魔法科高校の攘夷志士   作:カイバーマン。

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年内完結はやっぱ無理そうですな、うん


第四十三訓 紳士&淑女

前回のあらすじ

 

SAGIにより蓮蓬の星は暴走し、遠路はるばる地球まで進めて墜落を開始。

 

星と星の衝突により地球壊滅は確実。

 

それを直面させて自分に二度の刃を向けた地球人達に、更なる絶望を与える事こそがSAGIによる最期の謀略であったのだ。

 

地球落下まで残り少ない時間の中、銀時達に残された手は……

 

「地球の外見上を見る限り、わし等の世界の地球じゃないのは確かじゃ」

 

坂本辰馬の所有する宇宙船、快臨丸は既に蓮蓬の星から脱出し、地球へとどんどん迫っていく蓮蓬の星を少し離れた位置から見ていた。

 

モニターに映るその光景を眺めながら、副艦長である陸奥は地球がこちら側の世界の方ではないと判断した。

 

もしもこちら側の地球であれば、地球にはびこる天人達が宇宙船で我先にへと逃げ出す姿が見える筈だからである。

 

「どうするぜよ艦長、このまま見捨ててもわしらの世界は安泰のままじゃぞ」

「陸奥、そういう問いかけは必要なか。聞かんでもわかるじゃろ? あの地球にはわしの気の知れた友人達が沢山いちょる、それら見捨てて生き延びる事などわしには到底出来ん」

 

艦長である坂本辰馬は腕を組みながらモニターから目を逸らさずにそう返事していると、後ろから一人の人物が駆け足で迫る。

 

血相変えた様子で明らかに焦っている土方十四郎だ。

 

「おいなんとしてでも地球壊滅を阻止しろ!! あの地球が消滅したらここにいる連中は全員俺達の地球に来るって事じゃねぇか! それだけはダメだ! それだけは勘弁してくれ! 俺はもうコイツといるのはゴメンだ!!」

 

そう必死に叫んでいる彼の背後では

 

自称・土方十四郎の妻ことリーナが、真選組の局長・近藤勲に深々と頭を下げている姿が

 

「ウチの夫がお世話になっております、この度十四郎の奥方となりあなた方の世界に永住する事となったアンジェリーナと申します」

「おお、これはこれはどうもご丁寧に、ってトシお前結婚すんの!? おめでとう! 帰ったら真撰組総出で結婚式上げようぜ!!」

「ふざけんなアンタまでなにそいつに乗せられてんだ! しかもなにお祝いムード醸し出してんの!? そこは普通おかしいと思えよ!!」

 

リーナの言葉をありのまま受け入れてすぐに朗らかな表情で祝福する近藤に土方がすぐに振り返ってツッコミを入れた。

 

「ほら見ろ! このままだと俺は地球に戻ったと同時にそのまま役所にゴーって流れになってるんだよ! 頼むから死ぬ気で考えて奴等の星からあの地球を護ってくれ!! もしくはこの世の役所を全て爆破しろ!!」

「そうは言ってもの、考えるには考えてるんじゃが、星の大きさを誇る隕石をどう止めればいいのやら」

「わし等の戦力であの星を破壊するのはどうじゃ?」

「それはまず無理ぜよ、アレはわし等の船で総攻撃しても堕とせる代物じゃなか」

 

坂本の単なる集中砲火を浴びせて落下を防ぐという策を、陸奥はすぐに無理だと判断して首を横に振る。

 

「前回以上にバカでかくなっちょるあの星ば破壊するには、今の数十倍の戦力が必要となるきん。それでも止められるかどうかわからんがの」

「ふうむ、SAGIの巣穴へ出向いて説得なんちゅう事もどうせ無理っぽいし……こりゃあちとマズイ事じゃの」

「ちとマズイってレベルじゃねぇんだよ! 地球が一つ消し飛ぶ程の超ピンチなレベルなんだよ!」

 

武力行使も難しい、かといってSAGIを説得する事も到底無理、二人が頭を抱えているとまたもや土方が叫び声を上げながら後ろを指差し

 

 

「そしてこの俺自身も超ピンチなんだよ!」

「あなたー、式は和式にする? それとも洋式? 引き出物はあなたと私のプリントが入ったお皿でいいわよね?」

「ほらもう式の段取り決めようとしてる流れだよ彼女! 参加者が一番貰っても嬉しくない引き出物を用意しようとしてる真っ最中だよ!! もうどこからどう止めればいいのか俺もう全然わかんねぇよ!」

