テスタロッサ姉が生き返ってから、様々なことがあった。
彼女が生き返ったことや今後のテスタロッサ親子の処遇について話し合ったり、ささやかだが、テスタロッサ姉が生き返ったお祝いをしたりした。ちなみに鷲はそのどれにも参加しなかった。ただ、テスタロッサ母が操られていた事だけは言っておいたので、そう重い罪にはならないはず。
現在、あれから数日が経って鷲は、自室でベッドに寝ながらただ天井を見ていた。
「・・・・・・」
『・・・・・・』
<・・・・・・>
黙っている鷲に真紅とラピスは声をかけることもできずにいた。
―♪♪♪
その時、携帯電話の着信音が鳴った。電話は猫町からだった。
<そういえば、今日はテスタロッサさんたちが裁判に行く日でしたね>
『今日からしばらく会えないから、呼んでるのかな』
「・・・・・・」
鷲は電話に出ずに音が鳴りやんだら、マナーモードに切り替えた。
<・・・いいのですか?>
「・・・別に」
『シュウ・・・』
横向きになって寝ようとする鷲を見て、真紅はとても寂しそうな表情だった。
Side-フェイト・テスタロッサ
今、テスタロッサ親子となのは、ユーノ、管理局のクロノは海鳴市の臨海公園にいた。これからテスタロッサ親子は裁判に出なければならない。裁判といっても操られていたという証言もあって、形だけのもので無罪は確定ではある。
そして、しばらくの別れということで今はなのはとアリシアといる。なのはとは既に話し合い、友達になった、もちろんなのはとアリシアも。ただ、しばらく会えないので鷲も呼んだのだが、そこに鷲が来なかったので、なのはに電話をしてもらっている。
「んー、やっぱり出ない」
なのはが鷲に何度か電話をしているが、出る気配がない。
「そう・・・」
「まだ寝てるのかなー」
電話に出ない鷲に寂しそうな表情をするフェイトと、うーんと唸る車椅子に乗った姉さん。
姉さんは長い間、ポッドに入っていたため筋力が落ちている。そのため、筋力が付くまでは車椅子で過ごしている。
「やっぱり私、何かしちゃったのかな・・・」
「だ、大丈夫だよ!きっと鷲くんのことだから寝てるとか面倒くさいとか、何か来れない理由があるんだよ!」
「そうなのかな?」
「きっと、そうだよ」
落ち込むフェイトを一生懸命慰めるなのは。
「でも、残念だなー」
アリシアが空を見ながら呟いた。
「シュウって人に会ってお話してみたかったなー」
「え、どうして?」
会ってみたいというアリシアに疑問を持つなのは。
「だって、フェイトがいつも楽しそうにその人のこと話すんだもん」
「ね、姉さんっ」
そう言ったアリシアを必死に止める。
「そしたら、私も会ってみたくなっちゃった」
「もう・・・」
「にゃははは」
テスタロッサ姉妹のやりとりを見て、笑うなのは。
「そろそろ時間だ」
そこに入ってきたのはクロノだった。どうやら時間切れらしい。無理を言って時間を作ってもらったのにこれ以上長引かせるわけにはいかない。
「・・・わかった(しばらく会えないのに、・・・シューのバカ)」
「ユーノくんも元気でね」
「うん、なのはも元気で」
拗ねているフェイトを傍らに、最後になのはとユーノが言葉を交わしていた。
それを羨ましく見ているフェイトにバルディッシュが声をかけた。
<サー、シュウ様からメールです>
「え?」
メールを見てみるとそこには一言だけ書いてあった。
―またな
と。フェイトはそれだけでも嬉しかった。嫌われているわけではないとわかっただけで良かった。
「良かったね、フェイト」
嬉しそうにしているフェイトに声をかけるアリシア。
「うんっ」
フェイトはそれに笑顔で答えた。
Side out
それから、数日が経った。今日も鷲は学校をサボり、川原の草むらで寝転がっていた。
