もしどら! ~もしもドライグが見目麗しい幼女だったら?~   作:ボストーク

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皆様、こんばんわ。
ちょっと執筆が長引き結構、久しぶりの深夜アップになってしまいました(^^

さて今回は、ちょっと閑話的な感じで、フリードの過去(捏造)にスポットライトを当ててみようかと思ってます。

二次でも割と貧乏くじを引くことの多い彼ですが、果たして”この世界”では……?




第10話 ”ちょーきれいなふりーど”

 

 

 

さて、物語を始める前にフリード・セルゼンという白髪の少年について語ってみよう。

要はイントロダクションのようなものである。

 

この少年、フリードは元はと言えばテンプル騎士団、聖ヨハネ騎士団と共に中世ヨーロッパの三大騎士修道会の一つ”チュートン騎士修道会”の流れを汲む、正統派修道会の正規”悪魔祓い(エクソシスト)”だった。

 

その修道会は修道騎士の本懐である「異端を排除して信徒と宗派を守護する」ことを重んじていたため、人を堕落させる悪魔を狩る尖兵たるエクソシストは重用され、神父という高い地位を与えていた。

 

フリードは騎士団始まって以来の神童エクソシストであり、最年少で正神父へと駆け上がった将来を嘱望されていたのだが……

 

だが、彼はある計画……後に責任者/関係者が異端の烙印を押され破門や追放処分にされた”聖剣計画”、その阻止作戦に参加したことにより、持っていた価値観を修正せざる得なくなる。

 

幸い、被験者の少年少女達は薬殺(毒ガス)処分するギリギリのところで阻止できたが、人類救済の名目の元で行われた数々の非道な人体実験に、大きな疑問を感じたのだ。

 

それは日本ならまだランドセルを背負ってる頃の少年が目の当たりにする光景にしては、あまりに戦列で残酷だった。

 

 

 

***

 

 

 

彼はその後も、教会の対応に疑念を持った。

そもそもこの非道な計画を了承したのは教会勢力上層部だ。

今回の救出作戦も、実験内容が狂気じみた内容になってきており、それが万が一にも外部に漏れれば教会勢力全体が著しいイメージダウンを喰らう……それを恐れての、言うならば”()()”の一環であり、フリードたち選抜強襲チームはその尻拭いをさせられたに過ぎない。

 

検体の子供達が救助できたのは本当に運が良かっただけであり、教会が重要視していたのは計画の責任者や関係者の捕縛だったのだ。

 

更にフリードの心をかき乱したのは、年齢が近いということで事情聴取をした検体の子供達の証言だった。

 

過酷かつ凄惨、悪魔を既に何体も屠り彼らの所業を目にしてきたフリードからしても非人道的な処遇を、少年少女たちは神への信仰を拠り所に耐え、そして何も知らぬまま殺処分されようとしていたのだった……

 

まだ多感だったフリードが子供達に感じたのは、実は「()()」だった。

そう、人間という社会性動物の良心や道徳というものを容易く破壊し、生物としての生存本能すらも侵蝕する”狂信”というものに感じた恐怖だ。

 

(信仰ってのは、人間の倫理観や道徳心を重視するもんじゃなかったのかよ……)

 

つまり、フリードは計画主導者パルパー・ガリレイと、自分と総年齢が変わらないように見える……ともすれば、ずっと年下に見える検体の子供達の中に、本質的に同じ物を見たのだ。

 

 

 

付け加えるならフリードは事後の対応、関係者達の処分にも不満を持った。

首謀者達が異端の烙印を押され、破門と追放を喰らった……彼の目から見て処分が明らかに軽すぎた。

本来であれば、異端審問会で有罪(異端)の判決が出た以上は、処断するべきだった。

「今、放逐してしまえば、こいつらはどこかで同じ事を繰り返す……」

 

フリードは、そう直感的に判断していた。

そして、この軽すぎる最低が何らかの理由……それも審問会で明らかに出来ないような理由があったに違いないと。

 

 

 

***

 

 

 

”聖剣事件”はフリードに様々な精神的傷痕を残した……

だが、それはすぐに彼が離反した理由ではなかった。

 

彼はその後も現代の修道騎士、凄腕エクソシストとしてメキメキと頭角を現し、”若手最強”と目されるほどにまでなった。

またこの時期、自分の中にある迷いや戸惑いの本質を見極めるため、老獪な戦士であるヴァスコ・ストラーダに師事した事も特筆すべき点だろう。

 

