第二クトゥルフ神話『男の娘だらけのGo for broke!!』   作:カロライナ

18 / 21
Episode17 普段キレない人がキレると、なまら恐ろしい。

 サクラは重い足取りで、しかし着実にモミジのいる部屋へと急いだ。書庫にノックをしモミジに声をかけ、中から扉を開けて貰う。身体を縮こませながらも、そこには五体満足、無傷のモミジの姿があった。とりあえずモミジが無事なことに対しサクラは胸をなで下ろすと、急かす様にモミジと共に部屋の奥へと入って行った。

 

「サクラ姉・・・随分遅かったけど、ミカン兄やユキにぃは・・・? 一緒じゃないの?」

「・・・うん。私が見に行くまででもなく、2人でモミジを襲った不審者を軽々とやっつけて2階で他にこの屋敷から出る手立ては無いか探ってる。・・・あと、これミカンから。モミジにって。」

 

サクラ

言いくるめ5→7【失敗】

モミジ

心理学72→??【??】

 

「・・・サクラ姉~。」

「ん。どうしたの?」

「それ、嘘だよね?」

「・・・・・っ。」

 

 不安げな表情を露わにし、2人の兄が長男と一緒に帰ってこないことに疑問を抱き尋ねる。サクラは書庫に来るまでに考えていた言い訳を使って、サクラは死んだと思っているユキと、真面に戦うことができるミカンが1人でケジメを付けに、伊上探しを始めたことを伏せて適当な嘘を並べた。その嘘はサクラにとっては自信のあるものであり、言いくるめようとすると焦って言葉が見つからなくなってしまう“いつも”よりは上手く言いくるめることができていた。

 しかし、長年産まれてきた時から見てきた末弟には、兄の挙動がおかしいことに気付いていた。いつもであれば、間髪入れずに返事をすること。会話をしている間、決して目を放さない事。嘘をつくときは両手を後ろに待ってくること。この3つの状態全てをサクラが満たしていることをモミジは見抜いていた。

 差し出された紙束は受け取り、ざっと目に通す。そこには癒しと刀身を清める方法について書かれており、モミジはメールの内容を思い出して必ず読み込み内容を知ることが大事だと確信を得た。

 そして明らかに不審な兄を問い詰める。見破られた時のサクラの反応は誰が見ても分かりやすいというだろう。まず、後ろで組んでいた両手が両脇に戻ってくる。左足が1歩引きさがり、瞳と瞳孔が大きく開く。口が若干開き歯の奥にある舌が見える。そして一度、大きく身体をビクンと反応させる。分かりやすい反応を示すサクラに対し、モミジは語尾を伸ばすのを止め、神妙な表情で続ける。

 

「どうして嘘をついたの? 今、ミカン兄や、ユキにぃは2階にはいない・・・のかな? 何をわたしに隠そうとしているの?」

「そ、それは・・・・・。」

 

DEX対抗-5%(動揺により-補正)

サクラ35→68【失敗】

 

「・・・・・!!」

「・・・モミジ! 2階に行ってはダメ!!」

 

 こうなってしまったサクラを突き崩すことは、赤子でも容易い。嘘を付けば付くほどボロが零れだし、しまいには矛盾だらけの嘘でその身を固めてしまう。モミジは激しく動揺しているサクラに問い詰めることなく、動揺した隙を使って外に逃げ出す。咄嗟の反応に対応できなかったサクラは脇をすり抜けるモミジを捕まえることができず、そのまま書庫の外へと逃がしてしまう。サクラが追いかけに走った時は既に時遅し。モミジは最初の銃声があった部屋に向けて走り出していた。

 そのまま2階へ駆け上がりモミジは異常な光景を目の当たりにする。自分が寝泊りするはずの部屋の目の前の廊下に、巨体な死体が寝転がり、その近くの扉は死体の体液によるものだろうか、べったりと何かが付着している。

 

モミジ

目星75→27【成功】

 

 そして更に異常なことに気付く。宿泊するはずの部屋の扉が一枚明らかに破壊され、中にも、また巨体な死体とは異なった死体が転がっていた。なおかつその部屋の周辺には以上にBB弾が散らばっているような・・・。そしてあの部屋を使っていたのはユキであったはず。背後からサクラが迫ってきていることもあった為、そのままモミジはユキの部屋に向かう。

 

「その部屋には入ってはダメ!!」

 

 サクラが呼び止める声も聞こえた気がしたが、モミジは構わず部屋の中に入る。そこにユキは居た。部屋の奥、死んだようにピクリとも動かず奇妙な体制で崩れ落ちている大好きな兄の姿を。自分の目を疑いながら、ややふらつく足取りで動かない兄へと近寄る。

 