あの事件の後、家に戻った鷲を見て、あまりの表情の暗さに同居人の二人は驚いて声をかけたが、何でもないと言って部屋にこもってしまった鷲にかける言葉が見つからなかった。なので、そっとしておこうということで鷲が学校をサボっても特に何も言われなかった。
心が弱っている鷲に中の竜もつけ込もうとするが、ギリギリでなんとか打ち勝ってきた。そんなこともあり、疲れて学校をサボっていた。
「・・・・・・」
どれくらいそうしていただろうか。真紅はそんな鷲を見て耐え切れずに、今は姿を消していた。
「やっと見つけたわよ」
未だ寝転がって映りゆく空を見ていた鷲に、声がかけられた。
「アンタ、今まで何やってたの」
そこにいたのはお転婆だった。
「・・・何も」
「そう」
そう言って、鷲の横に座るお転婆。
「・・・・・・」
「・・・何かあったの?」
お転婆は何も話そうとしない鷲に問いかけた。今の鷲は、放っておけない様子だった。何か、大事なものを見逃してしまったかのような辛さが伺える。
「・・・・・・」
「・・・何か言いなさいよ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
しばらく二人の間に沈黙が流れた。日が暮れても帰ろうとしないお転婆を見て、鷲は諦めた。こいつは話すまで帰らないと。
「願いを・・・」
「え?」
「一度だけ叶えられる願い事を、自分の叶えたいことよりも、他人の為に使ったら、・・・お前はどうする?」
「・・・それは、どうしても叶えたいことだったの?」
「どうしても、・・・それだけのために生きていると言ってもいい」
「・・・・・・」
お転婆は驚いた。今まで、問題児で他人に無関心ではあるが自由に生きて、やけに大人っぽくて、自分を助けてくれた鷲が、こんな悲しい表情をすることに。
だから、願い事の内容は聞けなかった、容易に聞いてはいけない気がした。
「・・・・・・」
だが、お転婆の中で答えは決まっていた。
「そんなの決まってるじゃない」
そう言ったお転婆に鷲は視線を向けた。
「また次のチャンスを探すわ。何年かかろうが、絶対に諦めないわ」
「・・・あてもないのにか?」
「それでもよ、私ならどんな手を使ってでも探すわ。・・・たとえ、世界を敵に回してでも」
「・・・そうか」
彼女の答えを聞いて、鷲は目を瞑った。
「(俺もまだ覚悟が足りなかったな・・・)ありがとよ、お転婆」
そう言って体を起こす鷲。
「・・・いい加減、名前で呼びなさいよ」
「覚えてるわけ無いだろ」
「だから、アリサよ、ア・リ・サ!」
「はいはい、じゃ、帰るか」
「ちょっと、聞いてるの!」
「聞いてるぞ、アリサ、だろ?」
「っ」
「どうした?」
硬直するアリサに声をかける鷲。
「そ、それでいいのよ、ま、まったく、やっと呼んだわね。しゅ、鷲のくせに生意気よっ」
ぷいっと顔を背けるアリサは暗くてよく見えないが、頬が少し赤い気がする。
「そ、それはそうと、明日、なのはの家でなのはの友達に送るビデオレター撮るからアンタも来なさい」
「・・・・・・」
どうするか迷った。真紅ではなくテスタロッサ姉を生き返らせてしまった鷲は、テスタロッサ姉に対して怒りや憎悪はないが、ビデオ越しでも顔を合わせづらかった。
「・・・気が向いたらな」
「ダメよ。アンタ、そう言って気が向いた試しがないじゃない。だから絶対よ」
鷲の返答を即却下するお転婆。
「・・・わかった」
はあと溜息をついて諦めた鷲。行かなかったら行かなかったで、お転婆はまた家に乗り込んで無理やり連れて行くだろう。
「わかればいいのよ、それじゃ、帰るわよ」
「・・・送るぞ」
「と、当然じゃない、夜道を一人で帰らせる気?」
そんな言葉に鷲はフッと笑うと、アリサの横に並んで歩き出した。帰り道はほとんど話さなかったが、嫌な空気ではなかった。
アリサに励まされ、名前を呼ぶようになった主人公。三人娘で残るはなのはだけ・・・
・・・・・・ストーリーどうしようか