―翌日―
翌朝、鷲は目を覚ます。時刻は六時を示している。
「・・・・・・」
『おはよう、シュウ』
<おはようございます、主様>
「・・・ああ」
寝起きがいい方ではない鷲は挨拶する二人に生返事をする。
『ほら、今日のごはんはシュウの当番だろ?』
「んー」
返事を返すと鷲は着替えて、キッチンへと向かった。
朝食と弁当を三人分作り終えると、ちょうどユーとリアが起きてきた。
「おはよう」
「おはよー」
朝が強いユーと寝ぼけ眼を擦りながら起きてきたリアがリビングに入ってくる。
「二人とも顔洗って来い」
「うん」
「わかったー」
二人は洗面所へ向かった。
「「いただきます」」
顔を洗ってきた二人は席について、鷲の作った朝ごはんを食べ始める。
「シュウ君、今日は学校に行くの?」
ご飯を食べながら聞いてくるリア。
「一応」
「そっか、今日はバスで行く?」
「・・・歩いてく」
「じゃあ、急がないと」
鷲たちの住んでいる家は学校から歩いて三十分ほどの距離と場所にある。そして、時計は七時半を示していた。
「ユー、今日の昼飯は冷蔵庫な」
「わかった」
「ごちそうさま、ユーちゃん、洗い物お願いね」
「まかせて」
食事は鷲とリアが作るが、ユーは手伝い程度しかできない。なので、朝と昼はユーが食器洗いをしている。
「ごちそうさん、じゃ、あとは頼む」
「うん」
鷲とリアはカバンを持って玄関へ向かう。
「じゃあ、いってきまーす」
「いってらっしゃい」
二人は家を出た。
登校して玄関でリアと別れた鷲は教室に近づくと、中が騒がしいことに気づいた。まあ、気にせず中に入るが。
「あ、おはよう鷲君」
「来たのね」
ドア付近にいたお嬢様が挨拶してくる。それに気づいてお転婆も声をかけてくる。
「ん、なんの騒ぎだ?」
「昨日、近くで事故があったんだって」
「・・・・・・」
「それで、みんなが騒いでるのよ」
「へえ」
「なんでも車か何かの事故らしいわ」
「ふーん」
原因を知っている鷲は不自然にならないように無難な返事をしておく。
「おはよー」
すると、一般人Aが教室に入ってきた。
「なのは、夕べのこと聞いた?」
「え、夕べって?」
「昨日行った病院車か何かの事故があったらしくて壁が壊れちゃったんだって」
「にゃっ?え、ええと、そうなの?」
見事に慌てているA。面白そうなので眺めることにする。
「ええ、それでフェレットが無事か心配で・・・」
「あ、え、ええとね、そのフェレットなんだけどね、家で飼うことになったんだ」
「そうなの?」
「う、うん。昨日の夜、逃げたしたところを偶然見つけたんだ」
「へえ、すごい偶然だね」
「ええ」
Aは少し笑顔を引きつっているように見える。鷲はニヤリと笑うと言った。
「案外、そのイタチが事故の原因だったりしてな」
「ギクッ」
言葉でギクッと言うやつを初めて見た。
「ははははは、そんなまさかあ」
「それに、イタチじゃなくてフェレットよ」
「にゃははは、そ、そうだよ、そ、そんなわけないよ」
「それで、名前は決まったの?」
お転婆が話を変える。
「う、うん、ユーノくんっていうの」
「ユーノ君かあ、可愛い名前だね」
そして、話しているうちに朝のホームルームが始まる。
―放課後―
お転婆とお嬢様は習い事があるとかで先に帰っていった。リアも今日は友達と出かけるらしいので先に帰った。なので、必然的に一般人Aとイタチと帰ることになった鷲。
「でね、昨日怒られちゃったんだー」
帰り道、Aは昨日の出来事を話している。もちろん、魔法やジュエルシードなどには触れないが。
「っ」
話の途中で、彼女が何かに気づいたようにハッとする。魔力反応があった。おそらくジュエルシードだろう。
「ごめん鷲くん、わたし用事が出来たから先に帰るね!」
そう言って走って行ってしまった。
『あの子は隠し事ができないタイプだな』
「・・・・・・」
『どうするんだ?』
後を追うのかどうか聞く真紅。
「追うに決まってんだろ」
『ははは、言うと思ったよ』
二人はAの後を追った。
後を追うとそこは神社だった。そして、鷲は適当な場所に隠れる。視線の先には巨大な狼型の生き物の姿があった。Aは鷲と変わらないくらいの時に着いたのか階段のところで息を切らしている。
狼型の獣はAを見つけると襲いかかった。
「ガアアアアア!」
「なのは!」
獣を見て怖がっている彼女にイタチが声をかける。
「ちっ」
鷲は舌打ちすると駆け出した。このままでは昨日のように変身する前にやられるだろう。
「オラァ!」
