魔法科高校の攘夷志士   作:カイバーマン。

10 / 53
第十訓 旅出&結成

銀時達が蓮蓬のいる星へ向かう為に地球から出発する数十分前。深雪達のいる世界でもまたとんでもない事態が起こっていた。

 

その異変を最初に知ったのはなんとも意外な人物であった。

 

「今日の空はよく雷が落ちてくるな……」

「おい服部! なにまたのん気に空なんて眺めてるんだ!! こんな時でもラピュタ探しか!!」

 

生徒会室で一人遠い目で空を眺めていた服部の元へドアを蹴破るように勢いよく入ってきたのは渡辺摩利。

遠くの方で街中を襲っている様に降り注がれている謎の落雷に危機を感じてすぐ様生徒会長である七草真由美を呼ぶ為にここへ来たのだった。

 

「真由美はいないのか!? 服部以外の生徒会も見当たらないし一体何処へ行ったんだ!」

「……」

 

真由美達が1年E組の教室にいる事を知らない摩利が生徒会室内で叫んでいても服部は相変わらず魂が抜けてるかのように天を仰ぐだけ。

しかし

 

「あれ? え?」

 

気のせいだろうか、降り注がれる落雷を避けていくように大きな雲が動いてる様に見えた服部。

目を凝らしてもう一度そちらに目を細めると

 

雲というより巨大な建造物が動いているように見えた。あんな物を前にも一度空で見たことがあるような……

 

「あれって……」

 

しかも今度はその上空に浮かぶ巨大物体は雲の中に隠れず徐々にこちらに向かって迫ってくるように見えた。

次第にはっきりとわかってきたシルエット、服部はもう空ではなくその物体をジッと凝視する。

 

「いやまさか、え……」

 

空中に浮かぶ巨大な建造物、その言葉が頭を巡り、もしかしたら……と服部がある物を連想している中、グングンと凄い勢いでこちらに向かって飛んでくる物体が遂にはっきりと見える程に近づいてきた。

 

その建造物は街とも城とも要塞とも呼べる見た目をしていた。

 

まるでその物体を支えて浮かしているかのように巨大な球形状の様な物が底に内蔵されており。

城壁のような壁には所々に何百年も育って来たかの様な巨大な苔が付着し、その壁の上にはかつて人が住んでいた事を証明するかのように白い家の様なものが一つの街の様に並んでいる、そしてその街を護るかのように巨大に生い茂った大木が街の上に立っていた。

 

そう、これはまるであの……

 

「ラピュタァァァァァァァァァ!!!!!」

「うおぉ! どうしたいきなり叫んで! って!」

 

最近ずっと寡黙でボソボソ声しか出していなかった筈の服部が目を血走らせて口を大きく叫ぶ。

その叫び声に近くにいた摩利がビックリして窓の方へ振り返ると

 

「ギャァァァァァァァ!! なななななななななななななんだアレェェェェェェェェェェ!!!!」

「ラピュタァァァァァァァァァァァァ!!!!!」

「おい服部!! お前一体何処へ行く!?」

 

思わず声が超振動起こすほどパニックになる摩利を尻目に服部は雄叫びを上げながら生徒会室から全速力で出て行く。

残された摩利もすぐに彼の後を追いかける。

 

「数日前からの各国代表による暴動事件や有力な権力者達の間で起こっている暴走。そして街に降り注がれる雷に今度は天空の城の出現……! 一体この世界に何が起こっているって言うんだ!!」

 

数々の疑問が頭に浮かんでくる中で摩利はとある友人が傍にいない事を悔やむ。

 

「あの破天荒でバカな生徒会長ならこの事態、どう切り抜けようとする……!」

 

言ってる事は滅茶苦茶でやる事成す事も予想を遥か斜め上にロケットで飛ぶ様な人物。

それでも摩利は知っている、彼女はどんな状況になろうと自分を曲げずに貫き通そうとする強い信念を持っている事を。

 

七草真由美、彼女ならこの混乱した状況を打破するのか。

今は傍にいない彼女を思いながら、摩利は何かに向かっている様な服部に追い付こうと急いで駆けるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、七草真由美はというと司波深雪と共に学校の屋上へと来て頭上を見上げていた。

 

「これはもはや船というより城なのではないのだろうか」

「いや城とか船とかそれ以前に……」

 

真上の上空で丁度止まった巨大物体を見上げながらのん気に呟く真由美を尻目に深雪は頬をヒクヒク動かしながら

 

「まんまラピュタじゃねぇかぁぁぁぁぁぁ!!! こんなモンどっから用意しやがった! ジブリスタジオか!?」

 

金曜ロードショーで何度も観た物が現実に目の前で現れたことに深雪が驚愕をあらわにしていると「アハハハハ!」と千葉エリカが上機嫌でやってきた。

 

「コイツは以前わしが達也達と一緒に海の中で見つけた古代文明の建造物じゃ。前に将軍様にその事を話した事があったんじゃが、まさかそいつがこげな力を持っとったとはの~!」

