もしどら! ~もしもドライグが見目麗しい幼女だったら?~ 作:ボストーク
今回は、とりあえず欧州(フリードオフィス)編のラストです。
思ったよりは修羅場にはなりませんでした(笑
さて、フリード・セルゼンこと本名:フリードリッヒ・アクセル・フォン・セルゼンはかつて無い窮地に陥っていた。
その修羅場は、二人の少女から同時に発せられたこの台詞より始まる。
「「ねぇ、フリード……この女、だれ?」」
うん。男にとっては出来れば生涯聞きたくない台詞ランキングを取れば、まずまちがいなく入ってくるだろう言葉が
そして、女にとっては宣戦布告なのかもしれないが……
「とりあえずジャンヌ、こいつは”イリナ・シドー”って言って教会時代の俺の
フリードは溜息を突きながら、
「とりあえず何でもいいから服を着て来い。話はそれからだ」
「悪いな、イリナ。アイツは少々変わり者でね。常識は期待できねーんだ」
「あの娘がなんなのかは説明してくれる気……あるの?」
睨むようなイリナの視線にフリードは首をかしげ、
「? そりゃあるさ。別に隠さにゃならんような話でもねーし」
「ふーん……」
再び訪れる沈黙……イリナは砂糖とミルクで甘くしたはずのコーヒーがやけに苦く感じた。
***
「なあ、ジャンヌよ……」
「ん? なんだ?」
「俺の隣に座るのは、別にかまわねーけどさ」
ちなみにジャンヌは隣、イリナはフリードの正面に陣取っていた。
「なんで鎧着込んでんだよ?」
そうジャンヌは何を思ったか黒のスポーツブラとスパッツのインナーの上に、髪の色と合わせたような白銀のガントレットとレガース、チェストガードで主に構成される
「ふん。その女は私の”
「上等よ!
お互い再び視線で威嚇しあう二人にフリードは溜息を突いて、
「そう剣呑な空気を出すなって。ただでさえこの狭い場所に”
***
「えっ……その女も聖剣使いなの?」
「ああ。お前や俺みたいな”
「銀髪……聖剣使い……起伏に乏しい平たい
ブツブツと呟くようなイリナの台詞にジャンヌは(特に最後の一言に)頬をヒクつかせ、
「フリード……この無駄にでかい脂肪の塊を二つもぶら下げたツインテ、斬っていいか?」
「俺の事務所で刃傷沙汰はやめれって。後始末が面倒だ」
するとイリナはハッと何かを気付いたような顔になり、
「アンタまさか……”
「ほほ~う。ジャンヌ、お前随分と格好いい二つ名になっちまったな?」
「まあ、”剣の聖女”だの”氷の聖女”だのって安直なのに比べれば、まだいくらかマシかな?」
「教会から除名され、追放された筈のアンタがなぜ隊長のとこに……」
呆然とするイリナだったが、
「隊長は……いや、もういい。端的に言えば、事務所を開いたいの一番の客が
「何を言う? ちゃんと家賃は
「なっ!?」
「フリードは私の肢体を大層お気に召してくれてな。そうだな、言うならば私は……」
絶句するイリナにジャンヌは追い討ちをかけるようにニヤリと笑い、
「フリードの忠実な”
”どどぉ~ん!”
とバックになんらかのエフェクトが出そうな感じで宣言するジャンヌ。
フリードは呆れ顔を隠す気も無いようで、
「お前はそれでいいんかい」
「これから”忠犬ジャンヌ”と呼んでいいぞ」
「お手」
「わん♪」
フリードとジャンヌの間には、ある共通の欠点(?)がある。
それは即ち、”何気にノリがいい”というところだ。
しかも結構、悪ノリするタチだった。
「ちんちん」
「わんわん♪」
ホントにソファーから降りて犬のチンチンのポーズを取る
すっかり飼いならされているというより、飼いならされることを強く望んでいることが透けて見える辺りがなんとも。
「……(ぱくぱく)」
そして酸欠の金魚のように口をパクパクさせることで、メンタルに受けたクリティカルヒットを表現するイリナ……
少なくとも
「フリード、今度は”はだかくびわ”でお散歩プレイ&羞恥プレイ所望」
甘えた視線のジャンヌの頭を撫で、フリードは女に向けるものではなく文字通り牝犬に向ける視線で、
「ああ、その程度の希望なら聞いてやる」
さすがは家系的には貴族ということか?
