ゼシカの婚約者 ラグサットとして   作:ひつまぶし食べ隊

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11 強敵との死闘と本当のヘタレ

 サーベルトから話を聞くと、遂に現れたかというのが俺の感想だった。ルイネロ、ユリマの父親だ。

 ルイネロはよく当たる占い師だったが、ある出来事を切っ掛けに占い道具の水晶玉を捨てる。ある日夢で水晶玉の在処を知ったユリマが、主人公達に水晶玉を取って来て貰えるように頼む。それが原作で初めてダンジョンに行く流れで、ルイネロの立ち位置だ。

 そのルイネロが問題になったとサーベルトは語る。告白自体は無事受け入れて貰えたがその後、父に紹介すると家に案内されたときユリマとの交際を反対されたと言う。お約束の「お前にお義父さんと呼ばれる筋合いは無い」もやったらしい。

 口論の末「ユリマを守れる力を見せてみろ」と言われ、最近満月の夜にトラペッタを襲うようになった、強力なモンスターを退治出来たら認めてもらえる事になった。

 一人でとは言っていないのにも関わらず、サーベルトは先走り一人で挑むがモンスターが思いの外強く敗走した様だ。

 ルイネロはユリマの事を諦めろと言うが、ユリマの説得により次の満月の日までの猶予を与えられたというのがサーベルトの話だ。

 

「つまり俺とサーベルトでそのモンスターを倒せば、ユリマとの付き合いを認めてもらえると」

 

「そうだ」

 

「どんなモンスターだったんだ? スライムプディングか?」

 

「いや、長柄の斧を持った二足歩行のドラゴンだった」

 

(長柄の斧を持った二足歩行のドラゴン… ドランゴか)

 

 ドランゴはドラクエⅧにおける最初の初見殺しだ。3Dになったフィールドに感動しながら探索するプレイヤーに凄い形相で迫ってきて、戦闘ではその強さでこちらを全滅させて行く。

 

「それは多分、バトルレックスと言うモンスターだな。本来こんな所に現れないんだが… しかし、よく生きて帰れたな?」

 

「しばらく戦って殺されかけて、これは一人じゃ勝てないと思ってね。直ぐに隙を見てルーラで逃げたよ 。」

 

「一人で強いと分かっているモンスターと戦うとは迂闊だぞ」

 

「すまない。トラペッタ辺りなら大丈夫だと思っていたらこの様だ」

 

「モンスターと戦う許可はラグサットさんと一緒ならと認めたのに、一人で戦うなんて何をしているの!」

 

「兄さん、いくらなんでも無茶し過ぎよ!」

 

 アローザさんとゼシカが怒っている。逃げ切れたから良かったものの、下手すれば死んでいたかもしれないのだ。家族として当然の怒りだろう。

 

「すまない。もう二度としないよ」

 

「師匠達の所に行って相談しよう。そして怒られると良い」

 

 サーベルトは青ざめている。ゼシカ達二人は「しっかり怒られて来なさい」と突き放す。

 

「ほら行くぞ。ルーラしろ」

 

 頭を小突くとサーベルトは嫌そうにルーラを唱え、師匠達の所に向かった。

 

「お前は一体何をしているんだ!」

 

 ライアンさんの怒声が訓練場に響く。訓練場に着くと今日は四人勢揃いしており、丁度良いとサーベルトの事を説明すると四人とも表情が豹変した。特にライアンさんは正式な弟子の愚行に激怒している。

 

「申し訳ありません」

 

 サーベルトは必死に頭を下げる。

 

「サーベルトちゃん、この世界にはザオラルやザオリクと言う蘇生呪文があるわ。でもザオリクであっても絶対に生き返れるものじゃ無いの。死体の損傷が激しい程、死んでから時間が経つ程生き返れる可能性が低くなると言われているわ」

 

 マリーさんが蘇生呪文について解説する。ゲームと違い絶対に生き返る訳ではないようだ。心肺蘇生の様に時間が経ち過ぎると駄目らしい。

 

「後は病気や老衰、そこで死ぬのが運命の人は生き返れないとも言われているな」

 

 さらにモリー師匠が補足する。運命か… ドルマゲスに殺されるのがサーベルトの運命なんだろうか?

