第二クトゥルフ神話『男の娘だらけのGo for broke!!』   作:カロライナ

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Episode2 山の天候は変わりやすい。

「サクラ漢姉ちゃん、本当にこの道で合ってるの? かれこれ1時間ぐらい山の中を進んでいるような気がするんだけど・・・。雪も降り出したし、引き返して遠回りでも他のルートから行った方が良いんじゃないかな。非力な僕達じゃ到底チェーンを装備させるなんて芸当できないと思うよ。ジャッキがあれば別だけど・・・。」

「でも話を聞いて確認したから、間違いではないと思うのだけど・・・。」

 

 ミカンが温泉案内雑誌を閉じ、サクラに進言をする。サクラは少し困った顔をするものの自信にあふれた声でミカンに返事を返す。サクラにはそれだけの自信があった。この山道に入る前、少し休憩を入れる為コンビニに立ち寄った時、確かに店員からこの道をまっすぐ進むと目的地までたどり着くと話を聞いていたからだ。

 

「サクラ姉~、その店員さんが間違えていたってことはないかな~。」

「サクラおねーちゃんの美貌に 見取れて緊張してうっかりとか?」

「マイナーなジャンルだけど、サクラ姉って高収入だもんね~。案外サクラ姉のファンだったりして~。」

「その店員さん、見かけによらずド変態なんだね。」

「日本は、変態が多いからね~仕方ないね~。」

 

 後部座席のモミジとユキが、実兄を褒めながらその店員について貶していると、先ほどまで弱弱しかった雪が、だんだんと強く。そして山道に降り積もって行った。

 

「・・・まずくないか? サクラの兄貴。このままじゃ立ち往生必須だぞ。」

「ミカン。だから、私は漢姉ちゃんだと・・・。まぁ・・・まずいのは分かってる。どうしよう・・・。」

「携帯が圏外じゃジャフも呼べないしね~。外も暗くなってきちゃったし、ライトつけて徐行運転で行けるところまで行くしかないかな~。」

「ユキ、どう思う?」

 

 サクラは降り積もりる雪を見ることで、先ほどまで自信に満ち溢れていたものの、とたんに焦りを感じていた。ミカンも自分の兄を“にーちゃん”と呼ぶのを止め、“兄貴”と呼ぶほどに切羽が詰まり始めていた。しかしモミジは相変わらず気の抜けた口調で、ちょこんと座席に座り足を揺らしていた。サクラは、自衛官であるユキの方をチラリとみて助けを求める。

 

「うん・・・。進むより戻った方が良いけど・・・車幅的に、切り返しは出来ないから進むしかないね。」

「進むしか・・・ないかぁ・・・。」

 

 がっくりとサクラは肩を降ろし、自動車のライトを点灯させると20kmまで速度を落として、直進方向に自動車を進めて行った。

 

「んー・・・サクラ姉、暇だからラジオ付けても良い~?」

「えぇ、好きにして。」

 

 完全に暗くなった山道を4人を乗せた自動車は更に奥へと進む。暇を持て余したモミジがサクラに許可を取り、ラジオをつけた途端ニュースが流れ始めた。

 

「次のニュースです。昨日、温泉の秘境旅行へ向かった大学生グループが行方不明になりました。捜索隊が派遣されましたが突然の吹雪により、自衛隊を含めた捜索は中断されています。」

 

 状況が状況だけに、ニュースキャスターの一瞬の一言により 車内の雰囲気が暗くなる。ニュースはそれだけでは終わらず、遭難した大学生グループの両親たちへのインタビューが流れだし、号泣する声や、一刻も早く帰ってきてほしいという 願いの籠った重い言葉がラジオから延々と流れ出た。つけたモミジがもう一度身を乗り出してラジオを消す。車内にはエンジンが振動する音と、雪道を進む音だけが反響した。

 

「・・・・・・ユキ。救助ヘリって一機飛ばすとどれくらいかかるの?」

「・・・結構 掛かるかな。海ならそんなには掛からないのだけど・・・。」

 

 

 

 




【後書き】
「金掛かるから、遭難・自殺するなら山じゃなくて、海へ行け。」
少年期、誰かが私に言った言葉ですが、結構トラウマに残るもんなんですね・・・。
まさか小説を書いている途中で、ふと思い出すだなんて想定していませんでした。

大学生グループも、NPCとしてそのうち出てくるんじゃないでしょうか。
そのうちにね。



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