この男、単なる天然なのか天然ドSなのか今一つ判別つかないところがあるようだ。
存外、フリードとジャンヌは、幸か不幸か”
***
「ああ、それと理由はよくわからんが”
「隊長が堕落した……堕落した聖女に引きずられて堕落した……神様、どうすれば隊長を正しき道に戻せるのでしょうか?」
目のハイライトを消しながらブツブツと呟くイリナに、ジャンヌは軽く引きながら……
「フリードの後輩、何やら壊れてないか?」
「気にするな」
フリードは立ち上がると、
”ガシッ”
イリナの両肩を掴み、
”Chu”
「!?」
唇を重ねた。
「落ち着いたか?」
「う、うん……ありがとう。隊長」
背後からジャンヌがキツイ目つきで睨んでいたが、幸いフリードの後頭部にも背中にも目は付いてないので気付くことはなかった。
イリナは今度は軽く優越感に浸りながら、
「隊長のキス、久しぶり♪」
「お前の”気付け”にはこれが一番手っ取り早いからな」
と事も無げに言い切るフリード。
変わらぬ唇の温かさが、まだ絆は切れてないとイリナを勇気付ける。
そう、確かにこの堕落した牝犬聖女はそばにいて飼われるなんてなんとも羨ましい立場ではあるけど、自分だってまだチャンスはいくらでもあると。
「ところでよ、イリナ……そろそろ本題に入ろうぜ。今日は何しに来たんだ? まさか本当に旧交を温めに来たってわけじゃねーだろ?」
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「はぁ? ”奇跡の聖女”がこっそり悪魔半殺しにしようとしたのがバレて教会から逃亡?」
状況を聞いたフリードは首をかしげ、
「おい、ジャンヌ。最近の教会じゃ、聖女が悪魔を半殺しにすると教会から逃げ出す羽目になるらしいぞ?」
「ほう。それは随分と教会も愉快な組織になったものだな。実は先日、ボンボンっぽい悪魔を斬り捨て損ねたのだが……なるほど。”あの一件”が無くても遅かれ早かれ、私は教会から追放されていたのかもしれない」
ジャンヌが教会から追放処分されたのは、フリードとはまた別の理由なのだが……まあ、それはいずれ語られる日も来るかもしれない。
もっともジャンヌとて、自分が斬り損ねた同じ悪魔が、聖女に半殺しの目に合ったとは思いもしないだろうが。
「そんなわけないでしょ! ”アーシア・アルジェント”の行動は問題ないわよ。問題になってるのは、おそらく誤解したまま逃亡してるってことよ」
「まあ、そりゃそうか……んで? 教会の依頼ってのは、アーシア・アルジェントの追跡と捕縛か?」
イリナは頷き、
「うん。ただ、日本に入国したところまで足取りはつかめてるんだけど……」
「そっから行方不明?」
「ううん。おそらく向かった先が厄介なのよ」
複雑な表情を浮かべながらイリナは、
「アーシアの現在判明してる最後の目撃情報は……”駒王町”よ」
フリードは苦虫を噛み潰したような顔を作った。
そして呟く。
「よりにもよって”聖職者の
皆様、ご愛読ありがとうございました。
欧州ステージのラストはいかがだったでしょうか?
フリード、けっこうモテてたりしますが……本人気付いてません(^^
実はイッセー以上に”鈍感系主人公”臭がするフリード君……爆発しろ!
それにしてもサブタイ、”忠犬と後輩”なのか”忠犬と交配”なのかで全く意味が変わってしまう罠(笑
まあ、今回彼はイッセーやヴァーリに劣らず
さて、次回からは舞台は再び日本に戻る予定です。
それでは皆様、また次回お会いしましょう!