例えば、ラグサットはウィングエッジというブーメランを装備してますが
特に必要が無い限りブーメランと表記することにしました。
色々追記修正
トラペッタの門の前に着地する。
「着いたね、どうする? 町に入る?」
「準備はしてあるし、モンスターと戦おう。しばらくしたら町で休憩でどうだ?」
「そうしようか。確認するよ、ラグサットは敵が多ければ後ろからブーメラン、少なくなったら前に出る。僕は基本前に出る」
「大丈夫だ、早速モンスターを探そう」
トラペッタから南に道沿いに進んで行くと、スライムが三体居た。
(やっぱり最初はスライムだよな)
「ラグサット、スライムだ。行くよ!」
サーベルトが走り出す。スライム達はこちらに気付き向かって来た。
サーベルトが接敵する前にブーメランを投げるとサーベルトを追い抜き一体目のスライムに当たり、そのまま二体目、三体目と当たり手元に戻る。
スライム達を見ると全て倒れ伏し、塵となり消えていった。残されたのは6Gだけだ。
「…弱いね」
「そうだな、これじゃ戦いにならないな」
俺達が強いというより、俺達の装備が強いのだ。
「次はもっと強そうな奴と戦おう」
それから、しましまキャットやリップス、いっかくウサギと戦ってみたが、全て俺の一撃で倒せてしまった。
「どうする? 一人で戦ってみるか?」
「そうさせてくれ。僕まだ一度も攻撃してないし」
「ちょうどお客さんが来てくれたぞ」
スライムが五体こちらに向かって来た。サーベルトが剣を抜き、盾を構え、スライムの体当たりを受け止め、弾き飛ばしたところを斬りつけるとスライムは真っ二つになり消えていく。
しかし他のスライム達がサーベルトに体当たりしてきた。サーベルトにダメージ自体は無さそうだが、勢いに押され体勢を崩す。そこを狙いスライム達が繰り返し体当たりをし続ける。
「サーベルト、助けは要るか?」
「大丈夫…だ!」
サーベルトは体勢を崩しながら剣を横に一閃し、スライムを三体まとめて斬ると体勢を立て直した。
改めて剣を構えると、その剣が燃えていた。
(スライム相手にかえんぎりか、怒ってるな)
最後のスライムにかえんぎりを仕掛け焼き斬る。
「頭では分かってたけど、実戦は訓練とは違うね」
「数が多かったから余計にな。一度体勢を崩せば畳み掛けられ、仲間が居なければそのままやられる事だってあり得る」
「母さんが正しかったね。一人では許可が下りない訳だ」
サーベルトはうんうん頷いている。
「納得してるとこ悪いが、次は俺の番だからな。モンスター探すぞ」
しばらくして、しましまキャットを三体見つけた。手を叩き気付かせると走ってくる。
飛び掛かってくるしましまキャットを扇で殴り落とす。そこから扇を開き二匹目に斬り付け、扇を腰にしまいながら三匹目をあしばらいで転ばせ、止めに転んだ所にハンマーで叩き潰した。
「流石だね、危なげがない」
「師匠曰く、戦いは順番に攻撃し合うものじゃ無く、なるべく相手からの攻撃を減らし、こちらの攻撃を多く当てられるように動くべきだそうだ」
(これもゲームとの違いだな。実力差があると一方的に攻撃され続ける、こっちのターンなんて回ってこない。仲間が居ればそんなことにはならないとは思うが、今からボス戦が恐ろしい)
「しかし一人で戦ってもモンスターが弱いな。装備の質を落とすか?」
「わざわざ? 今日だけここらで、次からはリーザス村周辺にしよう。そこでも、手応えが無いようならリーザス像の塔やポルトリンク方面で」
「分かった。ブーメランだとすぐ終わるから、俺も前で戦うよ」
「了解。もっと町から離れよう」
更に町から遠ざかるとメラゴーストが二匹現れ、サーベルトと俺で一撃ずつ攻撃し倒す。
「今の敵、倒せたけど何か攻撃したときの手応えが弱かったよね?」
「モンスターの中には、ダメージを与えにくいのも居るって師匠達が言ってたよ。そういうときはちからをため、テンションを上げて攻撃すれば良いらしい」
「なるほど」
「後は俺のニフラムで消し去るか」
「ニフラムか、見てみたいからもう一度メラゴーストを探そう」
メラゴーストを探しだし、ニフラムの呪文を唱える。
「ニフラム」
するとモンスターの足元から光が立ち上ぼり包み込む、光が収まるとメラゴーストは消えていた。
「これがニフラムか。何と言うか神秘的な呪文だね」
「敵を選ぶし、戦闘しないから経験にはならないけどな」
ニフラムの実験も終わり、ひたすらモンスターと戦い続けていると丘に何かが動いているのが見えた。よく見るとかなり大きい黄色のモンスターだ。
「何だろうあれ、でかいプリン?」
「あれはまさか!」
「知ってるの? ラグサット」
「スライムプディングだ。見た目に反してかなり強いぞ」
