アイドルマスターシンデレラガールズ 〜自称天使の存在証明〜   作:ドラソードP

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流石にネタ的に毎日投稿は辛くなってきたのう……


第11話 カワイイボクと写真撮影

第11話

カワイイボクと写真撮影

 

 

 服の採寸が終わり、幸子から合図が出た俺は衣装部屋へと入っていった。初めて衣装に袖を通した担当アイドルの姿が見れると、高鳴る気持ちを抑えつつ、ドレス姿になった幸子を目で探す。すると部屋の奥に、鏡を覗き込むドレスを着た少女が視界に入った。

「幸……子?」

 その姿が幸子だと理解するのに少々時間を要した。そこにはまるで、例えるなら絵本の世界から出てきたお姫様の様になった、幸子の姿があった。普段着の格好ですら同年代の少女よりそれなりに可愛らしかったその姿は、ドレスの華やかさとティアラの美しくもか弱い光、そしてガラスの靴の美しさにより、一層魅力を増している。

 俺は彼女のプロデュース三日目にしてようやく、彼女のアイドルとしての初めての姿を見た。その姿を見て俺は、彼女が自称するカワイさは決して自称などではなく、他から見てもすぐにカワイイとわかる、本物の彼女の魅力なのだと理解した。

「おまたせしました、プロデューサーさん! これがカワイイボクの、本当の姿です! 今は仮にでもお姫様なんですから、いつも以上に気を使ってボクに接して下さいね?」

「幸子……なのか?」

 俺は目の前に立つドレスを着た美少女に、ただただ呆気を取られていた。

「さっきから何を言っているんですかプロデューサーさん。ボクはボクですよ! 担当アイドルの顔もわからなくなっちゃうなんて、プロデューサーさんはおじいちゃんなんですかねえ……?」

 その口調と反応を見聞きして、俺は漸く目の前に立っている世紀の美少女を、あの幸子だと再確認する。いや、正確にはまだ再確認できていないのかもしれない。幸子の声は聞こえるが、目の前の美少女と声が合わないのだ。

 正直、担当プロデューサーのくせしてこんな事を言うのはアレな気がするが、俺は今、まともに彼女を直視できないのだ。あまりにも俺が知る輿水幸子とかけ離れすぎている。簡単に言うと、いつもはあまりにも強すぎるキャラと言動によりアイドルらしさが隠れていたが、衣装を着ている姿を見てようやく彼女が、輿水幸子がアイドルだという事を思い出したのだ。

 だがそうアイドルだと理解し見てしまったら最後、今度は彼女が別人の様に見えて、なんだか色々気不味く、やりにくくなってきてしまったのだ。

「プロデューサーさん、なんだか顔が赤いですよ? そんなにボクがカワイイんですか?」

「……ああ、認める、認めるよ。完敗だ。素直にカワイイ。ハハッ……まあなんだ、初日にアイドルかどうか内心少し疑ったりしていて、すまなかったな」

「疑っていたって……疑っていたんですか!? ちょっと酷いですよプロデューサーさん! ボクは、ちゃんとオーディションを勝ち抜いた、れっきとしたアイドルです!」

 俺はどうやら、相当な責任を知らないうちに背負わされていたようだ。幸子ならトップアイドルにしてやれる、幸子とならトップを目指せる、などとほざいていたがそれは大きな間違いだった。

 

『彼女には間違いなく、無類のアイドルとしての資質がある』

 

 どうやら、彼女のアイドル生命を左右するのは彼女自身よりも、プロデューサーである俺自身の方だったのかもしれない。彼女のアイドルとしての素体の良さを見て、改めてプロデューサーという職業の責任の重さを体感する。これから先、俺が彼女の長所や魅力を潰してしまい、足枷にならない様に死ぬ気で頑張らなければならないな、と考えさせられた。

「それとプロデューサーさん、さっきからいちいち回りくどい言い方ばかりしていますが、カワイイならもっとカワイイってはっきり言ってください!」

「ああ、か、カワイイぞ幸子」

 はっきり言ってマズい。先程までの幸子なら、普通にはいはいカワイイカワイイとか言って、適当にあしらってやり過ごしていたのだろうが、こうなってしまうともはやそれができない。なんだか、色々と調子を狂わされる。

