アイドルマスターシンデレラガールズ 〜自称天使の存在証明〜 作:ドラソードP
エトセトラ1 星は輝く日を待ち望む
エトセトラ1
星は輝く日を待ち望む
空は黒。暗闇に包まれている。一色の、黒。まるで今の私に突きつけられた現実の様に、どこまでも黒く。黒より黒い黒。先は見ても見えず、後ろを見ても何も見えず。
私は白。何色にもなれていない、何者にもなれない白。ただ、そこに存在しているだけ。無でも有でも無い、曖昧な現実。色を持つことができず、ただそこに存在している。
とある街中の公園で私は遠くを眺めていた。街明かりが遠くで輝いている。それは何の変哲もないただの光。言ってしまえばどこにでもある電球やネオンの光だ。だけど、少し遠く離れるだけでそれは芸術的に感じることができる。そんな街明かりは、道を見失った私の心にとても暖かく光を灯してくれる。星が見えなくなった現代としては、あの街明かりこそが代わりに輝く星明かりのようにも感じられる。
『君……表情が硬すぎるんだよね』
昼間、言われた言葉が頭の中で何度も、何度も響き渡る。悔しさに、口からはため息が漏れる。そのため息は、その言葉を言った本人に対してではない。事実、その言われた言葉に何も言い返せなかった自分に対してだ。
「私は……」
演者である以上、何かを求められることは必然だ。何かを求められ、答えることで、初めて私は役者として存在を定義される。それが例え、エキストラのような小さな仕事であったとしても。決して変わることは無い。
「……だとしても」
独り言が自ら滲み出るように口から漏れ出す。だが、それらは言葉の全てとはならず、断片だけを残して消えてゆく。
『もしかして君、笑えないの?』
可能性、それは可能性の一つだった。ようやく掴めそうになった可能性。暗闇の中に見えた一筋の光。名前も知られぬエキストラとは違う。私という存在がそこに存在する、一つの可能性。
『言われた指示の通りにできないなら、君にできる仕事はもう無いよ』
しかし、それはただの可能性だった。私はただ、可能性に食われた。飲み込まれた。消されてしまった。
期待に応えられず、役割を果たせなかった私は最早役者とは言えない。存在を定義できず、何にも慣れなかった白だ。
「……それは違う」
いや、私には意志があった。形を持った意志が。ただ存在している訳では無い。意味を持ってそこに存在している。私という、白色という色を確かに持って。
「今はまだ、私は見えない星なのかもしれない」
今はまだ、無数に存在する星の一つなのかもしれない。
「今はまだ、私に名前は無いのかもしれない」
今はまだ、誰も私を知らないのかもしれない。
「でも、いつかは名前を貰う」
いつかは、私という星になる。
私は、私という存在の強い意志を持ち、私という居場所を掴み取って、夜空に輝く星の一つとなる。
「あと少しで、それが掴める気がする……」
空に手を伸ばす。そして手を握りしめる。勿論、掴めるのは空気だけだ。星は掴めたりなどしない。ここより遥か遠くにあるのだから、当たり前だ。
「あとはそれを掴むための何か……それだけ……」
でも、人は宇宙に飛び立った。星に近づく為。星に触れる為。人は宇宙に飛び立った。
「私は諦めない」
私は白。今はまだ、何色にも慣れぬ白。だけどいつか、私を私として認めてくれる人が現われるはず。
それは妥協では無い。
それは呆れてでは無い。
それは愛ではない。
それは、信頼だ。
私を白色として認めてくれる、信頼だ。
「星層の最高峰へ……」
私は、白が白色として、星になって輝ける時を待っていた。
復帰前のリハビリとして書きました、ちょっとした短編です。この後本編に出てくる予定の人を少しだけ書きました。
多分、この人の担当の方や僕のTwitterを見てくれている方なら誰かは察しがつくと思いますが……そうです、あの御方です。
本編新話はあと少しで投稿できそうです。また、この幸子の話をできるだけ本の形に近くするため、現在本編の書き直しを行っております。
色々待たせてしまって申し訳ありません。あと少しで、自分に溜まった分の何かが爆発すると思います。去年一年間、培われた何かが形になると思います。もうしばらくだけ、時間をください。
文章の改行や空白
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