実際、全てでも万全でもないが例え欠片でも確かに受け継いだ高い戦闘力と”()()()()宿()()()()()”により、『ストラーダの後継者』と呼ぶ者もいたほどだ。

 

だが、ある日……彼にとってどうしても看過できない出来事が起きてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***********************************

 

 

 

 

 

 

その日、修行中だったフリードは他の”()()()”の少年少女と同じく、総本山(バチカン)に招かれ、ある施術を受けることになる。

 

それは、『聖剣を扱う力を得るため、天からの祝福を受ける儀式』と説明されたが……

 

(そういうことかよ……)

 

彼は悟ってしまった。

自分の体内に入れられた結晶状の”()()”が何なのかを……

 

(なるほど、そりゃ処断されないはずだぜ。あのクソッタレ共は、きっちり成果を出してたんじゃねぇか……)

 

頭の中で点と点が線で繋がってしまったのだ。

パルパー・ガリレイとその一派に拘束/捕縛命令が出たのは、単に検体たちを全て殺処分するなど方法に問題があった……表沙汰になれば、教会の権威や信仰を傷つけそうなものだったからで、彼らの研究自体は教会上層部はずっと認めてきたのだ。

 

子供達に施された数々の過酷かつ非人道的な行いも、きっと「必要悪」として黙認されてきたに違いない。

だからこそ、バチカンはこうして”聖剣計画”の成果物を手にしてるのだろう。

 

(いや、むしろ生きたまま放逐したってことは、上層部はまだまだガリレイのクソ野郎共を利用する気なのかもしれねぇな……)

 

あの聖剣に狂気じみた執着を見せる連中は、教会を追放された程度じゃ何も諦めやしないだろう。

きっと同じ事を繰り返す……

 

(だから同じく、大義名分の下に再び成果を奪えばいい、か)

 

 

 

そこまで考えが及んで、フリードは自分にショックを受けた。

正確にはそんな魂胆、あるいは邪推かもしれないが……教会の後ろ暗く醜い部分に考えが及んでも、ショックを受けてない自分にショックを受けた。

 

嫌悪感すらわかない。落胆も無い……「教会なら、その程度の汚い真似はするだろう」と冷静に受け止めていた。

自分はいつからこんなにも教会を”()()()()”で見ていたのだろう……フリードは自問自答するのだった。

 

 

 

だが、自分と同じく結晶を受け取った子供達は瞳を輝かせ、”天の大いなる恩寵”に心からの感謝を捧げ、教会への固い忠誠を誓っていた。

同時にそれはフリードにとってひどく滑稽、あるいはグロテスクに見えるものだった。

だが、彼の受難は終りはしなかった。

 

事もあろうに彼は、この因子受諾(アクセプト)と同時に編成されることになった『若手の人工聖剣使いのみで構成される剣客集団』、”クルセイド・ソーディアンズ”の隊長に任命されたのだ。

 

彼に拒否権など無かった。

 

 

 

***

 

 

 

実際に年端も行かぬ少年少女を率いることは彼に多大な精神的苦痛を強いた。

既に当時、一流エクソシストとして、あるいは神童でありストラーダの愛弟子と目されていたフリードは、まだ半人前どころか生まれたての雛程度の、人造の聖剣使いにとって尊敬と羨望の的だったからだ。

 

そのキラキラとした憧れの眼差しで見つめられるとばに、既に神への信仰心も教会への信頼も失っていたフリードは、ひどく心かき乱された。

 

だから彼はせめて彼が培った技術を新前たちが出来る範囲で叩き込み、戦いで生き残る術を可能な限り教えた。

 

客観的に見て、フリードはよくやっただろう。

実際、少なくとも最終訓練までの彼の評価は著しく高かったのだ。

だが初陣で……

 

 

 

それは運が悪かったとしか言いようが無い。

当たったのがよりによって、市場へ流す商品の確保……”人狩り”の為に地上へやってきた下級悪魔や中級悪魔を引き連れた()()()()だったのだ。

 

本職のエクソシストが来るまで、彼ら彼女らはよく戦った。

特に激闘の末に単騎で上級悪魔をしとめたフリードの活躍は特筆に価するだろう。

 

