休日、鷲は転校生に呼ばれて彼女の家まで来ていた。なぜ、鷲が転校生に呼ばれたかというと、
「妹にあなたのこと話したら会いたいって言うんだけど、会ってくれない?」
と学校で言われたからだ。鷲も断る理由もないので了承した。
「で、来たわけだが・・・」
鷲が教えられた住所に来るとそこはごく普通の一軒家だった。そして、インターホンを押して、転校生に中に招かれてリビングに入ると、
「遅いわよ!」
「あ、こんにちは鷲君」
「こんにちは」
「シュー、こんにちは」
「やっほー」
なぜか、いつもの面々のアリサ、すずか、猫町、テスタロッサ、テス姉がいた。
鷲が立ち止まっていると転校生が理由を教えてくれた。どうやら、遊びに誘いに来て鷲も来るということなので、待っていたらしい。
「じゃあ、今妹呼ぶからちょっと待っててね」
転校生は妹を呼びにリビングを出た。
「で、なんでいんの?」
「さ、さっき弥生が言ってたじゃない」
「う、うん」
「弥生ちゃんを誘いに来たんだよ」
「そ、そうそう」
「あははは」
「「「「「(気になって来たなんて言えない!)」」」」」
あきらかに何かを隠している五人。
「あっそ」
「おまたせ」
そこで、転校生が妹を連れて戻ってきた。
「ほら」
「あ、あの・・・」
転校生に促されて控え目に出てきたのは、先日助けた赤髪の少女だった。
「く、紅 卯月(くれない うづき)です、よ、よろしく、おねがいしますっ」
恥ずかしそうにしながらも自己紹介をして頭を下げる妹。
「黒沢鷲だ」
「こ、この前は、あ、ありがとうございましたっ」
「気にすんな」
「うぅ」
それだけ言うと妹は転校生の後ろに隠れてしまった。
「ふむ」
鷲は少し考えると、ポケットから包みを出した。
「これ食べるか?」
差し出したのはクッキーだった。
「え、えっと・・・」
妹は鷲とクッキーを見比べる。もらっていいものか迷っているようにも見える。
「食べてみてくれないか?」
「・・・・・・」
妹は恐る恐るクッキーを取り、口に運ぶ。
「あ、おいしい・・・」
「そうか、まだ食べていいぞ」
「い、いただきます」
そう言って、妹はクッキーをもう一つ食べた。
「あ、あれが鷲?」
「いつもと全然違う・・・」
「「「うん・・・」」」
その様子を見て呆気にとられるアリサ、すずかと他三人。
―十分後―
仲良くくっついて遊んでいる二人がいた。今は皆で、昔懐かしいUNOをしている。ただ、八人だと少し多いので鷲と妹が組んでいる。なぜかというのは妹本人たっての希望だ。
「「「「「・・・・・・」」」」」
それを見た五人は嫉妬と羨ましげな視線を送っていて、それを転校生はニヤニヤと見ていた。
「お兄さん、これはどうですか?」
「それよりもこっちだな」
妹がカードを見せると、鷲は違うカードを指差す。妹は何の疑いもなくそのカードを出す。
「ちょっと待ったっ、それだとアタシが全部ドローになるじゃない!」
残り手札が少ないアリサに約十枚分のカードを引かせるようにした鷲。
「それでいいんだ、お前手札少ないし」
「くっ」
アリサは渋々、カードを引く。そして、アリサから始まり、二週したところで、
「えっと、ウノストップ、です」
「なっ」
「うそ・・・」
「ええっ」
「もう?」
「ぶーぶー」
「我が妹ながらやるわね・・・」
鷲と妹のペアの上がり宣言に驚く面々。それもそのはず、カードを五枚ほど持っていたのが全て同じ数字だったのだ。なので、上がるのはまだ先だと考えていた六人。
「どうする、このまま見てるか?」
「えっと、お、お兄さんと、もっと、お話したいです・・・」
「そうか、なら、あっちに行くか」
「あ、はい」
鷲はそう言って、妹とキッチンにあるテーブルに行った。
Side-紅 弥生
「くっ、さっきのドローがきついわね」
黒沢君と卯月が抜けて、私たちはUNOを続けた。アリサさんは先ほどのドローが効いているのか、彼女だけ手札が多い。ちなみにこの五人とは名前を呼び合っている。遊びに来た時に名前で呼び合おうと言われたので了承した。
そして、さっきからチラチラとキッチンの方を見る五人。
「へえ、じゃあ卯月は料理もできるんだな」
「そ、そんなこと、ないです。お手伝い程度、です・・・」
「「「「「!?(卯月!?)」」」」」
五人は黒沢くんが卯月の名前を呼んだところで、ビクッと体が跳ねた。五人から聞いた話だと、黒沢くんは自分が認めた相手じゃないと名前を覚えないらしい。だから、彼が卯月の名前を呼んだことに驚いたのだろう。
それを見て、私はキッチンの二人に聞こえないような声で言った。
「あなたたち、黒沢くんのこと好きなの?」
「「「「「え!?」」」」」
見るからに動揺する五人。・・・これは確定だ。
「そ、そそ、そんなことっ/////」
「な、ななななに言ってるのよ!?/////」