「なんだか今日のプロデューサーさんは、色々ヘンですねえ……? まあ良いです! プロデューサーさんがカワイイって思ってくれているなら、今日の所はもう満足です!」

 俺は調子を取り戻すために一旦深呼吸をして時計を見る。時刻は十時と少し、どうやらそろそろ撮影スタジオに戻らなければいけない時間だな。そうだ、写真撮影……撮影だ、撮影なんだ……

「さ、さあ幸子。そ、そろそろ撮影時間も近いし、撮影スタジオに行くぞ」

「わかりました! いよいよ、カワイイボクの圧倒的カワイさを世界に示す時が来ましたねえ!」

 さて、というわけで先程の撮影スタジオに戻ると、そこには先程とは違い、カメラマンや多数のスタッフが機材などの準備で入り乱れていた。少々現場には早く着いてしまったので、俺と幸子はその現場の様子を隅から眺めている。

「ほーう? 君が今日撮影するアイドルかい?」

 と、その様子を眺めていた所、こちらに気が付いたカメラマンと思われる人が近づいてきて、声をかけてきた。金髪、色黒、サングラスと少々見た目は派手だが、雰囲気からして陽気で優しそうなカメラマンで、気を利かせて来てくれたというのはすぐにわかった。

「はい! 超絶カワイイボクこと、輿水幸子です! 今日はボクのことをちゃんとカワイく撮ってくださいよね? カメラマンさん!」

「こーら、お前これから写真を撮ってくれるカメラマンの人だぞ? あ、カメラマンさんすいません、うちの幸子が失礼な態度をしました」

「いやあいいよいいよ、元気が良さそうな子で良かった。こういったキャラの子の方が、撮影もやりやすいからね」

 カメラマンは幸子の失礼な態度も気にすることなく、笑顔で話してくれる。そんなカメラマンの雰囲気もあってか、現場は忙しいながらも非常に良い空気感が流れていた。

「さて、準備もそろそろ終わる感じかな。今日はよろしくね、幸子ちゃん」

「フフーン! こちらこそ、よろしくお願いします!」

 そのカメラマンの言葉に対して、幸子は満面の笑顔で答える。しかし良かった。ドレスを着た幸子に、感じの良いカメラマン、そして雰囲気の良い現場。どうやらこの調子なら、とても良い写真が撮れそうだ。

「さあ、タイミングも良さげだし、少し早いけどそろそろ始めていこうか。準備が大丈夫そうなら、幸子ちゃんは向こう側のスペースに移動してね」

「はーい! わかりました!」

 幸子は言われた通り、写真撮影のスタジオにへと移動した。俺はそんな幸子の撮影風景を、スタジオの影からじっと見守る。

「スタッフさん達、準備の方はもう良さそうかい? 今日の被写体の子からカワイイがもう溢れちゃってるから、イケそうならさっさと始めちゃうよ」

 そうカメラマンが言うと、スタッフ達はその言葉に反応し、OKサインを出す。それを見たカメラマンはカメラの方を覗き込み、セッティングをすると幸子の方にカメラを向けた。

「オーケー! よーし、それじゃあまずは、立ち姿から撮っていくよー」

 こうして気がつけば、写真撮影は開始されていた。カメラマンは次々に写真を撮っていく。幸子の方も初めての撮影の割には、カメラに対して一切戸惑うことなく、むしろ慣れているかの様な動きで指示をこなしていっている。まあ、幸子ならこういったことに慣れていても別に何も不思議じゃないな。というか慣れているもなにも、多分あれは彼女の素だ、完全に。

「イイねー、カワイイよ! じゃあ今度は少しポーズとか動き、付けていこうか」

 一応念のために補足しておくが、彼女はまだアイドルにはなりたてだ。それなのに、ベテランアイドルの様に次々とポーズなどをこなしていく。まるで、自らの魅力やカメラ写りを全て理解しているかのように。

「カワイイボクの……セクシーポーズ!」

「イイねえ、イイ!! good!! 幸子ちゃん、イイよ!」

 ……にしても、幾ら何でも慣れすぎてはいないだろうか。まるで自分を表現することに、全く躊躇いを抱いていない。むしろ、さらけ出しくてたまらないくらいにも見える。

「さあ、次はその花束を持って、はい続けて行くよ!」

 幸子とカメラマンの写真撮影は、どんどんエスカレートしていく。幸子も幸子だがカメラマン、あなたも凄いノリノリだな。さてはアメリカ帰りか何かか?

