確実に、敵意を持って神器を振るう。
目の前には一体のアラガミがいる。
倒さなければいけない。
そう、教えられてきたのだ。
アラガミを倒し、仲間を守るために。
それが、
***
「本日付けで極東支部に配属されました。有栖川アカネと言います」
そういって、私はにこりと笑った。
目の前にはここ、極東支部で非番の者たちが集められている。
「
第二世代神機につきましては新人なのでご指導ご鞭撻のほど、お願いします」
私の神機は先日、第一世代神機から第二世代神機への適合試験に合格し「近接武器形態」と「銃形態」の切り替えが行える神機…へと姿を変えた。
チャージスピアとアサルト、バックラーといった、なんとも切断には適さない神機編成ではあるが私はこれが気に入っている
ちゃんと全て使い、試した結果だ。
「アカネには、そうだな。第一部隊には新型が二人いる。まずはしっかりと指導を────」
「必要ありません。もう訓練は十分しました」
私はツバキ大尉の言葉に被せ、そう断言した。
「だが…」
「今現在、極東支部の神機使いが足りないと聞きました。神機の変形に手間取るようならスピアだけで十分です。
それに、新人に訓練されるなど…
───反吐が出る」
ツバキさんは頭を抱えた。
***
結果として、アカネは第八部隊に配属されることとなった。
第八部隊は問題児を寄せ集めたところでアカネを含め3人しかいない。
「アカネと言ったか。…俺は柊ツカサだ」
藍色の髪は左眼を覆うほどで、そこからのぞく緑色の目が特徴的だ。
緑色のモッズコート──と言っても薄手のもののようだが──を着て、その下にはVネックのシャツにカーゴパンツを着ている。
「俺はリアム・ロペス!よろしく!」
クールそうなツカサに対し、リアムは元気な印象を受ける。
オールバックとツーブロックを合わせたような髪型は性格とは合わなさそうだが、ギャップ萌えというものか、逆にあっているように思える。
茶髪──詳しくいうとマッシュアップという髪色だ──が、照明に反射してキラキラと光っている。
パンク系が好きなのか、鎖のついた服を来ていて耳にいくつもついたピアスが痛々しく見える。
とても鮮やかな青色の目はどこが問題児なのだろうと疑問に思われるが、問題児なものは問題児なのだ。
「ツカサにリアムね。よろしく」
セミロングの
真っ黒の少しばかりブカブカとしたパーカーは萌袖を通り越して、腕輪のない左手を隠している。
カーゴパンツをショートにしたようなズボンを履いているがニーハイをはいているため、露出は少ない。
首には懐中時計がぶら下げられていて、その時計は0:00を指して止まっていた。
3人が簡単な自己紹介を済ませたところを狙ったかのようにラウンジ内に警告音が鳴り響いた。
***
何事かとオペレーターであるヒバリさんに話を聞くと、グボロ・グボロが2体、付近に接近中とのこと。
だが、先程逆方向にも他のアラガミが発見され、残っていた護衛班はそちらに向かってしまったらしい。
「じゃあ、俺らが向かおう!ちょうど暇だし!」
「ですが、アカネさんは今日転属されたばかりで…」
「行けないのか?アカネ」
「準備は万全」
「…だそうだ」
ヒバリさんは仕方ないですね…そう苦笑いして、私たちに依頼した。
出撃するまでは速かった。
袖を捲りながら神機が保管してある場所に行くと待ってましたと言わんばかりの顔のリッカさんがいて、私に新しい神機を渡してくれた。
何回か訓練はしたがこの神機では初の任務だ。
そう思うと緊張が全身を駆け巡るが、それまでも配属初日を思い出し懐かしく思えた。
「第八部隊、出撃。行くぞ!」
そう、隊長であるツカサの言葉とともに私たちは地へと降り立った。
外は生憎の雨で、私はフードを被り、戦闘態勢を整える。
「敵はおおよそ予測道理の場所に出てきたな」
二人は第一世代だ。
ツカサがバスターブレードとシールドで、リアムがスナイパーだ。
外部居住区から少し離れた場所にグボロ・グボロはいた。
二体は結構離れたところにいて手分けした方が楽そうだ。
「…二人とも、私が向こうのグボロ・グボロを倒す」
「大丈夫なのか?」
「グボロ・グボロなんて楽勝」
「自信満々だね!」
俺も頑張んなきゃ、そう意気込んでいたリアムだったが、すぐにはっとして顔を強ばらせた。
