自由なチート暇人   作:sakuya-syu

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第59話

Side-???

 

 鷲がアリサたちに呼び出された翌日、海鳴市の上空に光とともに二人の少女が姿を現した。

「ここはどこでしょう?」

 辺りを見渡すのは緑掛かった銀髪をツインテールにした紫と青の瞳を持った少女。

「うーん、ママに連れてきてもらった地球に似てるけど・・・・・・」

 考え込んでいるのは金髪を左右だけ結んで赤と緑の瞳を持つ少女で、銀髪の少女よりは幼い。

「あっ」

「どうかしましたか?」

 突然声を上げた金髪の少女に問いかける銀髪の少女。

「ここやっぱり海鳴市だ!」

 金髪少女は確信した。

 

 

Side-???

 

 二人の少女が現れた同時刻、別の場所でも同じく光とともに現れた二人がいた。一人は茶髪の青年、もう一人はブロンドの髪を腰まで伸ばした少女で年齢は青年と同じくらい。そして二人のそばには一冊の本が浮いていた。

「ここは?」

「銀十字、辺りを調べてみて」

<了解>

 少女が本に語りかけると本は声を発しページが開く。少しすると本は閉じられ再び声を発する。

<ここは海鳴市です>

 

 

Side-黒沢 鷲

 

<主様、今、複数の転移反応があったんですけど>

「知らん、そんなのあいつらに任せとけ」

 鷲は現在、家でのんびりと本を読んでいる。

『また厄介ごとか?』

「だろうな」

 真紅は現れると鷲の膝に座る。

『行かなくてもいいのか?』

「俺はただの一般人だ、そういうのは管理局とやらに任せておけばいい、あと面倒くさい」

『最後のが本音だな』

<ですね。あ、通信入りましたよ>

「誰からだ」

<管理局のリンディさんですね>

「切れ」

<かしこまりました>

 ラピスは言われたとおり通信を切る。しかし、

<主様、また通信です>

「しつこいな」

『とりあえず出たほうがいいんじゃないか?大事かもしれないし』

「・・・・・・ラピス、繋げ」

 鷲は仕方なく通信を開いた。

「なんの用だ?」

『あからさまに不機嫌そうになるのはやめてくれないかしら?』

「そんなことはどうでもいい、早く要件を言え」

『わかりました、単刀直入に言います。協力してもらえないかしら?』

「断る」

『即答ね』

「当たり前だ、面倒事は嫌いだ」

『この街に関することなの、お願いできないかしら?』

 断っても尚食い下がるリンディ。余程のことなのだろう。

「・・・聞くだけ聞いてやる」

『ありがとう。まず、先ほどこの街に複数の転移反応があったのは気づいたかしら?』

「ああ」

『それでフェイトさんやなのはさんたちに捜査してもらってったんだけど・・・』

 リンディは一度言葉を止める。

 

「どうやら偽物が現れているらしいの」

 

「へえ」

 

『へえって、それだけ?』

 鷲の反応に呆気に取られるリンディ。

「偽物が現れただけだろ?なら本人に対処させればいいじゃん」

『あなたの偽物でも?』

「・・・・・・まあ、頑張れ。腕や足が切られてもくっつけてやるよ、物凄い激痛だがな」

『これは冗談ではないのよ。あなたの偽物は私たちの手には負えないの、はっきり言ってこちらが全滅するわ』

「・・・オーケー、その俺の偽物とやらは何とかしてやる」

『協力感謝します』

「で、場所は?」

『場所は――』

 鷲は言われた場所へと向かった。

 

 

Side-フェイト・テスタロッサ

 

「ハァハァ」

 今、フェイトはとある海鳴市の上空でボロボロのバリアジャケットを纏い、デバイスを構えている。そんな彼女の前には鷲がいる。しかし、それはいつもの彼ではない。というのも、全身から黒い霧のようなものが吹き出して雰囲気も暗く、右手には片刃の黒い剣を持っているからだ。

 フェイトはそんな彼を偽物と確信し、戦闘を始めた。しかし、いざ戦闘を始めるとフェイトでは全く歯が立たなかった。

「(やっぱりいくら偽物といっても、シューは強い。このままじゃ・・・)」

「・・・ちがう」

「え?」

 今まで無言だった偽物の鷲は言葉を発した。

「ちがう、お前はあいつじゃない」

「あいつ?」

「どこだ、なぜだ、なぜあいつがいない」

 独り言のようにブツブツと繰り返す偽物の鷲。チャンスだと思い、そこへ攻撃を仕掛ける。

「ハァアア!」

 しかし、斬りかかるが簡単に剣で受け止められる。

「くっ」

「あいつがいない世界なんて、なくなればいい!」

「ぐ」

 フェイトは偽物の鷲に弾き飛ばされる。そして、偽物は追撃をかけてきた。

「(やられるっ)」

 ダメかと諦めた瞬間、

 

「よっと」ガキンッ

 

 軽い声と共に金属がぶつかり合う音がした。

「さすが俺の偽物、強いな」

 顔を上げるとそこにはバリアジャケットを着て、不敵な笑みを浮かべた本物の鷲がいた。

 

 

Side-黒沢 鷲

 

 

「シュー!」

「運が悪かったな、テスタロッサ」

 鷲は偽物を弾き飛ばし、視線だけテスタロッサに向ける。

「ごめんなさい、できれば私が終わらせたかったんだけど」

「いくら相手が偽物でも、俺相手じゃ仕方ないさ。ここを動くなよ」

 そう言って鷲はテスタロッサにシールドを張る。

「さて」

 鷲は自分の偽物に目を向けた。

「お前は!」

 偽物は鷲を見て目を見張って驚いていた。

「なぜお前がそいつと一緒にいる!!」

「・・・・・・・・・」

『もしかしてあのシュウは私が見えているのか?』

「・・・みたいだな」

 偽物の視線は完全に鷲の隣に浮いている真紅に向けられていた。

「なんでお前が!」

 憎々しげに叫ぶ偽物。それを見た鷲は一つの仮説を立てた。

「・・・そうか、失敗したのか」

『失敗?』

[真紅が今俺の隣にいるのはあの時の運が良かっただけだ]

『・・・・・・』

[あの俺は、あの時、封印に失敗した時の俺だ]

「なぜ、お前だけ!」

 そう叫んで偽物が斬りかかって来た。

「ただ、運が良かっただけだ」

 鷲は剣を受け止めながら言う。

「ふざけるな!」

「ふざけてねえよ」

「がぁああああっ!!」

 偽物の覆っていた黒い霧がさらに濃くなった。

「早くその物騒なものをしまえ、戻れなくなるぞ」

「うるさいっ!」

 偽物はただ、闇雲に剣を振るう。戦い方は素人といってもいい。ただ、黒い霧のせいで力が上がっているので並の相手なら容易に倒せるだろう。

「甘いぜ、俺」

 鷲はその全てを受け流し、偽物の腹に蹴りを入れる。

「ぐはっ」

 必然的に距離が離れ、そのまま動かない鷲。偽物は苦しそうに左手で腹を抑えている。

「ちっ」

 偽物は転移してどこかへ消えてしまった。

「テスタロッサ、俺は偽物を追う。お前は一度治療を受けろ」

「で、でも」

「いいから受けろ」

「・・・わかった」

 鷲はテスタロッサに有無を言わせなかった。

 

 

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