「Nice!! イイよイイよ、OKそうだ!! 天使だ、まるで、天使のような可愛さだ!! angel!! cute!! perfect!!」

「カワイイボクの最高のカワイさは、果たして写真の枠内だけで表現しきれますかねえ? 写真の限界への、挑戦です!!」

 ……この調子じゃ、どうやら撮影はしばらく続きそうだ。ツッコミたいことは山々だが、とりあえず何もつまづくこともなく進めているようで安心だ。この調子ならら間違いなく良い写真が撮れているだろう。

「ボクは世界一カワイイ!!」

「Yes!! You are cutest idol in the world!! foo!!」

 ……やれやれだ。ツッコまんぞ俺は。

 さて、それからというものの、カメラマンはしばらくの間写真を撮り続けた。そしてシャッターの音が止まったかと思うと、幸子とカメラマンがこちらに帰ってきた。どうやら撮影は、無事に終わったようだ。

「いやあ、ボクのあまりにものカワイさに、自分ながら惚れ惚れしますねえ……」

「great……完璧だ。彼女はまさに生きる芸術、これからもお互いに良い仕事がしていけそうだ」

 カメラマンは汗だくになりながら、写真を一つ一つ見せてくる。その写真の枠の中には、生き生きとした表情の幸子が沢山居て、どれもなんというか……良い笑顔をしていた。しかし、なんであなたが一番疲れているんですか。

「きょ、今日はこんな素晴らしい幸子の写真を撮っていただき、ありがとうございました。プロデューサーである自分も、写真の完成度の高さに驚かされました」

「いやいや、ボクもこんなに良い被写体を撮れて光栄だよ。輿水幸子ちゃん、だったかな? 君はきっと、これから更に良いアイドルに成長できるだろうね」

「ボクはもう、産まれた時から完璧です! そしてこれからもずっと、永遠に!! カワイイボクなんです!!」

「OKOK!! その意気込みをいつまでも忘れないようにね。あと幸子ちゃんのプロデューサーさん、写真の方はまた後日郵送しておくからね。またこのカワイイお姫様の仕事があったら、すぐに呼んでおくれよ?」

「はい、ありがとうございました、カメラマンさん!」

「良いってことよ。また頼むね!!」

 さて、俺達は写真撮影を終えいつもの部屋に向かっていた。

「写真撮影お疲れ様、幸子」

「あれ? なんだかいつもの雰囲気のプロデューサーさんに戻りましたねえ」

 そういえば確かに、衣装から普段着に着替えたせいか、普通に彼女を見ても大丈夫になった。やはりアイドルにおいて、衣装はかなり重要な物だったのだな。それだけに、いつか彼女が専用の衣装を着れる程のアイドルになったのならば、その時はちゃんと衣装も一緒に考えてやらなければな、と思った。

「プロデューサーさん……? どうしました? ボクをそんなにじっと見つめて。そんなにボクがカワイイんですか?」

「あっ、いや……まあ……」

 俺は幸子に言われて我に返る。途端に再び恥ずかしくなって、幸子の顔が見れなくなる。その俺の反応を見てまた、幸子も顔を赤くして恥ずかしそうに俯く。

 そして、しばらくお互いに沈黙が続いた。

「なあ幸子」

「なんですか? プロデューサーさん」

「初ライブ、絶対に成功させるぞ」

「そんなの、言われなくても決まっているじゃないですか!」

 幸子が再びドヤ顔に戻る。そしてそんな幸子のドヤ顔を見て、俺もまたいつもの表情に戻っていた。

「さて、腹減ったな、幸子」

「またお昼ご飯無いんだったらボクのを食べさしてあげないこともありませんよ?」

「ああ、じゃあまた少しいただこうかな」

 今日、本当はコンビニ弁当を買ってきてあったことは、彼女にはちょっと内緒にしよう、そう俺は思いつつ、部屋の方へと歩いていった。

 




自分がこの小説を書き始めるきっかけになったのは、幸子のソロ曲である『to my darling…』を聴いたのがきっかけでした。

元々幸子は大好きだったのですがあの曲を聴いた瞬間、もっと幸子の世界を広げたい、そう思い気が付いたら自分はスマホを手に取りそして今に至る……

とりあえずデレステ実装あくしろシンクロン
※次回から少し投稿が不安定化するかもしれませぬ、ご了承ください。

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