「落ち着け鬼の副長、確かに地球もお前さんもピンチなのは確かじゃが、わし等が慌てていては助けられる命も助からん」

 

着々と土方が逃げられない様にすでに準部を始めているリーナを指差しながら慌てふためく土方を陸奥が諭していると

 

今度は船の壁側にもたれて体育座りしている一人の少女が、こちらを恨みがましい目つきで睨んできながらブツブツと呟いている。

 

陸奥と坂本とは少々縁の深い異世界の地球人、つまり今自分の故郷である地球が壊滅されかけているのをこの場で黙って見る事しか出来ない一人である千葉エリカだ。

 

「もういいわよ全部諦めなさいよ、今更ジタバタ足掻こうとしても無意味なのよ、どうせみんな消えてなくなるのよ、どうせみんな死ぬのよ、アタシ等がやるべき事はもう一つしかないわ、地球と一緒にアタシ達も死ぬのよ……」

「坂本さん! なんかコイツすっごいネガティブになってんだけど!? いやネガティブっつうか破滅願望的な思想に染まっててめっちゃ怖い!」

 

一人で目を虚ろにしながら不吉な言葉を呟き続けるエリカを心配して見下ろしていたレオが坂本に報告するも。

 

彼は慣れた様子で手を振りながらヘラヘラと

 

「あーほっとけほっとけ、きっと目の前で自分の故郷が破壊される事を知って落ち込んでるだけじゃ」

「誰が落ち込んでるって言うのよ! アタシはもう今更何もしても遅いから潔く諦めろって言ってんの!」

「今度は表情一変してキレやがった! なんなんだコイツ! 地球壊滅の危機よりもコイツの情緒不安定な所が怖い!!」

 

急に立ち上がるや否や、拳を掲げてキレ気味に怒鳴り声を上げながら坂本陸奥の方へと歩み寄るエリカ。

 

一瞬でコロコロと変わる彼女の様子に、レオはもはや自分の地球の存在よりも彼女の存在に怯え始めていた。

 

「アタシだって本当は悔しいし故郷がなくなるのはツライけど! 星一個を止めるなんてもうアタシ達じゃ出来っこないでしょうが!」

「全くおまんはわし等とずっと行動しておいてまだわからんのか、不可能を可能とするのがわし等商人じゃて」

「じゃあどうすんのよ! 今から宇宙の辺境に行って核ミサイルでもショッピングしようって言うの!?」

「アハハハハ! んなもん買っても金の無駄だじゃ、それにそげなモン使わずともわし等にはこれ以上ない最強の武器が揃っちょる」

 

ヤケクソ気味に訴えるエリカを笑い飛ばしながら、坂本は目の前にあるモニターを操作する機械をピッピッと押してみる。

 

すると大画面モニターの右端に別の画像がパッと現れた。

 

そこに現れたのは、坂本のかつての戦友、坂田銀時だった。

 

どうやら服部に助けられた後、既に別の船に乗って脱出していたらしく。真顔でこちらを見つめていた。

 

「おう金時、おまんもなんとか助かっておったみたいじゃの、さっきのわし等の話も全部聞いておったか?」

『テメェ等の話そっちが繋げてくれた音声から大体聞き取れていたぜ、地球が俺達の世界でなく異世界の地球だってのは本当か?』

「陸奥が言うとるんじゃから確かじゃ」

『そうか……』

 

モニター越しで会話しつつ、こちらの情報が事実だと知ると、銀時は短く返事して真顔から徐々にしかめっ面へと変わり……

 

『くそ負けた、ほれ300円』

『ほらやっぱり私が言った通りじゃないですか』

『チクショウ、ぜってぇ俺の所の地球だと思って賭けたのによ』

『少しはご自分の星がどの様な姿だったか覚えておきなさい』

「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!? なにしてんのおまん等!?」

 

モニター画面で銀時の隣に突如、司波深雪が現れたと思ったら、渋々自分の財布から小銭を取り出して渡す銀時の姿が

 

何やらおかしなやり取りをしている二人に坂本が思わず叫んでいると、彼等は同時に振り返って

 

