自由なチート暇人   作:sakuya-syu

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第68話

 朝食を食べた後、鷲、シュテル、ユーリの三人は村の辺りを歩いている。水源の場所を探すためだ。

「なかなかいいところが見つかりませんね」

「そうですね、もう少し広い場所があればいいんですけど」

 シュテルとユーリは辺りを見回しながら言う。辺りは枯れた大地で広さはあるが、水を溜めることができるような場所はなかった。

「別になかったら作ればいいだろ、シュテル」

「はい?」

 鷲はシュテルに声を掛けると上を指差した。

「上からブレイカー撃ってくれ、本気で」

「・・・・・・・・・」

「シュウ、それは流石に・・・・・・」

 シュテルは言葉も出なく、ユーリですら呆れていた。

「大丈夫だ、結界は張る」

「そういう問題ではないのですが」

「なんだ、自信がないのか?」

 鷲はニヤリと笑いながら言った。安い挑発である。

「・・・・・・いいでしょう」

 しかし、負けず嫌いなシュテルはのった。

「ちょっ、シュテル」

「ユーリは危ないから、俺と待機な」

「ちょっと、シュウっ」

 ユーリは鷲に手を引かれてその場を離れる。その間にシュテルは空へ飛ぶ。

 鷲は地面に手を付き、結界を張った。

「シュテル、頼んだ」

「わかりました、いきます」

 シュテルは魔法陣を展開する。

「真・ルシフェリオン―――

 

 ブレイカー!!!」

 

 轟音と共に鷲の張った結界内に大きなクレーターができた。

「おおー、流石シュテルだな」

「こんなに大きなクレーターを作ったシュテルもすごいですけど、それに耐えられる結界を張ったシュウもすごいです」

「お疲れ」

 空から降りてきたシュテルに声を掛ける鷲。シュテルもほぼ最大の魔力を使ったので息が上がっていた。

「ハァハァ」

「助かったぜ」

 鷲はシュテルを労うと、クレーターに近づいた。

 

―――パンッ

 

 鷲が両手を合わせると、円の中に五芒星が描かれた魔法陣が二つ展開された。

「水を司りし北の黒き守護神よ、木を司りし東の青き守護神よ、我が祈りに応え給え。

 

―――召喚、玄武!青龍!」

 