 

「人を食べるモンスターも多いですしね。もし一人で戦って死んで、体を食べられたらザオリクでも蘇生は不可能と思っていいでしょう」

 

 トルネコさんがだめ押しした。もし一人で戦って死んだらモンスターに食べられるし、そうで無くても死体発見が遅くなり蘇生する可能性が下がるということか。初めに一人でモンスターと戦わなくて良かったと改めて思う。

 

「いくら惚れた女のためとは言え、自分がどれだけ馬鹿な事をしたか理解できたか?」

 

「…はい」

 

 今までに見た事が無い位落ち込んでいる。しかし今は慰めるより先に進もう、時間は有限だ。俺はモリー師匠にバトルレックスの強さを尋ねた。

 

「モリー師匠は仕事柄モンスターに詳しいですよね。私達二人でバトルレックス勝てると思いますか?」

 

「難しいな… 正直ギリギリで無理だな」

 

 モリー師匠に尋ねると、あまりよろしくない答えが帰って来た。

 

「なら特訓だな、次の満月まで10日か… 馬鹿弟子を鍛え直すのには十分だな。喜べサーベルト、対ドラゴン用の特技を仕込んでやる」

 

 おそらくドラゴン斬りの事だろう。ライアンさんが仕込むと言ったら、10日以内に仕込むんだろう。例えサーベルトがどうなろうとも。

 しばらく泊まり込みで特訓するため一度それぞれの家に帰り家族に報告した。

 そして特訓が始まった。そう『特訓』だ、普通の修行ではない。

 モリー師匠はてつのつめを装備している。爪スキルを持っているのは知っていたが、装備しているのは初めて見た。そして二度と見たくないと思った、強すぎるのだ。

 てつのつめを右手に装備しているが、それ以外の左手や足なども使って攻撃してくる。蹴りを避ければ爪に襲われ、爪を避ければ左手で殴られる。負けじと攻撃するが、ブーメランは器用に爪で絡め取られ、ハンマーは遅くて当たらない、扇は爪の範囲に入ってしまう。手詰まりで何も出来ない。ひたすら防戦一方で防御の修行にはなる。

 

「もっと攻めて来い。亀の様に縮こまっていても、相手は倒せんぞ」

 

 無茶を言わないでもらいたい。こちらの攻撃が全く通用しないのにどう攻めろと言うのだろう。防御を固めていると師匠は溜め息を吐いて言った。

 

「守りを固めても、相手は倒せないと言うことを身体に教えてやる」

 

 師匠の攻撃がさらに激しくなる。

 

「ウィングブロウ」

 

 まるで昇竜拳の様な攻撃で、盾を腕ごと上に弾き上げられた。

 

「タイガークロー」

 

 着地すると立て続けに闘気で作られた爪を両手に発生させ、三連続で俺を切り裂く。

 

「終わりだ」

 

 止めに左手のせいけんづきで吹き飛ばされ、地面に倒れた。

 

「このままではいかんな…」

 

 意識を手放す時、そんな声が聞こえた気がした…

 

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 特訓の日々は過ぎ、いよいよ満月の日が訪れる。俺とサーベルトだけでなく、師匠達もトラペッタまで付いてきてくれた。

 

「万が一お前達が負けたら、儂らがそのバトルレックスを倒す。流石にトラペッタの住民に被害が出るのは見過ごせないからな。それに死んだとしても、直ぐに儂がザオリクを掛けてやる」

 

「後からお前達を追うが、拙者達が居るからといって慢心するなよ。全力であたれ」

 

「お二人なら倒せると信じていますよ」

 

「ユリマちゃんのために頑張ってね」

 

 師匠達が応援してくれている。

 

「皆さん僕のために、ありがとうございます」

 

 サーベルトは体調も良く、気力も充実している。俺の方も体調も気力も問題無い。

 

「サーベルトさん、例え父に認められなくても構いません。だから無事に帰って来て下さい」

 

 ユリマも見送りに来ている。心からサーベルトの身を案じているようだ。

 

「ユリマさん大丈夫です。前回は僕一人でしたが、今回はラグサットが居ます。それに特訓もしてきました、以前の僕とは違います」

 

 サーベルトはユリマを安心させようと、自信たっぷりに答える。

 

