翌日、自室で目が覚めたら体が元に戻っていた。
「戻ったか」
『おはよう、シュウ』
起き上がると真紅が出てきて挨拶をしてくる。
「おはよう」
『よかったな、元に戻れて』
「ああ、まあ、新鮮ではあったがな」
『すずかの裸を見たからか?』
ムスッとした顔で鷲を見る。
「冗談、俺は子供の裸には興味ない」
『大人の女の人なら興味があるのか?』
「そういうもんだろ」
『・・・・・・』
「真紅はまだ大きくなるさ」
『大きなお世話だ!』
真紅はそれだけ言うとまた消えてしまった。彼女は確かに半透明だ。しかし、それだけで成長はしている。
「余計だったか。ま、下に行くか」
鷲はリビングに降りていった。
リビングに入ると、まだ誰も起きていないようだった。
「仕方ない、飯作るか」
鷲は朝食を作り始める。
しばらくすると、リビングのドアが開いた。
「うう」
リアが入ってきた。
「随分眠そうだな」
「あ、おはよう」
「はい、おはよう」
「って、あれ?シュウ君、元に戻ったの?」
「まあな」
「よかったー」
ホッと胸に手を当てるリア。
「さっさと顔を洗って来い、それと、そろそろユーも起こしてくれ」
「はーい」
リアはリビングを出た。
―学校 昼休み―
時間が飛びすぎ?気にするな、いつもと変わらん。
「でね、一昨日の夜クロがね」
いつものように昼休み、六人で弁当を食べていたら、鷲が猫になった時の話をすずかがしていた。ちなみにクロというのは黒猫の時の鷲の名前らしい。
(いつの間に付けたんだ?)
「本っ当、可愛かったわよねあの子」
お転婆が興奮を抑えきれずに話している。
「うん、毛もふかふかだし。あ、なのはちゃん、お風呂も入れちゃったけど大丈夫だよね?」
「「ええ!?」」
お風呂に入れたという言葉に驚く猫町とリア。
「なんで先輩も驚いてるんですか?」
「えっ、いや、それは・・・」
「えっと、もしかして、ダメだった?」
「え、いや、ダメじゃないけど・・・」
チラリと鷲を見る。
「そっか、よかった」
ホッと息をつくすずか。
《しゅ、鷲くん!すずかちゃんとお風呂入ったの!?》
慌てた声で念話で話しかけてくる猫町。
《まあ、入ったな》
《も、もしかして、すずかちゃんのは、裸、見た?》
《子供の裸には興味ない》
《それって、見たってことだよね!?》
《不可抗力だ》
《むー》
なにやら猫町の体から黒いオーラが見える気がする。
《シュウ君、どういうことかな?》
どうやらもう一人、黒いオーラを出している人間がいるらしい。
《すずかちゃんとお風呂入ったって本当?》
個別の念話で話しかけてくるリア。何気に久々に念話をした気がする。
《見るつもりはなかった、どうしようもなかった》
《そいう問題じゃないよ!―私だって入ったことないのに(ボソッ》
《だったら、今度一緒に入るか?》
「ええっ!?」
「にゃあっ」
「ど、どうしたんですか、先輩」
「何かあったんですか?」
突然大声を出したリアに驚く猫町と心配するお転婆とすずか。
「ご、ごめん、な、なんでもないよ!?《しゅ、シュウ君!?い、い、一緒にお、お風呂って、じょ、冗談だよね!?》」
《どっちがいい?》
《はうっ》ボンッ
そう答えると、リアは顔を真っ赤にして煙を上げてしまった。猫になった時の軽い仕返しのつもりで言ったが、刺激が強すぎたようだ。
《リア、冗談だ、落ち着け》
《じょ、冗談?》
《そう、冗談》
《・・・・・・》
《どうした?》
《シュウ君のバカー!》
大音量で罵られた後、リアはそっぽを向いてしまった。
「ところで鷲」
「なんだ?」
そこでお転婆に話しかけられた。
「アンタ、今度の連休、暇?」
「・・・・・・」
お転婆の言葉に無言で彼女を見る鷲。
「な、なによ」
「暇じゃないといってもどこかしらに連れてくんだろ?」
「わかってるじゃない」
「行く場所によるな」
「ふふん、温泉よ、お・ん・せ・ん」
わざわざ指を立ててまで言うお転婆。しかし、
「温泉か・・・」
「ええ、うちとなのはとすずかの家で毎年行ってるのよ」
「んー、まあ、リアとユーが行くならいいぞ」
「だそうですけど、先輩、どうですか?」
「うん、いいよ。あと、ユーちゃんにも聞いてみないと」
「はい、わかったら教えてください」
「うん、ユーちゃんもいいって言ってくれるよ」
こうして、今度の連休は温泉に行くことになった。
―おまけ―
「鷲」
「なんだ?」
家に帰るとユーが話しかけてくる。
「すずかとお風呂に入ったって本当?」
「・・・・・・」
「鷲」
「ああ、入ったというか、入れられたな」
「・・・そう」
ユーはしばらく何かを考えた。何やら不吉な予感がする。
「私とも入ってくれる?」
「・・・・・・」
どうやら予感が当たったようだ。これで真紅の機嫌がさらに悪くなるだろう。
『・・・・・・』
無言で睨まれているのがわかる。
「・・・気が向いたらな」
「約束」
「・・・ああ」
「ずるーい!」
そこへリアもやってきた。
「私もシュウ君とお風呂入りたい!」
『・・・・・・』
リアの発言にさらに機嫌を悪化させる真紅。
「シュウ君、私とも入って!」
「・・・気が向いたらな」
「約束だよ!」
こうして、二人と風呂に入ることを約束させられた。真紅のご機嫌取りも大変そうだ。
今回はすこし短くなりましたね。真紅へのご機嫌取りは何にしようか・・・