―放課後―
昼休みと同じように拉致られた鷲は、三人娘と玄関でリアを待っていた。数分後にリアが来て、そのまま帰路についた。
そして、習い事がある三人は近道をしようと公園に入る。
「こっちが近道なのよ」
「ちょっと気味悪いね」
「いいから行くわよ」
五人は獣道に入っていった。
《だれ、か・・・》
「っ」
少し歩くと、Aがキョロキョロとあたりを見渡す。
「どうかした、なのはちゃん」
「えっと、今声が聞こえたような」
「声?」
「んー」
「・・・そんなの聞こえないわよ」
リアとお嬢様とお転婆が耳を澄ますが、何も聞こえなかった。
「気のせい―《たすけて》―やっぱり聞こえる!」
そう言うとAは獣道に入っていった。
「ちょっと、待ちなさいよ!」
「なのはちゃん!」
「危ないよ!」
他三人も追いかける。
「・・・・・・(魔力反応・・・)《ラピス》」
《はい!何ですか!》
鷲がラピスに念話で話しかけると大声で、嬉しそうに返事をしてきた。
《・・・うるさい》
《うう、仕方ないじゃないですか、久々の出番なんですよ?》
鷲の威圧的な一言に言い訳を言うラピス。
《そんなことはどうでもいい》
《どうでもって》
《他の奴に俺の魔力を気づかれる可能性は?》
《うう、Yes、あります》
《なら、俺の魔力を最低限まで抑えろ、念話が聞こえるくらいでいい》
《わかりましたぁ》
《・・・はあ、今度、メンテやってやる》
《ホントですか!?》
《ああ、だからそれまで我慢しろ》
《わかりました!楽しみにしてますね、主様♪》
《はいはい、とりあえずは今までどうり話すなよ》
《はい》
そして、鷲は四人の後を追う。
四人がいる場所に行くと、その中心には小動物がいた。
「あ、シュウ君」
「遅いわよ、何してたのよ」
「歩いてきただけだ。で、その小動物は?」
「えっと、怪我をして倒れてたの」
そう言ってAは怪我をした小動物を鷲に見せる。
「イタチ?」
「フェレットだと思うよ」
「フェレット、ねえ」
お嬢様の言葉に疑問を持ちながら、イタチを見る。
「とにかく、病院に連れて行きましょ」
「そうだね、ここから一番近い動物病院は・・・」
「あ、私、知ってるよ」
「本当ですか?」
「うん、こっちだよ」
そして、リアを先頭に五人はイタチを連れて、動物病院に向かった。
「治療は終わったわ。怪我も命に関わるほどでもないし、すぐに良くなると思うわ」
「そうですか」
「よかったあ」
「うん」
イタチを動物病院に運んだあと、さっそく治療をしてもらった。命に別状はないので、皆がホッとした。
「・・・・・・」
鷲がイタチを見ていると、どうやら目を覚ましたようだ。あたりを見渡すとAのところで視線を止めた。
「あ、なのはちゃんを見てる」
「手出してみなさいよ」
「ええっ、大丈夫かなぁ」
Aは恐る恐る指をイタチに近づける。
―ペロ
すると、イタチはAの指を舐めて、また気を失ってしまった。
「あ、舐めたよ」
「でも、また寝ちゃったわね」
「多分、疲れてるんだよ」
「そうね、ところであなたたち、時間大丈夫?」
獣医が時計を見て五人に聞く。
「あ、いけない、塾の時間!」
「急がなきゃ!」
「でもこの子、どうしよう」
「うーん」
「とりあえず、今日はうちで預かるわ。明日、どうするか決めましょう」
どうやら、今日は獣医が預かってくれるらしい。
「「「「ありがとうございます」」」」
お礼を言って、彼らは病院を出た。
―夜―
夕食後の鷲たちはリビングでお茶を飲みながらテレビを見ていた。
「あのフェレット大丈夫かなー」
「フェレット?」
「うん、今日の学校帰りに怪我をしてるフェレットを見つけたの」
「そうなんだ」
「まあ、正確にはイタチの姿をした人間だけどな」
「そうなの?」
「えっ、そうだったの!?」
「リア、修行のメニュー追加な」
「ええっ、どうして!?」
「・・・・・・」
「えっと、そんな冷たい目で見るのはやめて?」
「まあ、これから物語が始まるってことだな」
「どうして?」
「えっ、そうなの?」
可愛らしく首をかしげる二人。
「まず、俺らがいるこの世界はなんの世界だ?」
「物語の世界」
「正解、ユーに1ポイント。次に俺らが子供の姿になっている理由は?」
「えっと、キーパーソンと行動するためだよね」
「正解、リアに1ポイント。じゃあそのキーパーソンは誰だ?」
「えっと・・・」
「あの子達?」
「正解、ユーに1ポイント」
「あの子達ってなのはちゃんたちのこと?でも、なんで物語の始まりってわかるの?」
「リア、お前は頭いいんだから、もう少し頭を使え」
「だ、だってぇ」
「日常にその魔法使いのイタチが現れたから?」
「正解、ユーにさらに1ポイント。そして、キーパーソンってのはおそらく、あの一般人のことだな」
「だから、なのはだけに声が聞こえた?」
「さすがユーだな。ご褒美だ」
そう言って、鷲は冷蔵庫からケーキを取り出した。
「いいの?」
「ああ、勝者へのご褒美だ、味は保証する」
鷲はケーキをユーの前に置く。見た目は普通のイチゴのショートケーキだった。
「え、それシュウ君の手作り?」
「ああ、ただのケーキじゃないぞ?カロリーを極限まで抑えたヘルシーケーキだ」
「ず、ずるいよ、ユーちゃんだけ!」
「そんな敗者にはこちら」
鷲が取り出したのはお猪口ぐらいの小さいコップに入ったお茶だ。それをリアに差し出す。
「これは?」
「見ての通りお茶だ」
「・・・・・・」
リアは恐る恐るそのお茶を一口飲んだ。
「ンッ、ケホッケホッ」
瞬間、リアはむせた。
「な、なにこれ、すごくにがーい」
「ただのセンブリ茶」
「それ、すごく苦いお茶だよぉ」
涙目になって鷲を見るリア。
「ハッハッハッ、ちゃんと飲めよ」
「ううー」
「鷲」
「なんだ?」
「敗者のリアにも景品があるのは不公平」
「すごい苦いんだぞ、あれ」
「・・・・・・」
不満顔で鷲を見るユー。
「・・・何がいいんだ?」
「撫でて」
「あいよ」
鷲はユーの頭を撫でる。ユーは気持ちよさそうに目を細める。それを見てると、うん、和む。リアは今だにお茶を飲めないでいた。
「・・・・・・悪いな、これまでだ」
「・・・仕方ない」
魔力反応だ。しかも、動物病院の方角。
「ちょっと行ってくるわ。リア、無理して飲まなくていいからな」
そう言うと、鷲は外へと出た。
こんな感じかなぁ?