自由なチート暇人   作:sakuya-syu

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久々な気がする


第39話

 あれから数日、鷲は学校に行きながらもジュエルシードの探索に付き合わせられていた。お転婆はあれから結構話しかけてくることが多くなったが、あの時の鷲の力については聞いてこなかった。聞いてはいけないことだと理解しているんだろう、さすが天才だ。

「見つからないねー」

「うん」

「・・・・・・」

 今日もジュエルシードは見つからず、今猫町と女顔、鷲はアースラの中の食堂にいた。

 猫町が管理局に協力を申し出た日、艦長殿は約束通りすべてを話した。それでも猫町は協力すると言った。中途半端に投げ出したくない、何よりパツキンのことが気になるからだそうだ。こいつの心は強いなと思った鷲だった。

「もう全部見つかってるんじゃないのか?」

「それはないよ」

「僕たちが持ってるのは三つ、フェイトちゃんが二つ、それと管理局で九個」

「あと七個だね」

「・・・・・・」

 鷲は驚いた目で猫町を見た。

「どうしたの?」

「いや、お前でも計算できるんだなと」

「それくらいできるもん!」

 猫町は頬を膨らませながら横を向く。

「でも、どこにあるんだろう」

 女顔が顎に手を当てて考える。

「陸にないとなると、あとは決まってんだろ」

「え?」

「そうか、海か!」

 猫町はわからないみたいだが、女顔はハッと顔を上げる。

 

―ブーブー

 

 そこで艦内にアラートが響き渡った。

 

 

 ブリッジではモニターに海で竜巻が発生しているのが映っていた。

「なんとも呆れた無茶をする子だわ」

「無謀ですね、間違いなく自滅します。あれは個人の出せる魔力の限界を超えている」

 艦長殿と中二がその様子を見て言う。

「フェイトちゃん!」

 そこに鷲たちが入る。

「あの、わたし急いで現場に!」

「その必要はないよ、放っておけばあの子は自滅する」

 現場に行こうとする猫町を中二が止めた。

「っ」

「仮に自滅しなかったとしても、力を使い果たしたところを叩けばいい」

「でもっ」

「今のうちに捕獲の準備を」

 中二は猫町の言葉を聞かずに、指示を出した。

 

「じゃ行くか」

 

 鷲はすぐそこに買い物に行くような気軽さで言った。

「え?」

 猫町も突然の発言に鷲を見るだけだった。

「君は話を聞いていたのか!」

 中二が鷲に叫んだ。

「ああ、聞いてたぜ」

「だったら!」

「ほっといたら地球がなくなるかもな」

「なっ」

「えっ」

 鷲に発言に目を見開く中二と猫町。

「あんな大型の魔力が暴走してるんだ、星一つがなくなってもおかしくない。今はパツキンが頑張ってるからいいが、力尽きたら地球がなくなるな」

「そんな!」

「まあ、あんたらからしたら地球は管理外だからどうなろうと関係ないかもしれないが」

「そんなことは!」

「どうなんだ、艦長殿?」

 鷲は中二のことは無視して艦長殿に問う。

「・・・私たちは常に最善の選択をしなくてはならないのよ」

「そのためなら、管理外世界が一つなくなってもいいと?」

「そんなことはないわ」

「万が一の時はなくなってもいいってことだろ?」

「そんなっ」

「・・・・・・」

「いい加減にしないと、―お前ら潰すぞ?」

 鷲が言った瞬間、ブリッジの中の温度が急激に冷えた感じがした。その場にいた人達は全身から冷や汗を流している。中には震えが止まらない人もいた。

「お前らは信用するに値しないな」

 それだけ言うと、鷲はブリッジを出た。残された人達もしばらく震えと冷や汗が止まらなかった。

 

 

