ソードアート・オンライン 白い罪人   作:かえー

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再会

 

ALOで「僕」と戦って約半年、俺リンネは警察の保護から解放され、アモネの家に居候させてもらっていた。家に帰ればよいと思った人もいただろうが、今家に帰ったり、俺が警察から解放された情報が洩れようものならおそらく命がない。とはいえ、外出は必要な時があり今日がその一例だ。今日は帰還者対象の定期健診で、以前入院していた病院へ向かわなければならなかった。

病院から帰っている途中、俺は車の中で転寝していた。隣に座るカミュさんが寝そうになるたび体をゆすり中途半端な覚醒を促してくる。そのたび、彼女の方を向き睨むが表情一つ変えずに前を向いたままだ。眠気がやってくる度体のゆすりが増えるがそれに反して体はだんだん重くなる。頭がカクリと下りた時、頭に強めの痛みが起こった。

 

 

壁か棚に頭をぶつけたかあまりの痛さに頭をさする、気づけば朝が来ていた。起き上がり周りを見てみると周りが丸太だらけで見覚えのある光景と出会った。もしかするとここは…本当にSAOの世界に戻って来てしまったのではないだろうか?指でサインをしてステータス画面を開き、装備画面を開く。そこには俺が以前使っていた武器『ギルティサクリファイス』の文字が浮かび上がる。それだけではない、フレンドを確認するとぽつんとアモネの文字が表記される。そして現在の時刻を確認すると、11月1日の午後1時をお知らせしていた。これは俺たちがミラに反抗するまで5日前である。

 

「…タイムスリップした……?SAOの世界に」

 

不意に、ドンドンと扉が叩かれる音を聞き、俺は飛び起きてあたりを確認する。家は全くと言っていいほど何もなく敵の姿もない。恐る恐る扉を開けるとそこには顔を赤らめたサイドテールの少女、カザネが立っていたのである。そして俺を確認すると懇願するように接近し手を握る。急なこと過ぎて俺は恐怖に思い動けない。カザネはとても気持ちよさそうな顔をしているがすぐに真面目な顔になり俺を一緒に床へ座らせた。

 

「前にも話したと思うけれどこの日は…私の兄さんがやられた日なの。だからそれを止めに来た。」

 

「えーと…俺は確かこの日……あいつらに逆襲するために部屋でシュミレーションをしていたはず……俺は七日まで家の外に出ていないな」

 

「なら誰って言うのよ…あんたが死神ってここで呼ばれてて、その死神がここにいるってことは他に死神いたっていうことじゃない?」

 

「そういうことになるな」「…」「…」

 

「なら早く止めに行かないといけないじゃない!!あんた今すぐ出発よ!事件現場は私が知っている!!」

 

 

 

引っ張りだされた俺は無抵抗に引っ張られ家から連れ出された。まず思えば、何故ALOで出会った彼女がここに存在するのか…なら夢なのかもしれない。

 

転移結晶を使い56層に飛びさらに走っていくと広場に到着する。そこには多くの人が行きかい賑わっていた。その中でも彼女が指さした先には鎧を着た背の高い青年が歩いていたのである。そう、彼こそこれから殺される予定のプレイヤー、カザネの兄である。今ここにいるということは恐らくもう少しで事件は起こるはず…と思った矢先、後ろからナイフを構えた小柄な少年の姿が見られる。その少年の手は少し震えており殺すことを躊躇しているように見えた。が、一つ頷くと目の前のカザネの兄に向かって走り出す。少年は恐る恐る目を開けるが、目の前に広がる光景が違うことに驚いたのだろう、少年は驚き後ろに倒れてしまう。少年が見た光景、それはアモネの兄の亡骸ではなく俺の武器が少年のナイフを弾き飛ばし、仁王立ちする俺の姿だったのだから。少年は逃げだそうとするが、カザネが許すはずがなくすぐに摘み上げそのまま地面に投げつけ手に持つ槍を彼の頭の近くにつき刺した。ヒッと声が上がり少年は震えだした。

 

「さて、なんで兄さんを狙ったのかしら?理由によってはあんたを生かしておくわけにいかないわ」

 

「そ、それは…認められるためだよ!力がないとこの世界は生きていけないだろ!!そこにこいつがいたから悪いんだ!!」

 

「人殺して力なんて上がんないわよ…死んで償え、この人殺し!!」「待てカザネ!!」

 

カザネの振りかぶった槍を鎌で受け止め少年への攻撃を防ぐ。その隙をついて少年は逃げようとするが、先ほどのカザネと同じように鎌を地面につき刺した。

 