「そ、そんなんじゃないよ!?/////」
「へ、変なこと言わないでよっ/////」
「はうぅ/////」
顔を真っ赤にして動揺するすずかさん、アリサさん、なのはさん、アリシアさん、フェイトさん。
「やっぱり、今日家に来たのは黒沢くんが来るから?」
さらに追い討ちをかけてみる。
「ち、ちち違うよっ」
「う、うんっ」
「弥生ちゃんを誘いに来たらたまたまだよっ」
「ふ~ん」
これは面白いことになりそうね。私はこれからのことを考えると楽しくて笑ってしまった。
Side out
「「「「「おじゃましましたー!」」」」」
あれから日が暮れる頃になり、今日はお開きということになった。五人娘は挨拶をして帰ったが、転校生は鷲を呼び止めていた。ちなみに卯月は話があるからと自分の部屋に行ってもらっている。
「で、なんのようだ?」
リビングのソファに座ると用を聞く。
「卯月の事なんだけど」
「・・・・・・」
「あなた、魔法は知ってるわよね?」
聞いてくるが、その言葉には確信があった。
「あ、私も魔導師だから、気にしなくてもいいわよ」
「へえ」
「といっても、ほとんど才能はないけどね」
「・・・でも、剣とかやってそうだな」
才能がないということに、一瞬反応した鷲だが話を続けた。
「あら、よくわかったわね?」
「なんとなくな」
「魔力が少ないから、身体強化に回すしかないのよ。後は空を飛んだり小さい魔力弾を撃つだけ」
「そうか」
「あなたは使えるの?卯月を助けたときは魔法は使ってないって聞いたけど」
転校生の問いに鷲は少し考えて答えた。
「・・・まあ、使えるけど使ってないな」
「どうして?」
「使う要素がないから」
「そう・・・」
「ちなみに、猫町とテスタロッサ姉妹も魔導師だぞ。テス姉はまだだけど」
「やっぱりね」
「あいつらも才能の塊さ」
「話を聞いた限りじゃあなたもだけどね。脱線したけど、卯月は私と違って才能の塊だわ」
「・・・だろうな」
鷲も卯月と初めて会ったときは、彼女の魔力量には驚いた。おそらくだが、磨けばまだ増えるだろう。
「あなたと初めて会った時もそれで狙われたんでしょ?」
「ああ」
「だから、私がいないときはあの子を守ってあげて欲しいのよ」
「いいぜ」
「即答ね」
「子供を守るのに理由がいるのか?」
「あなたも子供でしょ?」
「まあな」
「変な人ね」
クスクスと笑う転校生。
「とりあえずは」
「そうね」
二人はリビングの庭につながる窓を開ける。
「「あの覗き魔を倒そうか(しましょうか)」」
鷲は落ちていた小石を投げる。
「な!?」
「くっ」
覗いていたのは二人。それぞれ仮面をつけていて、顔を隠していた。
「グラム、セットアップ」
<セットアップ>
転校生が紅い光に包まれてバリアジャケットを装着した。
「どうかしら?」
くるりと回って感想を聞く転校生。彼女のバリアジャケットは白を基調としたもので、ジャケット、グローブ、ロングブーツは白で、スカートは黒色だった。後は所々に赤い装飾やデザインがされていて、腰には一本の両刃の西洋剣がぶら下がっていた。
「いいんじゃないか?」
「軽いわね。あなたは装着しないの?」
「まあ、いいか、ラピス、セットアップ」
「Yes、セットアップ」
今回は空中に足場(前はオレンジ狼)があったが、今日は何もないので、鷲もバリアジャケットを装着する。
「あら、なかなかいいじゃない」
鷲のバリアジャケットを見て褒める転校生。
「そりゃどうも、片方は任せるぞ」
「ええ」
二人は覗き魔のところに飛んだ。
「それで、どうだった?」
「なにが?」
あれから覗き魔を追い払った二人はまた話していた。戦闘?鷲が一撃殴ったら気絶したけど。もう一人の方も転校生にボロボロにされていた。不利と見た覗き魔は気絶した方を連れて逃げた。
「結構やるでしょ、私」
「まあな」
先ほど、転校生の戦闘を見たがなかなかのものだった。わずか九歳であの強さなのは相当の努力をしたのだろう。
「あなたも卯月から聞いてたけど強いわね」
「まあ、これでも苦労したしな」
「そう、今度少し手合わせしてみない?」
「・・・気が向いたらな」
「さて、そろそろ暗くなってきたけど」
辺りは既に真っ暗で時計の針は七時を指している。
「じゃ、帰るわ、卯月にもよろしく言っといてくれ転校生」
「ええ、でもその前に」
「なんだ?」
「弥生よ」
「・・・・・・」
「これからは弥生と呼びなさい」
「弥生ね、オーケー」
「あら、随分呆気ないわね?五人から聞いたらあなたは最初、変なあだ名か苗字でしか呼ばないと聞いたのに」
「・・・なんとなく、お前は俺と同じ感じがするからな」
「そう・・・」
「じゃあな、弥生」
「ええ、またね、鷲君」
そして、鷲は家へと帰っていった。
小さい頃はまったなー、UNO