―翌朝―
鷲と真紅とラピスは修行場所を見つけるため散歩に出た。最初はラピスが探索魔法で探すといったが、鷲が負けた気がするから自分で探すといったのだ。
[とりあえず適当にぶらついてるけど家、家、公園みたいな同じ景色ばっかだな]
『だな。人目がつかないところとなるとやっぱり山の方とかかな』
[そうだな、どこか高い所に行くか]
『ああ、ここからだとあの丘かな?』
[ならそこに向かうか]
『うん』
ちなみにこれは鷲が心の中で話しているので、ラピスから見れば真紅が一人で会話しているように聞こえる。
<あの、二人で会話しているところ申し訳ないのですが、私も会話に入れてもらえません?>
「お前が真紅との会話は心の中でって言ったんだろうが」
目立たないように胸にぶら下げたラピスに囁く。
<実はこの世界にはですね“念話”というテレパシーのようなものがあるんです>
「・・・・・・」
鷲はおもむろにラピスを握る。
<ああ、黙っていてごめんなさい!ですから、無言で握りつぶそうとしないでください!>
『それでその念話ってどうやればいいんだ?』
<主様!説明しますから潰そうとしないでください!>
「ちっ」
鷲は舌打ちすると仕方ないとばかりに手を離した。
<うう、少しヒビが入っています・・・>
「いいから早く話せ」
<わかりましたよぅ>
いじけたようにラピスは説明した。
『んー、要するに念じればいいんだな』
<Yes>
『じゃあ、さっそく―』
《あ、あー、シュウ聞こえるか?》
《ああ、聞こえるな。でも》
《ああ》
《《頭に直接話しかけられてるみたいで気持ち悪い》》
《ははは、それは慣れてください》
《あとお前も外では念話な》
《え、どうしてですか?》
《しゃべる玉がこの世界にあるのか?》
《ああ、そうですね、うっかりしていました》
意外にうっかりもしているラピスだった。ただ初対面?で話しても驚かなかった鷲と真紅の影響も大きいだろう。
それから二人と一機は丘へと向かった。
丘についた彼らはどこかに修行できそうな場所がないかあたりを見渡す。丘に来る途中、昼前から公園のブランコで一人漕いでいる少女がいたり、リムジンとメイドを見たり、執事とお嬢様っぽい人を見たり、そんな珍しい光景を見たけど鷲は気にしなかった。真紅とラピスは騒いでいたが、他人には興味がない彼だった。
「んー、ないな」
『ないな』
<ないですね>
丘から見渡しても特に適した場所がなさそうだった。他には人が見当たらないので彼らは普通に話している。
「そういえば真紅」
『なんだ?』
「落ちてきた時に結構広い場所を見た気がするんだが」
『ああ、そういえば、確か街のはずれだったな。ここからじゃあまり見えないな』
「だな、そっち行ってみるか」
<あの主様?>
「なんだ」
<御二人はあの落下中に街の風景を見ていたのですか?>
「『それがどうした?』」
<よく、死ぬかもしれない状況で見れましたね・・・>
「別に」
『普通じゃないのか?』
<いえいえいえ、全然普通じゃないですよ!?>
「そんなことはどうでもいいから行くぞ」
そして、彼らはまた歩き出す。
『んー、なかなかいいんじゃないか』
「ん、ここでやるか」
そこは街外れにある森の中の広場だった。
<では、まず人払いの結界を張りましょう。主様セットアップを>
「セットアップ」
鷲は光に包まれ、バリアジャケットを装着する。
<では結界を―>
「待て」
結界を張ろうとしたラピスを鷲が止めた。
<どうかしました?>
「俺がやる。やり方を教えろ」
<ですが>
「いいから、こういうことも修行の一つだ」
<わかりました。やり方は簡単です>
ラピスは結界の張り方を教えた。
<わかりましたか?>
「なんとなく」
<なんとなくですか、まあ、とりあえずやってみましょう>
「ん」
鷲は地面に手を付けた。すると丸い魔法陣が展開され、結界が張られる。
<主様はミッド式ですか>
「ミッド?」
<この世界の魔法の種類ですね。ミッド式とベルカ式の二つがあります。ミッド式が丸い魔法陣で、ベルカ式が三角の魔法陣ですね>
「へえ、まあいいや。で、結界ってのはこれでいいのか」
<Yes、一発でうまくいくなんてすごいですね>
「別にすごくねえよ、こんなの」
鷲は本当にこれができてすごいなんて思っていないような顔つきで言った。
「そんなことより、まずは俺の呪文を見つけなきゃな」
<は、はい。では、まず座禅を組みましょう>
それからあっさりと態度を変える彼に戸惑いながらも、呪文を見つける方法を言う。
「座禅?」
『なんで坐禅なんだ?』
<それは、精神統一をするためと過去を見つめる直す必要があるからです>
「・・・・・・」
過去を見つめ直すという言葉にあからさまに嫌そうな顔をする鷲。そんな彼を見てラピスは言う。
<嫌でしょうけど、必要な事なんです。呪文とは己の理です。それがわからなければ呪文を使うことはできないでしょう、主様は特に>
確かに鷲は一族にしか使えない専用の呪文が使えなかった。一族の誰もが使えたそれを彼はただ一人使えなかったのだ。
「しゃーねーか」
そう言って、鷲は座禅を組んだ。それは日が暮れるまで、続いた。
気づけば日を跨いでいた、だと?次回はやっと原作キャラを出します(予定)。誤字脱字があれば指摘お願いします。