鷲が叫ぶとそれぞれの魔法陣から女性が二人出てきた。

「お久しぶりです、鷲さん」

一人は黒いロングヘアーで、淑やかな雰囲気を漂わせた女性。白を基調とした和服のような服に緑色のローブを羽織って、手には黒い玉に亀と蛇が絡み合った杖を持っている。

「鷲様が我らをお呼びになるのは珍しいですね」

もう一人は長い青い髪をポニーテールにした、凛とした感じの女性。黒い服装に腕、腰、脚に青い鎧を付け、手には青い玉が付いた龍を模した槍が握られている。

「二人に頼みがある」

 鷲は二人に水源を作る説明をした。

 説明は簡単。青龍が木を創り、その木に玄武が水の恩恵を与えると言うものだ。そうすることで木が水源となり、ほぼ永久に木から水が湧き出るのだ。

「わかりました」

「承知いたしました」

 二人は鷲の説明を聞くとすぐさま頷いた。

「即答だな」

「「鷲さん(様)の頼みですから!」」

 玄武と青龍は返事をした後、クレーターの中心まで飛んで行った。

 二人が行った後、鷲は袖を引かれた。

「どうした、ユーリ」

「あの二人は誰なんですか?」

「端的に言うと神だ」

「かみ?」

 なんのことかわからないという風に首を傾げるユーリ。

「そう、神、ゴッド、デウス」

「ええっ、鷲は神様と知り合いなんですか!?」

「知り合いというか、契約を交わした仲だな」

「契約・・・・・・」

「まあ、詳しいことは気にするな」

 鷲はそう言って、ユーリの頭を少し乱暴に撫でる。

「わわっ」

「鷲様」

 そこに玄武と青龍が戻ってきた。

「どうだ?」

「うまくいきましたよ」

 青龍の隣にいた玄武が微笑む。

 鷲がクレーターの中心を見るとそこには大樹が立っており、そこから水が湧き出ていた。この調子で行くと数時間後にはこのクレーターに水が貯まるだろう。

「おう、サンキュー」

「他に我らに手伝えることはありませんか?」

「鷲さんのためならなんだってしますよ」

「「・・・・・・・・・」」

 嬉しそうに言う二人を見て、シュテルは無言で鷲を見て、ユーリは無言で袖を掴んでいた。

「今のところは大丈夫だ」

「そうですか・・・・・・」

「では、また何かありましたら呼んでください」

 二人は少し落ち込みながらも、魔法陣を展開して消えていった。

「では、次は土のほうですね」

「村の方に行きましょう」

 シュテルとユーリは鷲の腕を左右から掴み、村の方へ歩いて行った。

『・・・・・・・・・』

 それを見て、不機嫌になる真紅の視線を感じながら鷲は二人に引っ張られていった。

 

 

 

 途中で昼食を食べた三人は村の中にある、畑があったであろう場所に来た。

「シュウ、本当にこれを復元することができるのですか?」

 その成れの果てを見たシュテルは鷲に問いかけた。

「任せろ」

 そう言うと、鷲は先ほどと同じように両手を合わせた。

「大地を創りし母なる神よ、豊穣を司りし稲荷の神よ、我が祈りに応え給え

 

―――召喚、イザナミ!宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)!」

 

 先程と同じく、二つの魔法陣から羽衣を纏った黒髪の女性と、平安時代の綺麗な着物のような服を纏った、頭からきつね耳が生え、狐の尾を生やした金髪の女性が現れた。

「鷲か、久しいな」

「鷲!久しぶりではないか!」

 イザナミは淡々と言い、宇迦之御魂神は嬉しそうな声音で抱きついた。

「さっそくで悪いが、二人にはここを農作ができるようにして欲しい」

「できるようにするだけでよいのか?」

「せっかく呼んでくれたのだ、穀も与えるぞ?」

「いや、それじゃあ意味がない」

 二人の申し出を鷲はすぐに断った。

「「・・・・・・・・・」」

 二人の神は顔を見合わせると、微かに笑う。

「そういうことか」

「鷲がそうするなら、私はそれに従おう」

 二人は察すると、枯れた大地に手を当てた。それを見たシュテルとユーリは意味が分からず、ただ首を傾げた。

「全てを他人任せにしたら自分のためにならないだろう」

「そう言うことですか」

 鷲の言葉に納得する二人。

 そして、イザナミと宇迦之御魂神が大地に力を注ぎ込むと金色の光に包まれた。

「わぁ、綺麗です」

「ええ」

 それに見惚れるユーリとシュテル。その光は次第に弱まり、消えていった。

「終わったぞ」

「おう」

「鷲よ、頑張った我に褒美はないのか?」

 頭の耳と尻尾を動かして、期待の眼差しで鷲を見る宇迦之御魂神。

「宇迦之御魂神、頑張ったというが然程力を使っておらんだろう」

「イザナミは力を使った報酬がなくてもいいのだな?」

「そんなことは言っておらん。ただ、次の機会にしろ」

 イザナミはそう言うと、宇迦之御魂神の首根っこを掴んで引きずった。

「ああー、鷲~」

「悪いなウカ、また今度」

 ウカとは文字通り宇迦之御霊神の愛称だ。イザナミとウカは魔法陣の中へ消えて行った。

「悪いシュテル、少し寝る」

「体調でも悪いんですか?」

 心配そうに鷲を見つめるユーリに鷲は答えた。

「流石に四人の神を召喚するのは、今の俺にはきつい」

 そう言って、鷲は地面に倒れ込んだ。

「次起きたら、続き、やる・・・・・・」

 そして、鷲は眠った。

 

 




読んでいただきありがとうございます。

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