「アカネが向こうのを倒すって事は俺とコイツでもう一体倒せってこと!?」
「そうなるな、虫唾が走るが。」
「ええー、嫌だー!俺こいつと合ってない!」
犬猿の仲ようだが今まで一緒に行動してきたのだ。大丈夫だろう。
「じゃあ、よろしく」
そう考え私は二人と別れた。
***
グボロ・グボロは大き過ぎるヒレと頭を持つ、鰐のようなアラガミである。
アラガミは大型種、中型種、小型種に分かれていてそのなかではグボロ・グボロは中型種にあたる。
グボロ・グボロはアカネのいる方向へと向かってきている。
そのため、隠れても無駄だと直感で察し、正面から立ち向かう。
神機を銃形態に変え、50mほど離れた場所からバレットを連射する。
振動は想像以上だった。
闇雲に
そして、その為かアカネに
だが、それは許容範囲だ。
アカネにとって、1番得意なのは近距離であり、自身から動くのが面倒で敵の方から来てくれるように仕向けたというのもある。
グボロ・グボロは奇声を上げ、アカネに突進してきた。
それをステップで横に避けつつ、スピアを振る。
スピアとは元々刺すものだが先が当たれば何処からでも攻撃が通るように細工されているため、アカネはスピアというよりも、ナイフように扱っている。
浅かったのか、スピアはかすり傷を作るだけで致命的な攻撃は与えられなかった。
これなら結合崩壊したほうがいいだろうと感じ、地面を蹴り、宙へと舞う。
そのまま、尾ビレに思いっきりスピアを叩き込んだ。
鈍い音がして尾ビレが折れる。
そのまま、第二波を打とうとしたが、グボロ・グボロはぐるりぐるりと回転するようにヒレでアカネを殴った。
「っが…!?」
ソレは腹部に当たり、ヒリヒリと痛む。
舌を噛んでしまったのか、口の中は鉄の味でいっぱいだ。
思わず、笑みがこぼれる。
一瞬、アカネの目が紅く光った気がした。
発射された水球を軽々と避け、斬撃を繰り返す。
口元から流れた血を舌で舐め取り、ゴットイーター最大の武器である捕喰を始める。
と言っても、長く貯めて喰べる訳では無い。
弐式と言ってチャージする必要のない捕喰だ。
簡単に、わかりやすく、簡潔にいうなら早食い。
そのため、あまり強い攻撃力は持たないが、何回も捕喰することが出来る。
今回は1度しかしなかったが。
喰べる暇もなく、死んだのだ。と言ってもアカネが止めをさした訳では無い。
ツカサが上からバスターを叩きつけ、もう虫の息だったアラガミは息の根を止めてしまったのだ。
「遅かったんじゃないか?」
「初任務だから当然でしょ?」
ツカサは嫌味を言ったのだがアカネはソレをするりと避ける。
「ただ。まぁ、一撃で尾ビレを壊すとは…その、なんだ…」
「褒めるんだったら普通にいえば?アカネ、さすがだなー!惚れ惚れしちゃった。」
「ありがとう。でも、やっぱりちょっと違和感あるかな…」
銃形態に変形出来るようになった為か、重くなった神機が合わないのだろうか。
グボロ・グボロならば数回叩き込めば死ぬはずなのだが今回はそうはいかなかった。
それが少し悔しいのか、アカネは唇を軽く噛みながらコアを回収していた。
***
「お疲れ様です!大丈夫でしたか!?」
任務も完了し、ラウンジに戻って来るとヒバリさんが駆け寄ってきた。
防衛班の方のオペレーターをしていた為、サポートに回れなかったのを悔やんでいるのだろうか。
「大丈夫だ。そんな事より、防衛班のほうは?」
「あっ。はい!ヴァジュラが2体ほど確認されていましたが、ちゃんと討伐できたようです」
「そうか。よかった…」
ヴァジュラはゴットイーターにとって強く苦戦を強いられることが多いアラガミだ。
だから、ツカサは心配していたのだろう。安堵の息を漏らす。
「まだ帰ってきてないんだ…」
「そうですね。そろそろ帰ってくると思うんですが…」
そう言った瞬間だった。
「たっだいまー!ヒバリちゃん、ちゃんと任務終わらせてきたから食事しない?」
と、騒がしそうなのが帰ってきたのは。
この世界は廃れている。
だが、廃れているなりに幸せだ。
こうやって、笑えているのだから。
ココにこれて良かった。そう心から思える配属初日だった。
後で書きます。
一応データベース風に主人公たちの紹介をする予定。
その後の事はかんがえてません。