自由なチート暇人   作:sakuya-syu

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第33話

―連休―

 鷲たちは山の中を車で移動して、昼前には旅館に着いた。

「じゃ、さっそく温泉に入るわよ!」

「うん、ここの温泉、気持いいよねえ」

「うん」

「へえ、そうなんだー」

「楽しみ」

 旅館についてそうそう、三人娘、ユーとリア、メガネと月村姉は温泉に入るらしい。

「アンタはどうすんの?」

「・・・俺は部屋にいる」

「そ、じゃあ、行くわよ!」

「「おおー!」」

 お転婆の掛け声に元気よく声を上げる猫町とすずか。そして、猫町の手にはイタチが抱えられていた。

《シュウ!助けて!》

 一緒に温泉に入れられそうなイタチは必死な様子で鷲に念話で助けを求めた。

「・・・・・・(そういえば、こいつは人間だったな)」

 イタチの尊厳を取るか自分の快楽を取るか悩んだ、・・・・・・一瞬だけ。

《達者でな》

《ちょっ、シュウ!?》

《俺、イタチアレルギーなんだ》

《今まで普通に接してきたよね!?》

《アレルギーって突然なるもんなんだぞ?》

《だとしても―《鷲》―よね!?》

 個別回線でイタチとのやり取りに入ってきたのはユーだった。

《どうした?》

 ユーと話している間も、イタチは何やら叫んでる。

《イタチ、連れてって》

《俺としては面白い方を取りたいんだが》

《見られたくない》

《・・・あいよ、連れてく》

 ユーが言うんだから仕方ない、連れて行ってやろう。

「猫町」

「どうしたの?」

「イタチを貸せ」

「え?どうして?」

 なぜと首を傾げる猫町。

「イタチとお風呂に入ると肌が荒れるらしいぞ」

 ありそうでなさそうな嘘を言う。しかし、猫町の場合はそれを信じるだろう。

「えっ、そうなの!?」

「ああ、だから預かっとく」

「うん、わかった」

 渋々といった様子で猫町は鷲にイタチを預ける。

《た、助かった》

《・・・貸一つな》

《う、・・・わかったよ》

 イタチは鷲に掴まれたまま、ガックリと頭を下げた。

《で、イタチはどうんすんだ?》

《うーん、特にすることもないし、一緒に行っていいかな?》

《・・・まあ、好きにしろ》

 鷲はイタチを連れて部屋に向かった。

 

 

「暇だ」

「暇だね」

 三十分ほど部屋にいたがすることがなかった。部屋には誰もいなかったのでイタチと普通に話して、今はゴロゴロと寝転がっている。

「イタチ、何か芸をしろ」

「なにその無茶ぶり」

「使えないイタチだなっと」

 鷲は起き上がる。

「どこ行くの?」

「散歩、お前はここにいろ。猫町が戻ったら散歩に行ったって言ってくれ」

「わかった」

 鷲は部屋を出て外に向かった。

 

 

 庭園が見える通路に出ると三人娘とユーとリアの姿が見えた。加えて、さらにもう一人、大人の女がいた。

「何してんだ?」

「あ、鷲くん」

 こちらに気づいた猫町がホッとしていた。

「あんたもこの子達の連れかい?」

 橙色の髪をした女が話しかけてきた。

「いえ、赤の他人です」

 三人娘がズルっと傾いた。

「鷲君っ」

「軽い冗談だ、で、こいつらになんか用か?」

「いや、人違いだったかな。知ってる子によく似てたからさあ」

「ふーん」

「・・・なんだ、そうだったんですか」

 安心したように猫町は頭を軽く下げた。その女は笑いながら横を通り過ぎようと猫町の横で止まる。

《今のところは、挨拶だけだよ》

「っ」

「・・・・・・」

《忠告しとくよ、子供はいい子にしておウチで遊んでなさいね、お痛が過ぎるとガブッといくよ》

 猫町を見る目が細まる。そのまま女は歩いて行こうとした。

《俺も忠告してやる》

 鷲が念話で話しかけると、女はバッとこっちを振り向いた。

《犬は犬らしくしてな、でないと躾するぜ?》

 鷲は視線だけ女に向けて言った。

《・・・やってみな》

 それだけ言うと女は浴場へと入っていった。

「・・・・・・」

「なのはちゃん」

「もう、なーにあれっ、昼間っから酔っ払ってんじゃないのっ。気分悪っ」

「あははは、まあまあ」

 怒鳴るお転婆を猫町が宥めている。

「・・・・・・」

「で、アンタは何してんのよ」

 宥められたお転婆が鷲に話しかけてきた。

「暇だから散歩に行く」

「ふーん」

「じゃ、またあとで」

 それだけ言って、鷲は旅館を出た。

 

 

