アイドルマスターシンデレラガールズ 〜自称天使の存在証明〜 作:ドラソードP
「小説家、止めなくて良かった!(今の筆者)」
第21話
カワイイボクと逃避行の美少女
トランプ大会も終わり平穏が訪れた我らが部屋。昼飯も食べ終わり、飛鳥は午後のレッスンへ行ってしまったために再び部屋は二人だけになってしまった。幸子の方も結局やる事がなくなってしまい、二人で暇を持て余している。
「暑いですねえ……」
「扇風機強めるか……」
俺は扇風機を強める。
「暇ですねえ……」
「そうだな……」
「……」
換気の為にクーラーを消しているため部屋が煮えたぎるように暑い。そのせいもあってか先程よりも沈黙がよく続く。
ちなみに、幸子はソファの上で横になっている。俺の方は仕事机の前で、今日の仕事内容を偽造する作業に徹していた。なんだか、こんな事をしているとまったく仕事をしている感覚が無い……いや、そもそもこの状況は仕事をしているとは言えなくないか? しかし、会社には出勤している。それに、幸子の機嫌を損ねないためにわざわざこんなことをしていると考えれば……
とにかく、こんなことをしていると自分の職業が果たして、本当にテレビに出ているアイドルやプロデューサーと同じ職業なのか疑いたくなってくるものだ。
「プロデューサーさん、仕事まだですか……」
「まだあるわけ無いよ……」
「暇だし、またババ抜きでも――」
「頼むからババ抜きはもうやめてくれ」
食い気味で俺は答える。もうしばらくはあんな思いをしてまでババ抜きはしたくない。というか、今はトランプのカードですらしばらくは見たくない。
「それじゃあ神経衰弱でも――」
「それ余計暇になってだるくなるぞ……」
こんな状況で神経衰弱なんてたまったもんじゃない。それこそ神経が衰弱して死ぬ。
さて、それから更に数十分。部屋には延々と沈黙が続く。幸子も相変わらずやる事が無いのか、携帯を見てはすぐに消すのを繰り返している。俺の方もついに書類を書き終わってしまい、いよいよ本格的な時間との戦いが始まった。こんなことになるなら、午後のレッスンだけでも幸子に無理を言って入れておくべきだったか。
「……あーあ、なんかいきなり空から美少女でも降ってこないかな……」
「それならカワイイボクがここに居るじゃないですか。良かったですね、降ってくる必要がありませんよ!」
「いや、美少女が降ってくるところにこそ、ロマンがあるんだって……」
「何言ってるんですかプロデューサーさん、暑さとボクのカワイさで頭がやられちゃいましたか?」
ああ、俺も暑さのせいで自分で言っていることがよくわからなくなってきた。幸子の言う通り暑さで頭がやられたかと思い、俺は窓を閉めるとクーラーのリモコンに手を伸ばす。
……が、その時だった。時間が止まった俺達の部屋に、再び衝撃が走ったのは。
「無理無理無理むぅーりぃー!!!!」
なんとびっくり、いきなり部屋の扉が開くと顔面蒼白な謎の少女が入ってきたのだ。
「えっ……あっ……なんで人が……!? でも、とにかく隠れなきゃ……!!」
「なんだなんだ!?」
「プロデューサーさん、ドアから謎の美少女が!?」
そのいきなり部屋に入ってきた巻き髪の少女は、部屋を見回して俺が座って作業をしている仕事机を見ると、滑り込むようにして何故か仕事机の下に入り込んできた。そして廊下の方からは、やたらと威勢の良い男性の声が響き渡る。
「森久保ォ!! 何で俺から逃げるんだァ!? 俺とトップアイドルを目指すんじゃなかったのか!?」
声はだんだん小さくなって行き遠くに走っていっているのが分かった。しかしやたら暑苦しい声だったな。
「よかった……逃げきれた……」
俺は足元で縮こまっている少女の方へ目を向ける。またまた幸子に負けず劣らず可愛らしい少女だが、その表情はまるでホラー映画で怪物から逃げるヒロインの様な、そんな顔をしている。