「こ、殺すなら殺せよ…俺はあんたに憧れて人を殺そうと思ったんだ…!!」

 

「俺のせいかよ…ま、前の俺なら間違いなく解体していたが今回は目を瞑ってやろう。俺は人殺しを好んでしていない。この世界を生きるために仕方なくやっていたことであって俺は正気なんだ。」

 

「で、でも…強いじゃないか!俺はそんな力もないし…もしあいつが襲われたら俺が守らなきゃ…」

 

「お前は昔の俺と似ている。俺は仲間を失ってこんなんになってしまったが、お前はまだ間に合う。こっちの世界に踏み込まずに、お前の世界を守った方がいい。」

 

「…俺は罪人を許せないんだ。だからあんたのような力が欲しくて…!!」

 

少年は跳ね起き俺をナイフで突き刺そうとするが、俺はナイフを蹴りで跳ねのけ拳で少年を殴り飛ばす。正直、傷つけずに回避することもできたが、これくらいしないと彼は諦めてくれないだろう。殺さず生かして恐怖を与える…納得はいかなかったがこれしかないと思い、罪悪感を押し殺した。少年は頬を押さえて立ちあがりどこかに走っていってしまった。安心するとため息が自然と出てしまい、後ろを向くとカザネが兄と抱き合った状態で泣いていた。つい俺も釣られて目から涙が流れてしまった。何故こんな涙が流れてしまったのかわからない。が、ただひたすら泣くことしか出来なかった。

 

「ありがとうございました。私はギルドを脱退して静かに街で暮らします」

 

「本当に無事でよかった…兄さんを救ってくれてありがとう。本当はあんたが犯人じゃなかったのね」

 

「俺もスッキリしたよ。お前と会った日以来ずっともやもやしていたからな…兄さんが無事で何より。」

 

「風音は…行ってしまうのか?」

 

「ごめん、私この人と色々やることがあるの。でも…絶対この人とこのゲームをクリアして開放してあげるから、それまでずっと待っててほしいな。」

 

「そうか…強くなったな、風音。昔はこんなに積極的じゃなかったのに…なんか安心したぜ。風音を頼んだよ、リンネ君」

 

複雑だったが、任せてくださいと返事を返し握手をした。兄さんが歩いていく刹那呟きが耳に入る。

 

『妹がどうして…?』

 

 

その数秒後、カザネは俺に抱き着き下から目線で俺を見つめてくるが…またそれが恐怖にしか思えない。アモネにでも見つかったら俺は…あんなことまで言ったのに…思い出すととても恥ずかしくなってきた。そんなことを知らずに彼女はさらに体を寄せて肌を密着させる。万事休すか、と思った時聞き覚えのある声が聞こえた。カザネをおんぶしその声の元へ向かうと…そこには、拳で斧を振り回すバトラーと互角に戦うローベの姿があった。バトラーは俺に気づくとデュエルを中断して、ローベと近づいてきた。

 

「ようリンネ…その女はなんだ?お前には救うやつがいるのに二股とは…のんきだな」

 

「いや、バトラー…これはその…事情があって…!!」

 

「あら、あららら…お前ら知り合いだったのかよ…!?世界は狭すぎますなぁ…!」

 

ローベが感心して頷く。確かにこの光景を見たバトラーからすれば確かに浮気しているように見える。だが、違う。断じて違う。これはどう頑張っても回避することのできなかった事故なのである。とりあえず状況を適当に説明し二人もこの作戦に参加することになった。が、バトラーやこの世界の人間にはさすがにタイムスリップしてきたなんて言えないので、昔からの知り合いということにしておいた。その時にカザネが喜々とした目でこちらを見ていたことは言うまでもない。

 

それから、俺の家を拠点にし俺とカザネとローベの三人は今後の予定を考えなおす。アモネを救出した後、この世界が本当に100層クリアするまで終わらなければ…そのこともあり、実践能力アップを第一の目標とした。とりあえずそこまで立てた後、それぞれが家の木の板に就寝した。が、俺はずっと考えていた。なぜあの天使は俺をこんな世界に連れてきたのか。それが不安だった。もし本当にクリアしたいのならキリトやシリカでもよかったはずなのに一体何故俺らは…が、何日も経てば分かるが…とりあえず近日に迫った彼女の救出を一番に考えることにした。一度外に出て崖から世界を見るが、何度見てもそこは俺が二年間生活したデスゲームの世界、SAOの仮想世界が見せる朝日が昇っていた。

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