もしどら! ~もしもドライグが見目麗しい幼女だったら?~   作:ボストーク

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皆様、こんばんは。
思いのほか長くなってる欧州ステージ、今回はエンカウントのようです。
誰が誰にとは申しませんが(^^





第11話 ”とらいあんぐらー、そのいんとろ”

 

 

 

フリード・セルゼンの朝は早い……という訳でもない。

基本的に電話なり来客なりと依頼があったときが始業時間というスタンスであるらしい。

殿様商売もいいとこではあるが、しかし無理もないといえば無理もない。

 

元々、人外がらみ……まともな仕事など舞いこまない類の万屋稼業だ。

数十年前に”Being Unknown(起源不明) Adversarial Creature(敵対的生命体)”……”BUAC(バック)”なんて得体の知れない化物が現れて、人類は半減どころか滅亡の瀬戸際まで立ち、その時に人類を色々な意味で”(エサ)”としていた伝説上の存在、天使だの悪魔だの堕天使だのまでが地上世界に現れ、人外同士の丁々発止を繰り広げた結果……

 

この手の需要が生れ、市場と業界が形成された。

とはいえこの業界、まだまだマイナーで昔から教義的/技術的に”祓い”をやってる宗教団体だったり有名どころの魔術結社(マジック・キャバル)が大手というだけで、フリードたちのような個人経営や中小団体を取り仕切るような相互扶助や利益調整を目的とした大きな業界団体など未だ存在しない。

 

だから、相場なんてあってないようなものであり、結局のところ依頼主と受け手の交渉で万事が決まると言ってしまえばそれまでの商売で、雇われる側だけでなく雇う側にとっても結構なリスクがあるのだ。

ついでに言うなら、銀行からの融資も受けなければ公的な保護も無い。

ないないづくしだが、”公的には()()()()()()()”なのだから当然だ。

だからこそ、

 

(時間ぐらいは自由でいいだろ?)

 

フリードは今日も心地よいまどろみの中でそう誰かに言い訳する。

 

 

 

***

 

 

 

”Bi------”

 

そのまどろみ(あるいは惰眠)を邪魔するように鳴るのは、客の来訪を告げる無粋なブザーの音。

 

「うっせぇなあ……朝っぱらからなんだよ」

 

フリードの寝起きはあまり良いほうではない。

全裸のままベッドの上からのっそり上半身を起こし、時計を見やると……

 

「……そろそろ起きるか」

 

どうやら社会人としてはかなりダメダメな時間だったらしい。

そして隣でうつ伏せになってスヤスヤと眠る、同じく全裸の少女の小ぶりだが形のいい尻を、

 

”ぺしっ”

 

と叩く。

 

「おい、”ジャンヌ”。起きろ。客だ」

 

すると”ジャンヌ”と呼ばれた西洋系にしては小柄で起伏の乏しい肢体に、フリードと近似の”白銀髪(プラチナ・ブロンド)”の少女は、寝ぼけ眼を擦りながら、

 

「ふぇ? 朝からスパンキング? いいよぉ~。いっぱいイジめて♪」

 

と剣を振り回すときの凛々しさとは真反対のゆるゆる具合で微笑んだ。

フリードは内心「か、可愛い……」と思いつつも、「朝からジャンヌとスパンキング()()プレイ」という魅力的な提案をなんとか振り切る。

ああ、蛇足的個人情報ではあるが、どうやらジャンヌは()()……特に小の方が少々緩い体質らしく、絶頂()けば必ず漏らすので、大抵のプレイにはその属性が冠や語尾につくようだ。

栓の緩さを具体的に言うなら、三国志系エロゲの馬一族の長女とそろそろいい勝負できるんじゃないか?ってくらいだ。

流石は《元》聖女だけあって、きっと”聖水(意味深)”に縁があるのだろう。

 