「そろそろ行こうか」

 

 俺がそう言うとサーベルトは頷いた。

 

「じゃあ、行ってくるよ」

 

「気をつけて」

 

 ユリマと別れの言葉を交わし、二人でトラペッタの西の門から外に出て北へ向かう。何度かモンスターに襲われるが、もうこの辺りのモンスターなど相手にならない。無駄な体力を使わないように俺のブーメランで一掃して進んだ。

 

「作戦は前のスライムプディングと同じ様に、遠くから力をためてテンションを上げる。ブーメランで遠くから攻撃して誘き寄せてサーベルトが攻撃。俺のスクルトで強化し、各自攻撃でいいな」

 

「そうだね、特訓中に話したように火を吐いて来るから、可能な限り挟み込む位置取りを心掛けよう」

 

 特訓中にサーベルトから聞いた話では相手のモンスターは、はやぶさ斬りと火炎の息を使って来るとのことだ。ここら辺はゲームと同じだが、油断はしない方がいい。もしかしたら他の特技を使って来る可能性も頭に入れておこう。

 

「そろそろ前に遭遇した場所だ、警戒してくれ」

 

 サーベルトの言葉に従い周囲を見回す。辺りは崖が挟む様に東西に存在し、所々に木が生えていて薄暗く視界が悪い。ドランゴを探すが見つからない。

 

「居ないな」

 

「そうだね、おかしいな…」

 

 警戒しながら更に進むが未だに見つからない。

 

(木の陰に隠れられるとも思えないが… 後、考えられるのは…崖の上か!)

 

 直ぐさま崖の上を見ると、今まさに飛び上がろうとするドランゴが見えた。

 

「上だ!」

 

 咄嗟に叫ぶとサーベルトもドランゴを目視し、回避行動を取る。

 ドランゴが落ちながら斧をサーベルトに振り下ろすが、既に回避行動を取っていたため当たらない。

 

「スクルト」

 

 直ぐに呪文を唱え強化し、てっかめんを下げる。

 

「予定変更だね」

 

 サーベルトも盾を構え、剣を抜きドラゴン斬りを放とうとする。しかし、ドランゴの咆哮に妨げられた。

 

「グォォォー!!!」

 

 サーベルトが至近距離で咆哮を喰らい思わず兜の上から耳を塞ぐ。俺は距離がある上、てっかめんで頭全体が覆われているため問題無い。恐らくただの咆哮ではなく、特技のおたけびだろう。やはり聞いていた特技だけではないようだ。

 ドランゴは耳を塞いでいるサーベルトに攻撃しようとするが、そんな事はさせない。斧を振りかぶるドランゴにブーメランを投げつけた。

 

「クロスカッター」

 

 ブーメランに襲われ、ドランゴが攻撃を中断しこちらを睨み付ける。

 

「こっちを見てていいのか?」

 

 一度当たったブーメランが軌道を変え、後ろから襲い掛かる。ドランゴが後ろに気を取られ、振り返ると同時にサーベルトのドラゴン斬りが決まった。

 

「助かったよ、ラグサット」

 

 ブーメランで攻撃している間に立て直せたようだ。上手いこと立ち位置もドランゴを挟み込む様になった、勝負はここからだ。

 ドランゴは斧を凪ぎ払いサーベルトを攻撃するが、サーベルトは上手く盾で防ぐ。その間に扇に持ち替え、花吹雪を使いドランゴに幻を見せる。ドランゴは今度はこちらを攻撃しようとするが、幻を攻撃してくれた。その隙にハンマーに持ち替えシールドクラッシュを放ち、その衝撃で無防備になった所を、後ろからサーベルトが再びドラゴン斬りを放つ。スライムプディングの時に使ったコンビネーションだ。

 ドランゴは更に俺に攻撃する、今度は幻に惑わされない。斧を振りかぶったとき勘が働き、はやぶさ斬りだと直感した。初めの一撃を盾でいなし、二撃目を屈んで避ける。ハンマーを手放し屈んだ反動で飛び上がり、とびひざげりで顎をカチ上げると、三たびサーベルトのドラゴン斬りが決まる。

 

(俺達が何度ライアンさんのはやぶさの剣・改の、はやぶさ斬りを受けて来たと思ってるんだ? お前のはやぶさ斬りは遅すぎるんだよ)

