騒ぎながら艦長室に着いた。
「ここが艦長室だ。失礼します」
中二は扉を開けた。
「・・・・・・」
「ふぇー」
「え、ええっと」
部屋の中を見た瞬間、鷲、猫町、覗き魔は三者三様のリアクションだった。彼らが驚いたのは中が和室だったからだ。
「ようこそ、戦艦アースラへ」
中には先ほどモニターに映っていた明るい青緑の髪をした女性がいた。
「クロノ・ハラオウン、只今帰還いたしました」
「ご苦労さま、そこの三人も中に入って」
三人は言われるがままに部屋の中に入った。部屋の中の座敷に座ると、お茶と羊羹が出てきた。
「改めて、はじめまして、アースラの艦長、リンディ・ハラオウンです」
「え、えっと、高町なのはです」
「ユーノ・スクライアです」
「・・・黒沢鷲」
「じゃあ、自己紹介も終わったところで事情を聞かせてくれるかしら?」
―覗き魔改め女顔説明中―
「なるほど、そうですか。あのロストロギア、ジュエルシードを発掘したのはあなただったのね」
「それで、僕が回収しようと・・・」
「立派だわ」
「だけど、同時に無謀でもある」
女顔の行動を艦長殿が褒めるが、中二が咎める。
「・・・・・・」
その言葉に女顔が俯いた。
「あの、ロストロギアって何ですか?」
「ああ、遺失世界の遺産、って言ってもわからないわね」
「お前は危険なものだと認識してればいい」
「まあ、そういうことね」
「むう、鷲くんはわかるの?」
「要は消滅した世界のオーバーテクノロジーのものだろ」
「そうね」
「消滅した、世界?」
なんのことだかわからず、首を傾げる猫町。
「後で女顔に説明してもらえ」
「女顔って僕のこと!?」
「で、続きは?」
「スルーしないでよ!」
鷲は済ました顔で続きを促した。艦長殿はお茶に角砂糖を一つ入れて、それを啜った。
「・・・これより、ロストロギア、ジュエルシードの回収については時空管理局が全権を持ちます」
「「え?」」
「・・・・・・」
「君たちは今回のことは忘れて、それぞれの世界に戻って元通り暮らすといい」
「でも、そんな」
納得できないと猫町が口を出す。
「次元干渉に関わる事件だ、民間人に介入してもらうレベルの話じゃない」
「でもっ」
「まあ、急に言われても気持ちの整理がつかないでしょう。今夜一晩、ゆっくり考えて三人で話し合って、それから改めてお話をしましょう」
「・・・・・・《猫町、女顔、俺に合わせろ》」
「「え?」」
突然の念話に鷲を振り向く二人。
「そうか、じゃあ、後は任せて帰るわ」
「そうだね」
「え、あ、えと」
突然帰ろうとする鷲と女顔に対して、状況を掴めない猫町は慌てふためく。
「じゃあ、俺らはもうこの件に関わらないから、あんたらで勝手にやってくれ」
「え、そんな!」
「《なのは、シュウの話に合わせて》」
「《わ、わかった》そ、そうだね、危ないもんね」
猫街も立ち上がる。
「・・・送っていこう、元の場所でいいね」
そう言って中二は立ち上がった。
「あ、・・・はい」
猫町と女顔が立ち上がる。
「待ってください!」
帰ろうとする鷲たちを艦長殿が止めた。
「・・・お前らは先に行ってくれ、俺は艦長殿と話がある」
「・・・わかった、行こう」
中二は猫町と女顔を連れて部屋を出た。
艦長殿と二人きりになった鷲は再び座敷に座った。
「・・・・・・」
「俺はあんたみたいなやり方をする奴が嫌いだ」
「・・・・・・」
「人の気持ちを、ましてや子供の気持ちを利用しようとするのはムカつく」
「・・・・・・」
「あれで、心優しいあいつはあんたらに協力しようとするだろう。それであんたらは戦力が増えて万々歳、違うか?」
「・・・・・・」
「沈黙は是也、だぜ。だが、俺はあいつがやるって言うなら止めるつもりはない。ただ」
鷲はそこでお茶を啜った。
「あいつを利用して使うつもりなら、容赦しないぜ?」
「っ」
鷲から放たれた鋭い殺気に体が震える艦長殿。全身から冷や汗が溢れていた。
「・・・・・・(この子、何者なのっ)」
「でだ、あいつが協力を申し出てきたならその時は、お前の思惑をすべてあいつに話せ。その上で協力をお前から頼め」
「・・・わかりました」
「話は終わりだ、なかなかうまい羊羹だった」
それだけ言うと、鷲は部屋を出ていった。
「・・・・・・」
部屋に残された艦長殿はしばらく震えが止まらなかった。
―シュッ
アースラから元いた公園に転送されると、猫町と女顔が哀愁を漂わせて立っていた。
「何、辛気臭い雰囲気醸し出してんだ」
「あ、鷲くん」
鷲の声に振り向く猫町と女顔。
「鷲くん、さっきのって―「猫町」―え?」
「お前はどうする?」
「ど、どうって」
「ジュエルシードを集めるのか?」
「だって、それは・・・」
「俺はお前がどうしたいのか聞いてる」
鷲は静かに猫町を見る。
「わたしは・・・、わたしはジュエルシードを集めたい。あの人たちにも言って協力させてもらいたい!だって、まだフェイトちゃんとお話できてないから!」
「・・・そうか、じゃ、明日あいつらにそう言え」
「うん!」
笑顔で答える猫町。
「じゃ、帰るか」
「あ、待って」
帰ろうとする鷲を猫町が呼び止める。その顔は少し不安そうだ。
「あの、鷲くんも、手伝ってくれる?」
「・・・気が向いたらな」
「うん!」
再び笑顔になった猫町は鷲の手を引いて歩き出した。
「とういうわけだ」
「・・・わかりました」
鷲たちは帰ったその晩、さっそく艦長殿に連絡した。ちなみに鷲は猫町を送っていった際、士郎と桃子に今日は遅いから泊まっていきなさいと半ば無理矢理に泊めさせられた。
そして、現在鷲と、女顔(今はイタチ状態)は借りた部屋で艦長殿に通信をした。
「約束は守れよ?」
「はい」
「シュウ、約束って?」
「後でわかる、リビングに行くぞ」
鷲は女顔を連れてリビングに行った。
リビングに入ると桃子と猫町、鷲、女顔はソファに座って話し始めた。士郎とシスコン、眼鏡は裏山に行ったらしいので今はいない。
「それはもう心配よ」
猫町は桃子に自分がこれからどうするのかを魔法の話を除いて話した。話し始めるとやはり桃子も心配した。
「・・・・・・」
「だけどね、なのはがちゃんと決めたことなら応援するわ。友達と始めたこと、最後までやり通すのよ」
「・・・・・・」
「なのはが会ったその女の子ともう一度話をしてみたいって」
「うん」
「じゃあ、いってらっしゃい、後悔しないように」
そう言って、桃子は猫町の頭を優しく撫でた。
「鷲君も、なのはのことよろしくね」
「・・・危なくなったら助けてやる」
「ありがと。でも、鷲君も怪我しないでね」
「大丈夫だ」
「ふふふっ」
「ありがとう、おかあさん」
そして、鷲たちはアースラへ向かった。
ユーノが改名いたしました。