『いや今地球がヤバい事になってんじゃん? そんでここで指咥えて待ってるのもヒマだから、コイツと「あの地球はどちら側の地球なのか賭けようぜ?」って持ち掛けてたんだよ』

『そして私が勝ちました』

「この緊急事態を前になに縁起でもない賭け事してんじゃおまん等! しかもおまん等もしかして自分達の地球だと思って賭けとったんか!? 自分側の地球が滅ぶ筈だと思って300円出し合って!?」

『300円、これで地球に戻って学校の食堂で昼食が買えます、丁度お腹が減った頃だったので』

「その食堂ごとそちらさんの星が消えそうなんですが今!?」

 

はした金を手に取って嬉しそうにしながらも無表情のままの深雪に、坂本が慌ててツッコミを入れていると

 

今度は左端の方からも別の船からの中継画面が

 

『坂本、そちらの状況はどうだ? 話を聞く限りあまり芳しくないみたいだが?』

「おおヅラか! おまんの方も助かったようで何よりじゃ!」

 

右端に銀時が映ったままの状況で、今度は左には同じく元戦友の桂小太郎がドアップで現れた。

 

かつては4人の中でも生粋の知恵者として活躍していた男が無事だと知って、坂本は嬉しそうに声を漏らす。

 

「おまんがいれば百人力じゃ! ここは一緒にあの地球が助かる方法を考えるぜよ!」

『フ、言われなくてもわかっている。例え俺達の地球でないとしても、しばらく世話になっていた恩義は返さねばならん。それこそが侍の務めというものだ、この俺の抜いた刃を使いたくばいくらでも手を貸すぞ』

「アハハハハ! ほんにこういう緊迫した状況だと頼りになる男じゃのおまんは!」

『ドロー4!!』

「え? ドロー4?」

 

いきなり大声で叫ぶ桂に坂本が若干驚いていると、桂サイドのモニターがずれて、床に座っている彼と向かいで対峙する様に七草真由美もまた座っていた。

 

そして彼等の手には複数のカードが

 

『残念、ドロー2×2枚出しです!』

『なに! 待たれよ真由美殿! ドロー4はドロー4でしか打ち消せないのがUNOの基本ルールだぞ!」

『え? ウチの地球ではドロー4が出された場合、ドロー2を2枚所持していれば2+2で疑似的にドロー4として融合出し出来るんですけど?」

『融合出しってなんだ!? おい坂本聞いたか! どうやら向こうの地球のUNOのルールは俺達との地球とは違うらしいぞ!!』

「いやなにこの緊急事態でUNOやっとんのおまん等ぁ!?」

 

互いに床にカードを叩きつけながらタイマンによる熱い対戦を繰り広げている桂と真由美。

 

どうやら坂本達の話を聞いている状況の中、二人はただ普通にUNOで盛り上がっていたらしい。

 

『坂本、俺はいついかなる時であろうと武士としての生き方をまっとうするのみだ。だからこそ挑まれた勝負で逃げる訳にはいかない。それが例えUNOであろうと!!』

「全然カッコよくないんじゃが!? つうかおまんの所の会長はなげに自分の地球破壊されかけてる時におまんにUNO挑んだ!?」

『私が勝ったら洋式、桂さんが勝ったら和式で行うという、これもまた私達の大事な戦いです』

『ん? 洋式? 和式? どういう意味だ真由美殿? 厠の種類の事か? 確かに俺は和式派だな、しゃがみ込む方がよく出る気がするのだ』

「おいヅラ! おまんが気付かぬ間に会長もこっちの金髪嬢ちゃんに負けず劣らず事を進めとるぞ! はよ気付け!!」

 

笑顔で意味深な事を呟いて来た真由美に桂は首を傾げながら理解していない様子。

その二人のやり取りを見て桂よりも先に真由美の思惑に気付いた坂本が慌てて彼に向かって叫んでいると

 

今度は桂達の映る画面の下に更なる中継映像が映り出る。

 

銀時、桂に比べてかなり凶悪な面構えをしている攘夷志士、まさかの高杉晋助だ。

 

『テメェ等の声がやかまくして仕方ねぇ、おい坂本、全艦への音声通話をさっさと切れ』

「って高杉ぃ!? まさかおまんの方から連絡かけて来るたぁ思わんかったぜよ!」

『坂本、かつて同じ釜の飯を食った仲だ、テメェぐらいには別れの挨拶でもしておこうと思ってな』

「わ、別れ?」

 

