アイドルマスターシンデレラガールズ 〜自称天使の存在証明〜   作:ドラソードP

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全国のプロデューサー!新しい幸子よ!


第13話 カワイイボクと束の間の休息

第13話

カワイイボクと束の間の休息

 

 

 幸子達のレッスンは過酷そのものだった。高校生の頃は実は少しだけ運動をかじっていた俺だが、そんな俺から見ても、アイドルのレッスンとやらはなかなかハードそうだ。ひたすら同じステップや振り付けを繰り返し、綺麗に揃うまでやり続ける。そしてまた新たな振り付けの練習をして同じ様に繰り返し、そしてそれを繋げて一つの流れをする。

 因みに、幸子はその過程で何回も転んでいた。ドヤ顔で決めポーズを取ろうとする度に、お決まりの「ふぎゃー!!」という悲鳴と共に転ぶ始末だ。だが、何回転ぼうと強がりながら立ち上がり、再挑戦しようとする姿は多少涙が出そうになるものもあったが……って俺はなんだ、彼女の保護者か何かか。

 さて、そんな様子を部屋の隅から眺めていたところ、気がついたらかれこれ一時間と少しが経っていた。幸子達には十分程の休憩が言い渡され、ようやくの休憩時間に幸子はバテきった様子で、こちら側に歩いて来た。

「ぷ、プロデューサーさん……み、見てましたか? これが、アイドルのダンスレッスンですよ……」

「ああ、お疲れ様。確かに、これは幸子が疲れて帰ってくるのもなんとなくわかるな。俺から見ても結構しんどいぞ」

「と、とりあえず……疲れたのでひ、膝枕〜……」

 そう言うと幸子は、俺の膝を枕にする形でベンチに横になってしまった。その幸子の身体は長時間の運動で火照っており、額には汗が浮かんでいる。

「プロデューサーさんの膝、硬いですけど少しクセになりますねえ……」

「まあ、これだけ頑張ったんだ。ご褒美に、しばらくはそのままでいて良いぞ」

「それじゃあ、お言葉に甘えて……」

 幸子は寝ながら伸びをする。さながらその姿は、昼寝をする猫の様で案外カワイイ……?

「プロデューサーさん、もっと褒めてくれても良いんですよ?」

「ああ、偉い偉い」

 そう言って俺は幸子の頭を軽く撫でる。なんというか、だんだん膝の上で寝る幸子が昔実家で飼っていた猫と被ってしまい、ついついやってしまったのだ。

「く、くすぐったいですよ……プロデューサーさん、ボクは猫じゃ無いんですから」

「おっと、すまなかった。こっちも何だか心地よくなってしまってな……」

「まあ別に、ボクはカワイくて寛大なので撫でたいなら撫でても構いませんよ? プロデューサーさんなら特別に許可してあげます! それにー……なんだかちょっと、気持ち良かったです」

「いや、別に俺の方なら大丈夫だ。実家の猫で撫で飽きるほど撫でいるからな。幸子は気にせずゆっくり休んでいてくれ」

「えっあっ……そのー……べべっ別にボクにそんなに気を使ったって何も出ませんよ? 撫でたいなら撫でて下さい! いや、撫でて下さい!!」

「お前、本当になんなんだ……」

 と、こんな感じで幸子とやり取りをしていた所、俺はその幸子と俺のやり取りを眺める、一人の少女の存在に気がついた。

 その少女は姿や風体からして幸子とは同級生か、少し歳上くらいだろうか。ただ、幸子と違って非常に落ち着いて大人びた雰囲気をしており、何より髪に特徴的なエクステを着けている。

「キミ達は……ボク達他のアイドルが居るというのに、大胆な事をするね」

「ん……? なんです、プロデューサーさんの膝枕が羨ましいんですか? 変わって欲しいって言われても、変わってあげませんよ」

「いや、別にボクは構わないよ。ただ、歳の離れた愛、というものはボクはあまり知らないのでね。少し気になっただけさ」

 どうやら、よからぬ勘違いをされている様だ。やっぱり、いつかこうなると思ったよ。

「あー……君は?」

「ボクはアスカ、二宮飛鳥。丁度キミの所の担当と時を同じくしてここに集まった、所謂『同期』というものに当たるのかな」

 その髪に紫のエクステを付けた少女は、淡々と話していく。なんというか幸子とは違った路線で、非常に大人びた雰囲気の子だ。

「へえ、同期か。ちなみに歳とか学年は、幸子と近い感じなのかい?」

「……キミは初対面の、それも年頃の少女の年齢を聞くというのかい? まあ別に、ボクは構わないが。一応学年を言っておくと、ボクは中学二年だ」

「中学二年……じゃあ幸子とは年齢的に近いって感じか。良かったな、幸子」

「別に、ボクはプロデューサーさんが居れば良いんですー!」

「まったく、彼女はキミに心の底から惚れているな。ここまで他人の目を気にせず愛情を率直に表せる人間、それと愛情を受ける人間とは、依然キミ達二人に興味が湧いてきたよ」

「べべっ、別にボクは、プロデューサーさんに惚れている訳じゃありませんよ! プロデューサーさんに厳しく当たると、仕事を持ってきてくれなくなりそうだから、ゴマを擦っているだけです!」

「お前……いや、何でもない」

 何も反論できない。今さっき、まさに拗ねていたからな。考えまで一致とは、まさか幸子も相手の心が読めるというのか……?