最近はフリードが面白がって、細い管(カテーテル)入れたりして遊んだりしてる……つまる拡張したり開発したりしてるし、本人も目が虚ろになるほど悦んでるらしいので、この先どうなるか楽しみではある。

 

「そうじゃねぇって。客だよ、客」

 

「もう……無粋ね!」

 

「いいからお前はシャワー浴びて来い」

 

何を隠そう、ジャンヌの雪のように白い肌には昨晩の名残……彼女の肌のあちこちにこびり付いた、フリード由来の彼女の肌以上に白かった液体が乾いて、カピカピになっていたのだから仕方がない。

外側でさえそれなのだから、()()は前も後ろもそれ以上に……カピカピになる以前にまだドロドロだろう。

それにそこはかとなく、うっすらとしたアンモニアっぽい匂いも……

 

「わかったわ」

 

 

 

”ドンドンドン!”

 

ブザーを押しても反応の無いことに焦れたのか、その来客はけたたましくドアを叩き始め、

 

「随分と喧しいわね?」

 

シャワールームに消える前、ジャンヌはそう呟く。

 

『ちょっとフリード! 居るならさっさと出てきなさいよ! この”イリナ”様がわざわざこんな冴えない事務所にまで来てやったんだからねっ!!』

 

ドア越しなので小さい上にくぐもっているが、フリードはズボンをはきながらふと首を捻る。

 

(この声、どこかで聞いたことあるような……?)

 

 

 

『コラーッ!! ”フリードリッヒ・アクセル・フォン・セルゼン”!! 早く出てこないとこのドア斬り倒すわよ!!』

 

「ヲイヲイ」

 

(一体、誰だよ……人がゴミ箱に放り棄てた名前を、大声で叫ぶ阿呆は……)

 

服を着た彼は欠伸一つを突いて、徐に玄関に向かった。

 

 

 

***

 

 

 

「んげっ……イリナじゃねーか」

 

それがドアを開け、前と変わらぬ……いや、ボリュームアップしたように見えるオレンジ色のツインテールを目にしたフリードの第一声だった。

もっとも教会を去った日から、まだ昔話に出来るほど月日は経っていなかったが。

 

「”んげっ”っとは何よ!? ”()()”、それひどくないっ!?」

 

キャンキャン吼えるツインテ少女、”紫藤イリナ”に鼓膜を刺激されながらフリードは顔を顰め、

 

「”隊長”はよせって昔から言ってんだろ? 俺はそんな大層なモンじゃねえって。それにフルネームも禁止したはずだぜ?」

 

「わ、私だって言いたくて言ったわけじゃないもん……」

 

イリナは、『東方貴族(ユンカー)なんて制度がとっくに御破算になってるのに無駄に()()()()()()の本名』をフリードが好いていないことを知っていた。

 

 

 

蛇足ではあるが、”Von(フォン)”と名前に付く以上、フリードは家系的には御先祖様が本家本元の中世三大騎士団、”チュートン騎士修道会”の騎士目録に名前を連ねてたという由緒正しき貴族の家系ではあるが……

歴史の荒波に揉まれ、彼が生まれる以前どころか”BUAC”出現以前に領地も財産も一切合財失ってる没落した()貴族の末裔だった。

 

氏族も散り散りになり、今や天涯孤独の身の上であるフリードに言わせれば、『貴族の残り香だけが残る名前』など無意味であり、むしろ唾棄すべきものと考えていた。

第一、長すぎて署名するのにいちいち面倒臭いではないか。インクの無駄遣いだ。

 

「まあ、いいや。立ち話もなんだし、入れよ」

 

「う、うん」

 

フリードに促されるままに、イリナはちょっとした緊張を顔に出さないように努力しながらドアを潜った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

************************************

 

 

 

 

 

 

「久しぶり……ってほどじゃねえが、今日はどうしたよ? 別に俺っちは教会の機嫌を損ねるようなことをしたつもりはないぜ?」

 

