ガールズ&パンツァーIF ~迷い込んだ少年の話~ 作:人間界のボコ
終わりが見えない過去編をいったん中断し高校編へ!
パンツァーフォーですわー!
聖グロリアーナ女学院にて
数年の月日が流れた。
これまで多くのことがあった。
あれから陸は戦車道を本格的に始め、西住流の手ほどきを受けた。才能も相まって、程なくしてめきめきと頭角を現した。
初等部を卒業するころに同年代では操縦に関して右に出る者はいなくなり、高等部へ入学するころには国の定める強化指定選手に選ばれていた。男性が選ばれたのは日本初だった。
余談ではあるが、日本初ということで当時はテレビ局・新聞社などのマスコミが学校や自宅に押し掛け、パニックになるという事件があった。もっともこれは西住家・島田家の圧力ですぐさま鎮静化されたのだが。
(色々あったよなあ・・・)
島田家―――日本戦車道において西住流と双璧を成す流派、島田流を受け継ぐ家系である―――に婿入りさせられそうになったり、戦車道の知見を広げるため日本各地を渡り歩いていた際知り合った女の子たちから言い寄られたり、それらに気付いた西住姉妹・エリカに軽い監禁をされたりetc…etc…
「本当に色々あったなあ(死魚目)」
「陸さん、こんな言葉を知ってるかしら。とにかく結婚したまえ。良妻を持てば幸福になれるし、悪妻を持てば哲学者になれる。」
「ソクラテスですね」
今、陸がいるのは聖グロリアーナ女学院学園艦である。
強化指定選手となって以来、各戦車道チームから陸へ引き抜きの話がひっきりなしにやってきた(女子高も含む)。長年黒森峰で戦車道をしてきたため愛着やなにより西住家への恩を感じていたため誠意をもって断りの返事を出した。
しかし、それを聞き入れてくれはしなかった。引き抜きがダメなら操縦技術を教授しろと。・・・・・・というのは建前で、陸と一緒にいたいというのが各校の隊長陣の本音だったが、彼がそのことを知る由もない。
あまりにもしつこく食い下がるため仕方なくその話を受けることにした。陸は西住流家元の西住しほへ一言断りを入れてから短期転校手続きを取り今に至る。
「陸さん聞いていて?」
「おう聞いてるぞ~ 意味はわからんが」
口を開くたびに格言が飛び出すそれ除けば、優雅な立ち振る舞いと見目麗しいその容姿や雰囲気から聖グロリアーナ戦車道チームで憧れの的となっている、隊長のダージリンだ。
「陸さん、ダージリン様の発言が意味不明なのはいつものことなのでお気になさらないでください」
「ペコさんッ!?」
ニコニコとした朗らかな笑顔を振りまきながらさらっと毒を吐く少女―――オレンジペコは陸に向かってそう告げた。ダージリンとオレンジペコは付属中学時代からの付き合いなのだという。
「りっくさまぁああああああああ!!!!きましたですのよっ!!!!!」
ドッカァアアァアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!!
