自由なチート暇人   作:sakuya-syu

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無印では主人公はバリアジャケットを付けることはない予定です。


第23話

 メイドが出て行った後の猫町たちは、飲み物が来るまで話し合っていた。

「まだ、信じられないわ」

「鷲君のこと?」

「ええ」

 お転婆とお嬢様は鷲の方を見る。そこには猫たちに囲まれている鷲の姿があった。

「にー」

「にゃー」

「なー」

「ほら、順番を守れカイ」

 そして、猫に囲まれる彼を見ながら話す三人。

「いいなあ」

「何がよ?」

 猫町の呟きにお転婆が尋ねる。

「だって、猫さんたち鷲くんに名前で呼ばれてるの」

「確かにそうだよね、今だに私たちの名前呼んでくれないし」

「なんか、猫に負けた気分ね。ちょっと鷲!」

「なんだ?」

 鷲は猫を撫でながら、視線は猫に向けたまま声だけ返す。

「なんで猫たちの名前は呼んで、アタシたちの名前は呼ばないのよ」

「・・・可愛いから」

「なっ、あ、アタシたちは、か、かわいくないって言うの!?」

 顔を真っ赤にしながら叫ぶお転婆。

「恥ずかしいなら聞くなよ」

「べ、別に、は、恥ずかしくなんかないわよ!」

「あと、癒される」

「聞きなさいよ!」

「でも、いい加減わたしたちも名前で呼んで欲しいの」

「うん、私も呼んで欲しいな」

「・・・・・・面白ければ」

「アンタって、快楽主義者よね」

「褒めるな、ついでに自由主義でもある」

「褒めてないわよ!それに増えてるし!」

「おまたせしましたー、お茶をお持ちしましたー」

 そこに入ってきたのは先ほどのメイドとは違うメイドだった。

「きゃっ」

 彼女の足元を猫が通り、彼女は躓いてしまった。そして、持っていたお茶とお茶菓子であろうケーキが宙に舞う。

「ほっ」

 それを受け止める鷲。しかし、メイドは地面にそのまま前のめりに倒れた。

「あうっ」

「・・・ふう、お茶菓子は無事だ」

「そっちより、ファリンを助けなさいよ」

「?」

「そのなんでって顔はやめなさい!」

「あははは、ファリン、大丈夫?」

「うう、だいじょーぶです、申し訳ありません、すずかお嬢様」

「ううん、ファリンに怪我がなくてよかったよ。鷲君もありがとう」

「気にするな、俺はお茶菓子が大事だっただけだ」

「まったく、アンタってやつは」

「まあまあ、落ち着いてアリサちゃん」

「そうだよ、さっそくお茶にしよ?」

 プルプルと震えるお転婆を猫町とお嬢様がなだめる。最近、こんな光景が多い気がする。

 席に座った四人はお茶を始めた。三人娘の前には紅茶を、鷲にはブラックコーヒーが置かれている。そして、お茶菓子はイチゴのタルトであった。ちなみに一番最初に鷲に近づいた黒い子猫のハレは、彼の膝の上で丸まっていた。懐いたらしい。

 とりあえず鷲はコーヒーを一口飲む。

「おお、うまいな」

「でしょ?それはノエルが入れたんだ」

「それはどっちだ?」

「えーと、鷲君を案内してくれた人だよ」

「そうか」

「にしてもアンタ、よくブラックコーヒーなんて飲めるわね」

「うまいぞ?」

「まあ、アタシも飲めないってわけじゃないけど、進んで飲むほどじゃないわね」

「私もそうかな」

「わたしなんて、絶対飲めないの」

「そういうもんか」

 そう言って、次はイチゴのタルトを口にする鷲。

「ん?これもなかなかうまいな」

「それはファリンが作ったんだよ」

「さっきのやつか」

「うん、お菓子作りが得意なんだ」

「へえ、だが、これは生地の焼き加減を少し失敗したな」

「わかるの?」

「なんとなく、少し固い感じがする」

「すごいね鷲君。実はこれ作ってる時、ファリンがウトウトしてて少し焼き時間が長くなっちゃたんだ」

「へえ、そうなの?わたしは気づかなかったなあ」

「アタシも」

「まあ、大したことじゃないしな。ノエルもファリンもいい腕を持ってる」

 そう言いつつ、タルトを食べていく鷲。

「「「・・・・・・」」」

 三人娘は固まった。

「アンタ、また・・・」

「うう、ノエルたちに先を越されちゃったよぉ」

「わたしもケーキの練習しようかな」

「?」

 

―ピンッ

 

「っ」

「・・・・・・」

《なのは、鷲、ジュエルシードだ!》

 近くにジュエルシードの気配がした。

《ど、どうしようっ》

《落ち着いて、僕が先に出るから追いかけてきて》

《わ、わかった》

 イタチは走って外に向かっていった。

「あ、ユーノくん!なにか見つけたのかな、わたし、おいかけてくるね」

「一人で大丈夫?」

「一緒に行こうか?」

「だ、大丈夫だよ、鷲くんに着いてきてもらうから!」

「ならいいわね」

「鷲君が一緒なら大丈夫かな」

「・・・・・・」

「うん、二人はゆっくりしてて。行こ、鷲くん」

 鷲は膝の上の黒猫をお嬢様に渡す。そして、猫町は鷲の手を引いて部屋を出た。

 

