斬る?違う、粉砕だ   作:優しい傭兵

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第三十一話

「絶対絶命・・・確かにそうだな・・・」

 

いくら俺の能力が万能だったとしても帝具持ちを4人と超人1人に自分が1人。これを相手にするのは少しばかり骨だ。しかも今はラバがやられてる。ラバを庇いながらここを切り抜けるためにはどうしたらいいんだ・・・。

 

「おいおいデストロイヤー、お前まさかここから逃げようとしてるんじゃないだろうな?生け捕りにして仲間の情報を吐かせる!殺すのは後だぜ!」

 

「この人数では逃げるのは無理というものよ?」

 

「大人しく妾にその血を寄越すのじゃ」

 

「デストロイヤー・・・宮殿に侵入したことを後悔させてやるぞ」

 

「「・・・・・・・・・・・・」」

 

完全に囲まれてる・・・。まさに袋の鼠だ。今はここから逃げる事を考えるんだ・・。

 

『ロギア系メラメラの実!』

 

「火拳!!」

 

右手から業火の炎を出しそれを地面に叩きつけた。

 

「「「「「「っ!?」」」」」」

 

地面に当たった炎はそのまま地面を走り俺の回りに巨大な火の壁を作った。

 

(よし!今のうちに!)

 

俺は両手で印を組み『ある準備』をした。

 

 

「アチィ!?これじゃ見えねえぞ!」

 

「妾たちを寄せ付けない気か!」

 

流石にこの炎には誰も寄り付けないと思っていたが、そうも行かなかった。

 

 

 

 

「私がやる」

 

バシュウッ!

 

エスデスが炎の壁に向かって巨大な氷をぶつけその炎を鎮火する。

 

 

「ちっ!」

「リュウ・・逃がしはしない!」

「よしいまだ!」

シュラ、ドロテア、スズカが一斉にこっちに向かって全速力で走ってくる。だがそれは好都合。

 

「グラグラの実!」

海震を纏った拳で大気に打撃を与える。その衝撃で向かってきた3人が一斉に宮殿の壁に激突する。

 

「ぐはっ!」

「がっ!」

「きゃあっ!?」

 

(よし今のうちに!)

「やらせるかよ!」

「っ!?」

 

白い鎧に身を包んだビャッコが飛び出してき、俺を上空に蹴り飛ばした。

 

「がふっ・・・!」

 

それだけでは終わらなかった・・・。すでに上空にはエスデスが待ち構えていた。

 

「リュウ・・・大人しくしろ・・・」

 

エスデスの踵落としが炸裂し今度は地面に叩き落される。

 

ドゴォ!

 

「がはぁっ!!」

 

軽く脳震盪が起こってしまい視界がぼやけてきた・・・。早く動かないと・・・・・・。

 

「陛下の宮殿で暴れる者は私の帝具が裁く・・・」

 

ブドーの両腕に装着されている籠手型の帝具『アドラメレク』に電気が蓄電されているのが分かった。

 

(まずいっ!?)

すぐさま防御の体勢に入ったが意味がなかった。

 

 

「アドラメレクッ!」

 

アドラメレクの電撃が防御した腕を通り抜け俺の胴体に直撃した。

 

バチィィンッ!

 

「ぐふっ・・・・・・」

 

電撃が体全体に流れた上にその衝撃が予想以上に強すぎて一瞬で意識が飛んだ。

 

だけど、『俺がすべき事は出来た』。

 

 

「ミッション・・・・・・コンプリート・・・・・・」

 

 

そして俺は意識を失った。

 

 

 

 

 

___________________________________________

 

 

 

 

 

 

 

―ナイトレイドアジト―

 

 

 

「リュウ達遅いな・・・」

「もう少ししたら帰ってくるとは思うが・・・・・・」

「もしかしてワイルドハンドと出くわしたんじゃ」

「さあ・・・わからないわね・・・」

 

アジトに残っていたタツミ、アカメ、マイン、レオーネ、チェルシー、ナジェンダはリュウとラバックの帰りをずっと待っていたがその当の2人は中々帰ってこない。

 

 

ガチャッ!

 

 

扉が開いてそこに立っていたのは先ほど戦いに巻き込まれていたラバックとそれを担いでいたリュウだった。

 

「リュウ!ラバ!」

「もう遅いから心配したじゃない!」

「っていうかラバどうした!?」

 

リュウは担いでいたラバをその場に下ろした。

 

「リュウ・・・・・?」

 

チェルシーがリュウが何時もと違う感じがしたので近くによると・・・・・・。

 

 

「来るな・・・」

 

それを言い残して煙と一緒に消えた。

 

 

「これって!」

「リュウの影分身か!」

 

 

リュウは先ほどの戦いで火拳を使い炎の壁を作った。少しの隙が出来た瞬間にリュウは自分の影分身を作り、そいつにラバックを担がせナイトレイドまで連れて行かせたのだ。

 

 

 

「リュウはラバを逃がすために1人残って・・・・・・」

「しかもさっきの来るなって危険だから来るなって意味だよな?