「将軍様なんちゅうモン目覚めさせちまってんだ! おいヤベェよ! こんな所でモタモタしてるとゴリアテ来ちゃうよ! 早くロボット兵で迎撃しないと!」

 

深雪が慌てた様子で上空のモノを指差しているとその建造物の下にある球体の底に2メートル程の穴が開き、その穴からエレベーターを使ってるかのようにゆっくりと下降しながら降りてくる男が現れた。

将軍徳川茂茂こと司波達也。

 

「うむ、皆の者待たせたな今しがた最終工程を済ませてきた」

「何当たり前のように浮きながらゆっくり降りて来てんのこの将軍様!?」

「太古の昔に眠らされた秘宝に刻まれた古式魔法にのっとり宇宙船に改造してみた、さらに次空間を干渉し蓮蓬のいる狭間に辿り着く為のデバイスも装着しているので迷う必要はないだろう」

「将軍様異世界の知識どんだけ吸収したんだよ! こんなモンを一人で宇宙船に改造するとかハイスペックにも程があるよ!?」

 

 

もはやどこからツッコめばいいのか分からないほど将軍の恐るべき手腕に深雪が叫んでいると達也はフッと笑い。

 

「余はほとんど何もしていない。これ等を全てやってくれたのはこの世界の者達だ。この世界の命運を託し、我等がきっと成し遂げてくれると信じて」

「いや将軍様、あなたこんな見知らぬ世界でラピュタ一つ動かせる連中なんかとどうやって繋がりを……」

「十師族という数多の一族の中で一際特別な名門の一族達がいてな」

 

十師族とは4年ごとに行う「師族会議」で改選される。「その時代に強力な魔法師を数多く輩出している」という順に選ばれた10の一族を指す物であり。

いわば日本で最強の魔法師集団。表立った権力を放棄する代わりに、国家の裏で不可侵に等しい権力を手にしているのだ。

そして達也は

 

「その一族皆の力を借りてこの宇宙船を造り上げてみた」

「将軍様よその世界でなにやってんの!?」

「見ず知らずな余の話を彼等に聞いてもらうのに時間がかかった、四葉からの協力は得られなかったが。たかが十の一族との交渉事に一ヵ月もかかってしまいすまなかった」

「いやよくわかんねぇけどそれ滅茶苦茶難しい事だと思いますよ将軍! 一ヵ月でそいつ等全員まとめ上げるって尋常じゃないぐらいとんでもねぇ事だと思うんですが!? 原作でも未だそんな事やってのけてないと思いますが!?」

 

こちらに非礼を詫びる達也だが彼が行った事は常人では、ましてやこの世界の事をほとんど知らぬ異世界の者が成し遂げられるものではない。

それをなんとなくで察した深雪が声高々に彼にツッコミを入れていると、隣にいた真由美が腕を組みながら納得したように頷く。

 

「ほう、俺の実家である「七草家」が最近騒がしいと思っていたが、よもや将軍自らスポンサーになってくれなどという交渉が行われていたのか」

「いやお前の実家じゃねぇから」

「だがそれしきの事で俺が認めると思ったか、この桂小太郎。その程度の功績で貴様の首を飛ばせるこの好機を見逃す様な真似はせぬ」

 

そう言って真由美はどこから調達したのか黒い鞘に納められた刀の柄に右手を置く。

 

「知りたい事はわかったし空へと飛び立つ準備も出来た。ご苦労だったな将軍、褒美として一足早く天へと昇らせてやろう」

「おいヅラ! テメェいい加減に!」

 

そう言ってニヤリと笑ったまま真由美が達也目掛けて刀を引き抜こうとするのを深雪が止めようとしたその時

 

「今すぐその刀から手を放してくれないかしら? 七草さん、いや桂小太郎」

 

真由美の後頭部すぐ後ろにチャキッという音と共に真っ黒な拳銃の銃口が彼女に向けられていた。

その銃を右手に持つのは深雪達でさえ気づかずに忽然と現れた黒髪ポニーテールの20代ぐらいの女性。

独立魔装大隊所属・少尉、藤林響子だ。

 

「我等が茂茂将軍に刃を向けるという事は国防陸軍一〇一旅団を敵に回すという事、まさかこの世界の軍隊一つとまともにやり合おうだなんてだいそれた事考えてないわよね?」

「オイィィィィィ!! 誰だこの綺麗なネェちゃん!! いつの間に出てきた!?」

「なんだとぉ!! 将軍貴様! まさか十師族だけでなく軍事組織まで手中におさめていたのか!?」

 

自分の後頭部に銃口を突き付けながら物騒な事を言う彼女に驚いて思わず叫ぶ真由美。

すると達也は冷静に頷き

 

「余の身体の持ち主である司馬達也という男は独立魔装大隊の隊長であられる風間玄信(かざまはるのぶ)殿とは旧知の仲であったらしい。それが発端となり彼等とも友好的な関係を築くことに成功した」

