アイドルマスターシンデレラガールズ 〜自称天使の存在証明〜   作:ドラソードP

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しばらく投稿できてなかった?だったら1日に2話投稿すればいいじゃないか。


ep.1 世界一長くて短い二週間
第6話 カワイイボクと初仕事


第6話〈プロデュース2日目〉

カワイイボクと初仕事

 

 

 俺の日常は陽の光で目覚める。

 目覚まし時計はイマイチ目覚めが悪いので、日の出が早い夏には使わない。

 起きたらまず顔を洗い、覚めきっていない頭を覚ます。そして顔を洗い終えたら、昨日使ったテーブルを片付ける。

 次に、そうしてテーブルを片付け終わったら、今度は朝食をセットし始める。因みに、ここまでで約十分程か。

 別に一人暮らしだし、朝は余裕を持って起きている為に、そこまで時間に徹底する意味はあまり無い。だが、こうしないと色々気が済まないのだ。なんというか、その辺り潔癖な性格でな。社会人となり、一人暮らしを始めてからはいつもこの流れを繰り返している。

 さて、そうこうしている間に朝飯のセットが終わったら、テレビを付けて朝のニュースを見る。今日は特番で、有名なアイドルとやらが出ていた。アナウンサー見習いをしているアイドルがゲストのアイドルを説明する、という一見訳が分からない構図になっていて、正直笑えてくる。

 因みに、今日の朝飯はいつもと気分を変えて、久しぶりの白飯と昨日の残り物だ。たまには気分を変えて、こういったパターンも悪くない。

 今日もまた、そのアナウンサー見習いのアイドルとやらは、ニュース番組の司会を危なげなくもこなしていく。

 朝飯を食べ終わったらすぐに、最近ようやく着るのに慣れてきたビジネススーツに着替える。ネクタイを締めて鏡の前で身だしなみを整える。

 だが、こんないつもと何ら変わらない作業がいつも以上に楽しく感じる。まあ何せ、俺はようやく『アイドル持ちのプロデューサー』になれたのだからな。

 準備が終わったらテレビの電源を消してカーテンを閉め、玄関で靴を履く。ちゃんとビジネスカバンも持ち、中身の確認をしたら外へ出る。

 ああ、何もかもが明るい。その目に見える全てが斬新で新しく見えてくる。もっとも、昨日の夜は幸子の連続メールのせいで寝不足だがな。おかげで頭痛が止まらない。

 さて、そんな風に様々な思いにふけりながら346プロに着くと、俺は早速今まで職場だった部屋とは違う部屋にと向かった。そう、そこは俺と幸子の専用の仕事部屋だ。今日からは毎日、そこが俺の新たな出勤先になってくるわけだ。

 だが、扉を開けて早速部屋に入ってみると、そこには昨日、俺が部屋をあとにした時とは、明らかに部屋の様子が違っていた。

「これは……!?」

 そう、部屋の中を見渡すと、仕事机やソファ等の家具が全て新調されており、昨日には無かった家具類が追加されていたのだ。ざっと見ただけで少なくとも、昨日は置いてなかったエアコンや扇風機、小型だが冷蔵庫までもが置かれている。

「どうだ、気に入ってくれたか?」

 声に気が付き、後ろを振り返る。するとそこには、笑顔の上司が立っていた。

「昨日は随分と熱心に部屋の掃除をしてくれたみたいだからね。これはそんな君への、ちょっとしたプレゼントだよ」

「いや、それにしてもこの家具の充実ぶりは……」

「君はもう一度入った会社をよく思い出してみるといい。まあ、期待しているよ。期待の新米プロデューサー君」

 たったそれだけ言い残し、上司はさっさと行ってしまった。

 あの人はいつもそうだ。多くを語らず、思い立ったらすぐに行動に移す。俺のことを上層部に推薦してくれた時だって、俺が頼みこんだという訳でもない。今回に限っては、俺はもう部署も違うんだ。それでも、色々立場を利用して、うまくやってくれたのだろう。俺も将来、部下ができたとしたら、同じ様な上司になりたい。そう思った。

