斬る?違う、粉砕だ   作:優しい傭兵

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お久しぶりです


第二十九話

―帝都―

 

ワイルドハンドが悪事を行うのはただただ自分達が殺しを楽しむのも理由の1つだが、もう1つの理由がある。それはナイトレイドをおびき寄せ仕留めるためである。殺しに来てくれれば捜す手間が省ける。おびき寄せたらこちらのもんだと考えている。このワイルドハンドの動きに革命軍はナイトレイドに指令を出した。依頼を受けたナイトレイドは直ちに行動を開始した。

 

 

 

「んで?もしかしてとは思うけどワイルドハンド全員を相手にするのか?」

 

「いや、今回は3人だ。残りのものはそこには居ないという情報を貰った」

 

そこに?(・・・・)

 

「密偵チームからの情報なんだが、今、イェーガーズのランとクロメがワイルドハンドと交戦しているらしい」

 

「なんで?仲間じゃないの?」

 

「流石のイェーガーズもワイルドハンドは腹立つってことかな?」

 

「もし私がイェーガーズに居たら即効であいつらぶちのめしてるよ」

 

「こえーよレオーネ・・・・・・」

 

「確かにクロメは標的だ。だが、今回はワイルドハンドを葬った後はすぐに撤退する」

 

「まだ俺たち全快じゃないからな。約1名を除いて・・・」

 

「誰の事?」

 

お前だよ巨乳!!

 

 

 

ドゴォォォン!!

 

 

「「「!?」」」

 

林の木々の枝を足場にし移動していると数百㍍先で爆発が起こった。

 

「あー・・・ドンパチしてるな」

 

「よぉし!私も参加しちゃうぞ!」

 

「急ぐぞ二人とも」

 

________________________________________

 

 

 

 

「しゃらあああ!!」

 

ドドドドド!!

 

「くっ!」

 

ワイルドハンドの1人、エンシンの帝具の攻撃にクロメは苦戦していた。この帝具は月の形によって帝具の威力が変わる。しかも今宵は満月。帝具の威力が1番強い時だった。

 

「そらそらぁ!!逃げてばっかじゃ勝てねえぞ!」

 

「っ!!」

 

クロメはその身のこなしを活かし、飛んでくる真空の刃を避けエンシンの背中を斬りつける。

 

ズバァア!!

 

「くっ・・・。人形なんかより本体が1番強いじゃねえか・・・。だけど、敵は俺1人じゃねえんだぜ!!」

 

エンシンとワイルドハンドの1人のコスミナがクロメを挟み撃ちにする。

 

「聴いてください!出力フルパワー!!」

 

「死に晒せぇ!!」

 

エンシンの真空の刃とコスミナのマイクを介しての超音波がクロメを襲う。

 

 

「しまっ・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『スタープラチナ・ザ・ワールド』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は止まった。5秒間の間に俺はクロメを突き飛ばした。

 

こんな事に時を止めていいのかと思うが気にしない。

 

 

『時は動き出す』

 

 

バゴォォンン!!

 

「はぁ!?」

 

「え!?」

 

刃と超音波がぶつかった後に土煙が発生。その土煙が晴れたところに仮面をつけた俺が立っていた。

 

 

「お前がデストロイヤーか・・・・・・」

 

「ド派手は登場ですね☆」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

戦場を見渡すと、ワイルドハンドの一味と思われる男と女が1人ずつ。そしてイェーガーズのクロメ。そしてここから少し離れた場所で戦っているランとピエロの格好をしている男。確か名前はチャンプか・・・。ま、あっちの戦いはもう終わりそうだけどな。

 

 

「お前らの話はよーく聞いてるよ。殺しを楽しんで人を自分のおもちゃのようにしてるんだっけ?なんでこうどいつもこいつもクズばっかりなのかね」

 

「そのクズ野郎共に自分の能力を奪われるってのも、てめえ相当なマヌケなようだな」

 

「調子にのってると、コスミナちゃんの声でイカしてあげるよ☆」

 

「そうかい。なら・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

「地獄にいかしてやるよ!!」

 

 

 

 

バゴォン!

