翠屋から家へと帰ってきた鷲たちは、ドアの前に留まっている。なぜかというと・・・
「ユーちゃん!シュウ君大丈夫かな!?誘拐されたりとかしてないよね!?警察に連絡したほうがいいかな!?」
「・・・・・・」
ドアの向こう側で同居人が騒いでいるからである。まあ、ユークリウッドは筆談で騒いではいないが。
「で、でも、もうお外が暗いのに心配だよ!」
今にも警察に電話しそうだったので鷲は溜息を付きながらドアノブに手をかけた。
―ガチャ―
「へ?」
「・・・・・・」
今まさに電話を掛けるところだったリアとそれを止めようとするユークリウッドが鷲を見る。
「ただいま?」
ガシッ
突然、鷲はリアに抱きつかれた。
「もう!心配したんだよ!暗くなっても帰ってこないから!」
「お、おう」
あまりの剣幕に戸惑う鷲たち。そして、それから小一時間ほどリアからの説教を受けた鷲だった。
「反省した?」
「水溜りより深く」
「むー!」
冗談を言う鷲にリアは頬を膨らませた。
「冗談だ、今度からはちゃんと連絡する」
「絶対だよ?」
「ん」
「それならもういいよ。お腹すいたよね?ご飯にしよ」
そう言って、キッチンに行くリア。そのあとに鷲は続く。
『長かったな』
[ああ、あいつを怒らせるとめんどくさいな]
『そういうことを言うもんじゃないぞ、シュウのことを本当に心配してのことなんだから』
[心配ねえ・・・]
彼には心配される理由が見当たらなかった。昨日会ったばかりの人間の心配なんてするのだろうか。協力者だから?同居人だから?答えを見つけることができない。なぜなら、今まで真紅以外に心配されたことがないから・・・。
そうやって考えていると袖を引かれた。
「ん?」
袖を引いていたのはユークリウッドだった。
「なんだ?」
『リアはあなたが来るのを楽しみにしていた、心配するのも無理はない』
「それは、協力者だから?」
鷲の答えに首を振る。
『あなたが家族になったから』
「・・・・・・」
その文に言葉をなくした鷲は視線をリアの方へと向ける。
「♪」
そこには楽しそうに夕飯の盛りつけをしている少女の姿があった。そして、また袖を引かれる。
『だから、今すぐではなくてもリアを家族としてみてほしい』
「・・・・・・」
「二人でなにしてるのー、ご飯できたよー」
リアに声をかけられ、ユークリウッドはキッチンに行く。しばらく、黙っていた鷲だったが、やがて自分もキッチンに行った。
ご飯を食べ終わり、自室に戻った鷲は同居人について考えた。
―なぜ、赤の他人を家族と言える
―血が繋がっていれば家族?
―一緒に住めば家族?
―互いに認めれが家族?
家族の定義を考えたが、鷲は何もわからなかった。そして、なぜユークリウッドが家族の中に自分を入れなかったのか。
(・・・やめた、考えたってわかるか)
考えるのを放棄した鷲は真紅に声をかけた。
[真紅]
『なんだ?』
[・・・やっぱ、なんでもない。おやすみ]
『・・・ああ、おやすみ』
少し、考えたあと二人は眠りについた。
Side-リア
「ねえユーちゃん」
リアとユークリウッドはリビングでお茶を飲みながら話し合っていた。
「私、シュウ君に嫌われてるのかな?」
リアがそう思うのも無理はない。先ほどの夕食も鷲は黙々と食べ続け、食べ終わるとそのまま、部屋へと行ってしまった。しかし、その質問に首を振るユークリウッド。
『彼は戸惑っているだけ』
「戸惑う?」
『初対面の人間と暮らすことに』
「でも私は平気だよ?シュウ君、良い子そうだし」
あのひねくれ者を良い子と言ったら、一体どれだけの人間が良い子になるのだろう。
『皆、リアのような人間じゃない』
「そっか、もう少し時間をかけないといけないのかな」
その言葉に首を縦に振るユークリウッド。
「わかった。私、シュウ君と家族になれるようにがんばる」
『がんばって』
「もう、ユーちゃんも一緒にがんばるんだよ」
「・・・・・・」
そうして、リアは決意を胸に明日からまたがんばろうと決めた。
次回はついに敵を登場させる予定です。どんなのにしようか・・・。