「あいつ・・・無茶しやがって・・・・・」

 

リュウの意図を汲み取ったメンバーは険しい表情で頭を抱えていた。

 

 

 

 

「リュウ・・・・・・大丈夫よね・・・」

 

 

チェルシーは祈りを捧げるかのように両手を組み目を閉じた。リュウの無事を祈るかのように・・・・・。

 

 

 

 

 

 

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「ん・・・・・・ここどこだ・・・・・」

薄暗い場所で目を覚ました俺は辺りを見渡した。一瞬で分かった。ここは牢獄だった。そして俺は両手をつるされた状態で捕まっていると言う訳か・・・。

 

「しかもこの手錠・・・ビャッコの仕業だな」

こんな牢屋なんか能力を使えば一瞬で逃げれるのだがこの手錠のお陰で抜け出せれない。ビャッコの力で作った能力封じの手錠だな。発動しようにもうんともすんとも言わない。

 

 

「やれやれだぜ・・・・・・」

「起きたか・・・・・・」

「え?」

 

牢獄の鉄格子の前にエスデスが立っていた。

 

「エスデス・・」

「さっきぶりだなリュウ」

牢屋の中に入り俺の前に腰を下ろすエスデス。殺気は微塵も感じない。

「言いたい事も・・・聞きたいことも沢山あるが・・・」

エスデスは両腕を広げ俺に抱きついてきた。

 

 

 

「お前の顔を見たら全て吹き飛んだ・・・リュウ、会いたかった」

 

いつもなら鼻の下伸ばしてデレデレしているかもしれないが今の俺はそこまで馬鹿じゃない。

 

「やめろ!離れろ!」

なんとかして鎖で繋がれている腕を伸ばしてエスデスを突き飛ばす。

「なんでだリュウ・・・今更触れ合うのをなぜ拒む・・」

 

そうか・・エスデスは知らないのか。ならここではっきり言ってやる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺には!愛してる女の子がいるんだよ!」

 

 

 

 

 

エスデスの目をしっかりみてはっきりと言ってやった。敵同士とか関係なしでもこういう行為はダメだと思う。チェルシーに対して面目が立たない。

 

 

 

 

 

それからエスデスは「そうか・・・」と呟いて牢屋を後にした。

 

 

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「どうだよ親父!ナイトレイドをしかもデストロイヤーの奴をとッ捕まえてやったぜ!」

「よくやりましたね。一応息子だと認めましょう」

オネスト大臣、シュラはドロテアの研究室でドロテアと一緒に蟹を食べながら今回の出来事について話していた。

「そうだ親父。言っておきたい事があるんだけどよ」

「なんですか?」

「エスデスの姉ちゃんなんだけどよ、以前あいつ山の上でリュウと密会中なのを見たぜ」

「で?」

「これ裏切りの証拠じゃね?監視の為にイェーガーズをワイルドハンドの中に組み入れてくれよ」

(そしたらイェーガーズの奴らを大臣の息子って地位を使ってオモチャに出来るぜ)

 

シュラの顔にはこれからまた楽しい事ができるぜっと怪しい笑みを浮かべていたが、相手のオネスト大臣の顔には呆れたとも言わんばかりな顔をしていた。

「はぁ・・・」

「なんで溜息つくんだよ」

「彼女が裏切るなら今頃嬉々として反乱軍の先鋒にいますよ。寧ろ立場が危ないのはシュラの方ですよ」

「あ?」

「人形の危険種を帝都近郊に放ったのはDrスタイリッシュの友人であったシュラの仕業だとイェーガーズのランが突き止めてくれました。その完璧な証拠です」

オネスト大臣はその内容をまとめた資料をシュラに見せた。

「な・・・!」

(ラン・・・あの野郎!)

「これはエスデス将軍からの貰い物です・・・ブドーにばれたら後々面倒でしたよ・・・」

「くそったれが・・・・・・」

 

 

 

「エスデス将軍の要望通り、ワイルドハンドは解散とします・・・。悪戯をしたことはどうでもいいのです・・・証拠を簡単に掴まれたのが情けない。私は無能な人間は嫌いです・・・シュラ」

「っ・・・!?なんでだよ!俺はナイトレイドを捕らえたんだぞ!?」

「だから罪には問わないようにします。今は大人しくしておきなさい」

「く・・・・・・ちくしょう!!」

 

ガンッ!

