鷲が博士の病気を治した後、ささやかながらお祝いをした。鷲は博士に何度もお礼を言われ、それを見ているアミタとキリエは笑いながら涙を流していた。
「ところでピンク」
皆が落ち着いた頃、鷲はキリエに声をかけた。
「何かしら?」
「エルトリアを救うと言っていたが、何をするんだ?」
「そうねえ、まずは枯れた大地を元に戻すことかしら」
「水源と健康な土がいるな」
「うーん、まずは水源をどうにかしないといけないわね」
「まあ、水と土は俺が何とかする」
「何とかって・・・・・・あなたならどうにかできそうね」
確かに鷲ならなんとか出来てしまいそうだ。
「ねえねえ、何の話!?」
キリエと話しているとレヴィが鷲の背中に抱きついてきた。
「明日からどうするかの話だ」
「明日?ボク、ドラゴンと戦いたい!」
「と言ってるが?」
「ドラゴンはいるけど強いわよ?冗談抜きで」
キリエは強いと言うが、
「へぇー」
レヴィは目を輝かせるだけだった。
「余計にやる気が出たみたいだな」
「・・・・・・まあ、あなたがいるから大丈夫でしょ」
「レヴィ、明日は村の復興をするからドラゴンはまた今度な」
「ええーっ」
鷲の言葉に不満の声を上げるレヴィ。ちなみに鷲がレヴィの名前を呼んでいるのは犬っぽいからだとか。
「その代わり、明日はこのピンクに模擬戦してもらえ」
「ちょっ――!」
「ホント!?やったー!」
「・・・・・・・・・」
喜ぶレヴィと無言になるキリエ。その様子をニヤニヤと笑いながら鷲は眺める。ドラゴン退治を押し付けられた仕返しだった。
「やってくれるわね」
むすっとした表情で鷲を睨む。
「おあいこだろ?」
鷲はそう言って、割り当てられた部屋に行くのだった。
翌日。
目が覚めた鷲は部屋を出た。キッチンには既に誰かいるようだ。
「あ、おはようございますシュウさん!」
朝から大きな声で挨拶をしたのはアミタだった。
「朝飯か?」
「はい!人数が増えたので作り甲斐があります!」
人数が増えたというのに嫌な顔せず、むしろそれが嬉しそうだった。
「手伝う」
「え?いいですよ、シュウさんはゆっくりしていてください」
「俺は居候してる身なんだ、手伝いくらいはする」
「ありがとうございます。では、皿を出してもらっていいですか」
「これでいいか?」
鷲は食器が入った棚からいくつか皿を出す。
「・・・・・・シュウさんは優しい方なんですね」
それを並べるとアミタが呟いた。
「なんだ、いきなり。褒めても何も出ないぞ」
「そ、そんなつもりはありませんっ」
「そうか」
鷲は再び皿を並べる。
「・・・・・・シュウさんは」
「ん?」
「シュウさんはどうして、そこまでしてくれるんですか?」
「まだ何もしてないけどな」
「そんなことありません。エルトリアに来るのだって安全な保証はありませんでしたし、昨日だって博士の病気を治してくれました。それに、これからエルトリアを復興の手伝いをしてくれるんですよね?」
「・・・・・・ここに来たのはただ面白そうだったから。博士を治したのは気まぐれで、復興はただの暇つぶしだ」
「・・・・・・そうですか、シュウさんがそう言うのならそういうことにしておきます。ただ、これだけは言わせてください」
アミタは佇まいを正す。
「ありがとうございます」
そして、深く頭を下げた。
「・・・・・・どういたしまして」
鷲は一言呟くと、皆を起こしてくると言って皆が寝ている部屋に向かった。
『いただきます』
全員揃ったところで朝食を食べ始めた。食べ始めたのは鷲とアミタが話してから一時間後だった。
鷲は皆を起こしに行って、一人を除いては起きた。最後の一人、レヴィはなかなか起きず、最終的に鷲が物理的に起こしたのだ。
「この後の事なんですが」
食事中、タイミングを見計らってアミタが口を開いた。
「俺は水源を作る」
「では、私もそれに同行します」
「あ、わ、私も行きたいです」
「わかりました、シュテルさんとユーリさんはシュウさんと一緒ですね」
「あ、じゃあ、わたしも―――「キリエはレヴィと一緒だろ?」―――ぐっ」
キリエもついてこようとしたので、釘を刺しといた。
「二人は村の奴らに水を運べるように準備させといてくれ」
「ええー、それだけー?」
「終わったらピンクと模擬戦してていいぞ」
「やったー!早く終わらそう!」
「はぁー」
レヴィのやる気とは裏腹にやる気が出ないキリエだった。
「我はどうすればいい?」
「お前は家事を覚えろ」
「家事だと?なぜ我がそんなこと―――「ああ?」―――理由を聞いてもよいか?」
ディアーチェは鷲にアイアンクローをされて以来、なぜか鷲に逆らえなくなっていた。
「まあ、消去法だな。俺は復興作業をするし、シュテルもできればこちら側に欲しい。ピンクも基本的にはこっちか博士の手伝い。レヴィには家事は向いてると思えないし、ユーリは小さいからまだ一人でやらせられない。熱血一人に家事をやらせるのは悪いからな、対してお前の魔法は現段階で使いどころがない」
「つ、使いどころがない・・・・・・」
「まあ、お前が家事をやってくれれば俺らも大助かりなわけだが?」
「し、しかし、我は家事などしたことないぞ?」
「だから覚えるんだ、今日は熱血に教えてもらえ。それとも、オリジナルのタヌ子にできてお前はできないのか?」
「あの小鴉にできて我にできぬ通りなどないわ!」
「じゃ、その調子で頼む」
「・・・・・・うまく丸込めましたね」
シュテルが囁いてくるが、
「なんのことだ?」
と朝食のスープを飲む鷲だった。
最後までお読みいただきありがとうございます。
次は復興作業になると思います。
感想を頂いた方、ありがとうございます。
主人公の容姿ですが、実際細かいところまでは決まってないんですよね、申し訳ないです・・・・・・