「茂茂将軍に仇なす者全てに死を、国防陸軍一〇一旅団に新たに作られた鉄の掟です」

「友好的っつうか完全にあなたの忠実なる部下になってるんですが将軍!? ウチの世界どころかこっちの世界でも将軍!?」

 

魔法装備を主兵装とした軍事組織、国防陸軍一〇一旅団。どうやら達也は十師族だけに及ばず彼等にも声を掛けて協力を求めていたらしい。

 

その事実を聞いて真由美がまだ柄に手を置いている刀をガタガタと震わせた後ゆっくりと手を放し

 

「フハハハハハ! いやですねぇこんなのただの冗談ですってば! さあ将軍殿! 我等攘夷志士と共に手を取り合ってこの世界を救いに行きましょう!!」

「無かったことにしやがったコイツ!」

 

その手で達也の手を取って固く握手しながら高笑いする真由美。

さすがにこの場で軍隊を相手にするなど出来ないと考えたらしい。

無理矢理なかったことにしようとする彼女に深雪が呆れていると軍の一人である響子はあっさりと拳銃を懐に仕舞うと達也に敬礼。

 

「茂茂将軍様、風間少佐からの指令で私が将軍の護衛役兼古式魔法の操作役として共に宇宙へ行く事となりました、将軍様の身は私が命をかけて全力でお守りします。将軍の命を狙う怪しい輩がおりましたらすぐに私が始末するので」

「ハッハッハ! なぁに心配はいらん! 我等が将ちゃんの命を狙う下賤な愚か者などこの桂小太郎がたた斬ってやるわ!!」

「おいネェちゃん、そいつ撃っていいぞ」

 

急に心変わりして将軍の命は自分が護るなどのたまう桂をジト目で見ながら深雪が響子に言うと、彼女は

 

「出航前は特に危険です、ですので将軍様の命を狙う可能性が少しでもありそうな者には……」

「ん?」

 

真由美はふとある事に気づく、何やら視界にチカチカと赤い光が見えるような……

 

「数キロ範囲からすぐにでも狙撃魔法を放てる者をここら一帯に配備していますので彼等に狙撃してもらいます」

「おいヅラ、お前顔面赤い斑点だらけになってんぞ、性病か」

「性病ではない! 狙撃手が俺を徹底的にマークしているのだ!!」

 

自分を指差す深雪に追及されて真由美はやっと気付いた。

チカチカと見える赤い光の正体が遠くから狙っている将軍護衛役の狙撃手のレーザーポインターだと

 

「俺は違うぞ! 俺は決して将軍を亡き者にしようだなんて考えは持っていない! 高杉だ! 高杉の方を狙え!! アイツは絶対将軍を亡き者にしようと企んでいるぞ!」

「どの口がほざいてやがる、おいネェちゃん、さっさと発砲許可取ってコイツ撃ち殺せ」

「ちなみにあなたもよ」

「あ?」

 

かつての友であるのに容赦なく撃ち殺せと響子に言う深雪。

しかし響子の方はスッと彼女に胸の所を指を向けて

 

「少しでも変な真似したら心臓撃ち抜かせてもらうわ」

「だぁぁぁぁぁ!! なんで俺にも赤い斑点1個付いてんだぁ!!」

 

自分の左胸に向けてレーザーポインターを当てられている事に初めて気づくと深雪は目を見開いて慌て始める。

 

「先程から将軍様に対するツッコミの仕方が馴れ馴れしいのよね」

「ツッコミの仕方の問題!? いやおたく等は知らないだろうけど俺達の世界じゃこんぐらいのツッコミが普通なの! ツッコミに身分は関係ないの! ツッコむ方もツッコまれる方も皆平等なの!」

 

腕を組んで怪しむ響子に深雪が必死になって抗議しているとそれを見ていたエリカが面白そうに笑い

 

「アハハハハ! ヅラと銀時は初めて会うきに、軍の連中に警戒されているんじゃ! その点わしは将軍様と入れ替わる前の達也と軍の船に一度遊びに行った事があるんで連中とはとっくの昔に仲良しぜよ!!」

 

そう言うエリカに深雪が振り返ると

 

彼女の身体至る部分が赤い斑点で埋め尽くされていた。

 

「ってお前に至っては全身真っ赤に光らせてんじゃねぇか! 何が仲良しだ完全に抹殺対象になってるじゃねぇか!!」

「あっれぇぇぇぇぇ!? 響子ちゃんこれどういう事ぉ!? わし将軍殿になんも良からぬ事考えてないんじゃが!?」

「ああ、大丈夫よ、あなたの場合は将軍様の事は関係ないから。あなたの場合一度達也君と軍の船を見学してきた時に軍の最高機密兵器に盛大に吐瀉物ぶっかけたおかげで壊した時から暗殺リストに載ってるだけよ」

「なんじゃそげな事で狙われとったんか、全くわしのこの華麗なスタイルを観察したいんなら直接顔合わせればいいだけの事じゃろうに。軍のモンは皆恥ずかしがり屋じゃのう、アハハハハ!!」