 さて、俺は新しくなった部屋をもう一度注意深く見渡す。よく見れば本棚等も追加されており、そこにはプロデューサーの仕事について役立ちそうなことが書かれた本や、社会人の常識本、常識英会話など沢山の本が並べられている。

 とりあえず俺は、一旦仕事机の方へと向かう。するとそこには、一枚の書類が置かれていた。

「346プロ企画、新人アイドル初見せ中規模ライブ……?」

 と、その紙の内容を見ようとした瞬間、扉が開き部屋には小さな影が入ってきた。

「おはようございまーす! プロデューサーさん!」

「おう、幸子か。おはよ……」

 俺はその姿を見て、ただただ驚いた。いや、別にアイドルや業界人なら普通なのかもしれないが、それにしても……

「……幸子、お前なんでそんな格好をしているんだ?」

 深い帽子にサングラス、それにマスク。この暑苦しい季節には、明らかに不釣り合いな格好だった。

「プロデューサーさんも昨日、言っていたじゃないですか。自覚を持てって。ボクは仮にでももう、アイドルなんですよ? 普通の格好で街中を歩いていたら、ファンの人達が駆け寄ってきて、大パニックになっちゃうじゃないですか!」

「……あのなあ、一応言っておくが、まだアイドル活動を何もしてないから、誰も幸子がアイドルだって事を知らないんだからな?」

「ボクのカワイイオーラは最強です! アイドルって他の人に言わなくても、アイドルだって気がつかれてしまうものなんですよ、プロデューサーさん!」

「いや……もういいや。わかった、わかったよ」

 はい、この通り朝っぱらからドヤ顔での幸子理論である。正直朝からこのテンションだと、夕方まで俺の体力が持つ気がしない。

 一体何が彼女をここまで動かすのか。それこそが彼女が言うカワイさ……なのだろうか?

「まあ……なんだ、とりあえず今日からは、本格的なアイドル活動に入っていくぞ、幸子」

「わかってますよ、プロデューサーさん! ボクにかかれば、どんな仕事でも完璧です!」

「よし、言ったな?」

 俺はその言葉を待っていましたとばかりに、言葉を続ける。

「それじゃあまずは、アイドルの基礎練習だ。その第一ステップとして、今日は、レッスンを頼むよ」

「……ふぇ?」

 幸子が気の抜けたような声を発する。

「なんだ、不満そうだな。昨日はあんだけレッスンとか営業とか、色々意気込んでいたのに」

「いやいやプロデューサーさん、アイドルらしく営業とかライブとか、そういった仕事はまだ――」

「無い!」

 俺は幸子の言葉を食い気味に遮る。

「幸子、そもそも持ち曲すら決まってないのに、一体何をするって言うんだ? ステージで芸でも披露するのか?」

「げ、芸って! だからボクはアイドルです!」

 とは冗談で言ったが、実際彼女はその独特な感覚故に、適当に喋らせておくだけでもある程度笑いは取れそうだ。真面目な話、流石に今すぐ彼女を舞台に立たせることはできないが、将来的には彼女の持つ世界観を上手く引き出すことができれば、それはそれで彼女だけの武器になることだろう。まだまだ先の話になるとは思うが、その辺も視野に入れて考えていきたい。

「……じゃあ、他に何かできることはあるのか?」

「えっ……えーっと……」

 幸子は俺の問いに対して、一瞬言葉を詰まらせる様子を見せた。

「……はぁ……」

 俺はため息を漏らす。

「……とりあえず、上の方からはまだ、仕事関係の話は来ていないんだ。恐らく、今後しばらくはこんな調子でレッスンを頼むことになる」

 現にまだ、俺の元には会社側から仕事の依頼などは来ていない。

 普通の事務所などと違い、大手のプロダクションである346プロは、そこそこベテランで仕事に慣れているプロデューサーでもない限り、基本的に仕事はプロダクション側が持ってくる。