 

 

地面を蹴りつけ、辺りの岩壁や地面などに地割れが発生する。

 

 

「うぉ!?」

 

「きゃあ!?」

 

衝撃によって空中に岩などが浮遊する。

 

「今だ!アカメ!!」

 

 

その浮遊している岩などを利用してアカメがエンシンに接近する。

 

 

「こっちが本命かよ!」

 

帝具である曲刀を円を描くように振り回す。

 

 

『満月輪』

 

 

シュバババババ!

 

だが、それも所詮悪あがきに過ぎない。アカメは曲刀の攻撃を軽々と避けていき、村雨を鞘から引き抜き、

 

 

 

「葬る」

 

横一閃。

 

 

ズバッ!

 

胸の斬り傷から呪毒が入っていく。

 

 

「つ・・・強ぇ・・・・・・」

 

 

「エンシン!!」

 

「お前の相手は俺だ!!」

 

エンシンの元に向かおうとするコスミナの前に立ちふさがる。

 

 

「ちょっとー!そこどいて!」

 

「行かせねえよ」

 

「なら・・・もう一度聴いてください!」

 

 

 

「リュウ!!」

 

「まかせとけ。すぅぅぅ・・・・・・・・」

 

大きく息を吸い込み、肺の中に空気を一杯に溜め込む。

 

 

 

「出力最大フルパワー!☆」

 

ドゴォンッ!

 

「ボイスミサイル!!」

 

ドゴォンッ!

 

コスミナの声による超音波と俺の声のミサイルがぶつかった瞬間、声と声の衝撃が消え去った。

 

 

「え!?どうして?!」

 

「ノイズキャンセラーだ。お前の出した声の音の振動を俺のボイスミサイルの音の振動で掻き消したんだよ。声の攻撃にも弱点があることをしっかり勉強して無いからこうなるんだよ」

 

「ふふふ・・・。貴方中々やりますね!けど、私の本気はこんなものじゃありませんよ!☆」

 

「だろうな。だから速めに終わらせる事にした」

 

「へ?」

 

「レオーネ!」

 

「あいよ!」

 

林の奥からレオーネが飛び出し、二人でコスミナを取り囲む。

 

 

「女の人には興味ないんですけど~」

 

「興味があったら逆に嫌だわ!と言う事であんたをぶちのめすよ!」

 

「レオーネ。あれつけてるか?」

 

「もっちろん!」

 

変身したレオーネの手に俺が錬金術で作った特製メリケンサックを装着している。

 

 

「そうはさせませんよ!大出力!フル・・・・・・」

 

させるかよ!

 

「マシンガンブロー!」

 

「メリケンナックル!」

 

 

俺とレオーネのコンビ技。

 

 

 

 

『フルボッコだドン☆』

 

 

 

 

「「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!」」

 

 

2人の拳がコスミナを文字通りフルボッコにする。

 

 

「ぶげへぇあ!?」

 

最後の一撃。

 

 

「デスビーム」

 

俺の指先から紫色の光線が飛び出し、コスミナの心臓を射抜いた。

 

「かはっ・・・」

 

ドサッ

 

 

「全員骨折の上に心臓に風穴。今まで殺してきた奴らに地獄で詫びてきな」

 

そして残るは・・・・・・。

 

 

「クロメ・・・」

 

「お姉ちゃん・・・」

 

クロメとワイルドハンドの1人を殺してボロボロになって倒れているラン。

 

 

「クロメ。お前も革命軍の不安要素だ。悪いがここでぶっ潰す」

 

俺、レオーネ、アカメの3人とクロメ1人。普通ならクロメは撤退するのが普通なのだが、

 

「治安を乱す輩は私達イェーガーズが狩る!例えそれが誰であろうと!」

 

八房を抜き、戦闘態勢にはいる。

 

 

 

 

(ふ。私達は・・・か。出会った頃と変わりましたね・・・クロメさん。だからこそ彼女は無事に・・・・・・)

 

 

 

「なら、遠慮なくやらせてもらう!」

 

「行くぞクロメ!」

 

 

がしっ!