聖グロリアーナが誇る暴走戦車娘ローズヒップ推参である。
女子にあるまじきありえないパワーで開け放たれた扉は爆散した。南無三。
「ちょっ!?ローズヒップぐるじい゛ぞHA☆NA☆SE!」
「ローズヒップ、おやめなさい。もう少し淑女として、聖グロリアーナの学生としての意識を持ちなさい。」
「ダージリン様、手が震えすぎて紅茶全部こぼしてます」
ローズヒップに力いっぱい全力全開で抱きつかれ割と本気で解放してほしいと思っている陸。ダージリンはその状況を傍で見て、内心慌てまくっているのを隠そうとローズヒップに対して諭すように語る。だが隠しきれていないところを突くオレンジペコ。
「今日はどんな走りを見せてくれるんですの?さあわたくしたちのクルセイダーへ向かいますわよ!」
ローズヒップは陸に対して並々ならぬ憧れを抱いていた。
初めて会ったのは数日前のことだが以前から陸のことは知っていた。それは例の報道からだった。
ある日、テレビのニュース番組内で陸のことが特集されており、偶然自宅でそれを観たローズヒップは衝撃を受けた。彼を目にした瞬間、彼女の身体にエレクトリックサンダーが奔ったのだ。いわゆる一目惚れというやつだった。
戦車の操縦捌き然り、憎めない彼の人間性然り、均整のとれた爽やかな印象を与える顔立ち然り、そのどれもが彼女をどうしようもなく虜にした。
彼のいる黒森峰学園は熊本を拠点とする学園艦内にある。流石にそこは遠すぎるので行きたいと言っても家族から大反対された。
そこで考えたのが別の学校で戦車道をするということ。戦車道を続けていればいずれ彼に会うことができる。活躍すれば彼に知ってもらえる。
どこまでも純粋な想いは彼女の原動力となり遥かな高みへと導いた(勉強で)
聖グロリアーナ女学院はお嬢様学校である前に歴史のある由緒正しい超進学校である。勉強が苦手な以前のローズヒップであれば逆立ちしても1000%受からないはずだった。しかし、だがしかし、そんな学校に主席で合格を果たしてしまったのだ。愛が重い。
入学してからは戦車道に思いっきり打ち込んだ。今まで色々なスポーツを経験してきたローズヒップだったが、ここまでアツくなれるものはなかった。
やがてクルセイダーMk.Ⅲの戦車長に任命され、さらには複数のクルセイダーで編成された部隊を任されるまでになった。
言動や所作がすこし粗暴なところが見受けられ、ちょくちょく先輩方からの指導は入るものの戦車道での目覚ましい活躍やその急成長ぶりは目を見張るものがあり、よくよくは聖グロリアーナ女学院を背負って立つ者になるだろうと幹部陣からは思われていた。
「待ちなさいローズヒップ。練習はもう終わったでしょう?」
「テスト期間に入ってますからね。これ以上の練習は学校側が許してくれないので帰りましょう」
ローズヒップへダージリンとオレンジペコが声をかける。
陸が演習場についたのは放課後の練習が終了した後だった。
オレンジペコの言う通り、現在、聖グロリアーナ女学院は定期考査期間に入っていた。この期間中は基本的に学生の諸活動が禁止される。
ただ戦車道に至っては古豪として実績があるからか、放課後~1時間までなら学校側から活動を許可されていた。戦車道チーム内ではこの期間中はチームとしての練習はなく個人練習期間としていた。
「むむむ、そうでしたわ。でしたら陸様、今日はわたくしと一緒におっ勉強をしませんこと!?こうみえて結構お勉強には自信があるんですのよ!」
「うんいいよ、いいんだけどさっきからなんなのこのパゥワー!?ていうか俺がオッケー出す前から連れて行く気満々だよね!?めっちゃ引っ張ってるもん!やめろ薔薇尻!」
続けてシャツが伸びるからあんま引っ張るなと喚く。
「それではわたくしのお部屋にご招待いたしますわ!それではダージリン様、オレンジペコさんごきげんようですわー!!」
「「「!?」」」
突然の招待発言に驚くローズヒップを除く3者。
言うより早く土煙を立てながら演習場を猛スピードで駆け抜けていく。
聖グロリアーナ女学院の在学生の大部分は学園艦の母港である神奈川県横浜市出身が多い。学園艦内に実家がある方が珍しいため、多くの在学生は女子寮に住んでいる。ここにいる三人も例に漏れず女子寮住まいなのである。
(どういうことだ?恐ろしいくらい俺に懐いてくれているのはわかるが、男として意識されていないのか?)
などとまたもや見当違いなことを考えている間もローズヒップにものすごい勢いでずるずると引きずられているのであった。
「っていうか熱い!地面と擦れて足がめっちゃ熱い!まじで離せよお前!?」
次回、薔薇尻部屋突入!乞うご期待!
ローズヒップを出すことだけを考えていたら時を進めていた。
何を言っているのかわからねーと思うが(ry
ローズヒップは我が小説では2年生という設定です。ドラマCDとか聞いてると1年生ぽかったですが公式では学年が明言されていないということで、2年にして更に色々と独自設定を入れさせていただきました。許してくださいなんでもしまかぜ