 

シュラはぎっしりと詰められた本棚を蹴り飛ばしそのまま部屋を飛び出した。

 

「厳しい教育方針じゃな」

「愛の鞭ですよ。無能に育っても困ります。ですが・・・貴女という稀代な錬金術師を招いた功績は認めますがね」

「うむ♪様々な援助感謝感謝じゃ!あのスタイリッシュの研究材料をそのまま渡してもらったからあいつの研究を妾の研究に取り込むこともできるぞ」

「では・・・私の『依頼』も受けてもらえますかな?」

「妾に任せておくがいい」

 

 

 

 

 

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「親父に呆られちまった・・・まだだ・・・まだ逆転の目はある」

(今日中ならまだワイルドハンドの権限が使えるはず・・・・・・そうだ・・あいつを、リュウを脅してナイトレイドの情報を吐かせればいいじゃねえか!そしたら親父も文句はねえだろ・・・。そしてもし無理だったら帝都の町を火の海にしてナイトレイドの奴らをおびき出す!邪魔する奴らがいたらシャンバラで活火山の火口に転移してやる!)

 

 

ガラッ!

 

 

「てめぇ・・・シュラ・・・」

「ようデストロイヤー・・・久しぶりだな」

シュラは俺の目の前に立ち怪しい笑みを浮かべた。

「なんでお前がここにいるのか聞いていいか?」

「そんなもん決まってんだろ?」

 

するとシュラは俺の胸倉を掴み。

 

「オラァッ!」

「がふっ!」

 

そのまま壁に向かって殴り飛ばした。殴り飛ばしたのはいいが鎖に天井で縛られているので壁に当たるより先に鎖に引っ張られ腕も痛くなった。

 

「なにすんだよてめぇ・・・・・・」

「決まってんだろ?ボコボコにしてナイトレイドの場所を吐かせる為だよ!」

「ぶっ!?」

 

今度は顔面を蹴り飛ばされ痛さで一瞬痛みで分からなかったが奥歯が折れた事が分かった。

 

「くっ・・・・・・ぺっ」

「おっと歯が折れちまったかあ。悪い・・・・・・なぁっ!」

「がはあ!」

 

その後覚えていないが何十発というほど殴られ口から血がボタボタと滴っていた。

 

 

 

「ほらぁ!早く吐いちまえよ!どうせナイトレイドは助けに来ないんだからよ!」

「勝手に・・・決めつけてんじゃねえよ・・・こんな手錠がなかったらぶっ殺すところだけどよ」

「いいじゃねえかよ吐いちまえよ!ナイトレイドなんかどうせエスデスにもブドーにも勝てないんだからよ!」

「だから勝手に決めつけてんじゃねえよ!ナイトレイドの強さを馬鹿にするんじゃねえ!」

「だってそうだろうがよ!エスデスに勝てるのは誰も居ない!どうせ革命軍は帝国軍には勝てないんだよ!お前らが束になろうと親父にもかてないんだよ!」

「いい加減なこといってんじゃねえよ!!」

「いい加減じゃねえ事実だ。いいからてめえはとっとと吐いちまえよ。生きるのにも疲れただろ」

「誰が吐くかよ。ナイトレイドの誰も売りはしない」

 

 

シュラは溜息を付いた後俺の胸倉を掴み俺の耳元に語りかけてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前が吐かないのは仲間を守るべきだろうが違うぜ?お前は誰も守れない・・・・・・お前の正義じゃ誰も守れないんだよ!だからてめえは能力を半分能力を奪われるんだよ。お前に一体・・・・・・何が守れるってんだ?」

 

 

 

 

 

 

「!?」

 

 

俺はその時、一瞬で怒りのボルテージが上がった。こいつ・・・いまなんつった?俺に一体何が守れるんだ?だって?こいつは俺を・・・・・・・。

 

 

 

 

 

「お前は本気で俺を怒らしたな」

「あ?」

 

 

 

俺は出せる力を振り絞り手にくっ付いている手錠を外そうとしたが流石に無理だったのでその手錠にくっ付いている鎖を引っ張り壁についている鎖の根元を壁から引きちぎった。

 

 

「うおおおああ!!」

 

バキイッ!

 

「てめえ!」

 

すぐさまシュラが誰かを呼ぼうとしていたがそんな時間なんか与えない。

 

 

 

 

 

ほほ肉(ジュー)ショット!!」

「ぶげあ!?」

 

ドッ・・・・・・ガアアァン!

 

 

 

シュラの頬にを蹴り飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっがぁ・・・・・・こんの・・・・・・野郎がぁ・・・・・・」

 

 

 

 

 

こいつだけは絶対ゆるせね!・・・ナイトレイドの皆のことも・・・そして何より俺が誰も守れないと馬鹿にしやがった。

 

 

 

 

 

 

 

「さっさと立ちやがれクソ野郎!てめえはぶっ殺してやる!!」


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