「・・・・ぇ? ユキにぃ・・・・ぇ・・・嘘・・・・・で・・・しょ・・・・・?」

「・・・・・っ・・・・。」

 

 サクラもモミジがユキのいる部屋に到着してから3秒後に部屋に辿り着いた。そこには力なく項垂れ床に突っ伏しているユキと、それに寄り添うようにし、入り口側に背を向けたユキの顔を撫でたり、うなじや首元を触るモミジの姿があった。見られてしまったからには仕方がない。そのような決意をサクラは胸に決めて、モミジに声を掛けようとした。

 

こぶし

モミジ50→35【成功】

1D3-1D6→1

 

 モミジの振り返りながらもの、立ち上がりを利用した強烈なアッパーがサクラの顎を捉え、こぶしを派手に叩きつけた。その立ち上がりの威力も籠ったアッパーにサクラは顎を押さえ、モミジの顔を目を丸くしながら見つめる。そこには両目に涙を溜め、歯をこれでもかと食いしばり兄サクラを睨みつけるモミジがそこに居た。

 サクラもこれは殴られても仕方ないと視線を落し、一言謝ろうと近づいた。

 

「このバカサクラ兄ぃぃ!!! こんな秋風レヴィから、DVを受けた後みたいにボコボコにされたユキにぃを見つけながらも、どうして、わたしに報告しなかったぁ!!!」

 

 モミジは地下1階で、ミカンが伊上に向けた形相よりも更に恐ろしい表情でサクラに詰め寄る。

 

【未だかつて末弟がキレた瞬間を見たことがない兄が弟のマジギレを見たSANC1/1D3】

サクラ64→65【失敗】

1D3→1

 

「ど、どうしてって・・・。」

「それも、こんな不自然な体制のまま放置してェ!! もし、ユキにぃが腰痛を患わったらどうするんじゃワレェ!!!」

「ひぃっ! ごめんなさい!!」

 

 普段から穏やかで、怒った姿も、文句を言う姿も見たことがないサクラは、モミジの豹変っぷりに恐れ慄く。ユキやミカンのキレる姿なら、何度でも見てきた為、もし同じような暴言を吐かれ、同じように問い詰められ、胸倉を掴まれてもそこまでは動じなかっただろう。しかし、サクラは動じに動じ、見たことのない末弟に対して涙目を浮かべることしかできなかった。

 モミジ一通り涙目になっている兄に罵倒の言葉を浴びせ終わると、ユキを安楽な姿勢にして床に寝転がし、紙束を読み書かれている内容が、何かに使えないかと広げ目を通し始めた。そして、自分にユキの重体を知らせなかった兄に対し、一喝すると自分の部屋から応急箱を取りに行かせた。

 

【通常では考えられない魔術を知ったことによりSANチェック1/1D3】

モミジ56→55【成功】

 

 サクラが応急箱を取り戻ってくると、応急箱をユキの近くに展開し、まずは疑い半分で【癒し】の術を紙に書かれている通り5分間対象の身体に触れ呪文を唱え始める。すこしの気怠さを感じた後、呪文が効くことを祈りながら応急手当に移った。

 

応急手当+20%(応急箱を使用する為+補正)

【癒し】により回復値6固定

モミジ90→89【成功】

ユキHP1→HP7

モミジ90→90【成功】

ユキHP7→13

 

 多少サクラに対する怒りでユキの傷口を広げそうになってしまったが、なんとか兄を愛する気持ちと、兄を尊敬する気持ち、兄に対する禁断の想いを胸に刻み、危うげながらも手当を無事に済ませることに成功した。

 そして術の効果はしっかりと発揮されているようで、腫れていた顔や、青タンになってしまった痣もモミジの応急手当と共に消えて行き、治療が終わるころには穏やかな呼吸をしている綺麗な姿のユキが床の上で寝ていた。

 

「ん・・・・・ぁ・・・・。あれ・・・・? モミジ・・・? サクラお姉・・・・母さん・・・・?」

「・・・・・・・・生き・・・・返った・・・・・・?」

「・・・・フッ。・・・・・ユキ兄~♪」

「ほむっ! モ、モミジどうしたの また甘えた声で抱きついたりして。」

「えへへ~。大好きだよ~。」

 

 そして10秒もしないうちにユキは殴られた個所を摩りながらも身体を起こす。

 今の今まで死んでいると思っていたユキが起き上がったことに対し、サクラは尻餅を着いて驚いた。そして信じられないと言った表情でモミジを見る。モミジはサクラにドヤ顔を送ると、そのままユキの方へと顔を戻し、倒れない程度の勢いでユキに向けて抱きついた。ユキも押し倒されないように踏ん張りつつも、モミジの抱きつきをしっかりと受け止める。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。