。さすがに今の二人に二日徹夜はきついようだ。

「もう!どうすればいいのー!」

 ぐっすりと眠る鷲のそばに、幸せそうに眠るユー。さすがに二人も運べないリアは叫んだ。

 

 

―翌日―

 朝になっても起きなかった鷲は、結局、昼まで寝ていた。今朝、リアが鷲を起こそうとしたが、全然起きなかった。諦めたリアは鷲をユーに任せて学校に行った。そして起きた鷲は目の前にあるユーの顔を見た。

「んあ?」

「おはよう、鷲」

 ユーは膝の上にある鷲の頭撫でながら、微笑む。

「ああ、おはよう」

 起き上がった鷲は時計を見た。

「・・・うん、今日もサボろう」

 時計の針は既に一時を指しており、学校に行くことを諦める鷲。

「約束は?」

「・・・ああ、約束かー」

 今日は学校に行くという約束をしてしまっているのだ。行かなかったらまたあいつらが文句を言いに来るだろうな。

「明日から頑張る」

「・・・・・・」

「ユーが寂しくなるだろ?」

「平気」

「そうかい、なら、さっさと行って、帰ってくるわ」

「・・・・・・」

 鷲はユーの頭にポンと手を置くと部屋へ着替えに行った。

「じゃ、行ってくるわ」

 着替えた鷲は玄関にいた。

「いってらっしゃい」

「・・・なんかユーに言われるのは新鮮だな」

「私も新鮮」

「そうか、じゃ、また後でな」

「うん」

 そして鷲は学校へ向かった。

 

 

「はあ、来ちまったか」

 教室の前で立ち止まった鷲。周りには授業中のため、当然誰もいない。教室の中からは教師の声が聞こえる。

「・・・・・・」

 内心面倒くさいと思いながらも、鷲は扉を開けた。

―ガラガラガラ

 ドアを開けたら全員が一斉にこっちを見た。

―ガラガラガラ

 なので、そのままドアを閉めた。複数の人間が一斉に自分を見てくるのって気持ち悪い、軽くホラーだった。

(・・・帰るか)

―ガラガラガラ

 踵を返そうとしたら扉が開いた。

「あんた、来たんなら入りなさいよ!」

 中からお転婆が現れた。

「学校には来た」

「いいから、授業も受けなさい!」

 そう言って、お転婆は鷲の手を掴んで教室の中へ引っ張った。

 

 授業が終わり休み時間になった。授業中、鷲は当然、話を聞かずに本を読んでいた。

「まったく、来るのが遅いわよ!」

 授業が終わった直後、三人娘はさっそく鷲のところに来た。

「時間は決めてなかったからな」

「屁理屈言うな!」

「へいへい」

「でも、来てくれたんだね」

「まあ、約束だし」

「今日はもう来ないかと思ったの」

「俺は約束は守る男だ」

「なによ、偉そうに」

「でもアリサちゃん、今日ずっとそわそわしてたよね」

「な!」

「うん、鷲君が来たらすごく嬉しそうにしてた」

「な、何言ってるのよ!?あ、アタシはコイツがいないとテストで勝負ができないから待ってただけよ!」

「そうなの?」

「私は鷲君が来てくれてうれしいよ」

「嬉しいこと言ってくれるね、お嬢様は」

「えへへ」

「そ・ん・な・こ・と・よ・り!放課後は翠屋に行くわよ」

「パス」

「却下!」

「一緒に行こ?鷲くん」

「一緒にケーキ食べよ?」

「・・・ケーキなら仕方ない」

「決まりね、勝手に帰るじゃないわよ」

「だってよ、A」

「Aってわたしのこと!?」

「一般人Aは長いからいいだろ」

「普通に名前を呼んでよ!」

「無理、覚えてない」

「即答!?」

「いいから、席に着け。チャイムが鳴るぞ」

「スルーなの!?」

「そうだ、今度、お嬢様の家に行っていいか?」

「うん、いいよ」

「ねえ、わたしはスルーなの!?ねえ!」

「どんな本があるか楽しみだな」

「うん、珍しい本もあるからきっと気にいるよ」

「おお、期待してるぜ」

「うう」

「ドンマイ、なのは」

 スルーされ続け、涙目になるなのはの肩にそっと手を置くお転婆。

「とりあえず、鷲!放課後、勝手に帰るじゃないわよ、いいわね?」

「へいへい」

 そして、残りの授業を受ける鷲たちであった。

 

 




筆談のユーも可愛いけど、喋ってるのもかわいいですよね。
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