第二クトゥルフ神話『男の娘だらけのGo for broke!!』 作:カロライナ
時刻は18:00を過ぎた頃。サクラ、ミカンの寒さによる震えも和らぎ、4人は各々使用しても構わないと通された部屋で、適当に時間を潰していた。部屋の中は机とベッド、タンスと言った簡素な部屋で、部屋には内側から鍵を掛けられる仕組みとなっている。
サクラは雪解け水で剥がれた化粧を塗り直しを行い、ミカンは部屋に鍵をかけ温泉の雑誌を片手に肌身離す事の出来ない12ゲージショットガンの手入れをする。ユキもユキで、袋の中に押し込んでいた89式自動小銃の形をした改造モデルガンの整備、点検を丁寧に済ませている。モミジはというと、繋がらないスマホを振ったり、窓際に寄る事で電波が入らないかどうかのチェックを永遠と執り行っていた。
18:30になると部屋からサクラ、モミジの2人が同じタイミングで部屋から出てきた。
「あ、サクラ漢姉。どこ行くの~?」
「モミジ。伊上さんに料理で使わせて頂く材料代と、もう一度お礼を言いに行こうかなって思って。あとは皆のご飯を作りに厨房かな。お腹減ったでしょ?」
「減った~。」
部屋を出た瞬間、互いの目が丁度合い 手を挙げ互いが互いを視認していることを確認した後、柱の裏側に集まる。モミジはスマホを片手に、サクラはサイフを片手に持ち、モミジは防寒着を脱ぎ去り、サクラに似たようなキャミソール服装で現れた。
「あ、そうだ。凍り付きながら聞いていたとは思うけど サクラ漢姉はお母さんって事にしたから、つじつま合わせお願いね~。」
「えぇ。わかったわ。」
モミジはゆるやかな様子で語尾を伸ばしながら、伊上に話したことをサクラにも伝える。サクラは頷きながらそれを承諾すると右手で前髪を適当に整えた。
「ところで、モミジはこれから何処か行くの?」
「わたしは屋敷の探検かな~。ちょっと玄関で感じた違和感が気になっちゃって~。」
「・・・・モミジも?」
「も、というとサクラ漢姉も~? よかった~。わたしだけじゃなかったんだ~。」
ふわふわとした様子で答えるモミジの返答に、サクラはピクリと眉を上げる。そして自分も、何か違和感を感じたことを仄めかすと、モミジは自分だけが感じ取ったわけではないということを理解し安堵の吐息をもらした。
「感じたのって、もしかして館に入る時かしら? 何とも言えないけど、なんとなく奇妙な感じがする?」
「そ~そ~。そんな感じだったかな~。」
「具体的な例を挙げると、挿入なしって打ち合わせでは話していたのに実際に現場に入ってみたら 本番のセットが全て揃っていた、男優がヤる気満々とかいう そんな奇妙な感じ?」
「う、うん~・・・一部の人しか分からないような具体例だけど、大体そんな感じ~。」
サクラの食いつき気味かつ実体験を交えた具体例に、モミジは少し引きつつ 一歩身を引いて穏やかな口調で返事を返す。それを確認するとサクラは俯き、わなわなと身体を揺らしそして両手でモミジの方を掴むと 俯いていた顔を振り上げ、ゼロ距離まで近づけた。
この行動には流石にモミジも驚いたのか、一回その場で飛び跳ねると目を見開いた。
「モミジ・・・・漢姉ちゃん命令よ・・・旅行に来ても、なおかつ部屋に引きこもっているユキとミカンを連れて、館の違和感を探ってきなさい。もしかしたら、感のいいユキなら同じ違和感を感じ取っているかもしれないし、感の鈍いミカンは気付いていないと確定しても3人も違和感に気付くなんてそれは普通の事じゃないから。もしかしたら、私達に良くない災いが振りかかろうとしているのかもしれないわ。サボらないで一通り館を探り違和感をみつける事。伊上さんは漢姉ちゃんが、引き付けるから。 い い わ ね ?」
「・・! ・・! ・・!!」
無駄かつ壮大な長男サクラの迫力に押され、モミジは身体を固くさせながら、拒否することなく首を何度も縦に振った。「よし♪」と満足そうにサクラは笑うと掴んでいた両手を放し、片手で頭を撫でると、モミジの顔から自分の顔を引き離した。
「それじゃ、19:00ぐらいには料理できると思うから、また後でね。」
サクラは先ほどの気迫からは感じさせないような笑顔をモミジに向け、可愛らしくウィンクをすると軽いステップを踏みながら伊上の私室へと足を運んで行った。