 

 初めははやぶさの剣・改の、はやぶさ斬りなんて使ってくるモンスターは居ないと思っていた。しかし普通のはやぶさ斬りを使ってくるモンスターは居るのだ。ライアンさんのはやぶさ斬りに慣れていれば、モンスターのはやぶさ斬りなんて半分以下の速度だ。切り刻まれ続けた修行の日々は無駄ではなかった。

 突然ドランゴが走り出す。逃げられると思い二人で追いかけたが、崖の袋小路になっている所まで走ると後ろを振り返り炎を吐いてきた。

 特技でサーベルトをかばうとサーベルトがホイミを唱えてくれ、事なきを得る。

 

「こいつ見た目と違って頭も良いぞ。崖を背にして後ろに回り込ませ無いようにしてる」

 

「それだけじゃない。幻が解ける時間稼ぎも兼ねてるし、また花吹雪を使ってもこの狭さじゃ効果は薄い。ブーメランも少し使い辛いな」

 

 まさかモンスターがこんな知恵を使ってくるとは、思いもよらなかった。

 

「でもこれで追い詰めた」

 

「あぁ、油断せずに行こう」

 

 戦闘を再開し戦い続けたが、ドランゴは予想以上に強かった。以前モリー師匠に「手負いのモンスターは手強い」と聞いていたがこれ程とは思っていなかった。ダメージを与える度、力も素早さも上がっていく。対してこちらはサーベルトの精神力も尽きかけ、準備した薬草ももう無く、疲労も貯まって動きが鈍くなってきている。

 

「このままでは負ける。撤退も考えた方が良い」

 

 最悪を避けるため、サーベルトに提案した。

 

「本気か? トラペッタの人達はどうなる?」

 

「師匠達が居る、このままでは死ぬぞ。ザオリクでも絶対に蘇生出来る訳じゃ無いのは聞いたろ?」

 

「ラグサットは逃げろ、もう回復手段も無いんだろ? 僕は戦い続ける!」

 

 サーベルトはドランゴに斬り掛かる。ダメージは与えられたが、更にドランゴは力を増しサーベルトをはやぶさ斬りで攻撃され吹き飛ぶ。疲労のある俺達ではもう避ける事は出来ない。

 

「そこまでルイネロさんに認めて貰いたいのか?」

 

 かまいたちで牽制しつつサーベルトに問い掛けると、ちからのたてで回復しながら答えた。

 

「違うよ… ラグサットには言ったこと無かったね。僕の父さんはリーザス村を守るためにモンスターと戦って死んだんだ」

 

 話ながらもドランゴと戦い続ける。

 

「そんな父さんを見て僕は思ったんだ、僕も誰かを守りたいってね。今はユリマさんの事よりもトラペッタの人達を守りたいんだ」

 

 隙を見てドランゴに遠距離攻撃を仕掛けながら考える。

 

(どうする、逃げるか? サーベルトを置いて? それは嫌だ)

 

 いつの間にか攻撃する手を止め考えていた。前世の最後、死ぬときを思い出してしまう。

 

(もう一度死ぬのも嫌だ。でも、ここで逃げたら一生後悔する…)

 

「実はラグサットの固有スキルを聞いた時、羨ましかったよ。固有スキルはその人の特性を表すもの、守護者(ガーディアン)、誰かを守る者。そんな人に僕はなりたかった」

 

(そんな事言われたら… 覚悟を決めよう!)

 

 ドランゴを倒すための作戦を立てる。危険極まりないが、これが一番可能性がある。

 

「サーベルト、少しずつダメージを与えるのは駄目だ。力をためて一気に攻撃しよう。もう三段階目までテンション上げられるんだろ? 俺が抑える、急げよ」

 

 そう言うとハンマーを置いて身軽になり、ドランゴに向かって行く。

 

「分かった、頼む」

 

 サーベルトはドランゴから離れ力をため始める。ドランゴはこちらを狙い攻撃を始めた。戦い始めた時よりもかなり速いが、花吹雪を仕掛け、回避に集中すれば避けられる。はやぶさ斬りの気配がしたらニフラムを唱え、目眩ましをして避け続ける。しかし、避け続けていると疲労が更に溜まり、精神力も尽き攻撃がかすりだす。

