自由なチート暇人   作:sakuya-syu

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第41話

「派手にやってるな」

『そうだな』

 鷲と真紅は離れたところから猫町とパツキンの戦いを見ていた。二人の視線の先には桃色と黄色の光が飛び交っている。

『シュウはどっちが勝つと思う?』

 先の戦闘を見ながら、真紅が聞いてきた。

「んー、猫町」

『・・・どうしてだ?経験ではあの金髪の子のほうが上だろ』

「確かにな。だが、猫町の才能はそれに劣らない」

『・・・・・・』

「それに、あいつは日々の練習も欠かさなかったしな。互角に渡り合えるだろ」

 猫町の練習にたまに付き合っていた鷲は、彼女の成長力に驚いた。それほど猫町は才能の塊と言っても過言ではなかった。

『互角ってことは負けるかもしれないのか?』

「いや」

 一拍おいて鷲はニヤリと笑う。

「あいつにはとっておきがある」

『とっておき?』

 鷲が言うとっておきは練習に付き合った時に提案されたもので、それは鷲のお墨付きだった。

 

 

Side-高町なのは、フェイト・テスタロッサ

 

 今、なのはは海上でフェイトと戦闘を繰り広げていた。

<フォトンランサー>

 フェイトの周りにいくつかの電気をまとった魔力スフィアが生成される。

「っ」

<ディバインシューター>

 なのはも同様に魔力スフィアを生成する。

「ファイア!」

「シュート!」

 フェイトとなのはが同時にスフィアを打つ。

「っ」

 なのははフェイトのスフィアを避け、フェイトはなのはのスフィアを魔力防壁で防いだ。

「なっ」

 しかし、スフィアを防いだフェイトが見たのは、再びスフィアを打ち出すなのはだった。

<サイズフォーム>

「はああっ」

 フェイトはバルディッシュを鎌の姿に変え、打ち出されたスフィアを切り裂き、なのはに斬りかかる。

「っ」

<ラウンドシールド>

 それをなのははシールドで防ぎ、火花が散る。そして、鍔迫り合っているうちになのははスフィアでフェイトの後ろから狙う。

「くっ」

 それに気づいたフェイトはシールドで防ぐ。

「なっ」

 しかし、防いだあと彼女はなのはを見失った。

<フラッシュムーブ>

「せええええい!」

 上空からなのはは急降下してフェイトに杖を振り下ろす。フェイトはそれを防ぎ、衝撃波が起こる。

<サイズスラッシュ>

 衝撃波の中フェイトはなのはに斬りかかるが、躱されてリボンを掠っただけだ。しかし、躱した先にあったのはフェイトの魔力スフィアだった。

「はっ」

<ファイア>

 なのはが気づいたときにはスフィアが打ち出された。

「くっ」

 それをなんとか防ぐが、息も切れ切れだった。

「はあはあはあはあ」

 それはフェイトも同じであった。

「(はじめて会ったときは、魔力が強いだけの素人だったのに。もう違う、速くて強い。迷ってたら、やられるっ)」

 フェイトは覚悟を決めて足元に魔法陣を展開した。それを見て戸惑うなのはの周りには黄色の魔法陣が浮かんでは消えてを繰り返していた。

<ファランクスシフト>

 フェイトの周りに無数の魔力スフィアが生成される。なのははシールドを張ろうとするが、フェイトのバインドで拘束されてしまった。