(ゲームだとスライムを30匹以上倒すと現れるんだが、ここだとどうなんだ? それくらい倒した気もするが… それより戦うか逃げるか決めないとな、あいつトラペッタの時点では本当に強いからな)
「どうしようか?」
「難しいな、この付近のモンスターは弱いけどあいつは桁違いに強い。でもだからこそ戦ってみたくもある」
「なら戦おう。強いモンスターと戦わないと得られないものがあると思うし、僕は自分がどれくらい戦えるか知りたい」
サーベルトは覚悟を決めたようだ。
辺りを見回すと付近にモンスターはいない。丘の向こうは分からないが、ブーメランで攻撃してこっちに誘い込めばいい。簡単に作戦を立て提案する。
「あのモンスターはまだ気付いてないようだから、ここでテンションを上げよう。上がったら俺がブーメランで攻撃、ここまで誘い込んだらサーベルトが攻撃。後は俺がスクルトで強化して各自攻撃でどうだ?」
「いいね、それで行こう」
二人でちからをためテンションを上げる。サーベルトは一段階まで、俺は二段階目まで上げられるので、更にテンションを上げようとするが甘かった。
「ラグサット、気付かれた!」
やむを得ず中断しブーメランを取り出し、こちらに向かってくるスライムプディングに力を込めて投げつけた。
「スライムブロウ」
スライム系に特効の特技を使う。ダメージは喰らったみたいだが、スライムプディングは止まらず向かってくる。サーベルトに向かって飛び上がり押し潰そうとするが、サーベルトはかわして、かえんぎりを放つ。
「これでどうだ!」
先ほどと同様ダメージはあるが止まらない。サーベルトに体当たりをするつもりのようだ。
「スクルト」
体当たりが当たる前に呪文を唱える。体当たりはサーベルトの盾に防がれるが、サーベルトを弾き飛ばした。
「大丈夫か?」
「助かったよ。しかし本当に強い、盾で防いだけどダメージを抑えきれなかった」
サーベルトはちからのたてをかざし、自分を回復した。
「ルカナン」
スライムプディングがそれをただ見てる訳はなく、ルカナンを唱えスクルトを打ち消し、再びサーベルトに向かって行った。
「させるかよ、スクルト。んでもう一発」
スクルトを唱え直し、スライムブロウを放つ。スライムプディングはサーベルトに向かうのをやめ、こちらを向く。
ブーメランが当たる直前、大きく口を開けブーメランに噛みつきそれを止めた。
「嘘だろ…」
驚いて呆然としてしまう。まさかブーメランを口で止めるとは、ダメージはあるみたいだが…
「しっかりしろ!」
サーベルトがかえんぎりで攻撃すると、スライムプディングはブーメランを放したがブーメランは戻って来ない。
「悪い」
頭を切り換え、扇を取り出し花吹雪を使った後、てっかめんを下ろし、ハンマーに持ち変える。
スライムプディングは見当違いの方向に飛び掛かるが何も無いところに着地し、その隙を狙って攻撃を仕掛けた。
「シールドクラッシュ」
特技の衝撃で体勢を崩し無防備な所に、サーベルトがかえんぎりで追撃する。いい一撃が入り満身創痍になるがまだ倒れない。
「後、一息だな」
「油断するなよ、師匠曰く手負いのモンスターは危険らしいぞ」
スライムプディングに注意を払っていると背中に衝撃が走りよろける。後ろを向くとスライムが居る、体当たりされたようだ。
「増援か?」
(まさか、仲間を呼んだ訳でもないのに、増援が来るとは… ゲームとは違うと何度も理解していたのに)
「後ろだ!」
その声に反応し向き直りつつ盾を構えと、スライムプディングに体当たりを食らい弾き飛ばされ、ハンマーを手放してしまった。
(花吹雪の効果が切れたか? スクルト掛かっててもこの威力か、装備が弱かったらやられてたかもな。しかし自分で油断するなと忠告しといてこれは格好悪すぎる)
受身を取り起き上がり、向かって来たスライムを蹴り抜き塵に帰す。
視線を移すとサーベルトが前からスライムプディングに、後ろからもう一匹の増援スライムに攻撃されている。
敵の連携に翻弄され、サーベルトもスライムプディングに体当たりで弾き飛ばされる。
(不味い、嫌な予感がする)
スライムプディングが飛び上がろうと体を縮めようとする。
(のし掛かろうとしてるのか? あの状態でのし掛かられたら最悪死ぬぞ)
攻撃したいが、ブーメランは手元に無いため遠距離攻撃出来ないし、攻撃呪文も無い。せめてスクルトを、と考えた時閃いた。
閃きに従い、手を握らず両腕を横に開き、素早く胸の前で交差させるとかまいたちが発生する。そう、ガイルの必殺技ソニックブーム…ではなく特技のかまいたちだ。
かまいたちが飛び上がる寸前に命中し、スライムプディングが転がる。その間にサーベルトが起き上がり増援スライムを切り捨てる。
距離が離れたスライムプディングに近付きもせず、サーベルトは剣を構えると剣に炎を纏っていない、よく見ると葉っぱが舞っている。
(炎ではなく、風か?)