「素直じゃないね、キミは。最も、ボクもそんな気持ちはわからなくもない。ボクもそんな、自分を飾らないと他人に何も本音を言えない所謂『中二』なんで、ね」

 そう言うと少女、飛鳥はやれやれといったリアクションをし、軽くため息のようなものをする。

「で、君は幸子の友達か何かなのか?」

「いいや、昨日挨拶をした程度の仲だ。こうして話をするのは初めてかな」

「初めて……なぁ」

 その言葉を聞いて俺は幸子の交友関係が少し不安になる。あの濃いキャラなんだ、まさか周りのアイドル達に絡みに行ったりして疎まれてはいないのだろうか。そんな気持ちが頭をよぎってしまったのだ。

「つかぬ事を聞くが、幸子がレッスン中に何かやらかしたりはしていないか?」

「彼女、幸子がかい?」

「ああ。例えば周りのアイドルに自分のことをカワイイと言うように強制したり、駄々を捏ねたりは……」

「プロデューサーさんはボクを幼稚園児か何かだと思っているんですか!?」

 俺の質問に声を大にして抗議する幸子。しかし、これが俺の中にある彼女のイメージなのだから仕方が無い。

「いいや、昨日から彼女は至って普通にレッスンを受けていたよ」

「……そうか、それなら別に良かったんだが」

 飛鳥の言葉に安心をする俺。そしてそれと同時に、真面目にレッスンを受けていたという幸子に、疑ってしまって申し訳ないという気持ちが浮かぶ。

「まあ……なんだ、うちの幸子はこんな感じて素直じゃないが、根はそんなに悪くない奴なんだ。君が良いと言うならこれから仲良くしてやってくれないか?」

「別に、ボクの方は構わないよ? ただ、彼女はそれを許してくれるのかい?」

「プロデューサーさんが言うなら、仕方ありませんね。仲良くしてあげますよ!」

「まったく、本当に素直じゃないね……」

 そう言うと飛鳥は、水の入ったペットボトルを幸子の方へと差し出した。

「これはボクから、幸子へのささやかなプレゼントだ。受け取りたまえ」

「しょうがないですねえ、受け取っておいてあげます!」

 そう言うと幸子は、受け取ったペットボトルをすぐに開ける。そしてそのまま勢いよく飲み始めた。よほど喉が乾いていたのだろう、すぐに半分程飲み干してしまった。

「……ぷはぁっ! カワイイボクが、生き返りますよーっと」

 と、水を飲んで元気を取り戻した幸子は、急に立ち上がると屈伸を始めた。

「さあ、カワイイボクは今生き返りました! プロデューサーさん、カワイイボクの本気は、まだまだこれからですよ!」

「ああ、行ってこい!」

「それと……飛鳥さん、でしたっけ? ペットボトル、ありがとうございました。一応ボクのライバルとして、認めてあげないこともないですよ?」

 そう飛鳥に言い残すと、幸子は先に行ってしまった。

「素直にありがとうって言えば、もっと可愛いらしいんだろうけどな、アイツ」

「フッ……それもまた、彼女の魅力の一つなんじゃないかな?」

 そう一言だけ言うと彼女、飛鳥もまた幸子を追いかけるような形で行ってしまった。

「……彼女も随分と変わった子だな。なんというか、幸子とは違った意味で世界に溺れている……っといかんいかん、この歳になってまで何厨二病じみたことを言ってんだか」

 まあともかく、俺としては今回幸子に、一応だが初めての会話のできる友達が出来た様で良かった。

 実は正直なところ、あの幸子のキャラだから一人だけ浮いて孤立してしまうんじゃないか、と内心俺は心配していた。いくらこの業界は自分以外の全員が敵だとはいえ、歳頃の少女が一人ってのは寂しい思いをさせてしまう。今、二人の間は出会ったばかりであんな感じだが、いずれは敵ではなく、互いを高め合う良き友、良きライバルになってくれることを祈りたい。

 さて、そんなこんながあったが、そろそろ後半のレッスンが始まる。俺は頑張る幸子を自分のこの目で捉え、一秒一秒しっかりと頭に焼き付けていこうと思った。




4thライブ、一般応募枠来ましたねぇ……
自分は金欠で前売り券1枚も買えなかったので正直絶望しかけていたのですが、一般が8月6日朝10時から受け付けるらしいので待ち遠しい限りです(因みにライブというものに行くのは人生初めて)

今回は早い者勝ちなので正直チケットとれるか心配ですが、もし仮に4thライブ行く方が居たら現地に行けるようお互い頑張りましょう。

(そして現地で武内pを拝みましょうw)

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