「おはよう、鷲君」
朝、通学路を歩いていると後ろから声をかけられる。振り向くと弥生と卯月がいた。
「お、おはようございます」
「おう」
鷲は二人とともに登校する。
「昨日の奴らって何が目的だったんでしょうね」
不意に弥生が話しかけてくる。
「さあな、目的はなんであれ弱かったが」
「そうね、全然楽しめなかったわ」
「お姉ちゃん、襲われたの?」
卯月が不安そうな声音で聞いてくる。
「ただの覗き魔を懲らしめただけよ」
「お姉ちゃん・・・」
「大丈夫よ、お姉ちゃんは強いから」
弥生は心配する卯月を安心させるように撫でた。
「それに鷲君もいたし」
その言葉に鷲を見る卯月。
「まあ、暇だったし」
「でも、これからも付きまとってくるなら、もう容赦しないわ」
「だな、卯月も襲われたら俺か弥生を呼ぶんだぞ」
「は、はい」
あとは他愛もない話をしながら歩いて行った。
「あ、おはよう鷲君、弥生ちゃん」
「おはよう」
教室に入るといつものメンバーが話しかけてくる。
「おう」
「おはよう」
二人は席に鞄を置いて座る。
「今日は仲良く同伴登校なのね」
「羨ましいかしら?」
「そ、そんなわけないじゃないっ」
からかうつもりで話しかけたアリサだったが、逆にからかわれてしまっていた。
「まあ、鷲君とはたまたま道で会っただけよ」
「「「「「鷲君?」」」」」
五人がピクリと反応する。
「なんだ?」
名前を呼ばれたので聞き返す鷲。
「鷲君」
「アンタ」
「いつから」
「弥生に」
「名前で呼ばれてるの?」
すずか、アリサ、猫町、テスタロッサ、テス姉が近づいてくる。
「昨日から」
「昨日は黒沢君って呼んでたよね?」
「まあ、色々あったんだ」
「「「「「怪しい・・・」」」」」
「それより弥生、昨日のことは話すなよ」
「「「「「弥生!?」」」」」
「ええ、わかったわ。あと、話があるから放課後付き合ってくれないかしら?」
五人を無視して話を続ける二人。
「「「「「付き合う!?」」」」」
「ああ、いいぜ」
「「「「「ダメー!!」」」」」
「うるさいぞ、お前ら」
「鼓膜が破れるかと思ったわ」
叫ぶ五人にクラスの視線が集まる。近距離にいた鷲と弥生は耳を抑えていた。
「だ、だって、鷲くん、弥生ちゃんと付き合っちゃうんでしょ!?」
「そ、そんなのダメだよ!」
「つ、つつ付き合うのはまだ早すぎるよ!」
「や、やめときなさい!」
「はんたーい!」
必死に抗議する五人を見て顔を見合わせる鷲と弥生。
「この子達っていつもこうなの?」
「ああ、人の話は聞かずに先に手が出るタイプだ」
「可愛い顔して怖いことするわね」
「「「「「聞いてるの!!」」」」」
「「うるさい、黙れ(黙りなさい)」」
「「「「「うっ」」」」」
鷲と弥生の低い声に怯む五人。
「ちゃんと話聞いてたか?放課後に話をするだけだ」
「あなたたちの勘違いよ」
二人の言葉を聞いてホッとする五人。
「ほら、チャイムが鳴るから座れ」
鷲に促されてそれぞれの席に着く五人だった。
放課後、誰もいない屋上に鷲と弥生はいた。五人娘は後をつけていたが、途中で巻いて来た。
「で、話ってなんだ?」
「単刀直入に聞くわ、あなた、転生者でしょ?」
「・・・・・・」
突然の質問に何を言っているのかわからない鷲。
「黙ってるってことはそうなのね」
「いや、いきなりの中二発言に驚いただけだ」
「中二病じゃないわよ。じゃあ、管理者は知ってる?」
「そういうことか」
「そういうことよ」
管理者という言葉で鷲は察した。この紅弥生も管理者によってこの世界に来たのだろう。
「ならお前は協力者なのか?」
「協力?あなた、何かやってるの?」
弥生は魔族退治のことは知らないようだった。
「いや、ならお前はなんでこの世界に来た?」
「私がここに来たのは管理者に頼んだからよ」
「頼んだ?」
「ええ、面白い世界で生きたいって」
「そしたら、この世界だったってわけか」
「そうよ、それにこの世界には面白い人もいるって聞いたわ」
「そうなのか、俺はそんな奴に会った事はないけどな」
その言葉に弥生は笑いながら答えた。
「あなたのことよ」
「・・・人違いだ。で、どうして頼めた?」
「まあ、私の死に方が特殊だったからかしら」
「特殊?」
「極希に本来死ぬはずのない人間が死ぬことがあるのよ」
「なら、弥生は極希に死んだ人間だから、代わりに願いを叶えてやるってか?」
「そういうことよ。まあ、前の世界はもう飽き飽きしてたから、次は面白い世界に行きたかったのよ」
「そうか」
「勘だけど、あなたといると退屈しなさそうね」
「俺はいつでも退屈だ」
「そう」
「話が終わりなら帰るぞ、卯月も待ってるんだろ」
「ええ、そうね」
そうして二人は卯月を連れて帰路についた。
今日は短めで。