「えっ」

「ライトニングバインド」

《まずい!フェイトは本気だ!》

《なのは!今サポートを!》

 それを見たアルフは焦燥し、ユーノはサポートをしようとする。

「だめえええ!」

 しかし、なのははそれを拒んだ。

《アルフさんもユーノくんも手出さないで。全力全開の一騎打ちだから、わたしとフェイトちゃんの勝負だから!》

《でも、フェイトのそれはホントにまずいんだよ!》

「平気!」

「アルカス、クルタス、エイギアス」

 フェイトが呪文を呟く。

「フォトンランサー、ファランクスシフト!」

 手を上げて振り下ろす。

「打ち砕け!ファイア!」

 そして、拘束されたなのはに無数のランサーが襲いかかる。

「くっ」

 なのはは歯を食いしばりながら無数の雷に包まれた。

「なのは!」

「フェイト!」

 煙に包まれたなのはを心配するユーノと、限界に近いフェイトを心配するアルフ。

「はあはあはあ」

 フェイトは息が上がっているが、止めを刺そうと魔力スフィアを生成する。

「打ち終わるとバインドってのも解けちゃうんだね」

 しかし、煙が晴れたそこにはほぼ無傷のなのはが現れた。

「今度はこっちの!」

<ディヴァイン>

「番だよ!」

<バスター>

 なのははフェイトに向かって砲撃を打つ。フェイトは生成したスフィアを打つが砲撃にかき消された。

「っ」

 フェイトは砲撃をシールドで防ぐ。

「(直撃っ。でも耐えきる。あの子だって耐えたんだからっ)」

 しかし、フェイトの思いとは裏腹に彼女のバリアジャケットはボロボロになっていく。

「ううっ」

 そして、砲撃が止んだ。

「はあはあはあ」

 すでに満身創痍なフェイトを桃色の光が照らす。

「受けてみて、ディバインバスターのバリエーション」

<スターライトブレイカー>

 なのはの下で巨大な魔法陣が展開され、辺りの魔力を吸収して巨大な魔力の塊が生成されていく。

「なっ、バインドっ」

 抵抗しようとするフェイトだが、なのはのバインドによって拘束された。

「く、ああっ」

 もがくがバインドはビクともしない。

「これがわたしの全力全開!スターライト!」

 なのはは杖を振り下ろす。

 

「ブレイカー!!」

 

 凄まじい収束砲がフェイトを飲み込んだ。

 

Side out

 

 

「勝負あったな」

『・・・・・・』

 二人の勝負を鷲と真紅は見届けた。真紅はあまりの光景に呆然としている。

「・・・しかし、あれはえげつないな。満身創痍の相手に手足縛って収束砲か・・・」

『あ、ああ』

 鷲の言葉に我に帰った真紅は、今見た光景にまだ驚きを隠せないでいた。

「・・・そろそろか」

 鷲の視線の先では海に落ちたフェイトを助け、話し合っている猫町とパツキンの姿があった。しかし、その上では黒い雲が渦巻いている。

 そして、紫の雷がフェイトを襲った。

「・・・・・・」

『なっ』

 その光景に真紅も驚いた。ジュエルシードも黒い雲のなかに吸い込まれて消えていく。

『シュウ!』

「・・・・・・」

 鷲は雲の先をただ睨みつけるだけだった。

「とりあえずアースらに行くぞ」

 鷲は念話で中二に呼びかけた。

 

 

―アースラ艦内―

 