獣の牙がAを襲う寸前で、鷲は獣を殴り飛ばした。
「ガアアアッ」
「えっ、しゅ、鷲、くん?」
「戯れるには随分攻勢的だな」
「え、えええええ!?な、なんで、鷲くんが!?」
「あんな不自然に走り出したら怪しいだろうが」
まあ、それがなくとも後を追ったんだが。
「にゃ、にゃはははは」
「笑ってごまかすな」
「うう、ごめんなさい」
「で、あれはどうすんだ?」
「そ、そうなの!鷲くん、危ないから下がって!」
「襲われそうになったお前に言われても説得力ないから」
「あうっ」
「で、イタチ、どうするんだ?」
昨晩のことは知らないことにして話す。
「キュッ、キュー」
「いや、お前がさっき喋ったの聞いてたから」
「うっ、なのはを変身させないと」
「変人?」
「にゃっ、変人じゃないよ!」
「変身です!」
「はいはい、なら、さっさと変身しろ」
「え、ええと、どうやるんだっけ?」
「昨日教えた呪文を唱えて!」
「あんな長い呪文、覚えてないよー」
「ガアアアアア!」
そうこうしているうちに獣が襲いかかってきた。鷲はAを抱えて、それを避ける。
所謂、お姫様抱っこだった。
「え、ええええ!?/////」
自分が抱えられたことに顔を赤くするA。
「よっと」
鷲は離れた場所で下ろした。
「早く変身とやらをしろ」
「えと、ええと」
「ガアア!」
「きゃあっ」
また襲いかかってくる獣。その瞬間、Aの手が桜色に輝き出す。それに怯む獣。
<スタンバイレディ、セットアップ>
光が止むと彼女の手には杖が握られていた。
「へえ」
「パスワードなしにレイジングハートを起動させた!?」
「ガアアア!」
怯んでいた獣は再び襲いかかってきた。
「なのは防具服を!」
「え?」
<バリアジャケット>
「ガアアアア!」
「躾のなってない犬っころだな」
鷲は襲いかかってきた獣を片手で抑えた。
「ええ!?」
その間に、バリアジャケットを装着するA。
「変身とやらはそれで終わりか?なら、早く何とかしろ」
「えと、ええと」
「はあ、とりあえず弱らせればいいか」
慌てて戸惑っている彼女を見て、鷲は獣をそのまま持って叩きつけた。
「ガアアッ」
「ほら、早くしろ」
「あ、う、うん!リリカルマジカル、ジュエルシードシリアル16、封印!」
桜色のリボンが獣を覆い、光り輝く。光が止むとジュエルシードがレイジングハートに取り込まれた。
「これでいいのかな?」
「うん」
そして、その場には子犬が気を失っていた。
「この子が」
「怪我はないみたいだね」
「よかったあ」
その後、夕方になり目が覚めた飼い主と子犬は帰っていった。
「で、どういうことか説明してもらおうか」
飼い主と子犬が帰った後、途中にある公園で鷲は問いただした。事情は知っているが。
「え、ええと」
「それは僕から説明します。」
―ユーノ説明中―
「と、いうわけなんです」
「願いを叶える宝石・・・」
「はい、それは歪んだ形でしか叶えられませんけど」
「・・・・・・」
「聞いてもいいですか?」
「なんだ?」
「あなたは何者なんですか?」
「そ、そうなの!あの怪物を片手で抑えるなんておかしいの!」
Aも興味津々で聞いてくる。
「んー、見ての通りただの小学生だが?」
「ただの小学生にあんな力はありません。魔力も使った形跡もないし・・・」
「話す義理はないな」
「・・・わかりました、これ以上は聞きません。ですが、よろしければあなたも手伝ってくれませんか?」
「・・・・・・」
「う、うん、そうだよ、鷲くんがいれば心強いし!」
「んー、面白そうだからいいぞ」
少し、考えると鷲は承諾した。
「ほんと!?」
「ありがとうございます!」
「てか、そろそろ帰るぞ、日が暮れる」
「本当だ。あ、鷲くん」
帰ろうとしたらAに呼び止められた。
「ん?」
「あのね、やっぱり名前で呼んで欲しいんだけど、ダメかな?」
不安そうに見つめるA。
「・・・・・・」
「やっぱり、ダメ、かな?」
(士郎と桃子の娘ってことはコイツも高町だよな・・・)
すこし思考を巡らせたあと鷲は口を開いた。
「じゃ、猫町で」
「ね、猫町!?」
「ん、お前、猫っぽいから、よく、にゃあとか言うし」
「う、うう、でも、一般人Aよりはマシかな」
「というわけで帰るぞ、猫町」
「あ、待ってよー」
猫町は鷲後を追いかける。おそらく、しばらくは猫町と呼ばれ続けるだろう。
魔法少女になったということで呼び方も変えました。あと、レイジングハートの言葉はカタカナで書いてますけど、英語という解釈でお願いします。