「ポジティブ貫き通すにも限度があるだろ! 全身穴だらけになる寸前で平然と笑ってる場合か!!」

 

全身くまなく狙撃手に狙われた状態で腰に手を当てヘラヘラ笑っているエリカに深雪がツッコミを入れていると

 

「ラピュタァァァァァァァ!!!!」

「ん? おい、服部君がすげぇ顔でこっち走ってきてるぞ」

「なに! ハンゾーくんが!」

 

屋上まで一気に駆けてきたらしい服部がいきなり現れた。上空に浮かぶ巨大宇宙船の後を追ってここまで来たらしい。

必死の形相でこちらに向かって走ってくる彼に真由美はバッと両手を広げて

 

「さては俺と別れる事を悟って連れ戻しに来たのだな! だが残念ながら俺は行かねばならんのだ! 確かに俺もおぬし達生徒会と別れるのはツラい! しかし別れを惜しんでばかりではお互いに前に進めぬぞ! ここは俺と熱い抱擁を交わして踏ん切りをつけ……どぅふ!」

「ラピュタァァァァァァァァ!!!!」

 

こちらに向かって走ってくる服部を熱いハグで受け止めようとする真由美だが、天空の城にしか視界に映らない服部は飛び上がって彼女の顔面を踏みつけるとそのまま更に勢いをつけて飛び上がり

 

そのままフワフワ~っと球形の底にある達也が使っていた自動浮遊エレベーターに乗って中へと入ってしまった。

 

「おい服部君ラピュタに乗り込んだぞ! 念願の夢が叶ったかのように一瞬幸せそうな笑み浮かべてたぞ!」

「フ、どうだ銀時これでわかったであろう。ハンゾーくんは魔女宅派ではない、ラピュタ派だ。やはり俺の読みは外れていなかった」

「いやどうでもいいわそんな事!」

 

顔面を踏まれたのにめげずにこちらに勝利宣言する真由美に深雪が叫んでいると、生徒会室からずっと服部を追っていた摩利がこちらに向かって走ってきた。

 

「ゼェゼェ! あれ服部のやつ何処入った! って真由美に司波! お前等今までどこに……ってこれはさっき見た天空の城じゃないか! 一体何がどうなっているんだ!!」

「うむ、出て来て早々ナイスリアクションだ摩利殿」

 

荒い息を吐きながら目の前で立ち止まって状況の整理が追いついていない彼女に真由美は無表情で両手をまた広げ

 

「さあ俺と熱い抱擁を交わしキッチリ別れよう!」

「なにいきなり気持ち悪い事言ってんだお前! いつお前と私がそんな関係になった!」

 

なぜに抱きしめて来ようとするのか意味がわからない様子の摩利はすぐ様深雪の方へ振り返り

 

「司波! 頼むからこの状況を説明してくれ!」

「あ~ちょっと俺達ラピュタで宇宙へ行ってこの世界を侵略しようとしている悪の軍団叩き潰してくるからみたいな?」

「みたいなってなんだ! そんなわけのわからない説明で納得できるか!」

 

小首を傾げながら何とか説明してみる深雪だが摩利はイマイチピンと来ていない様子。すると深雪に代わって達也が前に出て

 

「ならばここは余が説明するとしよう」

「っておい! 行方不明になっていた司馬君までどうしてここに!」

「いや待たれよ将軍、俺と摩利殿は生徒会長と風紀委員長として共にこの学び舎を支えてきた同志だ。説明なら俺からする」

「将軍!?」

 

いきなり現れた達也にも驚きだが更に将軍とまで呼ばれてることにもはやリアクションが追いついていない摩利に真由美が歩み寄る。

 

「摩利殿、今まで隠していてすまなかった。実は俺は本物の真由美殿ではない、ここにいる深雪殿も、そして達也殿も体は同じだが全く異なる世界からやってきた者達なのだ」

「……よくわからないがつまりお前は真由美ではなく全く別の所から来た人間というわけか?」

「そうだ、そして俺達の本物の体には本物の真由美殿の魂が入っている、つまり俺達は全く別の世界に住みながら体が入れ替わってしまった者達なのだ」

「……」

 

突拍子もない真由美のない話にかろうじてついていきながら摩利は無言で彼女の話を聞く。

 

「そしてこの現象を打破するため、俺達はこの現象を引き起こした元凶を叩く為に奴等のいる宇宙へと行かねばならない。死ぬかもしれん戦だが案ずるな、おぬしの大事な友はこの”桂小太郎”が全力で救って見せる」

「……どうやらいつもみたいにふざけてる訳じゃないようだな」

 

いつもと様子が違う真由美に神妙な面持ちで彼女の話を聞いた後、摩利は静かに頷く。

 

「ならばその戦、私にも手伝わせてくれ」

「な! 馬鹿なことを言うな摩利殿! こんな危険な事におぬしを付き合わせるなど俺は!」

「正直まだ半信半疑だが、困ってる友人を助けるのに理由なんて必要ないだろ、真由美も、そしてお前も私は助けたい」

「!」

 