「こっちだよ、なのは!」

「ユーノくん!」

 先にいたイタチが猫町に声をかける。

「ジュエルシードは?」

「あそこだ!」

 イタチが向いた先には大きな猫がいた。

「でかい!?」

「おお、・・・欲しいな」

「しゅ、鷲くん!?」

「・・・・・・」

「冗談だよね!?」

「猫町はここにいろ、俺が連れてか―相手をする」

「今、連れて帰るって言おうとしたよね!?」

「・・・ダメなのか?」

「ダメだよ!」

「シュウ、ふざけないでよ!」

「大マジだ」

「余計わるいの!」

「・・・仕方ないなあ、ほら、早く準備しろよ」

「もう、鷲くんがわるいんだよ!レイジングハート、セットアップ!」

<セットアップ>

 猫町はバリアジャケットを装着する。

「行くよ、二人とも!」

「うん」

「・・・・・・」

 三人は巨大猫に近づいた。

 

―シュンッ

 

 三人が近づくと黄色い光が後ろから飛んでいき、猫に当たった。

「にゃーっ」

「えっ」

 三人が振り向くと電柱の上に人影が見えた。

「バルディッシュ、フォトンランサー、連撃」

 人影がそう呟くと、十個程の黄色い光が巨大猫を襲う。

「にゃーあああ」

「魔法の光、そんな」

「・・・・・・」

「へえ」

 猫町は巨大猫へと向かい、猫の背に飛んで乗り人影と対峙した。

「・・・魔導師」

 人影はさらに光を放つ。

「うっ」

 猫町はそれをシールドで防ぐが、猫の足元に光が当たり猫が倒れ、バランスを崩す。

「きゃあっ」

 地面に立った猫町のもとに人影が木の上から見下ろす。そこに立っていたのは金髪の少女だった。

「・・・・・・」

「・・・・・・」

 対峙する猫町と金髪。金髪の持っていた斧が魔力刃を出して、鎌へと姿を変える。

「ふっ」

 金髪はそのまま、猫町に襲いかかる。

「くっ」

 猫町はそれを空中に飛んで躱す。

<アークセイバー>

 魔力刃が猫町に飛んでいく。

<プロテクション>

 それをシールド防ぐ。そして、さらに高く飛んだ猫町の前に金髪の少女が現れる。

「えっ」

「はっ」

 金髪が鎌を振りかぶり、猫町はそれを杖で受け止める。

「くうっ」

「どうして、こんなことをするの?」

「・・・答えても、多分、意味がない」

 言葉とともに金髪は鎌を振り切る。猫町は吹き飛ばされ、地面に立つ。

<ディバイスフォーム>

 金髪の鎌がもとの斧の形へと戻る。

<シューティングモード、ディバインバスター、スタンバイ>

「にゃーあー」

「っ」

 目を覚ました巨大猫に一瞬気を取られる猫町。その隙をついて魔力弾を打つ金髪。

「・・・ごめんね」

 

―ドォォン!

 

 爆発音と共に猫町は宙に投げ出された。イタチはそれを追いかける。

「・・・・・・」

 金髪は巨大猫へと近づく。

「おい、そこのパツキン」

「ッ」

 バッと鷲の方を振り向く金髪。

(気配がなかった?)

「動物虐待は犯罪だぜ?」

「・・・邪魔するならあなたも」

<サイズフォーム>

 鎌になったデバイスを構える金髪。

「やめとけ、お前じゃ勝てないから」

「・・・ハッ」

 鎌を振りかぶって鷲に襲いかかる金髪。

「・・・・・・」

 その場を動かない鷲に魔力刃が襲いかかる。しかし、鷲はその刃を受け止める、素手で。

「な!?」

 その光景に驚いた金髪は引こうとするがビクともしない。

「くっ」

「だから、やめとけって言っただろ」

 そう言って刃を受け止めている手に力を込める。すると、魔力刃は消滅し、金髪はその場に倒れこむ。

「うっ」

「別に今のところ邪魔する気はねえよ。ただ、あの猫を殺すのかどうか聞いてるんだ」

「・・・殺しはしない。」

「痛い思いも?」

「・・・・・・」

 鷲の問いに無言で頷く金髪。

「ならいい。とっとと封印してくれ」

「・・・いいの?」

「まあ、俺としちゃあ猫町が封印しようが、お前が封印しようが関係ないからな」

「・・・・・・ありがとう」

「早くしな」

 金髪の魔導師はジュエルシードを封印すると何処かへ飛んでいった。

「シュウ!どういうことさ!」

 猫町のもとにいたイタチが駆け寄ってきた。

「猫町は負けてあいつが勝った。なら、賞品は必要だろ?」

「だからって・・・、ジュエルシードは危険なものなんだよ!?」

「あいつも封印してたからいいんじゃね?」

「そういう問題じゃない!もしあの子が間違った使い方をしたら」

「あいつは大丈夫だ」

「なんで断言できるのさ!」

「あいつの目が俺と似てたからだ」

「・・・・・・」

「とりあえず、屋敷に戻るぞ」

 鷲は猫町を背負って、屋敷へと戻った。

 

 夕方、目を覚ました猫町を皆が心配していた。言い訳としてはイタチを探していた猫町が転んで、気を失ったということにした。

 そして帰り際。

「鷲くん、今日はありがとね」

「何が?」

「鷲くんが運んでくれたんでしょ?」

「まあ、俺しかいなかったし」

「うん、だからありがとう」

 お礼を言う猫町だがその顔は浮かない。

「・・・まあ、気をつけて帰れよ」

「うん、また明日ね」

 そう言って、それぞれ家へと帰った。

 

 




ついに金髪の魔導師が!
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