「しんくう斬り」
風を纏った剣を降り下ろす。真空が離れたスライムプディングを斬りつけると、スライムプディングが塵に帰って行った。体が熱くなり、力がみなぎる。レベルが上がったようだ。
「ようやく終わったか…」
「危なかったけど、勝ったんだよね?」
「勝ったよ、レベルも上がったしね。見事な一撃だった」
「咄嗟に閃いたんだ。ラグサットもだろ?」
「ああ、強いモンスターと戦ったからかな」
「やっぱり強いモンスターと戦わないと得られないものがあるって事だよね」
「得られやすくはあるだろうな」
「レベルが上がって、固有スキルのリーダーも成長してルーラを覚えたよ」
「俺もだ、ガーディアンが成長してかばうを覚えた。今日はここまでにしてトラペッタに戻らないか?」
「そうだね。レベルアップで回復の必要は無いけど、区切りはいい」
俺はブーメランとハンマー、サーベルトはゴールドを回収し合流する。
「じゃあ戻るよ。トラペッタへ、ルーラ」
着地して装備を魔法の袋にしまい、トラペッタの門を開けて中に入ると石で出来たアーチが見える。その前の広場には店が立ち並ぶ。
(ここを左に行けば、マスターライラスの家があるんだったな。多分ドルマゲスも… 見てみたい気持ちもあるが、出来れば会わない方が良いか)
「軽く何か食べる? 食べるなら美味しい店を知ってるから案内するけど」
「そうだね、じゃあ頼もう」
「前に父さんに連れて来てもらった時に教わったんだ。ちょっと奥まった所にあるけどいい店だよ」
そう言って案内してくれる。噴水を通りすぎ階段を上っていく。
(この辺りは最初よく迷った記憶がある。制作側はカメラ視点移動に慣れて欲しかったらしいが、現実だともっと酷いんだろうな。サーベルトがいて助かった)
結論を言うと助からなかった。サーベルトが父親に連れて来てもらったのはかなり前な上、ここは迷いやすいし多分サーベルトは方向音痴だ。さっきから同じ井戸のある場所にたどり着く。
「ここ三回くらい来たけど」
「おかしいな、この辺りだったはずなんだけど… もう一度探してみよう」
歩き回った結果目的地ではなく、同じ井戸にたどり着く。
「四回目だな。…もう店は今度にしてリーザス村に戻らないか?」
「こんなはずでは… もう一度、もう一度だけ探してみよう」
「またここに来るに100G賭けてもいい」
「ラグサット、僕を信じられないのか?」
「言いたくないが、サーベルトは方向音痴だと思うよ。もしかしたら一人で戦う許可が下りなかったのは、これも理由かもしれない」
「外では大丈夫だったろ!」
「外では目的地を設定してないし、方向音痴でも問題なかった!」
言い争っていると女性の声が聞こえる、とても良い声だ。
「あの、迷ったのですか?」
振り返ると美少女と言ってもいい女性が近くの家から出てきたようだ。どこかで見た気がする。
「そうなんですよ。ちょっと道をお尋ねしたいんですが…」
この美少女に道を尋ねようとするが、こっちを見ていない。顔を赤くし、目を見開き潤ませている。視線の先はサーベルトだ。
(人が恋に落ちる瞬間を見るはめになるとは… イケメンは得だな。サーベルトは…)
サーベルトを見ると、顔を赤くし、目を見開き潤ませ見つめあっている。
(お前もか! サーベルト、色を知る歳か…)
「…サーベルト、この人に道を尋ねるのはどうだ?」
「サーベルトさんと言うのですか?」
「はい、僕の名前はサーベルト・アルバートと言います。リーザス村出身です。貴方の名前を聞かせてもらえませんか?」
「私はユリマと言います、家はすぐそこの家です」
「俺の名前はラグサット、サザンビーク出身だ」
二人とも聞いていない、二人だけの世界に入っているようだ。
(しかし、ユリマか。主人公達が一番最初のダンジョンに向かうことになる要因になったキャラだな。まさかここで会った上、サーベルトに惚れるとは…)
二人だけで会話が続いている。井戸に腰掛け会話が終わるのを待った。
しばらくして日が傾き太陽が赤くなっても会話が終わる気配がない。業を煮やし、会話に割って入ることにした。
「サーベルト、もう日が暮れる。リーザス村に帰ろう」
