Fate/Liar heart   作:木樵蝋梅

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第二幕 ~Crazy/Lost magia~

 彼/彼女は涙した。──あぁ、なんて残酷な事をするのだろう、──あぁ、なんて無意味な事をするのだろう。白い人間は一本筋を分ける。白い馬の顔を撫でると、馬は粒子となって溶けていく。力尽きたと言わんばかりに。

「さぁさぁ、ただいまよりご覧に入れますのは、神の告げられた伝説にございます。土地は死に人は絶え、神が下す決定稿。我が主は聖地を覆いなさった! これより、勝利の上に勝利が語られる事でしょう!」

 白い人間は三つ柏手を打つ。現れ出るは茶色の表紙に金刺繍。ずっしりと重さを感じられる本を右手に抱えて、表紙を開いた。サティスファクトの中央教会を中心に、カッと真紅が花開く。──雷のような声で「きたれ」と呼ぶのを聞いた。地より這い出る、血色の馬。

 なだめるように馬を撫でると慈しむ笑みを浮かべる。人間は瞳を閉じて白となる。そして、詠うように話し始めた。

『おやおやマスター。どうかなさいましたか?』

「あらあらサーヴァント。少しやりすぎではないかしら?」

『いえいえマスター。これは神の御辞にございます』

「えぇえぇサーヴァント。私も心得ているわ」

『ふむふむマスター。それでは何の提言を?』

「そうそうサーヴァント。もっと早く片付けてしまいましょう」

『そんなそんなマスター。私たちの神を急かすと?』

「いえいえサーヴァント。急かしてなどおりません」

『ではではマスター。一体どのような真意で?』

「ふふふふサーヴァント。皆に神を知ってほしいのです」

『ほうほうマスター。それは良い考えだ』

「でしょでしょサーヴァント。三つ目も解いてしまいましょう」

『でもでもマスター。それで”私たち”は生きていられるのか?』

「まぁまぁサーヴァント。気にしなくてもいいでしょう?」

『やれやれマスター。それもそうだった』

「そうそうサーヴァント。他から集めればいいのです」

『──さぁさぁマスター。ご一緒に』

「ほらほらサーヴァント。ご一緒に」

 ──雷のような声で「きたれ」と呼ぶのを聞いた。

「『第三の封印は解かれた《セブンス・トゥ・アンロック》』」

 二つの声が重なりて、馬が天より舞い降りる。天より翔けて降り立つは黒い馬。痩せ細り、血走った眼に写るのは生存する意志。本能。生きる、と。腹が減ったと呼吸だけで伝わる。歯を剥き出しにして、涎を垂らしながら、解かれた封を今か今かと待つ様は忠犬の如く。

「あらあらサーヴァント。貪欲なのね」

『いやいやマスター。これは神のお告げさ』

「えぇえぇサーヴァント。承知しているわ」

 人間は、ヒトはヒトリで笑う。第二、第三の封印は解かれた。

 ──穢れを払え、神の力。

 ──それを阻止せよ、王の力。

 ──神を殺せ、神殺しの力。

 ここにサーヴァントは出揃いて、物語が動く。──飢餓に理性は刈り取られた。

【一部サーヴァントに狂化スキルを付与。魔力が一時的枯渇を見せ、マスターの魔力が消失しました】

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