ログイン
窓を覗くと外はそれなりに明るく、見慣れた住宅街が広がっていた。最後に昔ながらの携帯を確認した。その画面には病院で使うようなヘッドギアが映し出されていた。そして、携帯の電源を切りカーテンを閉め段ボールの中からそのヘッドギアを取り出した。暗い部屋の中、俺は今手の中にある機械をただ眺めていた。ネットで見たものよりも大きく見える。このギアは、「ナーヴギア」といい、VR世界に完全ダイブできるそうだ。そして今から自分はその世界に飛び込もうとしている。ナーヴギアを被ると隅っこに時刻が表示される。その時刻は14時04分を指していた。目の前にはよくわからないコードや確認が行われ、ログイン完了の文字が。そして僕は叫んだ。
「リンク・スタート!」
叫んだ瞬間、目の前が電子の世界に飲み込まれていった。
こうして、目の前にはゲーム『SAO』、通称『ソードアートオンライン』主体となる、浮遊城アインクラッドの世界が広がっていた。古そうな街並み、どれも見たことのない初めての世界。だが、正直自分はこのゲームをクリアしに来たのではない。ただ、やってみたかったからやっているだけで、友達と遊んだらすぐにログアウトしようと思っていた。そんなことを思いながら第一層のはじまりの街をただうろうろしていた。一つ思ったことがあり、やはりゲームだからか、アバターの顔がとても現実ではなさそうな顔がとても多かった。このゲームは体つきや性別、顔を変えれるらしいが、自分は変えるつもりも特になくただ使い捨てるつもりだったため現実に似た顔つきとなっている。その方が目立たないし、友達も見つけやすいだろう。損はないのだ。迷宮区に挑む人、人とギルドを組み話し合う人、一人ベンチに座り休んでいる人、どれの人も見る限りは楽しそうだ。それぞれ人がたくさんいる中自分も一人ベンチに座らせてもらうことにした。
そんなことを思いながらふらふらしていると自動的に広場に転送させられた。チュートリアルだろうか、特に驚きもせずに広場内に降りた…のだが、明らかにその光景はおかしかった。人々が先ほど見た時と違い焦りや恐怖の顔になっている。広場内は転送されてきたプレイヤーたちによってすぐ万条となってしまった。広場のある所から声が聞こえた。
「ログアウトができないんだよ…このままだと俺たちこの世界に閉じ込められたままだぞ…」
細々しい声が聞こえる。聞き取るのに苦労はしたもののその情報はとても貴重なものとなった。僕はすぐメニューを開きログアウトボタンを確認する。
ない。どこのメニューを探してもないのだ。隠しコマンドはないのか、とりあえずいろんな思いつく限り、いろんなポーズを試してみた。懇願する、土下座、雨乞い、倒れてみる、そしてメニューを覗いてみるがやっぱりない。さらなる手段は…僕はログアウトと叫ぼうとした。その直後、僕たちプレイヤーの背後に大きな影が現れる。その影はだんだん大きくなっていきやがて大きな人の形となった。突然の登場に広場内は騒然に包まれた。その巨人はローブを着ており、顔も隠れ声も聞いたことのない声だった。その話は全く理解できなかったが、ただ一つ分かったこと。
『HPが0になれば現実でも世界でも死んでしまう』
もちろん、普通に言われたら信じるわけない。そう、最初は僕はただの冗談だと思い、鼻で笑ったのだ。だが、それを現実的にした事実、それは生命の碑が語っていた。死んだプレイヤーの名前が続々と記録されていった。現実へ帰ろうとしたプレイヤーがこの浮遊城から飛び降りていったが、生命の碑に記録されていくだけでそのプレイヤーの姿を二度と目撃することはなかった。もしかしたら元の世界に帰っているのかもしれない…そこから、危険を感じこの世界にログインできなくなっているのかもしれない。デスゲームというのは最後の一人を選ぶための何かの策略なのかもしれない。いったいこれに何の意味があるのか…どう考えても分からなかった。
そして、数時間たった広場は先ほどより人が減り、大体30人ぐらいになっていた。その面々はやはり知らないプレイヤーばかりで、ほとんどが絶望と失望で膝まづき、空に祈り、命乞いをしていた。俺はデスゲーム開始直後より落ち着くことができ、今はとりあえず現実と対面することができた。だが、一つ問題があった…
「この後どうしよう…」
静かな広場に俺の声がひっそりと響いていった。結局、その日の夜は広場で眠る他することが考え付かなかった。
次の朝、広場の隅っこから目を覚ますと隣には昨日いなかったプレイヤーがいた。僕と同じぼろ布の上に鉄の胸当てを付けているプレイヤー。見た目から初心者に見える。そのプレイヤーは起きあがり、僕を見ると宝物でも見つけたように目をきらめかせさらに近寄ってきた。そして、僕の反応を待つことなく話しかけてきた。
「お前さ、どこにもギルド所属してないだろ?」
は?ギルド??ゲームをやるのがこの世界が初めての僕にそんな言葉皆目見当もつかない。ギルドって何なのか、何かの宗教団体なのだろうか。たぶん間違いはないだろう。うむ。そんな突っ込みを一人していると話を続けてくる。
「お前わからなさそうな顔しているけどな…ギルドってのは、一緒に戦う仲間みたいなものなんだ。あのさ、いまギルメン募集しているんだけどよかったらさ、入んないか?初心者大歓迎だしな!こんな関あ一緒に戦う仲間がいれば気楽だと思うぜ?」
そうなのか。裏切られるリスクがあるかもしれないが、みんな初心者なら強いプレイヤーもなんとかなるのかもしれない。魚だって固まってでかい敵を逃がすことだってある、軍狼戦術に頼るのもあり。ゲームはよくわからないけど…大人数は強い。たくさんいればいつでも信号も渡れる。世界を覆すほど数に頼る作戦は素晴らしい。結局二つ返事でギルドに加入することとなった。これからどうなるのだろうか…まだ、僕にはわかっていなかった。
もともとストーリーがある話にオリジナル設定を付けるのは初めてです。えざかみうすです!たぶんしばらく更新がありません!(笑)一応25話終わりを目指して書いています・相変わらずの起承転結ブレイクと設定のがばがば加減です…それでも呼んでくれる人がいたら…うれしいです。次回までまた~!