急に彼から連絡が飛んでくるとは夢にも思わなかった坂本に対し、高杉は口元に微笑を浮かべたままサラリと呟く。

 

『俺はこのままテメーの地球の下へと帰る。あばよ』

「えぇぇぇぇぇぇぇ!? 帰るって何を言うとるんじゃ! わし等の世界のせいでもう一つの地球が大変な事になっとるんじゃぞ! 何一人で勝手に帰ろうとしてるぜよ!」

『俺を屈辱にまみれさせたあんな星なんざさっさと滅んじまえ』

「ですよねぇ! よくよく考えたらそちらはなんも楽しい思い出ないまま過ごしていらっしゃったんですものねぇ!」

 

そういえば銀時や桂、そして坂本とは違い高杉はロクな思い出が無い。

あの天人、幕府にさえ恐れられていた高杉晋助にとって、幼い姿をした少女の姿で短い期間を過ごしていた思い出など、とっとと消し去りたいという思いしかなかった。

 

『俺には関係のねぇ話だ、いやむしろ消滅してくれた方が俺としては都合がいいぐらいだ』

「あ~高杉、確かにおまんにとっては苦い経験ばかりじゃったかもしれんが……」

『長話での説得はごめんだぜ、それよりちょいと待ってろや』

「え?」

 

彼の言い分に坂本が頬を引きつらせながらぎこちない感じでなんとか説得を試みようとしていると

 

高杉が映る画面が突然ガクンと下にズレて、彼の全身が露わになる。

 

右腕には抜かれた刀がしっかりと握られていて

 

その傍で手と足を縛られて猿轡を口にされた状態で、怯えながらこちらに目で助けを訴えている中条あずさの姿が

 

『テメェの話は、俺の過去の汚点である象徴を始末してからいくらでも聞いてやる』

『んー!んー!』

「ギャァァァァァァァ!! 高杉ちょっとタンマァァァァァァ!! それだけはイカン! それだけはやっちゃダメぜよ!! 例えその身体をこの世から消してももうおまんの過去が消える事はなか!」

 

淡々とした口調で高杉が涙目のあずさに向かって刀を振り上げる光景を画面越しに見ながら坂本が叫び声を上げて止めようとする。

 

そして同じくまだ中継が繋がっている銀時と桂もまた

 

「何故にそげな事になっておるんじゃ! しばらく体を交換し合った仲じゃろ!? 仲良くせんか!」

『銀時やヅラじゃあるまいし、ガキと仲良く手ぇ繋ぐ真似なんざ死んでもごめんこうむるぜ』

『おい聞き捨てならねぇな高杉くんよ、俺とコイツがいつ仲良く手ぇ繋いだ? 言っておくが俺達はアレだぞ、ぶっちゃけ互いに死ねばいいのにとしか思ってねぇから』

『フン、お前達は全く成長せんな、相手がおなごだからといって変に興味ないという態度を張りおって、中学二年生か貴様等は』

『中学二年生はテメェの頭だろうが! つーかヅラ! なんでテメェだけそんな仲良くやっていけてんだよ! ずっと年下の娘と仲慎ましくやってるとか気持ち悪いんだよ!』

『そいつは同感だ、ヅラ、テメェまさか武市と同じ性癖持ち合わせてるんじゃねぇか?』

『何を根拠にその様なデタラメを! 貴様等そこに直れ! 武士を侮辱した罪でたたっ斬ってくれるわ!』

『上等だやれるモンならやってみろこのロリコン侍!』

『あ、銀時、それお前にだけには言われたくないから、いやホントマジで』

『なんでいきなり冷静にツッコミ入れてんだよ!』 

「だぁぁぁぁぁぁぁぁ!! わしを置いて勝手に喧嘩すんなおまん等!! 喧嘩すんならわしも混ぜろ! 実はわしもおまん等に言いたい事が山程……!」

 

勝手に三人で口論を始め出したので坂本もまた身を乗り上げて負けじと加わろうとする、だがその瞬間

 

背後から彼の後襟をグイッと掴み上げ

 

「おいモジャモジャ頭……! これのどこが核ミサイルよりも強い最終兵器よ……! 揃いも揃ってただのバカ共じゃない……!」

 

頬を引きつらせながら明らかに怒っている様子のエリカがそれを阻止した。

 