七草真由美だけでなく桂小太郎も救ってみせると言われて目を見開く真由美に摩利は微かに微笑む。

 

「短い付き合いだがもうお前も私にとっては友人の一人だよ、桂小太郎殿。無茶苦茶な事ばかり言っていたがもう一人の生徒会長として一生懸命にやっていたお前を責めるつもりなど毛頭ないしむしろ少々楽しかったと思えたぐらいだ、私も共に戦わせてくれ、桂」

「……」

 

凛とした強い眼差しでそう言われて真由美はただその目を黙って見つめていると脇から深雪が後頭部を掻き毟りながら

 

「ヅラ、ここまで言われちまったらもう俺達がとやかく言うのも無粋ってもんじゃねぇのか」

「そうだな……友の頼みであれば全力で応えるのが侍というものだ」

 

深雪にそう言われて真由美はフッと微笑んだ後摩利の同行を許した。そして頭上に浮かぶ天空の城へ顔を上げると

 

「ところでラピュタに乗り込んでしまったハンゾーくんはどうすればいいのだろうか」

「いいだろ一緒に連れてってやれば、服部君はラピュタを見つけるのが夢だったんだ。乗せてやるのが筋ってモンだろ」

「うむ、ハンゾーくんなら致し方ないな」

「お前私には反対しようとしたクセになんで服部に対してはそんな甘い判定で許可してるんだ!! ていうか服部もうコレに乗り込んでいるのか!?」

 

服部に対しては何かと甘い二人に摩利が早速ツッコミを入れていると、エリカが後ろから手を叩いて

 

「アハハハハ! まさかわしの所の次兄の婚約者ば連れて行く事になるたぁ思わんかったわ! こりゃあますます本腰入れて奴等止めにいかなきゃの!」

「ってまさか千葉お前まで! ってなんでスポーツサングラスなんて掛けてるんだ……?」

「ああそいつ俺達と同じ入れ替わり組みだから」

 

グラサン掛けてるエリカに摩利が怪訝な様子を浮かべていると深雪がけだるそうに事情を話す。

 

「あ、ちなみに俺は坂田銀時だから、万事屋やってまーす」

「わしは坂本辰馬ぜよ! 宇宙をまたにかけた貿易商人じゃ!」

「なるほど、そして達也君は」

「徳川家第十四代征夷大将軍、徳川茂茂である」

「……お前達の世界は一体どんな世界なんだ」

 

深雪、エリカ、達也の本名と素性を聞いて頬を引きつらせると摩利はふとある少女を思い出した。

 

「……もしかして中条もか?」

「ああ高杉の事? アイツはいいよそっちにあげる、俺達の世界に戻ってきても長編やらシリアスやらでめんどくせぇしよ」

「出来るかそんな事! 中条がずっとあのままなんて耐え切れるか!」

「大丈夫だってあんなチビ、どうせ年がら年中頭の中厨二なだけなんだから。この腐った世界をぶっ壊すー的なことしか言えない可哀想な子なだけだから……」

 

ヘラヘラ笑いながら深雪が人がいない所で勝手な事を言っていたその時。

 

「誰が可哀想な子だ、可哀想なのはテメェの頭だろ」

「ギャァァァァァァ!!!」

 

深雪の後頭部に刀の鋭い先端が突き刺さる。

悲鳴を上げ、後頭部から血を噴出しながら彼女が振り返るとそこには血が滴り落ちる刀を持った中条あずさの姿が

 

「適当に得物取ってきた、馬鹿な事言ってねぇでさっさと行くぞ」

「テンメェ深雪さんの頭になに刀刺して涼しい顔してんだコラァ! お兄様コイツ撃ち殺してください!」

「いや待ってくれ、少しこの者と話しておきたい事があるんだ」

 

血を流しながらあずさを指差して深雪が叫んでいると達也があずさの前に出る。

 

「高杉晋助、そなたとは桂と同様いずれは己の首を賭けて戦うべき相手。しかし此度の戦だけは手を取り合って共に戦ってほしい、共に新しき世を護る為に」

「そうかい、じゃあ俺の返事はコイツだ」

 

そう言ってあずさは手に持った刀をサッと素早く横薙ぎに振るい達也の首筋にピタリと当てた。

その瞬間、離れた場所から狙撃している魔法師から一斉にレーザーポインターを向けられる。

将軍護衛役の響子もすぐに拳銃を取り出して真由美の時と同様あずさに銃口を突きつけた。

 

「攘夷志士というのはどれも血気盛んね、刀を下ろしなさい」

「くだらねぇ駆け引きだ……俺を殺せるなら殺してみろ、だが」

 

全方位から狙われてる状況の中あずさは口元を歪ませる。

 

「その前にお前等の護りたい将軍様の首が飛ぶぜ」

「……」

「高杉、このような事にうつつを抜かしてる間も、今こちらの世界だけでなく我等の世界が宇宙からの敵によって少しずつ蝕まれている」

 

