不思議な彼の優しい話   作:白兎さん0

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最初の証言

そうですね、私から彼への第一印象は最悪、この一言に限りますね。

なにせ空間の裂け目・・・いや、紫さんの物ではなく。

本当にひび割れたような・・・。空間からふざけた格好をして現れたんです。不審者と思っても仕方ないでしょう。

 

 

 

どんな格好か、ですか?

後から聞いたんですが[ぴえろ]、というものの恰好だったらしいです。

顔だけなんですけどね。[すーつ]というものを着て、[しるくはっと]というものを被ってました。

涙のマークが顔に付いていたんですが、その意味は教えてくれません。

ただ、聞いた時に一瞬悲しそうな顔をし、もう聞いてほしくないような雰囲気でした。

もう聞きませんよ。

 

 

 

えーと、彼の強さは・・・わからない、というのが妥当ですかね。

戦ったことがないわけではないんです。

一番最初、突然現れた時に一度本気で殺す気でかかりました。

殺す気、だったんですけど・・・。

確かに当たったはずの攻撃が当たっておらず、確かに避けたはずの攻撃を当てられたんです。

本当に不思議な戦い方・・・いや、彼は戦ってすらいなかったのかもしれません。

その時も武器などは一切使わないで、道具ばかり使ってました。

爆弾に見せかけた花火、剣のようなただの棒、みたいな感じで。

流石に私もおちょくられたかと怒りましたよ。

 

 

 

そのあとは騒ぎを聞きつけた幽々子様に止められまして、彼は客人として招かれるようになったんです。

その時は、ですけど。

え?今はどうかですか?

いまは彼は立派な住人です。

幽々子様が彼を気に入ってしまいまして。

私は・・・、勿論反対しました。

そんな得体のしれない存在を迎え入れるわけにはいかない、と。

 

 

 

だけど、幽々子様に言われて彼とお話しした時、彼は悪い方ではないな、となぜか思ったんです。

なんでなんでしょう。いや、理由はないんです。

私の直感ですかね。あ、この人は悪いことは絶対にしないな、と思ってしまったんです。

 

 

 

勿論その後、今まで彼は一切の悪事を働きませんでした。

悪戯というのは数えきれないほど行いましたがね。

庭の手入れをしている私の目の前で小さな花火を爆発させたり、みたいな。

怪我とかはしていません。と言うより、彼が怪我しないように気遣ってくれたんでしょうね。

 

 

 

ただ、そんな優しい彼も一回だけ本気で怒ったことがありまして。

あれは霊魂のうちの一つが私の大事に育てていたお花を荒らしたときです。

私は残念に思いましたがまた育てればいいかな、ぐらいにしか思わなかったんですが・・・。

 

 

 

その時の彼は尋常ではなかったです。

後ろから今までに感じたことのない、この世の物とは思えない殺気を感じて思わず振り返ると・・・。

彼が居たんです。全身から隠しきれていない恐ろしい殺気を放って。

向けられていない私も恐怖を感じました。

そして彼は、荒らした霊魂を恐ろしく気持ちの悪い見た目をした、ナニカ別世界の生き物の姿をした刀をどこからか取り出して食べさせてしまいました。

 

 

 

その後、彼は何かを呟いたかと思うと刀を消し、いつもの笑顔で、私を心配してくれたのです。

いつの間にか恐ろしい殺気は消えていて。

そうして、私が育てていたお花と同じお花で出来た花束を[しるくはっと]から取り出して私にくれました。

 

 

 

彼は、とても優しいかたですよ。

幽々子様も仰っておられました。稀に見る素晴らしい方だと。

 

 

 

では、私は春を集めるよう言われておりますのでこの辺で。

彼も働いてくださっているのです。

私も頑張らないと。

 

 

 

それでは。

 




暫くはこっちを投稿していきます。
不定期になりますが、よろしくお願いします。
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