 

「サーベルトまだか?」

 

「あと一段階だ」

 

 ドランゴは炎を吐こうとするが、それはサーベルトにも届いてしまう。攻撃し中断させようと、とびひざげりを放つが後ろに避けられる。フェイントだ。

 

(こんなトカゲに騙されるとは)

 

 フェイントに引っ掛かり、空中にいる所を力任せに斧で上から地面に叩き付けられた。一応盾で防いだが、地面と斧に挟まれ瀕死の重症だ。止めとばかりに斧を振り上げるドランゴの後ろからサーベルトの渾身のドラゴン斬りが直撃した。 叫び声を上げ白目を剥くドランゴ。

 

「やったか?」

 

 サーベルトが不吉なフラグを立ててくれた。そしてフラグ通りドランゴが意識を取り戻し、振り上げた斧を俺に振り下ろそうとする。

 すると、まるでスローモーションの様に、ゆっくり振り下ろされるのが見えた。

 

(これって前に死んだときと同じだ。また死ぬのか…)

 

 ドランゴも恐らく瀕死の状態だろう。だからこそ、さらに強力になった一撃が来る筈だ。ザオリクで生き返れると良いな、とぼんやり考えていると身体に衝撃が走る。上ではなく横からだ。サーベルトが俺をかばい突き飛ばしたのだ。

 突き飛ばされ地面を転がりサーベルトを見ると、斧が盾を押し下げ肩にくい込んでいるのが見えた。

 

守護者(ガーディアン)が守られるとは…)

 

 ドランゴは斧を手放し、少し距離を取った。

 

「何だ?」

 

 息を大きく吸い込み、口に炎を溜めている。

 

(火炎の息じゃない? まさか、はげしい炎を吐くつもりか?)

 

 はげしい炎は火炎の息よりも強力な特技だ。喰らったら二人とも一溜まりもない。サーベルトのちからのたても間に合わないだろう。

 

(せめてサーベルトだけでも守って見せる)

 

 体を無理矢理起こす。

 

「あのモンスターはあと二、三回攻撃出来れば倒せるだろう。後は任せたぞ、サーベルト」

 

「辞めろ、ラグサット!」

 

 特技のかばうを使い、瞬時にサーベルトの前に立つと、ドランゴははげしい炎を吐き出した。

 その時閃きが走る。急いで扇を取り出し、強く扇いで風を起こし炎を跳ね返した。ブレス反射の扇特技『といきがえし』である。

 跳ね返された炎がドランゴ自身を焼いていく。サーベルトがちからのたてで回復すると隣に歩み寄る。

 

「土壇場で凄い特技を閃くね、本当に頼りになる。これで回復してくれ」

 

 ちからのたてを手渡され回復する。サーベルトがドラゴン斬りを放つとドランゴは最後に吼えると遂に倒れた。

 こうして初めての強敵との死闘が終わった。サーベルトはレベルが上がった高揚感もあってか普段見られない位はしゃいでいる。

 しかし、俺はレベルが上がった筈なのに気持ちが沈んでいた、今回の戦いで気付いてしまった事があるからだ。人の本性は土壇場になると分かると言うが、俺の場合は逃げることを選択した。サーベルトは立ち向かいトラペッタの人達を守ることを選択したのに。挙げ句の果てにはサーベルトにかばわれた。

 

守護者(ガーディアン)なのに守る事から逃げ、守られる。恥ずかしいなんてものじゃないな)

 

 肉体的な強さだけではなく精神的な強さも欲しかったのに、心は鍛えられていなかったのだ。

 散々サーベルトをヘタレ呼ばわりしていたが、本当にヘタレなのは俺だったんだ。

 師匠達が喜びながら向かってくるが、俺は師匠達に顔向け出来ずに下を向いていた。




ザオラル、ザオリクはドラクエを題材にすると、避けては通れぬ問題ですね。
一応今回の様に設定しましたが、もしかしたら変更するかもしれません。ここら辺は本当に難しい。
この小説の中ではザオリクを使える人は数少なく、各教会に赴任する神父はザオリクを使えるエリート。教会内で上の地位の人でも使えない人はざらに居るという感じです。
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