 そして、鷲は海の上空にいた。

「また、このパターンか」

 上空に投げ出されるのは二回目だなと思いながら、下を見る。そこにはパツキンとオレンジ狼が竜巻相手に立ち回っているのが見えた。

「おお、やってるな。さて」

 鷲は空中で移動した。

「おい、オレンジ狼!」

 そう叫ぶとオレンジ狼が辺りを見渡す。

「上だ!受け止めやがれ!」

 あくまで魔法を使わない鷲はオレンジ狼を足場にしようとしていた。

「は?うわっ」

 オレンジ狼が上を見た瞬間、鷲が彼女の背中に落ちてきた。

「ナイスキャッチ」

「ナイスキャッチじゃないよ!いきなりなんなのさ!」

 鷲に怒鳴るオレンジ狼。まあ、突然背中に落ちてきたら怒鳴りもするだろう。

「ほら、俺、(魔法なしで)飛べないし」

「だからって!」

「とにかく、あれを抑えるぞ、手伝え」

「なんでアンタが偉そうなんだい!落とすよ!」

「足場になってくれたら、今度ステーキを食わせてやろう」

「ぐっ、・・・どうするんだい?」

「待て《おいパツキン》」

「え?」

 立ち回っているパツキンは、いきなり鷲に念話で話しかけられて振り向いた。

「きゃっ」

 しかし、その一瞬で竜巻にあたってしまい落ちる。

「フェイト!」

 鷲を乗せたオレンジ狼はパツキンの下に向かう。

「よっと」

 そして、パツキンをキャッチする鷲は必然的にお姫様抱っこをしていた。

「う、うう」

「大丈夫か」

「え、あれ、シュー?」

「おう、手伝いに来たぜ」

「手伝いって・・・」

「とりあえず、飛べるか?」

「え?」

 パツキンは今の自分の状況を見た。オレンジ狼に乗った鷲にお姫様抱っこをされている。

「―っ/////」

 パツキンはすぐさま自ら飛んだ。

「で、あれを止めるんだが」

 鷲は気にせず、話を続ける。

「止めるって、シューは飛べないんじゃないの?」

 自分の使い魔の背に乗っている鷲を見て、問うパツキン。

「まあな。だから、ちゃんと拾えよ、オレンジ狼」

「なんで、アタシが―「ステーキ」―まかせな!」

「アルフ・・・」

 餌付けされている自分の使い魔を見て、呆れるパツキン。

「じゃ、行くぞ。俺はこっちの二つ、お前はあっちの二つ」

「もう二つは?」

「早く降りて来い、猫町」

 鷲がそう言うと上からバリアジャケットを装着した猫町が降りてきた。その顔は何故か頬を膨らませて不機嫌そうだった。

「君は・・・」

 パツキンは猫町を警戒の目で見る。

「慌てんな、助っ人だ」

「・・・・・・」

「・・・フェイトちゃん、これが終わったら、お話したいんだ」

「・・・・・・」

「話はあとだ、やるぞ」

「うん」

「・・・わかった」

 猫町とパツキンは頷くと指示した方へと飛んだ。

「じゃ、やるか」

 鷲は目の前にある二つの竜巻を見据えた。

「・・・あれか。まず、右側の竜巻の真ん中より少し上に行け」

 竜巻の中にあるジュエルシードを見つけると、オレンジ狼に指示を出す。

「あいよ」

 オレンジ狼は指示通り、その場所に飛んだ。

「よっ、まずは、一つ目!」

 鷲はオレンジ狼の背中からジャンプするとジュエルシードを殴りつけた。すると、ジュエルシードの暴走が収まり、中に浮かんでいた。

「・・・アンタ、何者だい?」

 オレンジ狼はジュエルシードを持った鷲を再び背中に乗せると問いかけた。

「ただの小学生だ」

「・・・・・・」

 疑いの目で見るオレンジ狼。

「ほら次だ」

 しかし、鷲に促されて渋々指示された場所へ飛ぶ。

 

 

「これで終わりっと」

 鷲が封印?したジュエルシードですべてのジュエルシードが封印された。

 そして、晴れた空の中、猫町とパツキンは向かい合っていた。

「・・・友達に、なりたいんだ」

「・・・・・・」

 その様子を少し離れたところから見守る女顔、オレンジ狼とその背中に乗った鷲。

 しかしその時、鷲は魔力反応を感じた。

「・・・・・・」

 次の瞬間、晴れた空から紫の雷が降り注ぐ。

「・・・母さん」

 そして、雷がパツキンに襲いかかった。

「っ」

「オラッ」

 しかし、パツキンに当たる前に鷲はその雷を殴った。

「ちっ」

 鷲によって雷は消えたが、鷲はその衝撃で海に落ちていった。

「シュー!」

「鷲くん!」

 それを追うパツキンと猫町。

 それを見ていたオレンジ狼はその隙にジュエルシードを回収しようとした。

「なっ」

 しかしそれは目の前に現れた中二に阻止される。

「邪魔を、するな!」

 オレンジ狼は中二を魔力弾で吹き飛ばした。

「ぐあっ」

 そして、ジュエルシードを見るが、六個あったのが三つしかない。オレンジ狼は中二を見た。その手には三つのジュエルシードがあった。

「ちっ、フェイト!」

 オレンジ狼はパツキンのところまで飛んで、巨大な水しぶきを上げた。

「きゃあっ」

 その間に二人は転移して逃げた。水しぶきが収まった時にはその姿はどこにもなく、鷲は猫町に引き上げられていた。

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

 その場に残された四人の中には沈黙が流れた。そして、鷲以外の三人の顔からは何かの決意が感じられた。

 

 




少し間が空きました。色々忙しかった・・・
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