自由なチート暇人   作:sakuya-syu

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第52話

「鷲、放課後付き合いなさい」

 藪から棒にアリサが登校した鷲に言ってきた。

「・・・・・・」

 鷲は説明を求めるようにすずかを見た。

「えっとね、フェイトちゃんとアリシアちゃんのケータイを買いに行くことになってね」

「それで、どんなのがいいかみんなで決めようってなったの」

 そこに猫町も説明に入ってきた。

「それなら、俺がいなくてもいい気がするけどな」

 鷲は肩を竦めて、席に着く。

「えっと」

「それはそうだけど」

 鷲の言葉に落ち込むテスタロッサ姉妹。

「いいから来なさい!どうせ暇でしょ」

「いいじゃない、行ってあげれば」

 入ってきたのは弥生だった。

「・・・・・」

「放課後デートなんて、羨ましい限りだわ」

「なら代わってやろうか?」

「彼女たちはあなたをお呼びのようよ?」

「できれば、シューの意見も聞かせてほしいな」

「私、シューとお揃いにする!」

「ず、ずるいよ姉さん!それなら私だって!」

 言い合いを始めるテスタロッサ姉妹。

「モテモテね」

「男冥利に尽きるな」

「・・・・・・」

 弥生は鷲を無言で見るが、そうねと言って会話に戻った。

 

 

 そして放課後、鷲たち八人(卯月も連れて行くことになった)は携帯電話のショップに向かった。現地でテス母と合流するらしい。

 そして、ショップ内。

「これなんていいんじゃない?」

「そうかな、こっちもいいよ」

「これなんてどうかな?」

 三人娘があれこれと選んでいる。テスタロッサ姉妹もどれにするか悩んでいるようだ。ちなみに、鷲とテス母は椅子に座ってその様子を眺めている。紅姉妹は店内の見本をいじって、遊んでいる。

 眺めていると悩んでいたテス姉がこちらに来た。

「ねー、シューはどんなの使ってるの?」

「これ」

 鷲が取り出したのは濃い青色のスマートフォンだった。

「へえ、じゃあ、私もこれにする!」

「ね、姉さんっ」

「だとよ、テス母」

「そうね、じゃあこれにしましょうか。フェイトはどうするの?」

「わ、私は・・・」

 テスタロッサは少し悩んだ。

「わ、私も、それにします・・・」

 悩んだ挙句、結局鷲と同じ機種にした。ちなみにテスタロッサは黒、テス姉は白色を購入した。

 同じ機種を選んだ二人を三人娘が羨ましそうに見ていたが、買ったあとはそれぞれアドレスを交換していた。

 

―クイクイ

 

 鷲は服を引かれたので見ると、卯月がいた。

「わ、私も、買う時は、お揃いが、いいです」

 恥ずかしそうにしながらもお揃いがいいと言う卯月。弥生を見ても肩を竦めるだけだった。

「なら、卯月がケータイを買う時は一緒に来るか」

「はいっ」

 卯月は嬉しそうに返事をする。

「「シュー」」

 そこへテスタロッサ姉妹が来た。アドレスを交換しようとのことなので、断る理由もないので交換した。そうすると、二人は嬉しそうにケータイを握り締めるのだった。

 

 

 

 

「友達が入院?」

 テスタロッサ姉妹のケータイを買った翌朝、学校ですずかの席からアリサの声が聞こえてきた。

「うん、先週急に・・・」

 すずかが目を伏せる。

「はやてってすずかが図書館で知り合った?」

「うん、クリスマスも病院なんだって」

「「「「・・・・・・」」」」

 その場にいる猫町、テスタロッサ姉妹、アリサも悲しそうな顔をする。

「じゃあ、みんなでお見舞い行こうか」

「いいの?」

 アリサの提案にすずかが明るくなる。

「いいわよね?」

「「「うん」」」

「じゃあ、せっかくだからイヴの日、クリスマスプレゼントとか持ってさ」

「そうだね」

 すずかは自分のことのように嬉しそうに笑う。

「アンタたちも来るでしょ?」

 アリサが鷲と弥生に話を振る。二人は、

「「遠慮しとく(わ)」」

 即否定した。

「なんでよ!」

「・・・・・・」

 案の定、アリサが突っかかってくる。そして、すずかも悲しそうな顔になる。

「考えてもみろ」

「大勢で行ったら迷惑になるでしょ」

「うっ、それは、そうだけど・・・」

 二人の正論に返す言葉もないアリサ。

「だから、その日はあなたたちで行ってきなさい。私たちは別の日にでも行くから」

「うん」

 すずかは顔は晴れないが、納得してくれたようだ。そんな彼女を見て、弥生は口を開いた。

「すずかさん、今日の放課後は暇?」

「え?うん、特に何もないけど」

「なら、私と鷲君は今日お見舞いに行くことにするわ」

「ええっ」

 突然の決定に驚くすずか。

「あ、チャイムが鳴るわね」

 チャイムが鳴り、それぞれの席に着く。

 

 

 放課後。

「なんやびっくりしたで。いきなり来るやもん」

 今朝弥生が言った通り、お見舞いに来た鷲と弥生。本当は来るつもりはなかった鷲だが、弥生に連れてこられた。ちなみに卯月は、家にまで送って、その後、結界を張った。家から出ないように行ってあるから、襲われることはないだろう。