体ごと割って入ると、二人はようやく俺の存在を思い出したようだ。
「居たのかラグサット、もうそんな時間か。貴方と話していると時間が経つのが早いですね」
「もう帰ってしまうのですね…」
「またここに来ます。逢って頂けますか?」
「はい! お待ちしています」
「じゃあルーラを頼む」
二人は見つめあっている。サーベルトの肩を叩く。
「サーベルト、ルーラだ」
「あぁ… それではまた、必ず」
「はい…」
見つめ合う二人。サーベルトの肩を渾身の力を込めて殴る。
「ルーラ!」
「すまない。リーザス村へ、ルーラ」
ルーラでリーザス村に到着した。ゼシカの家まで連れだって歩く。
「明日はリーザス村周辺でいいんだよな?」
「ラグサット… 運命って信じるか?」
「話、聞けよ。運命? あるんじゃないか? 変えることも出来ると信じてるが」
「僕は今日運命の人に出会えたよ。その人の名前はユリマさんって言うんだ」
「知ってるよ! その場に居たからな!」
サーベルトは浮かれている。
「お前、明日は大丈夫か? 色ボケしてるとモンスターにやられるぞ」
「明日か… 明日も逢えるかな?」
「モンスターと戦い終わったら会いに行けば? ルーラも覚えたんだし、簡単に行き来できるだろ」
「そうか、そうだよな! いやー、明日が楽しみだな」
そうしていると、ゼシカの家に着いた。ゼシカが家の前で待っていたようだ。
「お帰りなさい、サーベルト兄さん。後、ラグサット。どうだった?」
(何か扱いが悪いような… いや一応挨拶してくれるだけ良いと考えよう)
「やっぱり実戦は訓練とは違ったよ、いい経験になった。レベルアップもしたし、新しい特技も呪文も覚えた」
「へぇー、良かったわね。明日もトラペッタ行くの?」
「あぁ、行くよ! …いや、まずリーザス村周辺で戦うことにしたよ」
「? ラグサットは明日も来るの?」
「来るよ。お土産か?」
「えへへ」
可愛い。
「何かリクエストはあるか?」
「ショートケーキ!」
「それと適当に何か買ってこよう」
「お願いね」
そう言うと家の中に入って行った、見送りは無いようだ。まぁまだ初日、じっくり行こう。
「じゃあ、そろそろ帰るよ。また明日な」
別れを言い、キメラのつばさを準備すると、サーベルトが真面目な顔をしていた。
「どうした?」
「ラグサット、今日は色々ありがとう。君が居なければ戦う許可も下りなかったし、許可が下りたとしてもモンスターにやられていたかもしれない」
「それは、こっちも同じだ。これからもよろしくな」
「あぁ、これからもよろしくな親友」
(親友、前世も含めて初めていわれた。まだ1日しか経っていないのに、サーベルトの性格もあるんだろうが親友なんて思われる日が俺に来るとは)
照れくささを堪え答える。
「また明日な、親友。サザンビークへ」
赤い顔を見られないようにキメラのつばさをすぐに使い飛んだ。
自宅で食事をし風呂に入り、ベットに入り一日を思い返す。
リーザス村に行きゼシカと初めてあったこと。サーベルトにも会い一緒にモンスターと戦うようになったこと。お土産のケーキのお陰でゼシカと敬語無しで話せるようになったこと。
そしてトラペッタでの初戦闘、色々なモンスターとの戦い。そしてスライムプディングとの激闘と新特技。ユリマのことや、最後に親友が出来たこと…
(俺に親友か… サーベルト。七賢者の末裔で、原作中ドルマゲスにラプソーン復活のために殺される人物。俺がこの世界に来た理由、復活したラプソーンを倒すこと。つまり、俺は親友と呼んでくれるサーベルトを見殺しにしなくてはならない。それなのに俺はサーベルトを親友と呼べるのか?)
サーベルトの顔が脳裏に浮かぶ。
(俺はサーベルトを見殺しに出来るんだろうか? それとも助けるべきなんだろうか? 助けるならラプソーンはどうするのか?)
眠りにつくまで考え抜いたが、答えは出なかった。
特技や呪文は新しく覚えるとき閃きます。
一から全て閃くことも、こういう特技と知っていたけど、実際やるにはこうすれば良かったんだ、みたいに閃くこともあります。
この世界を創った神はロマサガも好きなんでしょう。
力をためて、テンションを上げるという表現に統一します。