自由なチート暇人   作:sakuya-syu

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第34話

 数日後、鷲はいつもより遅めに家を出た。本当はサボりたかったが、真紅に学校に行けと言われたので仕方なく来た。

「いい加減にしなさいよ!」

 教室の近くに来ると中からモノを叩く音と共にそんな声が聞こえてきた。その後もなにか怒鳴っていたがそれも止んだ。

 

―ガラガラッ

 

 扉が開くと中からお転婆が出てきた。

「・・・・・・」

 無言で睨んでどこかへ行ってしまった。鷲は肩を竦ませて教室に入ろうとする。

「あ、鷲君」

 ドアのところですずかに出くわした。

「よ、朝から騒がしいな」

「朝って、もうお昼だよ」

「そうか」

「・・・鷲君」

「ん?」

「アリサちゃんとなのはちゃん、ケンカしちゃったんだ」

 すずかは先程のことを鷲に話した。

「子供の喧嘩なんてよくあることだ、ほっとけば治まる」

「・・・・・・」

 鷲の返事に悲しそうに目を伏せるすずか。

「・・・お転婆は大丈夫だ、アイツならもうわかってるはずだ」

「え?」

 鷲はそれ以上は何も言わず、自分の席に向かった。

(・・・問題は猫町だな)

 

 

―放課後―

 鷲は廊下をトボトボ歩いていた猫町を引きずっていった。

「え、な、何!?」

「いいから来い、とっとと来い、さっさと来い」

 有無を言わさず、鷲は猫町を中庭へと引きずった。

「うう、何か用?」

 中庭のベンチに猫町を座らせた鷲は口を開く。

「お前はお転婆と違って馬鹿だから、助言をしてやる、お前は馬鹿だから」

「に、二回も言わなくても・・・」

「話は大体すずかから聞いた。お前、なんでお転婆が怒ったかわかるか?」

「・・・わたしがぼうっとしてるからだよね」

「不正解」

 鷲は猫町の頭にチョップをする。

「にゃっ、い、痛いの」

「黙れ」

 涙目の上目遣いで見上げてくるが、鷲はそれを一蹴した。

「お前がお転婆の立場になって考えてみろ」

「わたしが、アリサちゃんの?」

「お転婆が悩んでる、お前は相談に乗ろうとするがアイツは何も話してくれない、ただ、大丈夫というだけだ。それを見てお前はどう思う?」

「・・・どうして相談してくれないのか考える」

「結果は?」

「・・・わかんない」

「・・・はっきり言ってやる」

 煮え切らない猫町に鷲ははっきり言うことにした。

「お転婆なら、自分の無力さに腹が立てるな」

「え?」

 想像してもいなかった言葉に猫町は驚く。

「相談してもらえないのは自分が頼りないから、お前に信じてもらえてないからだってな」

「そ、そんなことないよっ」

「じゃあ、なぜ怒った?」

「だから、それは・・・」

「アイツがお前がウジウジしてるだけで怒ると思ってんのか?お転婆はそこまで子供じゃないぞ」

「・・・・・・」

「俺が言うのはここまでだ、後は自分で考えろ」

「・・・・・・」

 猫町は俯いてしまった。

「で、お前はあのパツキンのことを考えてるのか?」

 彼女は俯いた顔を再び上げた。

「・・・どうして?」

「どうせ、温泉行った時に何かあったんだろ」

「う、うん」

「何がそんなに気になる?」

「・・・えっと、どうしてジュエルシードを集めてるのかとか、どうして、そんなに寂しい目をしてるのとか」

「んなもん、本人に直接聞け」

「・・・聞こうと思ったけど、話してくれなかったの」

「・・・お前覚悟はその程度か?」

「え?」

「お前は放っておけない奴に拒否られたら、そのまま諦めるのか?」

「・・・・・・」

「お前はどうしたい?」

「・・・わたしは」

 猫町は何かを考え、服をギュッと握る。

「わたしはちゃんとお話したい、話して、それから、友達になりたい」

「じゃ、そうすれば?」

「・・・鷲くん、無責任なの」

「どうするかはお前が決めることだ、俺が口出しすることじゃない」

「・・・そうだけど」

「ま、お転婆のことも含めてしっかりやるんだな」

 鷲は猫町を残してその場を去った。

 

 

「これでいいんだろ」

『ああ』

 人気のない帰り道で鷲は真紅に声をかけた。

「お前のお節介にも困ったもんだな」

『そのお節介に付き合ってくれるシュウは優しいな』

 猫町に助言をしようと言ったのは真紅だった。あの鷲が自ら面倒事に首を突っ込む訳はなかった、・・・面白いことなら別だが。

「・・・・・・」

 真紅の褒め言葉?に無言になる鷲。

『拗ねるなよ』

 真紅は鷲の首に腕を回す。真紅の温もりは感じられないが、彼女に触れられているということは感じることができた。

『私はシュウの優しいところ、好きだぞ』

「・・・・・・」

 鷲は少しの間立ち止まって、真紅の存在を感じた。

 

 

 夜、魔力反応を感じた。おそらく、ジュエルシードだろう。その他にも魔力反応が四つ。これは猫町、イタチ、パツキン、橙の女だ。

『どうするんだ、シュウ』

 自室で本を読んでいた鷲に真紅が問いかける。

「・・・俺はどっちが封印してもいいだけどな」

『シュウ、お前は何を考えてるんだ?』

「真紅のこと」

『真面目に聞いてるんだ』

「真面目に言ってるんだ」

『・・・・・・』

「・・・・・・」

『シュウ、何を考えてるか知らないけど、危ないことじゃないよな?』

「・・・ああ」

『・・・わかった、私はお前を信じるよ』

「・・・・・・」

 この日、鷲は結局外に出ず、ジュエルシードの騒動は傍観した。

 

 

 




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