「君は単独行動をするんじゃなかったのか?」

 アースラに転送され、ブリッジに入るなり声をかけてくる中二。

「・・・・・・」

 そこに拘束したフェイトを連れた猫町とイタチ(人)、オレンジ狼(人型)が入ってきた。

「あ、鷲くん」

「シュー?」

「・・・・・・」

「えっと、フェイトさん、はじめまして」

 艦長殿はパツキンに挨拶すると猫町に念話で話しかけた。

《母親が逮捕されるシーンを見せるのは忍びないわ。なのはさん、彼女をどこか別の部屋へ》

「《あ、はい》フェイトちゃん、よかったらわたしの部屋―」

 しかしタイミングが悪く、そこでモニターに時の庭園が映し出された。

『プレシア・テスタロッサ、時空管理法違反、及び管理局艦政への攻撃容疑で、あなたを逮捕します』

『武装を解除して、こちらへ』

 管理局員がパツキン母に近づくが、彼女は鼻で笑うだけだった。

モニターでは管理局員が奥にある部屋を開き入っていくところだった。

『こ、これは』

 そこに映し出されていたのはポッドに入ったパツキンそっくりの人間だった。

「・・・・・・」

 誰もがそれを見て驚いていたが、鷲は別のもの見ていた。

『私のアリシアに、近寄らないでっ』

 ポッドに近づいた局員を吹き飛ばすパツキン母。それを見た他の局員たちがデバイスを構え、魔力を打つ。

『うるさい』

 それをものともせず、パツキン母は魔力を練る。

「危ない、防いで!」

 それを見た艦長殿が指示を出すが遅かった。

『ぐあああ!』

 庭園にいた局員たちが一瞬でやられてしまった。

『フフフッ、フフフフフフッ』

「いけない、局員たちの送還を!」

 危険を感じた艦長殿は送還命令を出した。

「了解!」

 そして局員たちは送還された。

『もうダメね、時間がないわ。たった九個のロストロギアではアルハザードに辿り着けるかどうかはわからないけど』

 ポットに縋り付いたパツキン母がこちらに振り向く。

『でも、もういいわ、終わりにする。この子をなくしてからの暗鬱な時間を。この子の身代わりの人形を娘扱いするのも』

 その言葉にパツキンと猫町は目を見開く。

『聞いていて?あなたのことよ、フェイト。せっかくアリシアの記憶をあげたのに、そっくりなのは見た目だけ。役立たずでちっとも使えない、私のお人形』

「最初の事故の時にね、プレシアは実の娘、アリシア・テスタロッサを亡くしているの」

 中二とよくいる女が説明し始める。

「彼女が最後に行っていた研究が使い魔とは異なる、使い魔を超える、人造生命の生成」

 その言葉に艦内の人間は驚く。

「そして、死者蘇生の秘術。フェイトって名前は当時、彼女の研究に付けられた開発コードなの」

『よく調べたわね。そうよ、その通り。だけどダメね、ちっともうまくいかなかった。作り物の命は所詮作り物、失ったものの代わりにはならないわ』

 再びパツキン母がこちらを向く。

『アリシアはもっと優しく笑ってくれたわ。アリシアは時々わがままも言ったけど、私の言うことをとても良く聞いてくれた』

「やめて」

 我慢できずに猫町が訴え掛ける。

『アリシアはいつでも私に優しかった』

 パツキン母はポッドを優しく撫でる。

『フェイト、やっぱりあなたはアリシアの偽物よ。せっかくあげたアリシアの記憶もあなたじゃダメだった』

「やめて、やめてよ」

 さらに訴え掛ける猫町。しかし、その声は届かない。

『アリシアを蘇らせるまでの間に、私が慰みだけに使うお人形。だから、あなたはもういらないわ。どこへなりとも消えなさい!』

「お願い!もうやめて!」

『ハハハハハ、ハハハッ』

 パツキン母は狂ったように笑い出す。

『良い事を教えてあげるわフェイト、あなたを作り出してからずっとね私はあなたが――

 

――大嫌いだったのよ!』

 

「っ」

 パツキンに握られていたデバイスは床に落ちて、欠けていた部分が砕けた。そして、パツキンも倒れる。

 

「言いたいことはそれだけか?」

 

 パツキンを抱きとめた鷲が振り向きもしないで言った。

『なんですって?』

「鷲くん?」

「・・・・・・」

 最早、パツキンの目には生気がなかった。

「お前はパツキンが嫌い、言いたいのはそれだけか?」

『・・・それがどうしたの?』

「あんた、嫌いなら嫌いって最初に言えよ。長々と話すな、時間の無駄だ」

『・・・・・・』

 パツキン母はモニター越しに鷲を睨む。

「まあ、利用価値があるからっていうのはわかるけどな」

「鷲くん・・・」

「シュウ」

 パツキン母だけではなく、周りからも睨まれた。

「俺が言いたいのは一つだ」

『・・・なにかしら?』

「あんまり人間を舐めるなよ?」

『っ』

 その言葉にパツキン母は驚いた顔をした。そして、鷲はそれだけ言うとパツキンを別室へと連れて行った。

 鷲がパツキンを連れて行った後、残された人たちが見たのは時の庭園に現れた無数の鎧騎士だった。

 

 




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