―翌朝―
「Zzz」
やはり鷲は、寝ていた。
『シュウ、そろそろ起きないと遅刻するぞ』
「Zzz」
真紅は鷲を起こそうとするが、起きる気配すらなかった。
『これは今日もサボりかな』
真紅が諦めようとしたとき、いきなり扉が開いた。
―バンッ
『!?』
突然の音にびっくりして扉の方を見る真紅。そこには聖祥の制服を着た金髪の少女と、その後ろには紫の髪の少女と茶髪のツインテールの少女もいた。
どうやら、鷲を迎えに来たらしい。
「起きなさい、鷲!」
「鷲くーん、迎えに来たよー」
「起きて、鷲君」
声をかける三人だが、鷲はぐっすりと気持ちよさそうに寝ている。そんな彼を見て、お転婆は鷲の側に寄る。
「起きなさいって言ってるでしょ!」
お転婆が鷲の腹部に拳を思いっきり振り下ろす。しかし、それは鷲がタイミングよく寝返りを打ったことで躱された。
躱された拳はそのままベッドにあたる。マットのおかげで衝撃は緩和されたが、お転婆が涙目になっているところを見ると結構痛かったんだろう。
「っ」
「大丈夫?アリサちゃん」
「手、痛めてない?」
Aとお嬢様がお転婆に駆け寄る。
「ん、んー」
周りが騒がしいので目を覚ました鷲は、寝ぼけ眼で三人を見た。
「ん、なんでお前らがいるんだ?」
「あ、おはよう、鷲くん」
「起きたんだね、おはよう」
「ああ、で、なんでいんの?」
「えと、鷲くんを迎えに来たの」
「うん、一緒に学校に行こ?」
『シュウ、せっかく迎えに来てくれたんだから行ったらどうだ?』
「・・・・・・」
「何黙ってんのよ」
「はあ、とりあえず着替えるから出ろ」
仕方なく、今日は学校に行くことにした鷲だった。
リビングに入ると、ユーとリアがキッチンのテーブルに、三人娘がソファに座っていた。ユーとリアは朝食を食べている最中だった。
「あ、おはようシュウ君」
「おはよう」
「はい、おはよーさん」
「今日は学校に行くの?」
「気は進まないけどな」
ユーの問いかけに溜息を付きながら答える。
「そうなんだ、あ、今ご飯出すね」
リアはそう言って鷲の分のご飯を準備した。
「いただきます」
鷲はご飯を食べ始めた。
「ごちそうさま」
鷲が食べ終わる頃にはユーとリアは既に食べ終わって、お茶を飲んでいた。
「やっと食べ終わったのね、時間もないから早く支度しなさい」
時刻は現在7:30を示していた。今から出たら、まだ間に合うくらいの時間だった。
「へいへい」
鷲が支度をするのを待ってからユーに留守番を頼み、五人は家を出た。
「じゃあ、また後でねー」
そう言ってリアは学校の玄関で別れた。初めて、鷲と登校出来て満足そうだった。鷲がたまに学校に行く場合でも、彼はリアと一緒に登校したことはなかった。それは鷲がギリギリまで寝ているからであった。
「リア先輩、すごく嬉しそうだったね」
「うん、いつも笑ってるけど、今日はそれ以上だったの」
「アタシもあんなに笑顔の先輩は見たことないわ」
三人娘は鷲を見る。原因の本人はそれに気付かず、億劫そうにしていた。
「自覚ないみたいなの」
「うん」
「鈍感なんじゃない?」
三人娘は呆れながら彼を見てから、教室に向かった。その後に鷲は続いた。
―昼休み―
授業?そんなの聞いてないけど?ただ、鷲がいることに教師陣は驚いていたが。
実際鷲は授業中、本を読むか、寝るかしかしていない。そして、午前の授業が終わり、弁当を食べようとした鷲は三人娘に屋上へと拉致られた。
そこには既にリアの姿があり、こちらに手を振っていた。
「みんなー、こっちだよー」
「ほら、行くわよ」
それから、五人は昼食を食べ始めた。
「将来の夢?」
「はい、今日の授業で聞かれたんです」
「なつかしーなあ、私も去年聞かれたよ」
「そうなんですか?」
「うん」
リアとお転婆とお嬢様が話しているのを鷲は気にせずに食べていた。
「なんて答えたんですか?」
「ええっ、そ、それは・・・/////」
顔を赤くして、ちらちらと鷲の方を見ているリア。その様子に何やら察しがついた二人。
「先輩もやっぱり女の子なんですね」
「アリサちゃん、ダメだよそんなこと言っちゃ」
「もー!私はいいの!みんなはなんて答えたの!」
恥ずかしさのあまり強引に話を変えようとするリア。
「アタシは、パパの会社を継ごうかと思ってるわ」
「私は機械系が好きだから工学系かな」
「二人ともすごいなあ」
「なのはは翠屋を継ぐんじゃないの?」
「うーん、それもあるけど、他にやりたいことがあるような気がしてはっきりしないんだ。私、特技とか取り柄とかないし・・・」
「うーん、それは後で見つけていけばいいじゃないかな。何になりたいかなんて人それぞれだし」
「そう、ですよね」
リアが励ますとAはすこし元気を取り戻したようだ。
「で、アンタはどうなのよ?」
お転婆は一人で黙々と弁当を食べている鷲に話を振る。
「何が?」
どうやら、話を聞いていなかったようだ。
「鷲君の将来の夢って何?」
お嬢様がもう一度言ってくれた。
「将来の夢?」
「うん」
「・・・自由に過ごすこと」
鷲は上にいる真紅を見ながら、夢を言った。
『!?』
「アンタはいつも自由でしょ、何を今更言ってんのよ」
「あはははは」
それから、話しながらもまた弁当を食べ始める彼らだった。
『シュウ・・・』
しかし、今鷲の言った夢の重みを理解している真紅は悲しそうな瞳で鷲を見た。
普通の夢だが鷲にとってそれは、前の世界では絶対に得られなかったものだ。だからこそ、この世界で鷲は自由に過ごそうとしている。それを理解しているからこそ、真紅は悲しかった。
―キーンコーン
チャイムが鳴り、五人は教室に戻り授業を受けた。
次回、原作開始になるか!?