もしどら! ~もしもドライグが見目麗しい幼女だったら?~ 作:ボストーク
今回は、ちょっと朱乃ねーちんをクローズアップ現代。
おかんとおとんが元気一杯の”この世界”、リアスの眷属入りするにはそれなりの理由があったようですよ?
それは小猫も同じですが。
「ねえ、兵藤君……悪魔になってみない?」
リアス先輩に満面の笑みで告げられた言葉に俺は……
「だが断る!」
”しーーーーん”
あれ? 紅毛の女魔族(歴代最弱の魔王級)に仲間になれと誘われたら、こう返すのが礼儀じゃなかったっけ?
「あー、”ゆうまお”かー」
ポンと手を打つドライグ。
ああ、そういやレンタルしてきて一緒に全話一気見したんだっけ? 同じ毛布に包まって……全裸で。
「そ、それじゃあ世界の半分をあげるから!」
「いや、それは
仮に魔王が世界を牛耳ってたとしても、サーゼクス様といえど実際は世界の1/4しか権利がないんじゃないのかな?
四大魔王って言うくらいだし。
「いや、リアス先輩……ネタでなく真面目に答えて、唐突に『悪魔になりませんか?』と聞いて即座に『Oh! Yes!!』って言う人間には、本気で気をつけた方がいいですよ? それ絶対、よほど人間性に問題あるか、世の中に不満があるか、言えない理由があるかでしょうから」
というかそれって色々終わってるよな?
「そ、そうなの……?」
「ええ。それと先輩って、実はお嬢様育ちで割と世間知らずだったりします?」
「ぎくっ! そそそそそんなことはありませんことよ!」
「きょどり過ぎです」
あと口調が似非貴婦人になりかかってるって。
俺は溜息を突いて、
「朱乃ねーちん、その辺ちゃんとフォローしてる?」
「もちろんですわよ♪」
「だったらなんで先輩がこんな常識外れな勧誘するのさ?」
「じょ、常識外れなの? 私?」
俺は無言で頷いて、
「普通、ほぼ初対面の人間に『悪魔になりませんか?』はありえないですって。例えば、ねーちんはどんな事情で先輩の眷属になったのさ?」
「うふふ。興味ありますの?」
「無いと言ったら嘘だね」
ねーちんはたおやかな笑顔で、
「一言で言えば”
思った以上に重い理由だった。
「更に詳細を言うなら堕天使勢力……具体的には”
堕天使の大将は、そんな殊勝かつ建設的なことを考えていたのか?
ところでねーちんの目がキラキラしてる気がするのは……気のせいか?
「その一環が、『堕天使の一人を悪魔の眷属として貢ぐこと』でしたの。これはとある上級悪魔がグリゴリ幹部と嫁ぐことに対する交換条件だったのよ?」
***
要するに異種族間の政略結婚ってことか?
何のことはない。国家間の重鎮同士の婚姻により関係を密にすることなど、人類歴史上はいくらでもあった。それどころか現代に入るまで、王侯貴族の国際結婚など多かれ少なかれそんなものだ。
特に同盟の樹立や敵国との関係改善や緊張緩和には有効だったからな。
日本史では、例えば浅井長政とお市とかが有名だろうか?
