第二クトゥルフ神話『男の娘だらけのGo for broke!!』 作:カロライナ
放たれたショットガンの散弾は円を描くように広がり、窓とその壁に打ち込まれた。しかし、壁と窓は穴が開く様子や割れる様子を見せず紫色の結界のような物を見せ、散弾に含まれる鉛は部屋の床に落ちた。
「窓も駄目か・・・。」
ミカンは目の座った状態で普段の声からは想像がつかないような低音ボイス呟き、1発だけ放った薬莢を廃棄し、新しい薬莢を手慣れた手付きで装填する。普段の様子から見られないサクラは固まってばかりだが、別人のようなミカンに対して固まる事しかできなかった。そして、そのままミカンは部屋の入口で固まる兄にも目をくれることも無く、一点を見据えて伊上の私室へと足を運んだ。
左手で扉を開け、すぐにショットガンを構えながら鬼の形相で伊上の私室にミカンは単独突入する。部屋自体は他の部屋に比べ少々広いが机とベッド、タンス程度しかなかった。外見に似つかわしくない舌打ちをしながらミカンは部屋の奥まで侵入していく。
ショットガン『ゼロ距離』
ミカン自動成功→28
聞き耳
??25→??【??】
そしてショットガンで一発。タンスを射抜いた。タンスは粉々に爆ぜ中の衣服のかけらが散らばり、熱した弾が当たったことで焦げ臭い香りが部屋に充満する。そして、部屋の中、中央に入った時にあるものを見つけた。それはいかにもな魔方陣の全貌。ミカンの中では完全に、この事件の犯人は伊上であると決定づけるには十分すぎる証拠であった。
持てるだけの知識と特技(技能)を活かして屋探しを始める。
目星、オカルト、図書館
ミカン75→71【成功】
ミカン55→03【クリティカル】
ミカン80→02【クリティカル】
机の上にファイリングされた紙束と1枚の札が挟まっているのが見つける。ミカンは右手に銃を持ったままその資料を開いた。そこには日本語で紙束に2種類の<術>についての記述がされている。1つが癒し。もう1つが刀身を清めると言った<術>が書かれていた。
【通常では考えられない魔術を知ったことによりSANチェック1/1D3】
ミカン50→56【失敗】
1D3→1
ミカンは札についても調べる。紙束のメモにはヨグ=ソトースのこぶしと書かれ、札を破ると効果が発揮されること、その魔術の発動条件について事細かに書かれていた。
癒しと刀身を清める情報が書かれた紙束と、ヨグ=ソトースのこぶしを発動するための札を持ち部屋の外に出た。外では、サクラがとても気まずそうな表情をしながら、ミカンが伊上の部屋から出て来るのを待っていた。
「い、伊上さんは・・・・殺したの?」
「・・・・・・この部屋には居なかったよ。」
「それじゃ、さっきの銃声は・・・・。」
「タンスの中に隠れてやり過ごそうとして無いかチェックしたの。でも居なかった。サクラ漢姉。伊上の向かいの部屋はもう調べた?」
「・・・調べたけど誰も居なかったよ。」
「そう。」
淡白な会話が2人の間でやり取りされる。2人が会話を交わしている間、ミカンはなるべくサクラと目線を合わせ会話しようとしたが、サクラはそれを拒むように視線をミカンの足元に向け、視線を合わせることを拒否していた。
会話が終わると同時に、2人の間に静寂が染みわたる。
「ミ、ミカン・・・・どうしてミカンが・・・銃なんか――」
「サクラ漢姉。この紙束をモミジに渡して、ユキについては僕が戻るまで伏せておいて。僕が戻ったらユキの事を2人で話そう。」
「・・・ちょっと――」
「この札は破るとその効果が発揮されるみたい。僕が居ない間、伊上が漢姉やモミジに手を出そうとしたら容赦なく使って。2人は僕やユキと違って、非常に女の子に近いから、ただ殺されるだけじゃ済まされないかもしれない。」
サクラの問いをミカンは聞こえないかのように振る舞うと、サクラに対して紙束と札を差し出す。サクラは問いを無視されたことに対し、少しむっとしたような表情を作ると、ミカンを見据え先ほどまでは合わせること拒否していた視線を合わせた。ミカンは、サクラの苛立ちを覚えながらもやっと視線を合わせてくれたことに対し、微妙に口角を上げるとショットガンを握っている方の手で、サクラの手を掴むと無理やりにでも紙束と札を握らせ今後の方針について1人で話し始める。
「・・・ミカン!!!」
「ごめん。サクラ漢姉。でももう僕が、伊上を殺すしかないんだ。分かって欲しい。ユキを殺すように仕向けた伊上を殺せるのは、ショットガンを持った僕しか・・・。実際問題、伊上戦にサクラ漢姉やモミジがユキの敵討ちに行ったとしても伊上には勝てない。それに足手まといにもなりかねない。・・・長男なら、状況を1番よく理解しているでしょ?」
「・・・・・っ。・・・・ッ!!」
勝手に今後の方針を立て始めるミカンに対し、サクラが距離を詰め何も持っていない方の手でミカンの顎を掴み上方向へと持ち上げると、目尻をつり上げ少し怒ったような表情を作りながら顔を近づける。ミカンは、成されるがままに顎を上げられると、先ほどとはうって変わり何処か澱み、焦点の合ってないような瞳でサクラを見つめ返した。サクラもこの言葉に対し何か言い返そうとするものの、言葉が出てこない。何かミカンだけで死地に向かわせず、自分達も手伝う趣旨を伝えようとしたが言葉が出てこなかった。
「・・・それに今回の事件は僕のせいでもあるんだ。僕が『思い出作りに家族温泉旅行に行きたい。』なんて言わなければ、こんな事は起きなかっただろうしユキだって死なずに済んだかもしれない。・・・だから。だから、僕がアイツに終止符を付けに行くんだ。サクラ漢姉も、もうモミジの居場所に戻ってモミジを一人にしないで。僕の・・・・・僕達の最後の弟を死なせないで。」
それだけ告げ、ミカンは一歩足を引きさがるとサクラの拘束を解き、最寄りの階段をショットガン両手に駆け降りて行った。
サクラはそのまま項垂れるように、ミカンの顎を掴んでいた手と頭を下げた。そして右前腕で両目の部分を右にずらす様に動かし両目に付着した水滴を拭くと、ミカンが降りて行った階段とは別の階段から1階に降り、モミジが居る書庫に向かって行った。