 まあ別に、自分で仕事を探すことも不可能ではないのだが、俺もプロデューサーとしてはまだ駆け出しで、正直さっぱりではある。故に、何か行動を起こそうにも、現状俺個人ではどうしようもない。そのような状況を考慮し、今彼女にできることを考えた結果、彼女の方には、アイドルとしての基礎レッスンをやってもらう以外なかった。

 それに実際、聞いた話によると彼女はまだ、アイドルとして歌を歌ったり、踊ったりしたことが全くないらしい。それどころか、これまでそういった歌や踊りに関わったことすら無いらしく、本当に赤の素人だということだ。そのため彼女のしばらくの予定は、必然的にアイドルとしての基礎レッスンがメインになるだろう。

 まあ、彼女が赤の素人とは言ったが、幸いにもこの346プロには、丁度レッスンルームとベテランの専属トレーナーが存在するらしい。それに、アイドルブームの今、赤の素人がアイドルになることもそこまで珍しい事例ではないし、恐らくそのあたりの心配は必要なさそうだ。

「まあ、というわけだ。このままここで話していた所で事は進まない。レッスンの予約は既に取ってあるから、このあと十時からレッスンルームに行ってこい」

「……しょうがないですねぇ、分かりました。プロデューサーさんもプロデューサーさんなりに、色々頑張ってくれているみたいですから。その気持ちを無下にはしませんよ」

 幸子はレッスンと言われ、少しだけ不満そうな顔をしていたが、すぐに表情を戻した。

 と、俺はそういえばと先程の紙を思い出し、再び手に取って見る。そこに書いてあった内容は八月に行われるライブへの出席の是非だった。

 その肝心のライブの中身は、今年346プロから出たアイドルの公の場でのデビューライブで、幸子にも一応参加資格はある様だ。そして恐らく、この紙を部屋に置いていったのは上司だろう。なかなか粋な事をするものだ。

 ともかく、とりあえず俺と幸子の最初の課題はこのライブに出て最初のファンを獲得し、世間に認知度を広めることだろう。このライブで成功することができれば、仕事の依頼なども増えるはずだ。

 開催日時は八月二十日、今日は八月六日だ。丁度ライブの開催日までは二週間程余裕がある。仮にライブに出るとするならば、俺達はこの間に準備をしなければいけない。

 まあ、現時点で俺が幸子にしてやれることは、信じてやることだけだろうか。

「何をボクから隠れて、コソコソと見ているんですか? プロデューサーさん」

「ん、これか?」

 俺は幸子にその書類を見せる。

「346プロ企画、新人アイドル初見せ中規模ライブ……?」

「ああ。幸子も勿論参加するだろう?」

「そんなの決まっているじゃないですか! ボクのカワイイさを数多くの人に知ってもらえる、いい機会じゃないですか!」

「気に入ってもらえたなら良かった。じゃあ、参加ってことで提出してしまって良い?」

 幸子は目を輝かせ首を縦にふる。俺はその幸子の合図を見て、すぐさま書類の参加に丸をつけた。

「さて、というわけでそろそろ時間だ。行ってこい幸子」

「わかりました! 行ってきますプロデューサーさん!」

 返事をすると幸子は必要な物だけ持って、すぐさまレッスンルームの方へと行ってしまった。なんだかんだ言って切り替えが早く、こういう素直なところがあるのもまた、彼女の魅力なのかもしれない。

 さて、一人になってやることも現状無い俺は、今の俺達にでもできるような小さな仕事依頼が無いか、ということから調べてみることにした。

 とりあえず、後で帰ってきた幸子の初日のレッスンの感想が楽しみだな。




幸子SSR欲しいですね……

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