世界史に転じれば”手紙婚”、実際には会ったこともないのに書状のやり取りだけで結婚が成立するケースだってままある。
「ですけど先ほど言ったとおり、堕天使勢力は一枚岩では在りませんでしたの。今だってそうでしょう。だから当然、アザゼル閣下の穏健路線に反対勢力もいる……例えば、武闘派の急先鋒と言えば、グリゴリ幹部”コカビエル”第四階位などがそうね」
ヤレヤレ。堕天使においても政治と無関係じゃいられない、か。
「そんな彼らにとって、堕天使を悪魔の眷属にするなんてとんでもない……そういうことだったの。なにしろ眷属と言っても本質的には”
ああ、そういうことね。
そもそもグレゴリって組織は、エノク書の伝承どおりならヘルモン山に集結した神に背いた200人の天使が発祥のはずだ。
堕天使の中には、『神の創り出した人間のアダムに仕えるように命じられるも、「天使が人間などに屈すべきにあらず」と頭を下げなかった』と神に背き自ら堕天を選んだという伝説すらある。
ちなみ上記のそれは、アザゼルに関する伝承だ。ねーちんの言うアザゼル総督が伝承どおりの理由で堕天したのかは不明だけど。
確かにそんな彼らが敵であった悪魔の下僕になるなど、持っての他と思っても不思議じゃない。
デタントに反対してる強硬派なら尚更だ。
「でもね、そこで思いついたのよ。”じゃあ純血種の堕天使じゃなければ文句はないんだろ?”ってね」
なんか見えてきたなぁ~。
「幸い、条件にぴったり当てはまる娘がいたのよ。堕天使と人間のハーフで、オマケに父親はグレゴリ第三階位の”バラキエル”だから血統的には文句がつけられない……そんな都合のいい存在がね」
「それが朱乃ねーちんってこったろ?」
ねーちんはニッコリ微笑み、
「そういうこと♪」
***
「他にも細かい取り決めはいくつもありましたが……例えば、アザゼル閣下やお父様の猛反対があって男悪魔の眷属になるっていう選択肢は消えましたし、そんなこんなで
まさに人に歴史ありだな。
朱乃ねーちんとは幼馴染でよく知っていると思ってたけど、まさかそんな背景があろうとは。
まあでも、男悪魔を主に選ばないってのは納得はいく。
婚姻と違って下僕悪魔ってなるのら、どんなに言い繕おうと主の命令は絶対、服従が前提の主従関係だろう。
そういう意味では、リアス先輩はベストの選択と言えた。
ねーちんが語った条件に当てはまる上に魔王の妹で、悪魔に関しては俺もさほど詳しくはないけど兄が魔王の座をゲットするくらいだから、自身も”ゴエティア72柱”に連ねる名門の生まれなんだろうから、仕えるにしても見栄えも外聞もいい。オマケに見た目どおりの年齢なら、二人は同年代なのだろう。
(願ったり叶ったりか……)
もっとも堕天使側の事情ではなく、明らかに悪魔側……特に先輩の兄君であらせられる魔王サーゼクス・ルシファー様の意向が強く働いてるだろうけど。
それも兄妹の情ってのだけじゃなくて、こう政治臭がプンプンする類の。
例えば、リアス先輩をサーゼクス閥の将来的な”
単純な姫島朱乃って単体戦力としての話じゃなくて、「堕天使とのコネクション」的な意味においてもだ。
そもそも相互利益が無ければ、取引なんて成立しないから当たり前と言えば当たり前だ。
(もっとも、ねーちんから下僕臭はまったくしないけどね)
どちらかと言えば、主を
なんか、パワーバランスが明らかの主従のそれじゃないよな。うん。
というか、
「人間と堕天使の間に生まれたハーフで、転生悪魔だなんて……ねーちん、設定盛りすぎだろ?」
「オマケに
「いや、本気で色々盛りすぎだろっ!?」
***
「ところで小猫ちゃんはどういう理由?」
ドライグと反対側の俺の横に座り、いつの間にか持ってきていたアイスを呑気に舐めていた小猫ちゃんは、
「あ、私は朱乃先輩みたいに複雑な背景は無いです」
ときっぱり言い切った後、
「昔色々あって、心も体も死にかけていたところを、サーゼクス様に拾っていただいたんです」
うん。こっちはこっちで別の意味で重かったな。
「以来、サーゼクス様の”
彼女は少し遠い目をして、
「自分でも能力が予想外に”
……オカ研、なんだか一筋縄ではいかない組織だなぁ~。
皆様、ご愛読ありがとうございました。
実は朱乃の眷属入りには、悪魔と堕天使の二組織間の政治的事情があったことが判明したエピソードはいかがだったでしょうか?
そしてうっすら見えるシャムハザ様の影(^^
どうやらこの世界、
これも、「
それにしても……朱乃も小猫も眷属化した理由が原作と違いすぎですね~(笑
この分だと、祐斗も……?
更に言えば、タグ”ありえへんCP”の第二弾&三弾コース? まさかの……
朱乃 → アザゼル?
小猫 → サーゼクス?
年上好み臭が漂う眷属少女たちの明日はどっちだ!?
それでは皆様、また次回お会いしましょう!