コーヒーを淹れながら、フリードは苦笑気味にそう切り出した。

オフィスに置かれた応接セットに案内され、それなりに古臭いが小奇麗にまとめられた部屋を落ち着かない様子でキョロキョロ見ていたイリナは、

 

「そ、その、用が無ければ来ちゃいけない?」

 

フリードは内心、「その発言はおかしい!」と思いはしたが、

 

「そんなことはねぇがな……どうせ教会の連中には、この場所はとっくに知られてるだろうし。だが、用もないのにイリナがここに来る理由が思いつかん」

 

「フ、フリードが心配だったから……とか?」

 

それを聞いた途端、フリードはきょとんとした後におかしそうに笑い出した。

 

「な、なにがおかしいのよ!?」

 

「半人前が俺っちの心配するなんて、1万と2000年はえーよ。ほれ、飲め」

 

とフリードはコーヒーをイリナの前に置いた。

イリナはマジマジと見て、

 

「……ねえ、砂糖とミルクは?」

 

「相変わらずのお子様舌か」

 

「ほっといてよ!」

 

 

 

***

 

 

 

「んで? 真面目な話、仕事の依頼か?」

 

「う、うん。そうなんだけど……」

 

イリナはちょっと視線を泳がせ、

 

「その前に、一つ聞いていい?」

 

「あん? 別にいいぜ」

 

「あのさ……教会に戻ってくる気、ない?」

 

「ねえな」

 

「バッサリ即答!?」

 

フリードは呆れたような顔で、

 

「ヲイヲイ。俺は追放された身だぜ? ホイホイと戻れるわけねーだろ?」

 

「それはそうなんだけどさ……仮に、仮によ? もし追放が取り消されたとしたら……」

 

「それでもねーよ」

 

「……どうして?」

 

フリードは実につまらなさそうな顔で、

 

「信じる神の違いや宗派の違い、あるいは種族の違い()()で鉄火場で踊るのにうんざりした……そういうことだ」

 

 

 

***

 

 

 

静寂が二人の間を覆った……

 

フリードはプロだ。

そして教会からたんまり……このオフィスを開設を楽勝に出来る額の”退職金(口止め料)”をせしめた以上、自分から進んで契約を反故にする様な真似はしない。

 

だから”本当の理由(聖剣計画の闇)”は言わず一般論で返したのだが、イリナにはそれがどうにも面白くないらしい。

 

どうやって返してやろうか? イリナがとりあえず口を開こうとした矢先、

 

”がちゃ”

 

オフィスの後ろのドアが開き……

 

「フリード、シャワーが空いたわよ」

 

バスタオル一枚巻いただけのジャンヌが御降臨召された。

フリードは、軽い頭痛を感じながら、

 

「ジャンヌ、来客だつったろーが? なんて格好で出てきやがるんだよ」

 

だが、二人は彼の言葉など聞いていなかった。

否、聞きたいことは一つだけだ。

 

 

 

「「ねぇ、フリード……この女、だれ?」」

 

ジャンヌとイリナの声が見事にハモった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆様、御愛読ありがとうございました。
ジャンヌ初登場のエピソードは如何だったでしょうか?

髪の色とか体形とか表記文読んで「あれえ?」と思った皆様もいらっしゃるでしょうけど……はい。ピンと来た方もいると思いますが、”この世界”のジャンヌは原作の彼女ではなく、【緋弾のアリア】に出てくる”ジャンヌ・ダルク30世”をモチーフにしてます。
事情色々はあるんですが、綺麗なフリードと並べたとき同系の髪の色でヴィジュアル的に映えるな~と思ったのと、動きがイメージしやすかったって感じでしょうか?

実際、設定的にも原作ジャンヌとジャンヌ30世の混合だったりしますが……その辺りはその内に。
基本的にフリード同様に妖しい強化済みです。

ラストは、まあサブタイ通りになってしまいましたが……果たしてどうなることやら(^^;

それでは皆様、また次回お会いしましょう!

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