だが、援軍が来るまで三名の少年少女が死に、その倍に匹敵する重傷者やPTSD(シェルショック)患者がでて再起不能になり、軽症者や復帰可能者は、全体の半分程度でしかない……

 

フリードを含め、無傷のものなど誰も居なかった。

 

 

 

***

 

 

 

フリードは、教会に還俗する……つまり離反する意思を伝えた。

これは上層部を大いに驚かせた。

 

なぜならフリード自身の評価と違い、教会の解釈から言えば”クルセイド・ソーディアンズ”の戦果は合格どころか想定以上の大金星だったからだ。

 

対峙した勢力から考えれば、フリードを除いて全滅してもおかしくない敵に対し、彼は半分も生き残らせたのだ。

 

しかも72柱にこそ名を連ねてないが、純血の上級悪魔まで狩ってる……繁殖に難がある純血悪魔、それも大物をしとめられたのだから、出た損害を補って余りあると考えていたのだ。

 

だが、フリードはそう考えてはいなかった。

 

「”聖剣計画”なんてタブー上等の穢れた計画の成果物で作られた、イビツな”()()()”で出来ることなんてここまでなのさ」

 

ようやく上層部は、フリードが”()()”を掴んでいたことを理解したのだった。

 

そして、彼はなおもこう告げた。

 

教会上層部(あんたら)がやってることは、パルパー・ガリレイと同じどころか更に輪をかけ鬼畜外道の所業だぜ? まさか、それに気付いてねえのかよ?」

 

 

そしてフリードの存在を危険視した上層部はその場で追放を言い渡し、彼は望みどおりに放逐された……

 

無論、生き残ったクルセイド・ソーディアンズには何一つ真相が伝えられないまま、ただ「教会より無期限追放された」という事実のみが伝えられた。

 

こうしてフリードは、”紫藤イリナ”をはじめとするソーディアンズの子供達に声をかけるどころか顔を一目見ることさえ許されず、教会から姿を消したのだった。

 

 

 

***

 

 

 

ただ最後に、これが救いになるかはわからないが……

フリード・セルゼンは無期限追放処分にはなったが、永久追放処分にはなっていないし、実は破門や除名にもなっていない。

 

無論、パルパー・ガリレイと違い別に異端審問会で異端の烙印を押される……どころか異端審問会に取り上げられることも無かったので、異端でも教会の敵でもない。

 

それどころか、口止め料のつもりなのだろうか? 教会サイドは随分と”退()()()”を奮発してくれたようだ。

少なくとも普通の金遣いの男一人なら、平均寿命辺りまで遊んで暮らせる金額だったらしい。

 

その計らいと意味に苦笑しつつも、フリードは「貰える物は貰っとくか」と気軽に受け取った。

彼の中には、もはや教会に期待するものなど何も無かったのだから。

 

 

 

こうしてフリード・セルゼンは、欧州のとある街の裏路地に、こじんまりとしたオフィスを開くことにした。

『悪魔祓いを含む、人外案件まで対応可能な万屋』というコンセプトなので、華やかな表通りに店を開く必要など無かった。

 

どうせ依頼を持ってくるのはどこか後ろ暗い連中ばかりで、そして自分の名はそこそこその手の輩には売れてるはずなので、特に心配もしてない。

きっと今頃は自分が追放されたことも広まってることだろう、と。

 

ただ……

オフィス開店早々に舞いこんだ最初の案件が、まさか”()()()()()”になるとは夢にも思わなかったが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆様、ご愛読ありがとうございました。
”この世界”のフリードを掘り下げてみたエピソードは、如何だったでしょうか?

というかサブタイ通りに”超綺麗なフリード”になってたでしょうか?(^^

現状の彼は、「教会とは確執はあるが、嫌悪はしてない。嫌悪するほど強い思いを感じていない」って感じでしょうか?
ただ、元”十字聖剣団(クルセイド・ソーディアンズ)”の子供達には思うところがあるみたいですが……

チラッとオチみたいに出てきましたが、どうやらオフィス開いた最初の案件が駆け込み寺代わりに使われ、女の子が一人いついてるみたいですよ?
それが誰なのかは、おそらく次に明らかになるのではと。

それでは皆様、また次回お会いしましょう!

ご感想や評価などをいただければ、とても嬉しいです。

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