アイドルマスターシンデレラガールズ 〜自称天使の存在証明〜   作:ドラソードP

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第25話 カワイイボクと休みの終わり

第25話

カワイイボクと休みの終わり

 

 

「結局、なんだかんだで一日終わっちまったな……」

「そうでしたね。途中飛鳥さんや乃々さんが来たりして、二人きりの時間というよりかはただの休日でした……」

 時刻はもうそろそろ四時を過ぎる。結局後半は様々な来客により、幸子のお願いを何でも聞くという名目もあやふやになってしまい、なんだか仕事をするよりも忙しい一日になってしまった。

 まあ、幸子の交友関係や同期二人についてよく知ることもできたし、結果的に見れば無駄な時間ではなく充実はしていたようにも思える。

「で、幸子はまだ他になんかして欲しいことはあるのか?」

「あれ、プロデューサーさんちゃんと覚えていてくれていたんですねえ……少し嬉しいですよ?」

 俺達は窓から外を眺める。一応、ここは高層階と呼べる程の場所ではないが、それでも比較的高い所にある部屋の為、景色自体は悪くない。お陰で346プロの辺りは大体見下ろすことができる。

「そうですねえ……正直今、プロデューサーさんがちゃんと覚えていてくれていただけでもボク、結構嬉しかったですから……プロデューサーさんの一日ワンちゃんは終了です!」

「それなら良かった。満足に喜んでもらえるサービスができたみたいで、安心したよ」

 色々なドタバタが終わり、部屋には再び静寂が戻っていた。なんだかんだ色々うるさく感じた部屋も、こうして静かになってしまうと案外寂しいものだ。

「なんだか、色々な人が来たりして騒がしかった一日ですけど、ボク達以外に誰も居なくなってしまうとそれもまた、寂しいですねえ……」

「大丈夫。すぐに寂しいなんて言ってられなくなるさ。今は俺たちの周りには飛鳥や乃々達しか居ないのかもしれないけど、いずれは日本中にファンができて、俺達を迎えてくれるはずだ。寂しい、なんてことはすぐに思わなくなるだろうさ」

「まあ、ボクはどんな人気になってもならなくても、プロデューサーさんがそこに居てくれればそれでいいんですけどね」

「未来のトップアイドル様から直々に言ってもらえて光栄です、とね」

 今日の空はやたらと澄んでいる。いや、澄みすぎていたお陰で太陽光がダイレクトに来て暑苦しい訳だが。でもなんだかその太陽の光のお陰か、疲れた割に気分はなんだか明るい。とりあえず、今日の休みは幸子と二人で丁度良いリフレッシュになったと捉えておこう。

「……今はまだ、すぐそこに地面が見えるような低層階ですけど……いつかはここの高層階から全てを見下ろせるようなアイドルになりたいですねえ……」

「そうだな。まっ……多分俺と幸子ならすぐになれるさ。それこそビルの高さ的にも、アイドル的にも全てを見下ろせる、文字通りのトップアイドルとそのプロデューサーにな」

「本当にその言葉を信じちゃって良いんですか? トップアイドルに慣れるって」

「バーカ、最初に約束しただろ。俺は幸子をトップ、いやゴッドアイドルにちゃんとするってさ」

「だからゴッドじゃなくてカワイイエンジェルです! 何回言ったら分かるんですか!」

 お互いに笑いがこぼれる。なんだかんだ彼女とはいい感じに溶け込めている様で、安心した。

 そう、今思えばまだ幸子と出会ったのはたった四日前だ。たったそれだけ、なのかもしれない。だが俺にしてみれば、このプロデューサーになるまでの数年間よりなんだか長いようにも感じた。

 この時間の密度、つまりこれがアイドルとプロデューサーというものなのか、と思い知らされる。そしてそれと同時に、俺はプロデューサーになって良かった、後悔なんて無かった、と改めて思わされた。

 正直、未来には不安もまだまだあるのは事実だ。これから先、俺が幸子の足を引っ張ってしまわないか、彼女に辛い思いをさせてしまわないか、そんなプレッシャーに一瞬でも気を緩めたら今にも殺されてしまいそうだ。でも、だからこそ俺は彼女の、幸子のドヤ顔、いや笑顔が安らぎになっている面がある。彼女が笑い続けている限りは、俺は自分に自信を持つことができるから。

「なーんか、何もしないってのも飽きるな」

「ボクの気持ち、ようやくわかってくれました? わかったんだったら早く仕事を持ってきてください!」

「ああ、わかった。頑張って小さい仕事でもちゃんと探すからさ」

 俺は伸びをしてソファに座った。すると幸子も続けて隣に座る。

「フフーン! やっぱりボクが隣に座るとまだ緊張しますよねえ? プロデューサーさん」

「いや、前よりはもう大分慣れた」

「慣れたってそれどういう意味なんですか!!」

「悪い悪い、機嫌なおしてくれ」

 すると幸子は、今日の朝同様また怪しい笑みを浮かべた。

「やっぱり……一日ワンちゃんは今日一日ずっとに延長します!」

「あー? じゃあなんだ、また肩もみか?」

「フフーン! 違いますよ、プロデューサーさん!」

 すると幸子は急に笑顔になり満面の笑みで言い放った。

「来週の土曜日、ボクと一緒に花火大会に行ってください!」

「花火大会?」

「そうです! それが最後のお願いです!」

 花火大会なんて人生で行ったことすら無い。というか、正確には行く相手が居なかったというのが正しいか。

 まったく、本当には俺に様々な体験をさせてくれるな、幸子は。まるでこんなんじゃ、俺の方が幸子に未知の世界へ連れ出されているみたいじゃないか。

「……ま、しょうがないな。幸子のお願いと来ちゃ、行ってやらないことはないな」

「えっ……? 本当にいいんですか?」

「本当にって、冗談のつもりだったなら行かないからな」

「じょっ……冗談なわけ! でも、えっと……ありがとうございます、プロデューサーさん!!」

 幸子は俺と一緒に花火大会に行けることが決まり、予想以上にはしゃいでいる。よほど嬉しかったのだろう、部屋の中をひとりでにぐるぐる回っている。

「……やれやれ。もしかして俺、担当を甘やかさせ過ぎか?」

「ボクは甘えさせられて、更に伸びるタイプなんです!」

 幸子は満面の笑みでそう言い放つ。普通のアイドルだったならばあまり許されない言動なのだろうが、彼女の場合はそんな言葉もなんだか許せてしまう。

「まあそんなことよりとにかく、そうと決まったらなら事は急げです!! 明後日の土曜日、花火大会に向けての準備で買い物に行きましょう! こういった時のために貯金はたんまりとしてありましたからね! プロデューサーさんは、カワイイボクの荷物持ちです!」

「はいはい了解了……解……はい? 今なんて?」

 こうして、今週と来週の土曜日に予定外の外出が決まって、幸子と俺の休日は終了した。でも、荷物持ちだとしても不思議と嫌な気分ではなかった。

 さて、明日からは気分を切り替えて、すぐそこに迫っているライブに向けて頑張ることにするか。まずは明日を頑張って、土曜日幸子と出かける。それから来週もう一度頑張って花火を見たらすぐにライブだ。

 気が付けば、俺の心は高まっていた。

 




次回からライブに向けての一期後半に入ります。
内容にシリアスも入ってくるようになってデレマスらしくなってくると思います。

お詫び
9話でベランダとか出てましたがそんなものねえよ!(怒)
窓の間違いです、しばらくしたら直しますすいません

文章の改行や空白

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