 

「っ!?」

 

クロメを引き寄せ、ランが翼を広げる。

 

「マスティマ!!」

 

羽根がアカメに向かって飛んでくる。

 

「ザ・ハンド!!」

 

 

右手に異様な能力を持っているスタンド・ザ・ハンド。右手に触れたものは空間だろうと物体だろうと全て削り取ってしまう。その削りとったものがどこに行くのか俺にもわからない。

 

ザ・ハンドの能力でランの羽根を右手で削り取る。

 

ガオンッ!

 

「このままてめえを!・・・・・・・・・あ」

 

ランが羽根を飛ばしたのは俺たちへの攻撃ではなく、逃げるための時間稼ぎ。羽根を飛ばした瞬間、ランはクロメを抱きかかえ、遥か遠くへ逃げていた。

 

 

 

「ちっ。逃がしたか」

 

「力を搾り取っての渾身の離脱みたいだったね」

 

「だが、今回は私達の勝ちだ。ワイルドハンドの帝具も回収できる」

 

「だな。さっさとずらかるぞ。今の戦闘の音で帝都の兵士が聞きつけてくるかもしれないからな」

 

「いやぁ。久しぶりにぶちのめせたからよかった!」

 

「俺とレオーネのコンビネーション完璧だな!」

 

「技名はくっそダサいけどな」

 

「うぐ・・・・・・」

 

エンシン、チャンプ、コスミナの帝具を回収し、俺たちはアジトへと帰還した。

 

 

「クロメ・・・・・・」

 

アカメの悲しく呟いた声と共に。

 

 

 

 

__________________________________

 

 

 

クロメ&ラン

 

「くっ・・・・・・」

 

「ラン!」

 

(致命傷だ・・・)

 

「すぐに殺さなかった・・・。ツケでしょうね・・・」

 

「駄目だよ!死んじゃだめだよ!ランが死んだらウェイブだって悲しむよ!!」

 

「ふふ・・・・。ウェイブに伝えてください・・・。優しい気持ちのまま・・・・・・まっすぐ進みなさいと・・・・・・」

 

「ラン・・・・・・」

 

クロメは確信した。ランはもうすぐ死ぬ。今すぐ治療したとしても死ぬに違いないと確信できた。けどランとは離れたくないと思った。ならばどうする?一緒に居るためには?クロメの頭には1つだけ方法が浮んだ。それは・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

『八房でランを殺し、死人形にする』

 

 

「なら、こうすれば・・・・・・ずっと一緒に居れるよ・・・・・・」

 

「え?」

 

クロメは八房をスラリと引き抜き、ランに向かって振り下ろした。

 

 

その瞬間、

 

 

 

 

 

 

 

『ザ・ワールド!時よとまれ!!』

 

 

リュウの能力を所持する男。ビャッコの時間停止によって時は止まった。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

ビャッコはクロメの握っていた八房を鞘に戻し、ランの近くに跪く。

 

 

「クレイジーダイヤモンド・・・・・・」

 

唯一、このスタンドだけ二つに分かれていた。そしてランの傷に触れ怪我を治癒する。

 

残り時間4秒

 

 

「俺は何をしているのか分からねえ。なんでこんな死に損無いを助けたのか分からねえ。こんな素晴らしい能力を持っていながら、こんなことをしたのか分からねえ・・・。けど1つだけ分かる。死に掛けてる奴は・・・・・・なぜか見捨てられねえんだ。一体俺はどうしちまったんだ・・・・・・」

 

 

残り2秒。

 

「やっぱり・・・リュウ・・・。あの野郎の能力も奪った時に他の何かも取り込んじまったのか・・・・・・。くそったれが・・・・・・」

 

ビャッコは林に身を隠した。

 

 

 

『そして時は動き出す』

 

止まっていた時間が動き始めた。

 

 

 

 

「え?」

 

「は・・・・・・?」

 

クロメとランは驚きの表情を見せる。一体自分達の身に何があったのか。なぜクロメは引き抜いたはずの八房を鞘にしまっているのか疑問に思った。

ランはどうして自分の傷が完治しているのか謎だと思った。

 

「どう・・・・・・・・・して?」

 

「私にも・・・・・・分かりません・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

2人は一体何が起こったのか・・・・・・・・知る由も無かった。


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