 森の中を歩きながら鷲は真紅と話していた。

『どう思う?』

「どうって、何が?」

『さっきの人のことだ』

「使い魔だろ、もしくはそれに準ずる何か」

『まあ、そうだけど・・・』

「誰の使い魔か気になるか?」

『・・・ああ』

「一つ目の可能性としてはパツキンの使い魔、二つ目の可能性として今まで出てこなかった奴の使い魔、どちらにしろ猫町の敵ってとこだな」

『そうなんだけどな、あれは犬、なのかな』

「・・・そこか、気になるんなら本人に聞けばいい」

『え?』

 鷲は先の木の上を見る。そこの枝には金髪の黒い服を着た少女が斧型の杖を持って座っていた。

「そんなところで何してんだ」

 その木の下まで行くと鷲はパツキンに話しかけた。

「・・・シュー」

「人を見下すのが趣味なのか?」

「・・・そんな趣味、ない」

「じゃあ、下着を見せるのが趣味なのか?」

「・・・・・・」ボンッ

 パツキンは鷲がいる場所から自分のスカートの中が丸見えだということに気づいた。

『・・・シュウ』

(怒るな、からかっただけだ)

 パツキンは顔を真っ赤にして下に降りてきた。

「何か用?」

「ん?オレンジの髪をした女を知ってるか?」

「うん、多分、私の使い魔」

「ふーん、ちゃんと躾しとけよ、さっき俺の知り合いに絡んでたぞ」

「・・・そう」

「まあ、手出してきたら俺が躾けるけど」

「・・・・・・」

 無言でデバイスを構えるパツキン。

「俺は手を出されなきゃ何もしねえよ」

「・・・・・・」

「まあ、あの女がお前の使い魔だというのはわかった。もう一つ聞いていいか?」

「?」

「お前の使い魔は、素体は犬か?」

「・・・・・・」

 パツキンはどうでもいい質問に呆然とする。

「どうなんだ?」

「アルフは狼」

「そうか(残念だったな犬じゃなくて)」

『うう』

 真紅は大の犬好きだ。あの使い魔が犬の姿だったらなんの犬種なのか、興味があったらしい。

「礼に一つ教えてやる、この辺にジュエルシードがあるぞ」

「・・・・・・」

「どうした?」

「どうして?」

「礼って言ったろ?」

「あなたはあの子の味方じゃないの?」

「俺はどっちの味方でもない、じゃあな」

「・・・・・・」

 その場を去る鷲をパツキンはただ、黙って見ていた。

 

 

 夜、夕飯を食べ終えて九時くらいになると、鷲を除いた子供組は布団が引かれた部屋にいた。そこではファリンが本を読んで、寝かしつけていた。

「鷲君はまだ寝ないの?」

 ビールを片手に桃子が聞いてきた。

「まだ、眠くない」

 そこへファリンが部屋から出てきた。

「もう寝たの?」

「ええ、ぐっすりと」

「・・・・・・」

「どこに行くんだい?」

「風に当たりに、先に寝ててもいいぞ」

 鷲は外に出た。

 

 

 しばらく風に当たっているとジュエルシードの反応がした。

「・・・行くか」

 鷲はその方向へと歩き出す。

 

 

「おお、やってるな」

 鷲は離れた木の上から猫町とパツキンの様子を見ていた。桜色の光と黄色い光が飛び交っている。

「お、猫町のバスターが勝ったか」

 猫町の砲撃がパツキンの砲撃を打ち破った。

『でも、あれだけじゃ勝てない』

「だろうな」

 次の瞬間、鎌となったパツキンのデバイスが猫町の首に突きつけられる。

「勝負ありだな。戻って風呂に入るか」

 鷲は勝敗がつくと旅館に戻った。

 

 

―おまけ―

「ああ、いい湯だ」

 温泉に浸かり、温まっているとカラカラっと扉が開いた。

「ん?」

「え?」

 入ってきたのはパツキンだった。

「しゅ、シュー、どうして?」

「風呂に入ってるから」

「―っ、きゃ―わぷっ」

 叫ぼうとしたパツキンの顔に手で水鉄砲をして黙らせた。

「黙れ、迷惑になる」

「うう」

「そこにいたら風邪ひくぞ、入ったらどうだ」

「・・・・・・/////」

 パツキンは体にタオルを巻いて温泉に入ってくる。

「で、戦ってみてどうだった?」

「あの白い子のこと?」

「それ以外何がある」

「・・・前に戦った時より強くなってた」

「そうか」

「シューが戦い方を教えてるの?」

「いや、俺は基本付き添い、見てるだけ」

「・・・そう」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

 しばらく二人の間に沈黙が流れる。

「じゃ、上がるわ」

「あ、うん」

 鷲は先に上がることにした。ドアの前で一度立ち止まる。

「それと、あいつはまだ強くなるぞ」

 鷲はそれだけ言って、部屋に戻った。

 

 




このまま順調にかければいいなあ。
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