「一人は賭け事、もう一人はUNOに夢中、挙句の果てには自分と体を交換し合った仲の相手を始末しようとするサイコパス野郎……!! こんな連中でどうやってアタシの地球を救うって言うのよ!!!」

「い、いやおまんも落ち着け……こんなのいつもの事じゃから気にすんな。コイツ等は昔からこうして互いにいがみ合いながらも幾度も窮地を脱してきたんじゃ……こげな喧嘩もやり続けてる内にすぐに飽きるきに、その時を待っていればきっと……」

「んなもん待ってる間に地球が先に滅ぶわよ!!」

 

彼女に後ろ襟を掴まれたまま坂本は「アハハ……」と力なく苦笑して弁明しようとするも激昂しているエリカには全く通じない。

 

全く持って最悪の雰囲気、このまま仲間割れをしている間にも刻々と蓮蓬の星が地球へと迫っているというのに……

 

しかしそんな時だった。

 

「艦長! 我々の艦ではない所から中継映像が!」

「は? わし等の艦以外から?」

「映像出ます!」

 

乗組員の一人がエリカと揉めている最中の坂本へ叫ぶと、大画面のモニターにブゥンと他の三人よりも大きめに幅を取って現れる新たな映像画面。

 

そしてそこに映るのは

 

『諸君、子供じみた喧嘩はもうその辺にしたらどうかね?』

「お、おまんは!」

『は、服部大佐!』

『服部君だと!?』

 

現れた人物はまさかの複数の名を持つ服部であった。

 

彼が現れた途端驚く銀時と桂、そして坂本もまた彼が何処の艦から通信して来たのかすぐに察する。

 

無論、天空の城からだ。

 

『我々にはもう時間があまり残っていないのでね、ここいらで少し君達に特別な力を授けてあげよう。ラピュタに眠る秘蔵の力を』

「ちょっとあの先輩何言ってんの? 頭おかしくない?」

『おいクソアマ! 服部大佐を侮辱すんじゃねぇ! 服部大佐が本気になればテメェみたいなガキ跡形もなく消し飛ばせるんだぞ!!』

『その通りだ、服部君はやれば出来る子、きっとこの様な状況を打破する策を既に考えているに違いない、流石は我ら生徒会の副会長だ』

「そしてこの二人は何で異様なほどあの先輩を持ち上げようとするのよ?」

 

ほくそ笑みを浮かべながら掛けた眼鏡をクイッと上げる仕草をする服部を眺めて、ついエリカがボソッと呟いた途端、急に銀時が怒りだし、桂の方は満足げに頷きながら服部に対して敬意を示している。

 

よくわからない状況にエリカがジト目で顔をしかめていると、画面に映る服部は話を続ける。

 

『時は来た! 今こそ我々が動く時だと思わんかね! あの歪に創り上げられた巨大な星を止めて見せようではないか!』

『ほう、よその地球を護る事なんざ興味ねぇが、まさか今の戦力だけであの星を止めるって言うのか? 面白ぇ、そいつの方法とやらを是非お聞かせ願おうじゃねぇか』

「げ! あの高杉って人まで服部大佐の話に聞く態度に! あの先輩何者!?」

「わしら四人をまとめて揺さぶるとは大した器じゃ、ラピュタの王と名乗るのもあながちハッタリではないかもしれんぞ、あの坊主」

 

わざとらしい口調で囃し立てて来る服部に高杉もまたニヤリと笑いながら聞く態度に。

 

一癖も二癖もあるこの連中をこうも惹きつけるとは……

 

エリカがますます服部の持つ類稀なるカリスマ性に唖然としていると、彼は高々に両手を掲げ、自分達を見下ろすように

 

『喜べ諸君! かつて体を共有し合った四組の者達よ! 今から君達は私と同じく地球を救う救世主となるのだ!!』

「四組って……それってつまり」

「金時と深雪ちゃん、ヅラに会長、高杉とあのちっこい娘っ子。そんでわしとおまんじゃ」

「はぁ!? アタシまで加わってんの!? 一体あの人何を企んで……!」

『最後の役者が揃った、ではそろそろ見せてあげよう……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『時を経てもなお進化し続けた大いなるラピュタの力を!!!!』

 

 

次回、二つの力が一つに……

 




久しぶりに魔法科高校の劣等生の原作を読み直しました。


不思議と心が痛かったです


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