あずさに首筋に刀を突き付けられてもなお達也は全く動じず冷静に彼女に話しかけ始めた。

 

「天人を害悪とみなし排除しようとするおぬしが、この様な所で無駄死にする気ではあるまい」

「……命乞いか」

「そう、命乞いだ」

 

こちらを睨み上げるあずさに達也は目を逸らさずにしっかりとした口調で正直に答える。

 

「余はまだこんな所で死ねぬ、ましてやこの身は達也殿の体。そう安々とこの首を渡すわけにはいかぬのだ、そしてそなたの体もそなた自身の体ではないであろう、そなたもまだこんな所では死んではならん、互いに死する時は我々の世界で我々の身体で相見えよう」

「……とことん甘い野郎だ」

 

自分だけでなくこちらの身も案じてると知ったあずさは面白くなさそうにフンと鼻を鳴らすと刀を達也の首筋からサッと引いた。

 

「その首しばらく残しておいてやる、将軍の首は将軍の時に刎ねらねぇとなんの価値もねぇからな」

「ああ、いつでもかかってくるがいい」

「将軍様よろしいので?」

「うむ、彼等と共に戦わねば星一つ墜とす真似など出来やしない」

 

刀を鞘に納めてこちらに背を向けるあずさ。どうやらやる気が失せたらしい。

警戒しながら話しかけてきた響子に達也ははっきりと返事する。

 

「ところで余が異国で見つけた”あの者”は?」

「それが坂田銀時という男がいると聞くと顔を真っ青にして、彼等が来る前に宇宙船に乗り込んで引き篭もってるみたいです」

「そうか、同じ”入れ替わり組”であるから仲良くできると思ったのだが、やはり上手くはいかんな」

「「将軍様の事は御守りするが野郎にこのツラ見せるなら腹切ったほうがマシだ」とも言ってました」

「わかった、出来るなら恥など捨てて共に侍として戦って欲しいのだがな、来たるべき決戦に備えてもらうとしよう」

 

響子からとある人物の様子を聞いた達也はため息をしつつもいずれ彼等が戦うときが来たら剣を取ってくれるだろうと期待するのであった。

 

「では将軍様、私達も船に」

「うむ、では参ろうか」

 

促されて達也は彼女と共に船(?)へと向かっていった。そして真由美もまた摩利の方へ振り返り。

 

「俺達も行くぞ、真由美殿を救いに」

「ああ」

「……ところでリンちゃん殿はどうした?」

「いや私は知らないぞ、アイツの事だからもうお前の所に来てると思っていたんだが?」

「なに! 俺は見ていないぞ! 駄目だ! リンちゃん殿に俺は随分と助けられてきたのだ! せめて礼と別れの挨拶を!」

「なに言ってんだもう時間ないだろう、礼なら私が帰ってきた時に伝えておいてやる」

 

まだ市原鈴音と別れの挨拶をしていないと戻ろうとする真由美を摩利が無理矢理連れて行って乗船し、あずさも続いて歩き始める。

 

「……」

「待ってくれ高杉さん」

 

しかしその足がピタリと止まり後ろへとゆっくり振り返るあずさ、その視線の先にいたのは。

かつて完膚なきまでに叩きのめした桐原の姿が

 

「すまない坂本さん、準備が遅れた。俺もこの戦に参加させてくれ」

「なんじゃおまん! まさかわし等と一緒に宇宙行くつもりかぁ!?」

「ああ、俺にはまだあの男にどうしても見せなきゃいけないモンがある」

 

驚くエリカを尻目に桐原は手に持った横長のアタッシュケースをあずさに見せるように上げる。

 

「俺の戦いをアンタはチャンバラごっこだと称したな。それをこの戦いで撤回させる為に俺は来た」

「……そいつはおもちゃかなんかか、悪いがテメェの相手なんざもうごめんだ。ガキの遊びにこれ以上付き合うつもりはもうねぇよ」

「そう言ってるのも今の内だ、俺は絶対に認めさせてやる。この世界の剣を」

「……今度は俺の目見てもビビッてねぇようだな」

 

真っ向から対峙しあずさの鋭い眼光に対して決意が感じ取られる強い眼差しで対抗する桐原。

しばらくしてあずさはプイッと彼に背を向けると

 

「俺はテメェ等の世界の剣なんざどうだっていい、それでも何かを認めて貰いてぇなら勝手にしろ。テメェが死のうが俺には全く関係ねぇしな」

「そうさせてもらうさ、アンタはただ歩いていればいい、その背中を俺が追う。それだけだ」

 

言葉を交えながら二人は船へと乗船してあっという間に行ってしまった。

 

「後はわしとおまんだけになってしまったのぉ銀時」

「別に俺はいつでもラピュタに乗ろうと思えば乗るつもりだよ、ただちょっとオメェに聞きてぇ事があってよ」

「なんじゃ急に?」

 