「ごめんね、友達を紹介したくて」

「はじめまして、紅弥生よ」

「はじめまして」

「はじめまして、八神はやてです、って、鷲君やないか!」

「えっ、鷲君と知り合いだったの!?」

 鷲と知り合いだったことに驚くすずか。

「世間は狭いわね」

「全くだ。それより、タヌ子」

「それって、私のこと!?」

「お前以外に誰がいる。それとも子狸の方がよかったか?」

「そっちの方がまだ可愛らしいわ」

「で、タヌ子」

「鷲君って天邪鬼やな!」

「えーと」

「・・・・・・」

 鷲とタヌ子の漫才にどうすればいいのか困るすずかと黙ってそれを見る弥生。

「とりあえず、見舞いの品だ。ありがたく受け取れ」

「そう言われると、受け取りづらいなあ。それに上から目線だし」

「そう言ってるからな」

「うう、鷲君はやっぱいけずや」

「え、えっと、これが鷲君なりの心配なんだよ」

 落ち込むタヌ子にすずかがフォローを入れる。

「そうかしら?素のような気もするけど」

「タヌ子はいじると楽しいからな」

「ダメよ鷲君」

「紅さん、ええ人や―「私にもいじらせなさい」―なんでやねん!」

 弥生が鷲を止めてくれると思ったタヌ子は、上げて落とされた。

「あははは」

 ただ笑うしかないすずか。鷲と弥生が似た者同士だなと思ったり。

 

 

「もうすぐ、クリスマスやんかあ」

 それからしばらく話して(タヌ子をいじって)いると、唐突にタヌ子が言った。

「「ああ、おもちゃ屋とかが大儲けを企む日か(ね)」」

「アンタらどこまでひねくれてるん!?」

「あははは」

 既にすずかは笑うしかなくなっていた。

「まあええわ。それより、お願いがあるんよ」

 タヌ子が寂しそうな表情になったので、聞くことにした。

「クリスマスかイヴの日、どっちでもええんやけど、お見舞いに来てくれへんかな?」

「はやてちゃん・・・」

「「いいぞ(わよ)」」

「そっか、やっぱ無理か・・・、ってええの!?」

 悲しそうな表情が一変、嬉しそうな表情で声を上げるタヌ子。

「まあ、昼から夕方くらいまでならいいぞ」

「私も特にすることないし」

「・・・ほんまに?」

 恐る恐るといった様子で確認してくるタヌ子。

「嫌なら別に―「そんなわけない!」―」

 タヌ子は鷲の言葉を遮って、声を上げる。

「そんなわけない、すごく、うれしい・・・」

 胸の前で右手を握り、泣きそうなタヌ子。

「それなら、クリスマスプレゼントも用意しなきゃね」

「そんなん悪いわ。ただ、一緒にお話してくれるだけでええんよ」

 それだけで満足だというように目を伏せる。それを見た、鷲と弥生は

「じゃあ、楽しみにしててね」

「なら、俺はケーキも作ってくるか」

 用意する気満々だった。

「二人とも話聞いてた!?」

「「聞いてたぞ(わよ)」」

「なら、なんで―「天邪鬼だから」「右に同じよ」―・・・・・・」

 タヌ子は二人の言葉で何も言えなくなってしまう。

「でもウチ、何も返せへん・・・」

 彼女の目には涙が溜まっている。自分がプレゼントを用意できないのが悔しいのだろう。

「・・・そうね。でも、あなたが」

「元気になって野生に帰れば十分だ」

「・・・そこは、後半いらんのとちゃう?」

 涙を拭いながらも突っ込むタヌ子。

「でも、ありがとう。ウチ、絶対元気になったる」

「はやてちゃん、私も用意するからね」

「うん、おおきにな、すずかちゃん」

 笑顔でお礼を言うタヌ子。それから面会終了時間まで話すのであった。ちなみに、弥生とタヌ子は名前で呼び合うようにもなった。

 

 

 帰り道。すずかは車で帰り、鷲と弥生は歩いて帰っていた。送っていくと言われたが、歩きたい気分だったので断らせてもらった。

「そういえば、鷲君はどうするの?」

「なにが?」

「クリスマスよ」

「同居人と過ごすだろうな」

「そう・・・」

 一瞬、寂しそうな顔をする弥生だが、すぐに元に戻った。

「・・・お前らも来るか?」

「え?」

 突然の言葉に呆気にとられる弥生。

「どうせ、卯月と二人なんだろ?」

「・・・どうして?」

「前におまえの家に行ったとき、親がいる痕跡がなかった。まあ、卯月に聞いて確信したが」

「・・・・・・」

「二人で暮らしてるのか?」

「・・・そうよ」

「二人だけのクリスマスってのも寂しくないか?」

「まあ、もう慣れたわ」

「卯月はどうだかな」

「・・・・・・」

「ま、来る来ないはお前らに任せる」

「・・・卯月にも聞いてみるわ」

「そうしろ」

 その後、二人は無言で歩いて行った。

 

 




この時期にスマホはなかったけど、そっちの方がいいよね!

そろそろバトルの予感・・・。
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