「あのー……ごめん、君は?」
「あっ……も、森久保……乃々です。すみません……いきなり部屋に入ってきたりして……でも、先週までは空き部屋だったから入ってきたつもりだったんですけど……」
「……あれ? なんだ、乃々さんじゃないですか! また乃々さんのプロデューサーさんから逃げていたんですか?」
「だって……もりくぼはアイドルになる気なんて無いのに……あの人に色々無茶なことやらされるから……逃げてきたんですけど……」
「あれ、もしかして幸子の知り合いなのか?」
「知り合いも何も、昨日のダンスレッスンの時にいたじゃないですか! 覚えていないんですか?」
俺は幸子にそう言われ、記憶を遡っていく。正直、昨日は飛鳥とゲリラ豪雨に印象を全て持っていかれた為に、あまりその場に居た人の顔が思い出せない。
「良かった……ちゃんと気配を消せていたみたいで……」
「またネガティブ思考ですか乃々さん! もっとカワイイボクみたいに自分に自信を持ってくださいよ! 勿論ボクには到底及びませんが、乃々さんはそこそこカワイイんですから!」
そんな少女、森久保乃々の言動を聞いた限りでは、なんだかえらく幸子とは真逆のタイプの子だなと思った。可愛らしい所なんかはまったく一緒なんだが、考え方がまさにネガティブ思考そのものだ。
なんというか幸子とその少女、森久保乃々が話す姿は俺には実に対照的に見えた。
「うぅ……そんな……もりくぼなんて、幸子さんには遠く及ばないですよ……もりくぼなんて、幸子さんのカワイイオーラに消されて宇宙の藻屑になっちゃいます……」
「ま、まあ当然ですよ! ボクのカワイイは銀河最強ですからね!」
「おーい、フォローになってねーぞー」
しかし、二人の会話を聞いているとなんだか面白い。噛み合っているようで実に噛み合っていない、まさに水と油、光と影、幸子と乃々だ。しかし、幸子もフォローするなら最後までフォローしてやれよ、と少々つっこみたい。
と、そんなことを考えていると少女、乃々は幸子の方から、今度は顔を少しだけ上げて俺の方へと視線を向けてくる。だが、俺と視線があった次の瞬間、彼女は焦るようにして視線を背けてしまう。
「……それでその……幸子さんのプロデューサーさん、ずうずうしいことは百も承知なんですけど……もしプロデューサーさんが許してくれるなら……もりくぼはもう少しだけ、ここに居て良いでしょうか……?」
「……まあ別に、俺の方は何も無いし構わないが……君の方は大丈夫なのかい?」
「どうせもりくぼなんてアイドルをクビになっても当然ですし、むしろクビになりたいくらいですし……本当、もりくぼはあの時なんで『はい』なんて言ってしまったんだろう……」
乃々は独り言の様に何かを呟いている。その合わない視線の奥には何か底知れぬ深い闇が垣間見える。
まあともかく、こうして突然の来訪者により部屋にはまた賑やかさが戻る。別に、俺たちは丁度暇をしていたから問題とかは無いのだが……このような子に対しては、どうやって対応した方が良いのだろうか。俺は悩みに悩む脳を限界まで稼働させる。
どうやら、この調子だと午後もまた忙しくなりそうなのは確かそうだ。
デレマス再放送で未央回来ましたね……
賛否は結構分かれていますけど私的にはあの回があっての13話や2期があると思うので必要だと思います。
未央はうちの担当はっきりわかんだね。
最近はデレマスのCDを買い漁る毎日ですが、2期の曲は最終回のエンディングでも良いくらいの良曲が多いですね。
HeartVOICEや私色ギフトなんて最終回で流れても違和感がない気がします。
この空の下なんかも私は個人的に好きです。
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