二人になった状態で深雪はエリカに一つずっと秘めていた疑問を投げかけた。

 

「俺に司波深雪の住所教えたり木刀よこしたり高杉の居場所教えてくれたのは、全部オメェの仕業か?」

「……なんじゃそりゃ? わしはそんな事やった覚えもないし仲間にやらせた覚えもないぞ?」

「じゃあ将軍か?」

「将軍様はおまんが来るまでずっとあっちこっち飛び回ってたんじゃ、そんな真似する暇ないぜよ」

「……じゃあ一体何処のどいつが……」

 

いまだ正体すら判明できぬ協力者、ひょっとしたらエリカか達也かもしれないと思っていたのだがどうやら的が外れたらしい。

一体誰なのだと深雪がアゴに手を当て考えていると

 

「坂本さん!」

「おお、おまん等やっと来おったか! わしゃはてっきり別れの挨拶もせずに来ないんじゃないかと心配しとったんじゃぞ!!」

 

ふと前方からエリカに向かってやってくる三人が。

エリカが入学式からずっと学校生活を楽しんでいた西城・レオンハルトと吉田幹比古、柴田美月だ。

 

「クラスメイトが遥か彼方の宇宙に飛んでいくっていうのに見送りすっぽかす程落ちぶれてねぇよ、まあ俺は見送りに来た訳じゃねぇけどな」

 

そう言ってレオは得意げに長旅に使うような荷物袋を持ち上げる。

 

「俺は桐原さんと違って大層な目的がある訳じゃないが、達也やアンタの力になる為に一緒に連れてってもらうぜ」

「アハハハハ! なんじゃそういう事か! 構わん構わん! それじゃあわしとお前で達也の奴を助けにいこか!」

「おうよ!」

「二人共そこはエリカの事も助けるって言ってあげてよ……」

「でも私も入学式で一度会ったきりだから本物の千葉さんの事たまに忘れちゃうんだよね……」

「柴田さん!?」

 

二人仲良く肩を合わせて互いの首に手を回すエリカとレオ、そして申し訳なさそうな美月に幹比古が思わず叫ぶ。

 

「申し訳ないですけど僕と柴田さんはここに残る事にします、今の僕じゃ坂本さんの足を引っ張る事になるので……」

「すみません私も……戦いには自信なくて」

「そげな事で謝らんでもよか、こっちもついて来いなんて無理強いするつもり毛頭ないんじゃ。来たいモンだけ来て、残るモンはここで自分が為すべきモンを探しとったらええ」

 

そう言ってエリカは二人の肩にガシっと手を置く。

 

「いずれ事が済んだら本物の坂本辰馬としてまたこの世界にやってくるきん、そん時に皆で盛大にパーッと打ち上げやろうと思ってるけ、じゃからそん時の為に皆で盛り上がれるような店探しといてくれ」

「え、坂本さん一体どうやってまたこっちの世界に来るんですか!?」

「アハハハハ! 細かい事は気にすんな! わしにかかれば異世界の一つや二つ楽々乗り込めるもんじゃき! 何なら終わったらすぐこっち来てもええの!」

「相変わらず無茶苦茶だな……まあそんなあなただからこそ、僕も一緒にいて楽しかったですよ正直」

 

いつもと変わらずヘラヘラ笑いながらとんでもない事を言ってのける相手に肩をバンバン叩かれながら幹比古もまた微かに笑う。

そして美月の方はエリカの方でなく深雪の方へ

 

「あの、銀時さんでいいんですよね? 深雪さんの事、よろしくお願いします」

「ああ? 心配しなくてもちゃんとボディーチェンジしてくるって。俺だってこんな身体じゃパチンコもいけねぇしコンビニでエロ本も読めねぇんだ」

 

こちらに頭を下げてきた美月に深雪はいつもの調子でけだるそうに答える。

 

「頼まれなくともこちとら勝手にやるってぇの。だから心配すんな、テメェのダチぐらい取り返して来てやんよ」

「はい、ありがとうございます」

「じゃあ俺もう行くから」

「あ、待ってください!」

 

肩を鳴らしながら船へと向かう深雪を美月があわてて呼び止める。

 

「ほのかさんと雫さんには何も言わなくていいんですか?」

「お前等と辰馬と違って、俺とあいつ等はたかが数日たまに一緒にいた程度の仲だ。別れを惜しむ程の間柄じゃねぇよ」

 

光井ほのかと北山雫の名が出るとは思ってなかった深雪、しかし美月の問いかけに彼女はその必要はないと断言しながら振り返ると

 

「いや丁度今ここに来たんですけど」

「すみません遅れました! あの! 宇宙食合わなかったらどうしようと思って近くの食料の調達を!」

「狙いは銀河系一のカブト」

「っておい! いつの間に現れたんだよ! しかもついてくる気まんまんじゃねぇか!!」

 

美月の隣についさっき来たかのように荒い息を吐きながら両手に大量のハンバーガーやらポテトやらが入っている紙袋を持った光井ほのかと。

なぜかむぎわら帽子を被って虫取り網を手に持ち、虫かごを肩に掛けた北山雫が涼しげな様子で立っていた。

 

「まずなんで食料調達にマックをチョイスしてんだよ! そんなモン時間経ったらパサパサになっちゃうだろうが! せめて缶詰とか長持ちするモン買ってこいよ!!」

「すみません私一度缶詰指で空けようとしたら切っちゃった事あるんです、それっきり缶詰系はダメで」

「知らねぇよ! お前のクソしょうもない過去なんて! パサパサのハンバーガー食って喉カサカサになってろ!!」

 

平然と答えるほのかに叫んだ後、続いて深雪は雫を指差す。

 

「お前に関しては意味わからねぇよ! どうして虫取る気まんまんの格好なんだよ! これから宇宙行くって聞いてなかった!? 宇宙でカブト獲れると思ってんの!?」

「宇宙でカブト虫取りに行くなんてなかなか出来る事じゃないよ」

「バカ丸出しなお前の考え自体がなかなか出来る事じゃないよ!!」

 

もはや戦いに赴くというより裏山でピクニックする感覚の二人に深雪は顔を手で押さえながらハァ~とため息を突く。

 

「勘弁しろよ、お前俺の正体なんざもうとっくにそこのメガネ娘にでも聞いただろう? だったらこれ以上俺に付き合う義理もねぇだろうが、俺はお前等の友人の深雪じゃなくて万事屋銀さんなんだよ」

「でも私達だって深雪やお兄さんを助けたいって思いは一緒だよ!!」

「いや俺はアイツ等よりもさっさと自分の身体取り戻したいだけなんだけど」

「いいのもう強がり止めて! 私は銀さんの事ちゃんとわかってるから!」

「はぁ? 何が?」

 

丁重にお断りしてさっさと追い払おうと思っていた深雪だがいきなりほのかがズイッと手の平を突き出して

 

「私達に心配かけまいとそうやって意地張るような真似しなくいいの! 本当は一刻も早くお兄さんに会いたいんでしょ!」

「なんで俺がお兄さんに会いたがってる事になってんだよ!」

「ほのかは思い込みが激しいから」

「思い込み激し過ぎて俺が変な性癖持ってるみたいになってんだろうが!!」

「最近私とほのかもそういう男と男の世界があるって事をクラスメイトから聞いた事あるよ」

「おいそのクラスメイト俺の前に連れて来い! 屋上から筋肉バスターかけてやる!!」

 

何やらこの少女の頭の中ではとんでもない勘違いが生まれてしまっているらしい。

焦りながら深雪は必死に否定し始めるがそんな事ほのかはお構いなしに話を進める。

 

「今までのツンデレな態度が深雪でなく銀さんであったなら……つまりそれはそういう事だってわかってるから。なら私達も深雪を助ける為に、銀さんはお兄さんを助ける為に共に行こう!」

「わかってない全然銀さんの事わかってない! アレはただ単に適当に言ってただけだから!!」

 

まさか適当な事を言い過ぎた事がここで仇になってしまうとは……

激しく後悔している深雪に雫がポンと肩に手を置き

 

「ほのかの思い込みはいつもの事だから気にせず行かないとこの先やっていけないよ」

「この先ってマジでお前等ついてくる気なの……?」

「深雪を助けたいってのもあるけど」

 

雫はふと疲れた様子の深雪の顔をジッと見つめる。

 

「あなたがどんな人間なのか個人的に興味あるから」

「……ただの侍だよ俺は」

 

どんな理由だと内心ツッコミを入れながら深雪はため息を吐いてクルリと踵を返して彼女達に背を向ける。

 

「もういいやめんどくせぇ、ついてくるなら勝手にしろよ。その辺で死んでも知らねぇからな」

「うん!」

「了解」

「よし」

 

二人が了承すると深雪は腕を組みながら頭上を見上げ、巨大な宇宙船をゆっくりと見上げる。

 

「新生万事屋異世界ver結成だ」

 

そう言って深雪は背中に差してあった木刀を一気に引き抜き肩に掛け歩き始めた

 

「最初の依頼は二つの世界を救う、ま、ひよっ子のお前等には手頃な依頼だな」

「そうだね」

「そうなの!?」

 

今ここに二つの世界が大きく動き出す。

 

 

 

 

 




これにて物語は一段落、舞台は地球から宇宙へと移動します。
二つの地球からそれぞれ飛び出し、そして遂に入れ替わった面子との初対面が待っている事でしょう。
ストーリーもいよいよ中盤、一体どんな事が起きるのやら、どんな人物が出て来るのやら、どんな人物と入れ替わっているのやらお楽しみに

それとマズい事に作者はちょっと前から病気になってしまったので、キリのいいこのタイミングでしばらくお休みさせて頂こうと思います。2週間以内には帰って来ると思いますがそれまでしばらくお待ちください。それでは

PS もう片方の銀魂クロスSSはとりあえず週一ペースで連載します

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。